木宮和彦の発言 (科学技術特別委員会)
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○木宮和彦君 去る九月十八日及び十九日の二日間、岩手県及び宮城県において、東北電力株式会社葛根田地熱発電所、東北大学電気通信研究所、宇宙開発事業団角田ロケット開発センター、航空宇宙技術研究所角田宇宙推進技術研究センター及びアイリスオーヤマ株式会社角田工場を視察してまいりました。派遣委員は、山下委員長、畑理事、高橋理事、中尾理事及び私、木宮の五名であります。
以下、調査の概要について御報告いたします。
東北電力株式会社葛根田地熱発電所は、全国で六番目、東北電力としては初めての地熱発電所として、昭和五十三年五月に、出力五万キロワットで運転を開始いたしました。その後、平成八年三月には、出力三万キロワットの第二号機が完成しております。同社は、葛根田のほかにも三カ所で地熱発電を行っており、全国の地熱発電電力量五十三万キロワットの四二%を占めております。しかし、地熱発電は火力発電や原子力発電に比較すると小規模であるため、同社の総発電電力量の二%を占めるにすぎません。
同発電所は十和田八幡平国立公園内にあるため、排水・騒音対策、敷地の緑化等に配慮し、周辺の環境と調和するようにしているということでした。特に、蒸気を地下から取り出すときに噴出する熱水は、砒素を含んでいるため、五百メートルから二千メートルの地下に戻しています。また、発電を終えた蒸気は、大量の空気とともに七割が大気中に放出され、残りは冷却、中和処理の後、冷却水とともに河川に放出されております。
なお、我が国はマグマが小規模で、米国カリフォルニア州ガイザー地域のような大規模発電ができません。このため、スケールメリットが生かせず、発電コストが高くなるということが指摘されました。また、発電までに多額の調査費用と十数年の開発期間を要し、しかも発電可能な地域が国立・国定公園内に多く、規制を受けること等から、今後の地熱発電開発は大変難しい状況に置かれているということでした。
東北大学電気通信研究所は、東北大学の附置研究所として設置されており、ことして六十二年を迎えます。
当日は、超高密度・高速知能システム実験施設を視察いたしました。同施設では、超高速・高次情報処理に必要な極微細構造電子回路の加工技術と基盤技術等の研究を行っています。この研究では、極微細な電子回路を製作するため、目に見えないちりでも回路がショートしてしまいます。そのため、ここでは一万分の一ミリのちりが三十立方メートルに一個以下というクリーンルームを設置しております。しかし、予算の関係で、通常管理会社に委託するクリーンルームや装置の維持・保守管理を教官や学生がチームを組んで行っているとのことでした。
宇宙開発事業団角田ロケット開発センターは、昭和五十五年に事業所として発足しました。同センターには、高空燃焼試験設備、供給系総合試験設備、タンク熱特性試験設備等が設置されております。
高空燃焼試験設備は、高度三十キロメートルに相当する減圧状態の中で燃焼試験を行い、推力の測定等を行うものです。当日は、次週から始まるHⅡAロケットの第二段エンジンLE5Bの開発試験のため、供試体が設置されておりました。この試験では、ロケットエンジンを実際に燃焼させるため、騒音対策には万全を期しているということでした。
供給系総合試験設備は、ロケットエンジンの燃焼室に液体酸素と液体水素を送り込むターボポンプの機能及び性能を確認するための試験設備です。開発に成功したHⅡロケットの第一段エンジン用液体水素ターボポンプは、燃焼ガスを駆動力にして毎分四千二百回転し、液体水素を毎分五百リットル送り出します。しかし、ターボポンプは、五百五十度の燃焼ガスとマイナス二百五十三度の液体水素の流れるポンプが隣り合っているため、開発に当たっては相当苦労したということでした。また、ここでは液体水素という危険物を扱うため、事故には細心の注意を払っており、各種計測機器、監視カメラ、消火設備等を設置して試験を行っています。現在は、HⅡAロケットの第一段エンジン用液体水素ターボポンプの開発試験を行っているということでした。
タンク熱特性試験設備は、真空槽の中に置いた供試体を加熱、冷却し、その供試体が正常に機能することを確認するものであり、これまで、HⅡロケット用衛星フェアリング等の熱特性試験を行ってきました。今後は、機構部品要素試験の実施を検討しているということでした。
航空宇宙技術研究所角田宇宙推進技術研究センターは、昭和四十年に同研究所の支所として設置され、ロケット推進研究部、ラムジェット推進研究部及び管理部門から組織されております。
ロケット推進研究部では、輸送コストの大幅な低減を目指すため、再使用型ロケットエンジン、垂直着陸実証実験機、宇宙空間推進エンジン等の研究を行っております。
ラムジェット推進研究部は、地球と宇宙を航空機のように往復する、将来の宇宙往還機用スクラムジェットエンジンの基礎研究を行っております。同エンジンは、高速飛行による風圧で空気を圧縮し、そこに水素を噴射して燃焼させることにより推力を得るものです。
今回、私たちは、ラムジェット推進研究部の高温衝撃風洞施設を視察いたしました。宇宙往還機が大気圏内を高速飛行すると、機体周辺の大気は数千度から一万度の高温に達し、空気自身が化学反応を起こします。同施設はこの化学反応が起こる超高速の流れを地上で再現するもので、千五百気圧、一万度、秒速八キロメートルまで再現することができます。しかし、その流れは千分の二秒しか再現できないので、現在、計測方法を開発中であるということでした。
アイリスオーヤマ株式会社は、日用生活用品の生産から販売、流通までを行い、毎年売り上げを伸ばしている急成長の会社です。今回視察した角田工場は、同社の主力工場で、プラスチック製日用生活用品の成形から組み立てまでの一貫したラインに、ロボット等の最新設備を導入することにより、省力化、無人化を実現し、二十四時間稼働を可能にした最新鋭システム工場であります。また、同工場には、入出庫をすべてコンピューター制御する自動倉庫が付設されており、商品管理を容易にしているということでした。
以上が調査の概要ですが、今回は特に地球環境問題等からクリーンエネルギーの一つである地熱発電と、独自の宇宙開発に欠かせない純国産ローカットを開発した宇宙分野の研究を中心に調査を行ってまいりました。
最後に、今回の調査に当たり御協力賜りました関係者の方々に心から感謝を申し上げ、報告を終わります。