黒澤丈夫の発言 (財政構造改革の推進等に関する特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○黒澤参考人 全国町村会長を務めております群馬県上野村長の黒澤丈夫であります。
本日は、財政構造改革の推進に関する特別措置法等を審議している本特別委員会にお招きをいただき、意見開陳の機会を与えていただいたことは、まことに光栄であり、深く感謝申し上げる次第であります。
さて、現下我が国は、世界に伍して二十一世紀の繁栄と進歩を確保していくため、政治、行政、経済等各般にわたる改革が必要となっております。中でも、国債残高二百五十四兆円、地方債残高等百四十七兆円など、五百兆円近い債務残高を抱え、国、地方とも行財政運営が極めて困難になっていることを思いますと、国、地方一体となった財政構造改革は焦眉の急であると認識いたしております。
一方、本年十月九日、地方分権推進委員会第四次勧告が出され、勧告は完結しました。次には、これを受け、政府が地方分権推進計画を策定することとなりますが、今こそ地方分権の実現を図るときであり、国と地方、さらには都道府県と市町村との対等、協力の関係を構築し、我々町村も個性的な地域社会の形成に邁進しなければならないと考えております。
最終となります第四次勧告の冒頭には、明治以来続いてきた我が国の中央集権システムを根本から変改するという究極の課題から見れば、まだ出発点に立ったにすぎないとし、勧告が速やかに実施に移され、分権型社会の実現に向けた地歩を確固たるものにしていく必要があると指摘しておりますが、私は、今にして市町村が真の自治ができるよう地方分権を実行しなければ、国民は自治意識を盛んにして、主権者意識を育て、社会に主張し求めるとともに、社会への責任を考える国民に育つまいと憂えるものであります。ぜひ分権が実行されるよう御配慮をお願い申し上げます。
次に、この際、町村の事務能力について一言敷衍させていただきたいと存じます。
町村は、総じて小規模の団体が多いことなどによって、事務能力について誤解されている面があるように見受けられますが、今や明治時代のように地方に人材がいない時代ではありません。教育の普及によって十分な教育を受け、職場でも厳しく訓練を受けた職員も多くなっておりまして、小さな町村でも、国民健康保険制度の経営に見られるがごとく、難しい事務を完全に処理しておりまして、組織として継続的に事務を処理することにより、事務処理に習熟し必要な知識や経験も蓄積されるのでありまして、町村の仕事がふえれば、その結果、職員が育つことを御理解いただきますようにお願い申し上げます。
次に、財政構造改革推進特別措置法につきまして、町村長の立場から意見と要望を申し上げます。
本法案は、財政構造改革の推進に関する国の責務、当面の目標、方針などを定めることを目的とし、国と地方の財政赤字を平成十五年度までに対国内総生産比三%以下とすることや、平成十年度から平成十二年度までを集中改革期間とし、この間に社会保障、公共投資及び文教など各歳出分野ごとに量的縮減目標の設定をすることなどが盛り込まれております。
国民に負担をお願いすることも多々であり、我々地方行政に携わる者も気を引き締めて対処しなくてはならないと存ずるところであり、種々錯綜する課題もありますが、猶予が許されない状況にありますことを勘案し、本法案の早期成立による財政構造改革の推進に賛意を表したいと存じます。
次に、地方財政等について要望を申し上げさせていただきたいと存じます。
一つは、地方財政は三千三百の地方公共団体の財政の集合であり、その多くは財政力の弱い町村であるということであります。これら町村、なかんずく中山間地域や離島に所在する町村にあっては、人口の減少や高齢化が深刻化しており、加えて農林漁業をめぐる状況が厳しいこともあって、かつてない事態に逢着していることは先生方も御存じのとおりであります。
こうした中で、町村は国民の食糧を安定的に供給し、水資源を涵養し、そして自然環境の保全と自然生態系の維持の役割を担ってきましたが、今後においてもこの国家的役割を果たしていく地域であり、そのためには地域社会が存続して人々が定住することが必要であります。そのためには、これらの町村には、経済効果など目先のことにとらわれることなく、国土を管理する大局的立場からの施策が必要であります。
我々町村も、華美やむだを省くなど、財政構造改革だけでなく行政改革をあわせて推し進め、行財政の自主的かつ自立的な健全化を図ってまいりますが、自主的な行政執行等の機能を損なわず、地域社会の存続と発展を図っていくためには、税源の偏在による財政力格差を是正するとともに、一定の行政水準とその計画的運営を保障する上で、その財政調整機能は極めて重要であると考えますので、地方交付税所要額はぜひとも確保していただくようお願い申し上げます。
次に、国庫補助負担金についてでありますが、財政の健全化を図るためにも、国庫補助負担金の整理合理化及び運用、関与の改革を図る必要があり、会館等公共施設の複合化や地域の実情による小規模施設整備につきまして、特に弾力的な運用を図るべきであると考えます。
また、国庫補助金等で整備した施設について、住民のニーズに応じた有効利用を図るため、自主的な判断によって施設が当初目的以外の用途に転活用できますよう、法改正を含め見直しを行っていただきたいと存じます。
なお、地方六団体でも決議しているところでありますが、国の歳出の抑制を行う場合、特に公共事業の縮減や国庫補助負担金の削減に際しては、地方への実質的な負担転嫁となることのないよう、格別の御配慮をお願い申し上げます。
次に、公共投資額は七%削減が打ち出されておりますが、公共事業への依存度が高く、規制緩和による経済活性化効果が期待しにくい地方部においては、事業量が今年度を下回ることのないよう、思い切った傾斜配分を実施していただくよう要望申し上げます。
特に町村におきましては、生活環境施設の整備が相対的におくれておりますので、これを是正するためにも、重点的、計画的な公共投資が必要であり、御配慮をお願いする次第であります。
また、こうした公共投資の抑制に伴って、地方単独事業の割合が増大し、期待が高まると考えられますので、必要な事業費が確保できるよう、財源確保について御配慮をお願いいたします。
最後に、農林水産業の担い手対策を初め、長期的観点に立った総合的な農林水産業対策の確立をお願いして、意見陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)