大渕絹子の発言 (本会議)
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○大渕絹子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、ただいま議題となりました介護保険法案等三法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
介護保険の創設は、家族依存介護から社会的な介護システムへ、病院依存介護から生活支援を重視した介護ステムへ、国の措置制度に依存した介護から市民参加型・自治体主体の介護システムへを目標に、国民の期待にこたえる新しい制度を構築するものでなければなりません。二十一世紀を目前にして、我が国は少子・高齢化社会に突入し、要介護人口も毎年十万人ずつ増加をしており、一日も早い新制度の創設が望まれております。
急激な社会、経済の進展は、家族構成にも大きな変化をもたらし、身近に介護する肉親のいないお年寄りや、介護者も高齢者という老老介護の実態が多く見られます。しかも、介護者家族に対するアンケート調査によれば、要介護者に憎しみを感じたことのある人は三人に一人、虐待したことがあると答えた介護者は二人に一人という深刻な状態が報告をされております。もはや介護は家族だけでは支えることは難しいという実態にあります。
他方、現行制度の問題点もさまざまな角度から指摘されてきております。施設やマンパワーの不足などでいわゆる社会的入院を余儀なくされてきており、医療の現場が介護を担わされています。その結果、薬漬け、寝かせきり医療も行われ、老人医療費の増大を招き、医療保険制度そのものを危機に陥れていると言っても過言ではありません。
医療費総額は平成七年度で二十七兆二千億円に達し、老人医療費は三二・二%の八兆七千億円を占めております。また、医療費用の公費負担は六兆五千億円です。この金額は国の一般歳出の一五%を占め、年金の九・六%、福祉の八・七%と合わせて一般歳出の三三%を社会保障に充てています。それでもなお国民健康保険会計は赤字に転じているという厳しい財政事情にあります。この現実に対応して、六月三日政府が決定した「財政構造改革の推進方策」を踏まえ、改めて政府のお考えを国民に明らかにし、理解を求める必要があります。
橋本総理は、社会保障制度の改革について、給付と負担のバランスを見直し、官民の役割分担、民間活力の活用を挙げておられます。その具体的プランの第一弾が介護保険制度であり、医療、年金の改革に順次取り組むとの決意を表明しております。
そこで、総理にお伺いいたします。
介護保険制度の導入によって、給付と負担のバランスはどう変わるのでしょうか。また、社会保障費に占める医療、年金、福祉の割合をどの程度にすることが妥当であると考えておられますか。さらに、介護制度における世代間の公平の観点とは何かについても、あわせてお尋ねいたします。
社会保障費も含めた財政構造改革を論議する際には国民負担率の問題は避けて通れないと思います。国民負担率の水準を決定する際、税と保険の違いを十分認識する必要があります。
橋本内閣は、増税なき財政再建を掲げておりますが、税負担を抑制する一方で、本来、税で負担すべき財政需要を保険料で賄おうとしているとの指摘があります。特に福祉政策である介護について、全額公費負担とせず、四十歳以上の国民に保険料と一割の自己負担を強いる保険制度にしたことには、国民の間に強い懸念の声があります。この国民の声に明確に答えなければ、社会保障を初めとした行財政制度全体に対する国民の信頼を失墜してしまうのではないでしょうか。
財政構造改革の目的は、単に赤字を削減することではなく、抜本的な体質改革を通じて財政の信頼性を回復することにあります。行財政改革が成功して健全な国家財政に立ち直ったときは、福祉の原点は所得の再分配にあるとの原点に返っていただきたい。総理のお考えをお伺いいたします。
次に、ポスト新ゴールドプランについてお尋ねいたします。
厚生省は、介護保険制度がスタートする二〇〇〇年に要介護人口二百八十万人の四割の人が介護保険の給付を希望するとした試算をしておりますが、これは少し甘い数字ではないかと思います。要介護人口は二〇一〇年には三百九十万人、その八割が希望することになるでしょう。その一方で、新ゴールドプランの達成が危ぶまれておりますが、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
さらに、新ゴールドプランの達成の後には改めて新しい計画による基盤整備が必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。その際、公的基盤整備と同時に社会全体の介護システムを共助の理念のもとに新しくつくり上げていくことが何よりも重要だと思います。
全国各地で介護ボランティアグループや高齢者生活協同組合の結成が見られます。社会の第一線を退いた人や余暇を利用した人々の活動は、高齢社会に活力を生み、高齢者に生きがいと自立の力を与えております。地域社会全体にお互いに助け合う共助の精神が根づくことによって超高齢社会も乗り切っていけると思います。熟年者のこれからの活動を政府はどう支援していくのか、お伺いいたします。
さらに、高齢社会を支えるために、介護サービスとあわせて都内の社会福祉協議会などで取り組みが始まっている財産の管理等を契約で請け負う後見人制度を公的に導入すべきではないでしょうか。
一九九五年から介護保険を始めたドイツでは、直接介護サービスを受けている人が二〇%、現金給付を望む人が八〇%を占めており、家族介護を労働と認めて現金給付制度を導入しております。この法案では現金給付制度は見送られていますが、家族介護をアンペイドワークの視点に立って社会的に評価することが大切です。今後もその検討をされるのかどうか、厚生大臣の御所見を伺います。
介護保険を軌道に乗せるには実施主体の市町村の役割が大きいのであります。財政力の弱い自治体ほど過疎化、高齢化が進み、介護を要する人が多いという傾向にあります。適正規模の市町村合併についての議論について、自治大臣のお考えを伺います。
老いることの不安の多くは介護の問題に根差しています。マンパワーの確保や施設整備、公正な要介護認定の実現は当然のこととして常に厳しい現実に照らして制度を検証し、必要に応じて法律改正をする柔軟な姿勢を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕