中山太郎の発言 (本会議)

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○衆議院議員(中山太郎君) 関根議員のお尋ねにお答えをさせていただきたいと思います。
 まず第一問、脳死と臓器移植の問題についてこの五年間の国民世論の動向がどのように変化し、現在いかなる状況になっていると認識されているかという御質問でございました。
 現在、脳死、臓器移植の問題につきましては、これまでの世論の動向の変化と現状は、当初と比べて脳死と臓器移植に対する国民の理解が相当進んできていると認識をいたしております。いろんな世論調査を見ましても、国民の約過半数を超える方々がこの問題についての認識を深められていると思います。
 第二のお尋ねでありますが、脳死を人の死と受け入れることに疑問を感じている人たちに対する配慮として、個人が死の判定の方法を選択することができないか、こういうお尋ねでございました。
 御案内のように、個人が死の判定の方法を選択することができないかという問題では、既に患者は瀕死の状態にあるわけでございまして、その患者自身が自分が脳死を選ぶか心臓死を選ぶかということは現実の問題として困難であろうと思います。ここにこの問題のポイントが一つあるのではないか。
 しかしながら、実際の脳死判定に当たりましては、まず一般の患者もそうでございますけれども、危篤状態が近づいてくるといったことについては、その担当の医師、また特に救急医療の現場では、一人の医師ではなくチーム医療によって、救急の患者の救命のために医師並びに看護婦がチームを組んで全力を挙げてやってしるわけでございますから、一人の判断で物が決定されるわけではございません。また、御家族が突然の事故で大変驚かれて、その救急医療の現場に来られたときに、御家族に対して患者の状態がどのような状態かということを説明することは当然の医師の責任であろうと思いますし、このことこそがインフォームド・コンセントの一番のポイントであろうと思います。
 そこで、御本人が生存中に明確に文書によって自分が脳死状態になったときに臓器の提供を行ってもよいと記録をされている場合、この場合以外は一切この臓器移植は行えないということが原則でございますし、御本人にそういう御意思があっても御家族の方々が反対された場合には、これは行うことはできないということでございます。
 御案内のように、だれもがこの脳死判定を受けるのじゃないかという不安があるという御質問でございましたけれども、一般に救急医療の現場で脳死による死亡者というものは、先ほどの猪熊議員の御発言でもございましたように、全死亡者の一%、脳死状態では〇・一%でございます。
 そういう状態の中で脳死判定を行うかどうかということ、これはもちろん御本人自身は決定する能力はもはやございませんから、御家族が反対された場合、また御本人が生存中に脳死判定を受けないという意思を明確に文書に残されている場合は一切脳死判定は行わない、そして自然死に至るまで治療を続けていくということが私どもの提案の趣旨であるということを御理解いただきたいと思います。
 また、第三に、脳死を人の死とすることで助かる可能性がある人の命が奪われるのではないかということは、今申し上げた御答弁で御理解がいただけると思います。
 日本における臓器移植の技術は世界と比べてどのくらいの水準にあるかということについては、世界のいろんな移植の施設で研究のために移植手術を現実に経験されたたくさんのドクターが既に日本に帰国をしておられます。そういうことで、現在、私どもの国家にある最先端の医療施設を持った施設及びそこで勤務をする移植に関する経験を持った医師たちの水準は世界的水準にあるものと信じております。
 第五の御質問でございましたが、臓器提供者となるに当たって、提供臓器の範囲を含め本人の意思が明確にわかり、それが尊重されるシステムの構築、また厳格な倫理規定の確立が求められると思いますがどうかというお尋ねでございました。
 臓器提供者となる本人の意思確認のシステムについてのお尋ねは、本法律案におきまして本人の臓器提供の意思が書面によって明確に表示されていることが基本的条件でございます。
 第二に、臓器提供の意思を確認する書面についてはドナーカードなどが挙げられますが、提出者といたしましては、国民の理解を得つつ適正な形で臓器移植が普及していくように、ドナーカードの普及啓発に全力を挙げていかなければならないと考えております。
 次に、厳格な倫理規定の確立が必要でございます。
 私ども提案者といたしましても、医学の進歩に伴っていろいろとこれから医の倫理の確立ということが今日ほど求められる時代はなかったと思います。私ども、改めて現場の医師たちに、医の倫理の確立こそが国民の医に対する信頼の回復の最大の要点であるということも強く主張をいたしております。
 特に臓器移植の分野につきましては、移植に関係する学会で構成される移植関係学会合同委員会におきまして臓器移植に関する指針が作成されておりまして、今後とも倫理面を含めた移植医療そのもののあり方についてルールをつくることが必要でございますし、大学等におきます教育におきましてもこの倫理の徹底した教育がこれから必要になってくるものと信じております。
 国民の臓器移植に対する不透明感を払拭させるために臓器移植基準の明確化及び情報公開が大切であると。これに対する御答弁を申し上げる次第でございますが、国民の臓器移植に対する不透明感の払拭のための方策は、移植医療の分野におきまして国民の信頼の確保と理解が特にこれは欠かせない問題でございます。不信感の払拭のためには、移植医療に関する医師等あるいは看護婦、こういった医療スタッフの倫理観が確立されること、これが基本の原理であると考えております。
 また、臓器移植の機会の公平公正性の担保という観点から臓器移植ネットワークの整備を早急に行わなければならない。また、全国的に統一した基準によって客観的に移植患者が選定される仕組みを構築することが不可欠であると考えております。
 つまり、人間愛に基づいて提供された臓器、この貴重な人間愛のたまものというものが公正公平に配分されるということが極めて移植医療を行っていく上での条件であろうと思いますが、ここの問題につきましては、さらに私どもはネットワーク整備の管理というものについて十分検討を深めていくことが必要であろうと思います。
 また、情報公開という問題がございます。この情報公開につきましても、さきの衆議院の審議におきましていろいろございました。
 一つは、提供者であるドナーの方々の氏名、これを一切公表しないことが原則であります。いろいろな欧米諸国の移植の現場あるいは組織を見て検討いたしました結果に基づきましても、提供されるドナーの方のお名前、またドナーの御好意を受けられるレシピエント、移植を受けられる方のお名前も絶対に公表してはならないということでありまして、医療に関する関係者は、この問題につきましては、刑法の定めるところによって厳しくこの秘密性を守ることが何よりも社会の公平性を確保する上で必要なものであると考えております。
 以上、御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔猪熊重二君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 中山太郎

speaker_id: 15557

日付: 1997-05-19

院: 参議院

会議名: 本会議