笹野貞子の発言 (本会議)

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○笹野貞子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案説明がありました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 周知のように、アメリカの労働団体が、ほぼ百年前の五月一日、労働時間短縮という要求を掲げて大規模な大衆運動を繰り広げました。労働者は、八時間の労働、八時間の休息、八時間の教育をスローガンに掲げてストライキとデモを展開し、一部地域では流血の事態となりました。この五月一日がメーデーとして今に受け継がれています。
 約一世紀を経て、経済社会の発展とともに労働時間の短縮が進み、今日に至っております。歴史的に見ても、時短は労働者の生活と文化の質の向上を図る上で極めて重大な意義を持っていると言えましょう。
 我が国は、一九八七年当時、貿易摩擦が過熱している中で、いわば国際公約として、年間総労働時間をアメリカ、イギリスの水準を下回る千八百時間程度に短縮していくこととしました。しかしながら、現状を見ると、九六年度の総実労働時間は千九百十九時間で、ここ一二年間引き続いて増加しています。依然としてこの目標は達成されず、いまだ百時間程度の開きがあります。
 このような現実を踏まえて、我が国における労働時間短縮の今日的意義及び現状認識、並びに年間総労働時間千八百時間達成に向けた基本姿勢について、総理のお考えをお聞かせください。
 次に、週四十時間労働制については、欧米先進国では以前から実施されている中で、我が国では、一九八七年の労働基準法改正から十年、時短促進法制定から足かけ五年を経てなお週四十時間労働制が達成されず、今回、時短促進法の延長という事態を迎えていることはまことに遺憾と言わざるを得ません。
 言うまでもなく、時短の王道は労使合意による生産性の向上にあり、中小零細企業等の実情を踏まえることは当然であります。しかし、今回政府が提案している法改正の趣旨、とりわけ指導期間の設定について、週四十時間労働制の実施が二年間猶予されたとの誤解や曲解が生まれ、週四十時間労働制への移行、定着が滞るということは断じて許されません。総理及び労働大臣の認識、決意を明らかにしていただきたいと思います。
 週四十時間労働制への労働時間の短縮について、ILOの条約や勧告は、時短によって賃金の減少や生活水準の低下をもたらさないよう適切な措置を求めております。
 時短の歴史的な意義は、労働者の生活と文化の質の向上にあります。ところが、最近の報道等によると、週四十時間労働制の実施に伴い、時間当たり賃金が減少しない限り賃金額の引き下げを行うことは問題とならないとの見解が横行しております。私は、時短の望ましいあり方とは、賃金水準の引き下げなき労働時間の短縮だと考えます。もとより、賃金の取り扱いについては、基本的には労使間の協議にゆだねられるべきものです。しかし、時短の意義に照らしてみるとき、いやしくも今回の法改正を奇貨として賃金を引き下げることのないよう十分配慮する必要があります。労働大臣のお考えをお聞かせください。
 ところで、週四十時間労働を達成しただけでは政府目標の年間総労働時間千八百時間は達成できません。所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得の促進が不可欠です。特に、所定外労働時間については、政府が今国会に提出されている男女雇用機会均等法の改正にあわせていわゆる女子保護規定を撤廃する法案が提出されていることから、早急にその抑制の枠組みを確立する必要があります。
 時間外労働は、本来、臨時的なものとして必要最小限にとどめられるべきであり、現行の割り増し賃金率の引き上げや段階的な割り増し賃金率の導入などの措置をとるべきです。
 また、時間外労働の目安となる指針に基づいて指導されていることは承知しております。しかし、家庭責任と職業生活の調和、男女平等の家庭責任の分担という観点からも、男女共通の上限規制を法令に位置づける必要があると考えます。中央労働基準審議会で時間外労働について検討されるものと承知しておりますが、一定の結論を得る時期も含めて労働大臣の認識をお尋ねいたします。
 次に、我が国の労働時間短縮が進まない原因の一つとして、年次有給休暇の取得が進んでいないことが挙げられます。これまでの推移を見れば、労働者がみずからの権利である年次有給休暇を完全消化できないような環境がまだ多くあることも事実です。
 年次有給休暇の本旨から見て、一定のまとまった日数の連続取得が望ましいと考えますが、これを容易にするためにも年次有給休暇の最低付与日数の引き上げが必要ではないでしょうか。年次有給休暇の取得を促進するための方策をどのように講じていくのか、この点について労働大臣にお尋ねいたします。
 さて、最後に、時短が生産性向上に大きく依拠していることから、より効果的に時短を進めるためには、労働施策のみではなく、産業政策等の多様な側面から十分な施策を行っていくことが有効です。まさに政府一体となって時短を進める体制を整え、関係省庁が労働省とも十分な連携を図りっっ、積極的な施策を展開していく必要があると考えます。この点について、総理及び産業政策を所管する通産大臣の見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114015254X00919970317_027

発言者: 笹野貞子

speaker_id: 24374

日付: 1997-03-17

院: 参議院

会議名: 本会議