林寛子の発言 (逓信委員会)

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○林寛子君 よく相談をしてとおっしゃいましたけれども、途中経過がこの委員会にかかることもなく、法案として出てくるまで私どもはよくわからなかったわけでございます。与党さんはあるいはおわかりになっていたのかもわかりませんけれども――おわかりになってないとおっしゃっていますから、そういう意味では、途中もっと私たちが理解できるように、またオープンにしていただかなければ国民にも私は理解されないだろうと思うんです。
 ちょっと時間をいただきますけれども、今までNTTの経営形態見直しの意見の相違点、いろいろあったわけですね、これだけの歴史があるんですから、十四年になる。そういう意味で、今回の法案が出るまでに今までNTTと郵政省、接続問題、地域網の独占性、国際競争力、料金値上げ、あまねくサービスの維持、将来のネットワーク構築、研究開発力、そういうものでどこの意見がどう違っていたかというのをもう一度、きょうは両方いらっしゃいますから、なぜこんなに違っていたものがあっという間に合意できたのかというのがまだ理解できないんです、私の頭では。ですから、少なくとも今までどう意見が違っていたかをもう一度聞いていただきたいと思います。なぜ私どもが理解できないのか、なぜ妥協の産物だと世間で言われるのかというのが私はここにあろうと思うんです。
 まず、接続問題に対してNTTは何と言っていたのか。「接続問題は、NCC」、さっきもお話がございました新規参入者ですね、「NCCとNTT地域網だけでなく、PHS等とNTT地域網の問題ともなっており、長距離網と地域網の構造上の同等性だけを議論する実質的意味は減少している。むしろ、多様な接続ニーズにいかに公平に対応するかが今後の問題」だと。また、「適正な対価を前提に、ネットワークを誰とでも接続すること、相互接続条件を同等にすること(情報開示、料金等)、あらゆる相互接続ポイントを設定することによって、接続問題は解決する。」とNTTさんはおっしゃってきたんです。
 他方、郵政省は何と言いましたか。「NTTの接続料金のコストは、独占的なNTTの生産性を前提としたものであり、真の「適正さ」の実現が担保されているかどうか分からない。」と。これだけ意見が違った。
 続いて、NTTの地域網の独占性について、「TTNetなど地域系のNCCの出現、CATV電話、携帯電話、PHSといった競争相手が出現しており、地域網がNTTの独占であるという体制は崩れつつある。」とNTTはおっしゃった。
 ところが、郵政省は何と言いましたか。「地域系NCCで電話を行っているのは一社(TTNet)にすぎず、事業開始後七年になるが、その加入者数はNTTの約六千万加入に対して約一・五万加入(〇・〇二五%)に過ぎない。」とおっしゃった。
 これだけ違うんですね。まだたくさんありますよ、違う点。
 「NTT地域網は、NTTが独占的に使用しているのではない。現に、各事業者がNTT地域網を素材として自由に活用し、事業展開を行っている。」とNTTさんはおっしゃる。
 ところが、片方は何と言いました。「NTT地域網を各事業者が自由に活用するのは、接続命令を出すことができるという電気通信事業法の建前から当たり前のことで、それが現在の基本の仕組みである。問題は、かつてのフレームリレーやVPNのようにNTTが各事業者の自由な使用を妨げるような事態が二度と起こらないかどうかである。」と、こうおっしゃるんですね。
 これ、言っていると切りがないんですけれども、国際競争力についてNTTは何と言っていました。「主要国は情報スーパーハイウェーの整備を図って海外への直接投資を積極的に進めるなど、巨大通信事業者による大競争時代に突入していく。設備投資や研究開発の巨額化に対応するための組織力・資金力や顧客数も競争力の源泉の一つであることは否定できず、NTTの力を弱める分離分割を行ったら、日本は主要国との競争に負けてしまう。」、これがNTTのおっしゃり方。
 他方、何と言いました。「情報通信産業の国際競争力について言えば、国内に競争相手が存在しない巨大企業よりも、国内の競争で鍛えられた企業がより強いのが通例である。」、「経営体の競争力の源泉は巨大さでなく、業務の融合や意思決定の迅速さにある。」、「NTTの分離分割は、NTTを活力のある、変化に弾力的に対応できる事業体とするための措置である。」と。これも、真っ向から御発言や今までのおっしゃり方は違うわけであります。
 では、料金の値上げ、あまねくサービスの維持について何とおっしゃっていました。NTTさん、「効率の悪い所にもあまねくサービスすることが法律で義務付けられている。地域網を分離分割するなら、各社の状況により、料金の再調整もあり得る。また、サービス面でも会社間格差が生じたり、災害時におけるスムーズな復旧活動が困難になるといった問題が発生する恐れがある。」とおっしゃいました。それも一理あります。
 ところが、他方、「基本料、番号案内料、公衆電話料の値上げにより七年度には地域の黒字化が確実視されており、地域網の分離が更なる料金値上げにつながることはあり得ない。」とおっしゃったし、また、「分割すると災害復旧活動が困難というのは、どういう発想から来ているのか。緊急時にも縄張り争いをするというのか。」という厳しい論調までおっしゃいました。全然違うんですね。
 あるいは、将来のネットワーク構築について何とおっしゃいました。「地域網を分割すると、将来のネットワーク・インフラ構築が各社の経営に左右され、全国均一の整備に支障をきたす恐れがある。」とNTTさんはおっしゃっていました。
 片方、「米国のように一定の規模を持った大括りな分割を行えば、複数会社が競い合いながら効率的経営の下で、全国バランスのとれた形でインフラ整備が促進される。」とおっしゃったんです。
 最後に、研究開発に対してもこれだけ違うんです。「今後ますます巨額化すると思われるネットワーク・インフラの研究開発は、基礎研究から商品開発まで一貫して手掛けることが必要であり、NTTを分離・分割すると研究開発力が低下する。」とNTTさんはおっしゃいました。
 他方、「マルチメディア時代は、ソフトやアプリケーションのウェイトが増大し、独創的な知恵を競う環境に変化してきている。一か所に要員と資金を集中させる従来と同じような研究開発が最適かどうか疑問である。また、巨大な購買者でもあるNTT一社に研究開発を集中させたことが、我が国の交換機等のメーカーに国際競争力がない大きな原因ではないか。」と。
 これは言っていると切りがありませんからやめますけれども、これほど今までおっしゃったことは相対峙し、相入れない立場で今まで頑張ってこられたんです。これらの全く意見の違ったものがなぜ今回の法案になり至ったのか。それが全く私どもには見えないから、ある意味では妥協の産物だというような言葉になってしまうんですね。
 私は、そういう意味で、今回の法案に対して、NTTのあり方は当事者のみならず国民全体や関連産業に極めて大きな影響を与えるものでありますから、少なくとも今回の決定過程は私ども国民の側から見て全く不透明であったと言わざるを得ないんです、残念ですけれども、わからないから。
 あるいは、純粋持ち株会社制度は電通審で十分に検討されたんでしょうか。これも先ほど申しましたように答申とは違うのではないか。どういう経緯を経て双方の合意に達したのか、明快にしていただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 林寛子

speaker_id: 14436

日付: 1997-06-12

院: 参議院

会議名: 逓信委員会