北側一雄の発言 (本会議)

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○北側一雄君 私は、新進党を代表し、ただいま議題となりました政府提出の両案に反対し、民主党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。(拍手)
 当面する景気の情勢は、ますます深刻化しております。我々新進党は、政府に対し、ここ数年来、内需拡大の経済政策へと大きく踏み出すことを幾度となく要求してまいりました。しかし、住専処理を初め、景気判断や数々の政策の誤りなど、この間の政府の経済失政は目を覆うばかりであります。
 第一に、今年度、私どもが、日本の経済はまだ病み上がり、今はまず経済を自律的な回復基調に乗せることが先決と何度も申し上げ、反対した消費税率引き上げや特別減税の廃止、医療費の自己負担の引き上げによって、国民に約九兆円もの負担増を強いました。その一方で、公共投資を削減した九年度予算。その上、極めて異常な超低金利が二年を超えて継続。年金生活者などの生活を不安に陥れ、基金などの運営に大きな打撃を与えているではありませんか。これでは経済が悪くなるのは当たり前、せっかく芽生えかけてきた景気回復の芽をしっかり摘んでしまったことは、火を見るより明らかであります。
 第二に、住専処理の仕方の大きな誤りであります。昨年の住専国会で私どもは申し上げました。ノンバンクの一つにすぎない預金者のいない住専の不良債権処理に公的資金を使ってはならない、通常の法的手続で処理すべき、それで銀行等の金融機関が破綻するならつぶす、経営者の責任もきちんととってもらう、ただし、断じて預金者、貯金者だけは守る、そのためには公的資金の導入もやむを得ない、そのようなセーフティーネットをつくるべきだと強く申し上げ、現に我々は、日本版RTCの具体案を提案いたしました。
 ところが、我々のこの主張を聞き入れず、この住専処理で六千八百五十億円もの税金を投入し、一方、金融三法の中で、信用組合の破綻の場合にのみ公的資金を入れるとのシステムにしました。
 こんなこそくな、また中途半端な対策しかとらず、条件、環境を整備しないまま、金融機関の早期是正措置や外為の自由化を導入し、金融不安を助長しているではないですか。その結果、いまだに金融機関の不良債権処理を泥沼化させ、またいまだに異常な超低金利を続けざるを得ない。さらには、金融機関の貸し渋り、また強引な債権回収で企業経営を一層困難にしているではないですか。日本の経済が立ち直らない一番の原因がここにあります。
 以上、述べましたように、現在の経済不況の原因は、明らかに橋本政権のとった政策にあります。今の景気低迷は、政策不況と言わざるを得ません。その意味で、我々新進党は、政権交代こそ最大の景気対策であると強く訴えるものであります。(拍手)
 以下、具体的に、本法案に反対する理由を申し述べます。
 第一の問題点は、本法案が景気に与える悪影響についてであります。
 我が党の委員の、この法案に従って財政構造改革をやったときに日本の経済にどういうインパクトを与えるかとの質問に対し、何と、シミュレーションはないとの答弁でございました。経済に与える影響の具体的な検討なしで、何が二〇〇三年度財政赤字三%ですか。極めて無責任と言わざるを得ません。
 現在の経済情勢、景気状況の中で、来年度からの歳出削減、国債発行縮減を専らその内容とし、財政出動の手足を縛る本法案をこの時期に成立させてしまったならば、まさに政策不況のだめ押しとなってしまいます。
 財政再建、財政改革に反対する人は一人もおりません。しかし、日本の経済あっての財政再建です。経済が失速すれば財政も悪化します?
 アメリカの財政赤字がなぜ急激に減ったのか。確かに九四年に大幅な歳出削減と増税に踏み切ったのですが、アメリカでは規制緩和を初めとする経済構造改革が八〇年代から先行し、これによる景気の拡大が企業に高収益を、個人に所得の増加をもたらし、そして税収を大きく押し上げていったのです。そうした中で、思い切った歳出削減と増税政策を九三年に打ち出したのであります。財政赤字の縮小に向けての貢献度は、景気拡大効果による税の増収が五五%を占めておるとの試算もございます。経済再建なくして財政再建なし、このことを改めて銘記すべきであります。
 さて、一昨日の自民党総務会では、複数の有力な議員から次のような意見が出たそうであります。
 今の景気や経済状況を考えると、これは自民党の総務会の議論です、本法案を成立させ、財政運営の手を縛り、枠をはめることでいいのか、庶民に不安の声が沸き起こっている、この法案を納得して参議院に送れるだろうか。また、財政再建と財政出動は矛盾しない、当面の問題と中長期の問題を分けて考える必要がある、政府の経済見通しも変わったのだから、財政出動はしないなんてばかなことを言わず、割り切った処方せんを用意すべきだ。これは自民党の議員の発言です。さらには、法案を撤回することが景気対策になるとの発言まであったそうであります。
 また、当委員会の質疑でも、自民党の委員から次のような質問がなされました。
 そのまま引用しますと、かなり激しく日本経済の現況を深刻に受けとめて、とにもかくにも景気の先行きが予断を許さない状況にある中で、景気対策を先行しなければならないんじゃないか、経済がおかしくなって改革も何もあったものではないとの自民党の議員の質問があったのです。そしてその上で、二兆円の所得税の特別減税や法人税の引き下げなど、財政出動によって景気対策をやるべきだと提案をされたのであります。極めて見識のある発言であります。
 先ほどの自民党議員の発言のとおり、現在の経済情勢、景気状況から見て、本法案を撤回すべきと強く主張するものであります。(拍手)
 次に、本法案に反対する第二の理由は、財政の構造の改革にふさわしい内容は何も入っていないということであります。
 例えば、各種の公共事業計画について、事業量を変更することなく二年また三年と先延ばしをしただけであって、何ら各公共事業の内容やあり方を検討したわけではありません。これで何が構造改革ですか。
 また、財政改革という以上、歳入である税制のあり方、また第二の予算である財政投融資のあり方、また累積する長期債務についての目標について、せめてその理念、改革の方向性について法案の中で明示すべきであるにもかかわらず、何ら触れられておりません。
 さらには、この法案の内容では、当初予算作成への拘束力となっても補正予算に対する拘束力になっておりません。
 第三に、二〇〇三年度対GDP比率財政赤字三%以内という目標への筋道、過程が極めて不明確、あいまいだということです。
 大蔵省の作成した「財政事情の試算」によれば、この法案の内容に従い、個別の歳出を削減した来年度予算の概算要求額でも、要調整額、歳入と歳出のギャップが約二兆円から三兆円であるという計算となっております。それも十一年度以降、さらにこの要調整額が増加してくるというものであります。
 この要調整額を、政府は一体どのように処理をしようというのですか。これに対して委員会では何ら具体的な答弁はありませんでした。本法案の量的縮減目標によって、既に社会保障も、公共投資も、文教予算も、ODAも、歳出削減された概算要求額であります。これをさらに数兆円も削減しようというのでありましょうか。
 さらには、国鉄や国有林野の長期債務の処理も来年度から始まる。一方で、九年度の税収は、この景気状況の中で思ったように現に入っていない、九年度は税収欠陥になる危険性もある等々、この要調整額が減るどころか、ふえる要素の方が多いという状況であります。政府は、いずれまた増税をやってこの要調整額を処理しようとしているのではないかと疑わざるを得ません。
 その他、この法案には、数値目標が達成できないときの責任の内容、所在がなきに等しいこと、また量的数値目標そのものの根拠が全くないこと、行政改革による歳出削減について何ら触れられていないこと等々、この法案の問題点は枚挙にいとまがありません。
 一方、民主党提出の修正案は、政府原案の主要な問題点を削除するとともに、財政赤字の定義も国と地方の債務の合計額の対GDP比率として簡明にし、また財政構造改革を国民共通の目標とすることに目的を絞って、財政の機動性を確保しています。財政改革の目標を法文として明記し、宣言することは重要であり、賛成をいたします。
 以上、政府原案に反対し、民主党提出の修正案に賛成する主な理由を申し述べました。議員各位の賢明な御判断と、とりわけ社会民主党所属の委員各位におかれましては、その主張は、二兆円の特別減税を主張されておられるわけでございますので、政府原案と全く相反する内容であることを御留意されまして、自己の政治信念に忠実なる御選択をされんことをお願いしまして、私の討論といたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 114105254X00919971106_012

発言者: 北側一雄

speaker_id: 4622

日付: 1997-11-06

院: 衆議院

会議名: 本会議