小杉隆の発言 (本会議)
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○小杉隆君 私は、自由民主党を代表して、財政構造改革の推進に関する特別措置法案に関して、次の五点に関し、総理大臣並びに大蔵大臣に質問をいたします。
まず第一は、財政赤字の国民生活に及ぼす影響について、大蔵大臣にお伺いいたします。
現在、我が国は、他国に例のない急速な高齢化の進展に直面しております。六十五歳以上の高齢者人口は、現在、他の先進国と同様、一五%でありますが、これが二〇二五年には、他の先進国が二〇%程度でとどまるのに対し、我が国の高齢化率は実に二七・四%と、際立って高くなっていくと予想されております。高齢化の進展に伴い、年金や医療などの給付の急速な増加が見込まれる一方、主に負担を担う働き手は相対的に少なくなつていきます。
OECDなどの国際機関によると、国と地方を合わせた日本の財政赤字は、他の先進諸国に比べて極めて深刻な状況にあります。例えば、一九九六年、昨年のアメリカの財政赤字は対GDP比二・五%、ドイツは三・八%であるのに対し、我が国では七・三%にも達しております。また、EUは、通貨統合に当たって、国、地方の財政赤字を、まさに本年、一九九七年にGDPの三%以内とすることを条件としております。
これらの状況を踏まえた場合、二十一世紀においても我が国が活力を保っていくためには、これ以上財政赤字を放置し、次の世代にそのツケを回すのではなく、財政構造改革を私たちの世代でぜひともなし遂げなければなりません。しかしながら、財政赤字が現実の国民生活や経済に及ぼす影響となると、国民の皆様にはもう一つ実感に乏しいというのが実態ではないでしょうか。
そこで、まず、この点について、政府は国民にわかりやすく説明すべきと考えますが、大蔵大臣の御所見を伺います。
第二は、財政構造改革と他の改革との関連について、総理大臣に伺います。
財政構造改革は、単に赤字を解消することに主眼を置くのではなく、これからの社会全体をどのように改革していくかという明確なビジョンのもとに行われなければなりません。例えば、地方自治体の多くが公共事業に過度に依存せざるを得ない今日の体質というものを指摘される向きが多数あります。財政構造改革は、地方自治体の創意工夫を喚起し、地方分権時代にふさわしい自立した活力ある自治体を育てる構造を実現するものでなければならないと考えます。これは、お互いに考えなければならないことです。
また、橋本総理が掲げる六つの改革は、密接不可分の相互関係にあります。財政再建と行革、金融、社会保障、経済構造の四つの改革の関連性は国民にも比較的理解されやすいのでありますが、教育改革との関連は十分に理解されず、やや異質なものと映りがちです。しかし、今、すべての改革を進めるには、国民の意識改革こそ重要です。
例えば先般、日本は、COP3、地球温暖化防止京都会議の議長国として、政府案を発表しました。温室効果ガスを削減するには、産業部門はもとより、特に民生・運輸部門の省エネ、効率化を進めなければならず、国民の協力なくしては到底達成できるものではありません。国民の意識改革を促す意味でも、教育改革は五つの改革の基盤となる重要改革であり、まさに一体不可分でなければならないと考えます。
そこで、内閣の掲げる六大改革の一つである財政構造改革と、教育、経済構造などの他の改革との関連について、改めて総理の御見解をお伺いしたいと思います。
第三は、法律として制定することの意義について、総理にお伺いいたします。
財政構造改革の理念を具体化し、急速な高齢化の中で、豊かな福祉社会、健全で活力ある経済の実現に十分対応できる財政構造を実現するため、財政構造改革法はぜひとも必要と考えております。財政制度が異なるものの、アメリカにおいても、包括財政調整法、OBRAによって裁量的経費に上限を設け、また、各種制度改革を法制化することによって、巨額の財政赤字が急速に解消に向かっております。
こうした他国の例を踏まえ、財政構造改革の推進方策を法律として制定することの意義について、総理から御説明いただきたいと思います。
第四は、平成十年度予算編成について、大蔵大臣に伺います。
財政構造改革法案においては、直近の問題として、平成十年度予算について、社会保障、公共事業といった主要経費ごとの量的な縮減目標や各種制度改革の内容が規定されており、まさに構造改革のための具体的方策が示されております。聖域なしを原則として緊急改革期間を設けておりますけれども、こうした予算編成に異を唱えるものではありませんが、予算には明確な内閣の意思が反映されなければならないと考えます。
例えば、我が国の国際貢献についてはしばしば顔の見える協力が求められ、その代表的な活動の一つであるUNHCR、すなわち国連難民高等弁務官、あるいはUNEP、国連環境計画などへの任意の拠出が、ODA予算の一〇%縮減の方針をそのまま当てはめますと、実質三九%あるいは四五%もの削減になると予想されます。
私は、これからの日本の世界に対する貢献として、こうした点こそ一層充実させていく必要があると考えますが、十年度予算の編成に当たって、このような財政構造改革と日本のリーダーシップをどう調和させていくのか、大蔵大臣の決意と御見解を伺いたいと思います。
第五に、現下の厳しい経済状況や景気との整合性について、総理にお伺いいたします。今まさに、与党・政府を挙げて財政構造改革に取り組もうとしておりますが、一方、足元に目を転じれば、現在の我が国の景気は、特に中小企業を中心に極めて厳しい状況にあります。この点にかんがみ、我が党は、国民生活に責任を負う政権党として、臨時経済対策協議会を設置し、従来の財政出動によらず、規制緩和、土地有効利用、税制改正などによる重点的で効果的な景気対策を取りまとめつつあります。
とかく財政再建と景気対策は相矛盾するかのように受けとめられがちですが、私たちは、大胆な規制緩和などの経済構造改革を断行し、経済成長目標を達成することによって自然増収を生み出し、財政改革を実現することが望ましいと考えます。
現下の厳しいちまたの状況を真摯に受けとめつつ、こうした景気対策と財政構造改革との関係について総理の御所見をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕