谷本正憲の発言 (財政構造改革の推進等に関する特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○谷本参考人 ただいま御紹介をいただきました石川県知事の谷本でございます。
 本日は、地方公共団体のためにこのような意見陳述の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきましては、地方分権推進の観点から、地方公共団体の財政事情にも十分考慮の上御審議をいただきますように、中川委員長を初め各委員の皆様方によろしくお願いを申し上げたいと思います。
 私の方からは、第一に、厳しい状況にある地方財政の現状、第二に、地方公共団体における財政健全化の取り組み状況、第三に、財政構造改革に当たりましての地方公共団体の要望につきまして、我が石川県の事情を交えながら御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、地方財政の現状についてでございます。
 地方財政全体の借入金残高は、バブル経済崩壊後の地方税収等の落ち込みや減税による減収の補てん、景気対策のための地方債のたび重なる増発等により急増いたしまして、平成九年度末には百四十七兆円にも上り、平成三年度末の約七十兆円と比べ倍増いたしております。これにより地方債依存度も近年急激に上昇しておりまして、平成八年度には過去最高の一五・二%となっております。この結果、地方債の償還等のためのいわゆる公債費負担比率は、平成七年度で一五%を超える団体が約半分となるなど、財政力の弱い団体を初めといたしまして、財政の硬直化が進んでいる状況にあります。
 また、地方財政全体の財源不足額は、地方財政計画ベースで平成九年度には五兆九千億円が見込まれ、これを地方債の増発と交付税特別会計借入金等の補てん措置で賄っている状況にあるわけであります。
 以上を石川県の状況で見ますと、地方債残高は平成八年度末で六千二十一億円、これは今年度の一般会計予算五千八百四十六億円を上回っているわけであります。また、地方債依存度は平成八年度で一五・五%、公債費負担比率は平成七年度で一五・七%となっております。
 以上のとおり、本県におきましても極めて厳しい状況にあることが御理解をいただけると思います。
 一方で、今後の地方財政を展望してまいりますと、二十一世紀に向けての着実な社会資本整備の充実や、少子・高齢化が進む中で、ゴールドプラン、エンゼルプラン、障害者プランや介護保険制度の導入等の福祉関係諸施策の充実など、地方公共団体の財政需要は著しく増大することが予想されているわけであります。さらに、地方分権の推進に伴い、ますます地方税財源を充実することが必要になるものと考えております。
 本県は、経済企画庁の新国民生活指標や三菱総合研究所が先ごろ発表された豊かさ指標などで大変高い評価をいただいておるわけでありますけれども、日々の暮らしを営む者の実感といたしましては、隣の芝生は青いといいますか、なかなかそのように感じないものでもございます。特に、気候温暖で社会資本の整備が進んでおります太平洋側に思いを寄せた場合に、なおさらそういう思いを強くいたしておるところでございます。
 このような中で、本県では、近年の国際化、高度情報化、少子・高齢化などの進展に的確に対応していくため、昨年秋、「人・もの・情報が交流する、活気とうるおいのある石川の創造」に向けまして新長期構想を策定いたしたところでございます。この構想では、能登空港や北陸新幹線など、県民がこぞって熱い期待を寄せる大型プロジェクト等の推進が盛り込まれており、これを着実に推進することが行政に課せられた大きな役割の一つと考えているわけであります。
 また、県内市町村では、県都金沢市に接する一部の市や町を除き、定住人口の減少が著しく、これら地域の活性化が重要な政策課題であると考えており、特に過疎地域においては、例えばダイオキシン対策に即応した広域ごみ処理体制の整備、介護保険制度の導入に伴う介護サービスの提供など、住民に質の高い行政サービスを提供するためには、これまで以上に広域行政の展開が不可欠になっており、そのため、地域をより密接に結ぶネットワークである地域生活道路の整備が急がれているところでもございます。都市部に比して整備水準が低い過疎地等の市町村での道路整備などの公共事業がぜひとも必要であります。
 加えて、最近の本県経済は、企業の景況感が一段と慎重化し、先行き不透明感が広まりを見せつつあるわけであります。特に中小・零細企業の経営環境は厳しさを増していると認識しており、早急に何らかの対策が必要と考えております。政府におかれては、規制緩和を軸とした景気浮揚策を検討されていると聞いておりますが、ぜひ適切な対応を検討していただきたいと思うわけであります。
 財政構造改革の必要性は重々認識をいたしておりますが、地域経済に占める行政の役割の大きな地域、例えてまいりますと、北陸三県の県内総生産に占めるいわゆる公的資本形成の割合は一〇・六%であり、関東七都県の六・二%に比べますと七割増の状況となっているわけであります。公共事業の縮減に当たりましては、このように地域によって社会資本整備が地域経済に与える影響が極めて大きいことをぜひ考慮していただき、予算編成及び執行面において、傾斜配分を行うなど特段の配慮をお願いするものであります。
 また、本県の高齢化率は、本年四月一日現在で一七%と全国平均を上回っており、県内の四十一市町村の中でも、最高三五・五%、最低一〇%と極端な地域差があり、特に奥能登地域や加賀山間部の過疎地域における少子・高齢化対策は待ったなしの状況であります。
 こうした中で、本県では、本格的な高齢社会の到来や、お年寄りや障害のある人も地域の中で普通の暮らしができるよう、バリアフリー社会の構築に向けた取り組みを積極的に進めております。
 また、少子化対策といたしましては、昨年三月に策定したエンゼルプランに基づき設立いたしました子育て支援財団を核に、各種施策を推進しているところであります。
 さらには、介護保険制度の平成十二年度導入に向け、ケアマネージャーの養成、要介護の認定の試行を行うなど、今その諸準備を進めているところでもございます。
 いずれにしましても、福祉施策は住民に最も身近なサービスであり、地方分権の推進の観点からも、今後ますます地域の特性に応じた取り組みが求められているところであります。
 次に、地方公共団体における財政健全化の取り組みについて申し上げます。
 現下の厳しい財政状況、今後の財政需要を考え合わせてみますと、地方公共団体といたしましても、みずからの問題として財政構造改革に積極的に取り組み、財政の弾力性を回復し、政策的、機動的な財政運営を可能にしなければならないと考えております。
 地方公共団体におきましては、すべての都道府県が住民参加のもとに行政改革推進委員会を設け、行政改革大綱を策定いたしております。この中で、例えば事務事業の廃止縮小等の見直しを行い、組織機構の簡素化、定員管理及び給与の適正化を進めております。
 ただ、もともと地方財政は、人件費等の義務的経費などのウエートが高く、例えば本県の一般会計職員数全体に占める小中高等学校の教職員数は約六割、警察官数は約一割であり、その他の本県独自に配置可能な一般職員は約三割であります。さらに、職員の多くについて国によりその配置等の基準が定められているなど、国によって歳出の水準が規定される分野が広いという事情にあります。
 したがって、国、地方を通じる歳出の節減合理化に当たりましては、国みずからが事務事業に係る諸基準の見直し等を行う必要があるとともに、より根本的には、地方分権の推進により地方の裁量の幅を大きくすることが肝要と存じます。
 石川県の財政健全化についての具体的な取り組み状況でありますが、先ほど説明いたしましたように、本県では、今後、大型プロジェクトや地域振興対策、少子・高齢化対策に係る多額の財政需要が見込まれております。そのため、スクラップ・アンド・ビルドの徹底により、不断の事務事業の見直し、節減合理化を実施しつつ、これまでの高金利県債の繰り上げ償還を行い、金利負担の軽減にも努めておるところであります。
 組織機構につきましても、県民生活の安全、安心の確保のための環境安全部の設置、農業農村対策の総合的な推進のための農林関係出先機関の統合等の大幅な組織改革を実行したほか、全職員による政策提案制度の実施など、職員の資質向上、能力開発にも取り組んでいるところであります。
 なお、定員につきましても、徹底したスクラップ・アンド・ビルドにより、総数の増加を厳に抑制をしているところであります。
 次に、財政構造改革に当たりましての我々地方公共団体の要望につきまして申し上げます。
 もとより、国、地方を通じて危機的な状況にある財政の健全化に取り組むことは、地方公共団体としても、分権型社会の自治の担い手として喫緊の課題であると認識をいたしております。そのため、国と同様、地方も一般歳出の抑制に努めなければならないと考えております。
 しかし、この一般歳出の抑制は、何よりも財源対策債や交付税特別会計の借入金の縮減のため行われるべきものでありまして、住民サービスに必要な合理的な財政需要を賄うための地方交付税そのものの必要額はあくまでも確保されるべきものと考えているわけであります。
 要望の第一として、地方公共団体の固有財源である地方交付税の所要額の確保をぜひお願いをいたしたいと存じます。
 要望の第二点は、地方単独事業の必要量の確保についてでございます。地方一般歳出の抑制に当たりましても、住民生活に密接に関連をする社会資本の整備、地域経済の下支えの重要性から、地方単独事業の一定量の確保をぜひお願いをいたしたいと思います。
 第三点は、国庫補助負担金の削減や公共事業の縮減に伴って地方への負担転嫁となることのないよう、くれぐれもお願いをいたしたいと存じます。
 最後に、財政構造改革と地方分権推進の関係について申し上げたいと思います。
 地方分権の推進は、住民に身近なサービスを住民の身近な地方公共団体で完結させ、効率的に執行しようとするものであります。重複や煩雑な行政手続のむだを省き、国、地方を通じて行政のスリム化に貢献し、財政構造の改革に大きく資するものであります。
 既に、地方分権推進委員会から四次にわたる勧告が行われ、いよいよ地方分権推進計画の策定を経て実施の段階へ進もうとしております。
 どうか、当委員会の諸先生方におかれましても、事務権限と財源の地方への移譲が国、地方を通ずる財政健全化の方向に一致することを御理解をいただき、地方分権の推進に御尽力をいただきますようにお願いを申し上げまして、私の陳述を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 114104375X01319971104_002

発言者: 谷本正憲

speaker_id: 13707

日付: 1997-11-04

院: 衆議院

会議名: 財政構造改革の推進等に関する特別委員会