尾身幸次の発言 (財政構造改革の推進等に関する特別委員会)
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○尾身国務大臣 今、穂積委員のおっしゃいましたこと、大変に我が国の二十一世紀の展望についての根本的な、かつ広範な問題でございます。
私ども、この財政改革法案を提案をしている中でまず考えておりますことは、少子・高齢化社会に向かう日本、そしてまた、経済を中心として国際化に向かう状況の中で二十一世紀の将来がどういう展望になるか。私ども、経済審議会の構造改革推進部会というのがございまして、そこで、このまま放置したらどうなるかというシナリオを二〇二五年を目途に一応書いてみたところでございます。
このシナリオ、つまりこのまま財政あるいは社会保障を放置した場合には、国民負担率が七割を超えてしまう、財政赤字もGDP比で八・九%という数字になってしまう、それから国際貿易、国際経常収支の面においてもGDP比で一四%にも上る赤字になってしまう、そういう破局のシナリオを一度描いてみたわけでございます。
そこで、そういうシナリオでなしにもつと健全な、将来に経済の面でもそれから国民生活の面でも展望を持てるような対応をしていくためには、橋本内閣の六つの改革をしっかりやることが大事である。特に財政構造改革それから社会保障構造改革、そういうものをしっかりやっていくことが大事でありますし、それをまた支えるものとしてといいますか、そのバックグラウンドとして経済構造改革をしっかり進めていくことが必要であるというふうに考えている次第でございます。
社会保障の点について申し上げますと、少子・高齢化が進む中で、どうしてもこのままの制度を維持していくと医療保険制度も国民皆保険制度が維持できなくなる、それから年金財政も破綻をすることになるわけでありまして、そのことを回避しなければならない。したがいまして、負担と給付のバランス関係も、今までのバランス関係をそのまま続けていくわけにまいらないということでございまして、厚生大臣がいつも御答弁をされておられますが、負担と給付の関係について、やはり自己負担も含めまして是正をしていかなければならない。厳しい道でありますけれども、そうしなければならないと考えている次第でございます。
私は、そういう中で一番大事なことは、個々の国民の皆様が、こういう条件での医療保険制度は未来永劫に続くな、こういう条件での年金制度はこれからもずっと続くな、少子・高齢化社会が来ても続くなということで、制度の安定性といいますか、自分の人生設計の中で、将来こういう制度を前提として自分の人生設計をつくっていけば安心だなというふうに信頼感を持っていただけるような制度。いわゆる給付と負担の関係について、バランスを考えますと今よりも厳しい制度になると私は考えているわけでございますが、しかし、きっちりとした人生設計ができるような、そういう意味でのめどが立つ制度をつくることが必要であるというふうに考えている次第でございます。
それからまた、財政面におきましても、ずっといろいろなお話があるわけでございますけれども、むだを省き経費を節減をしていきながら、財政の将来が、一応今三%という目標になっているわけでございますけれども、これまたこの財政で日本経済を支えていく体制が長期的に可能であるという、そういう意味の安心感が持てる、そういう財政を確立していかなければならないと考えている次第でございます。
それを支える経済の状況でございますが、今まではどちらかといいますと、景気対策等につきましても、景気が悪くなったときは直接的な形で国が借金をふやして公共事業をふやしたり、あるいは借金をして減税をしたりして、いわばカンフル注射的な政策で来たわけでございまして、それでうまく経済が軌道に乗って、財政も再び税収がふえて回復するようなことになればいいわけでございますが、実はそれまで続けてきた、ここ数年続けてきたそういう政策が、もちろん経済の下支えという意味では意味がございましたが、なかなかうまくいかず来た。そして他方、財政の赤字は、先ほど来お話しのとおり非常に深刻なものになってきたということでございます。
むしろここで発想を転換して、財政については今財政改革法案でやるような体制でいき、同時に、規制を緩和したりあるいは土地を流動化したり、あるいは日本の持っている経済的な事業基盤といいますか、企業にとって経済活動をやれる基盤を国際水準にまで近づけるということをやりまして、そして企業が、これは日本企業に限らず外国企業もでございますが、日本という国を生産拠点、事業拠点として選ぶようなそういう国にいたしまして、そこで雇用をふやし、働く人の数をふやして、そういう人たちの所得も上げる。そしてまた企業利益も上げていただいて、税金をたくさん納めていただいて財政再建をする、そういう方向の、発想の転換をしたシナリオを描いていくことが大事かなと思っている次第でございます。
その中には、もちろん産官学の共同研究等を中心とする技術開発等もしていかなければなりませんし、そういう中で技術水準においては世界のトップレベルに行く。そして、民間の活力ある活動によって日本経済が活性化し、それぞれの人が生きがいを持って生活できるような、そして将来の展望をしっかり立てられるような、長期にわたって安定できる社会保障制度あるいは財政制度というものを確立していって、将来に展望が持てる、それぞれの人が人生設計を安心してできるような、そういう将来が、二十一世紀の経済の面での日本の将来のあり方としていいのではないかというふうに考えている次第でございます。