和田洋子の発言 (本会議)
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○和田洋子君 私は、平成会を代表して、介護保険法案等三法案に対し、橋本総理、小泉厚生大臣及び関係大臣に質問をいたします。
冒頭まず、去る六月三日に公表されました財政構造改革会議の最終報告についてお尋ねいたします。
同報告書においては、社会保障関係費についての伸びを全体の二%程度以下に抑制し、当然増に相当する額を大幅に削減する等ドラスチックな内容が示されております。構造改革の内容も具体的でない段階で削減のみが示され、多くの国民は社会保障の未来に不安を感じているのではないでしょうか。総理は具体的にどのような方策で社会保障関係費の抑制を図るお考えでありましょうか。御所見をお伺いいたします。
次に、介護保険法案等に対する質問に移ります。
本年一月に国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口によれば、我が国は二〇五〇年には三人に一人が六十五歳以上という世界に例を見ない超高齢社会を迎えるものと推計されております。
今日、介護地獄とまで言われる状況が発生しており、介護の多くが女性の肩にのしかかっております。特に七十五歳以上の後期高齢者の増加により、家族の中に介護を必要とする者がいる状態が日常化し、高齢者がその親の介護をするという老老介護のような状況も数多く発生しております。
私は、高齢者の介護について、核家族化の進行や地域社会の崩壊などにより、家族の力に頼る時代は終わった、広く社会で支え合う時代が到来したのだと考えております。
しかるに、ゴールドプラン及び新ゴールドプランの実施にもかかわらず、公的な介護サービスは質、量ともに不足しているのが現状であります。その結果、高齢者の社会的入院の問題、家族の介護疲れや高齢者虐待といったひずみを生じているのであります。このような現状を解決する切り札として、公的な介護保障制度がぜひとも必要であることは論をまちません。
しかし、問題は、政府案が本当にだれでも、どこでも、いつでも安心して介護が受けられる制度となっているかという点であります。
そこで、まずこの点について、総理及び厚生大臣はどのような認識でおられるのか、御所見をお伺いいたします。
次に、公的介護保障制度の財源論、基盤整備等について、数点お聞きいたします。
政府は、公的な介護保障制度として、介護保険という新たな社会保険を導入されようとしております。新たな介護システムのあり方をどのようなものにするのかは、将来における日本の社会保障を方向づけることになり、国民的な議論が十分になされることが必要ですが、政府案はまず保険ありきということで、介護保険制度ができれば介護の問題がすべて解決するような幻想を国民に与えています。
社会保険方式では、国民年金や国民健康保険の例で明らかなように、大量の保険料滞納者や未納者が発生する事態を防ぐことはできません。この場合、サービスを受けられなかったり、低いサービスに抑えられるおそれがあります。まさに保険制度の欠陥はこの点にあります。政府はこれらの点についてどのように対処しようとしているのでしょうか。
私は、公的介護保障は税を財源に、社会のセーフティーネットとして、介護を要する人がいつでも、どこでも、だれでも利用できるものとしなければならないと思います。
また、政府案では、介護費用の増大に伴う保険料の急激な増大の懸念も払拭できておりません。負担増の歯どめ、国会のチェックはないのです。
これらの点についてはどのように考えておられるのか、総理及び厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
また、政府案では、保険あってサービスなしの懸念がぬぐえません。特に、サービス供給体制が整備されていなかったり、要介護認定が厳しくなされたりすれば、利用者の選択権は大幅に狭まってしまいます。利用者の選択権を保証するためにも、現行新ゴールドプランの抜本的な見直しにより、介護基盤整備の促進とマンパワーの確保を図る必要があるかと存じますが、大蔵大臣、自治大臣及び厚生大臣の積極的な答弁を求めます。
介護保険スタート時においてさえ、在宅サービスの利用率は四割しか到達しないと見込まれております。これではまさに保険あってサービスなしてはありませんか。また、現在、市町村の間には介護基盤の点で相当の格差があり、早急な格差の是正は相当のてこ入れなしには無理だと思いますが、厚生大臣、この点についていかがお考えでしょうか。さらに、その場合、市町村間で相当な保険料格差を生じるのではないでしょうか。あわせてお聞きいたします。
このように、当面、介護サービスの需要に供給体制が追いつかない事態が確実視されており、要介護者の家族が介護を行うことになると思います。そのような場合、御家族からは当然、現金給付をとの声が出ることが予想されますが、いかがでしょうか。あわせて、地域保険としての特性を生かし、現金給付について地域の実情に応じた対応を認めることについて、厚生大臣の御見解を求めます。
次に、要介護認定の基準についてお伺いいたします。
既に介護保険を導入しているドイツでも、導入直後、少なからぬ申請者が却下されるなど、要介護認定の難しさが明らかになりました。一方、統一的な認定基準にもかかわらず、地域によって認定状況に大きなばらつきを生じたと聞いております。
我が国でも、市町村によっては施設上や財政上の事情などにより認定対象者を絞り込もうとする動きが出る懸念はありませんか。また、市町村の間において要介護認定に著しい不公平が生じては公的介護保障制度に対する不信感を招くと思いますが、これについての対応をお伺いいたします。
さらに、要介護認定のモデル事業において、コンピューターによる第一次判定とかかりつけ医らの意見をもとにした専門家による第二次判定で、三割近い食い違いを生じております。全国どこでも同じ結果になる統一的な認定基準が不可欠でありますが、それが現場の医師や福祉関係者の判断とかけ離れたものとならないよう慎重な検討が必要かと存じます。どのような対応をとられようとしておられるのでしょうか。厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
また、認定作業やケアプランの作成には専門知識を有するマンパワーの養成確保も重要となってまいりますが、これをどのように対処しようとしているのか、厚生大臣及び自治大臣の御見解を求めます。
さらに、政府案では、市町村の事務負担を軽減するため、要介護認定の事務を都道府県に委託できるとしております。しかし、要介護認定という個人に密着した状態でなされる判断は、本来住民に最も身近な自治体である市町村がなすべきであろうかと思います。したがって、できる限り多くの市町村が要介護認定を行えるよう財政上の措置が必要ではないかと考えますが、大蔵大臣及び自治大臣の御見解を求めます。
最後に、若年世代を被保険者とすることについて伺います。
政府案では、第二号被保険者への給付に加齢要件を設けた結果、若年世代ではたとえ障害者となっても交通事故など加齢以外の原因によるものは給付の対象とはなりません。その結果、若年世代においては給付と負担の対応関係が不明確になっております。この点、政府案は自壊していると言わざるを得ません。
そもそも、介護リスクの全く異なる被保険者を一つの保険制度で一緒に取り扱うことに問題があります。政府案では、介護サービスの供給体制が整備され拡充されれば、それだけ第二号被保険者たる若年世代への負担が重くなっていくという矛盾を含んでいます。この矛盾を抱えたままでは、二十一世紀において活力ある高齢社会を維持することはできないのではないでしょうか。若年障害者についての介護保障はどのように考えておられるのでしょうか。
すべての障害者を給付対象にすべきではないかと思いますが、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
高齢者介護システムの構築は、来るべき二十一世紀の超高齢社会を見据えた重要な課題であります。しかし、介護保険法案についての国民の理解は必ずしも十分であるとは言えません。参議院は、良識の府として、よりよい高齢者介護システムを構築するために、時間をかけ、十分かつ慎重な審議を通じて、広く国民に十分な情報を提供する責務を課されていることを指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕