荒船清彦の発言 (外務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○説明員(荒船清彦君) 荒船でございます。
アルゼンチンにつきまして、私が駐在していて一番大きな悩みというのは、やはり大きな認識ギャップでございまして、日本側ではアルゼンチンと申しますと、タンゴ、あるいは若い人たちはサッカーのマラドーナというところまではいくんですけれども、その先がよくわかっていない。これまでそういった意味で、遠いという点もあるでしょうけれども、重要性に十分な注意が払われてきたとは言えない状況が続いてきたことにもよるとは思います。
アルゼンチン側も、やはり日本は大国であり伝統ある文化国家であるとはわかっていても、それ以上細かい話はわかっていない。しかも、アジアの次は中南米というような世界的な一種の常識に対して、何となくお互いなくても生きていけるんじゃないかというような感じを持った人が非常に多いということで、その認識ギャップをどうやって縮小していくかというのが日ごろの悩みでございます。
そういった意味では、日米関係にでももちろん認識ギャップはあるわけでございますけれども、意識している点、あるいはお互い重視はしているという点がここと異なりまして、ただし大きな救いは、両方ともお互いに好意的な感情を抱いているということではなかろうかと思います。その意味では、先般両陛下が御訪問されましたけれども、非常に自然発生的な大歓迎で、しかもこのイメージチェンジから、あるいは対日関心に非常に大きな影響を与えることができた、結果的にはそういうことになったと思います。
現在、政治でございますが、ついこの日曜日に下院の総選挙がございまして、与党が過半数を割りました。しかしながら、不満は別に経済改革にあるわけではなくて、その結果から出た、要するに、マクロ経済ではよかったけれどもミクロで失業が一六%とか、あるいは給与が低いとかいうようなことに対する不満、それからあとは、新聞記者のカベサスという記者が虐殺されたり、あるいは政府の一部なんかでの腐敗がいろいろと問題になったりというようなことに対する一般的な不満が影響したんだろうということです。しかしながら、民主化と経済改革という点では、これは選挙のイシューにはなっておりませんで、今後も一貫性が保たれるであろうと思われます。
また、経済については、一言で申しまして、つい最近発表されましたIMFの報告書の中で、アルゼンチンは中南米のお手本であるという指摘がございまして、これにほぼ尽きるのではないかと思います。成長率も、九五年のテキーラ効果によるマイナス成長を除いては大体七、八%の成長を続けておりますし、ことしも多分八%になると言われております。それから、民営化、自由化も日本以上に進んでいる面がございまして、メルコスールでは先頭を切っているという感じがございます。
また、食糧についてもあるいはエネルギーについても非常に重要な国でございまして、例えば、あそこの大草原パンパというのはアルカリ土壌でございまして、しかもその面積が日本の一・六倍もある。植えれば肥料もなしにおいしい野菜が育ってしまうというようなところで、豪州やら何かと並んで、少なくとも欧米諸国は大変な関心を持って投資している。例の投資家のジョージ・ソロスなんかも大いに土地を買い上げまして、今やアルゼンチン最大の土地所有者にまでなっております。天然ガスも良質ですし、銅は全然手がつけられていない。大変想像もしがたいような豊かな国でございます。
メルコスールにつきましては、これは既に二億の人口を抱える地域ですし、しかも全体の経済の規模からいって九千億ドルぐらいの規模、要するに、比較しますと中国の経済規模よりも二、三割大きいという大変な経済体でございます。中南米全体の五四%を占める大変大きな地域でございます。これが現在、ラテンアメリカの政治的、経済的な中核的役割を果たしつつあるという意味でも注目すべきかと思います。しかもこれは、いわゆる中南米三大国と普通言われるメキシコ、ブラジル、アルゼンチンのうちの二つがやっているだけに重視せざるを得ない面があるわけでございます。
じゃ日本との関係はどうかといいますと、地理的には日本から最も遠いアルゼンチンでございます。しかしながら、実は外交的には日本と一番近い国の一つ、数少ない国の一つでございます。
例えば、非同盟からは脱退いたしまして、その点ブラジルやらチリやメキシコと違うんですけれども、最近は、クリントン大統領の訪問で、ラテンアメリカで唯一米国の一種の同盟国扱いということになったり、北朝鮮の軽水炉問題でも、KEDOというのがございますが、ラテンアメリカで唯一遠路はるばる参加してくれている国でございますし、過去百年常に大体対日支持という国でございます。
そういった意味で、非常に重要な国でもございますが、ようやく両陛下の御訪問あるいは外務大臣の御訪問、あるいは政府対話の強化というようなことと連なりまして、ことしには経団連の会長が史上初めていらっしゃいましたし、日本商工会議所会頭の稲葉さんを団長とする使節団も参りまして、大変なジャパンラッシュが続いておりまして、ようやく上向き調子になってきたかなという感じでございます。
来年は、ちょうど修好百周年という大事な節目を迎えますので、このモーメンタムを維持強化していく絶好のチャンスではなかろうかと。そうでもしないと大魚を逃すことにもなりかねないというような気持ちで、日亜両国でいい記念すべき事業をやろうじゃないかというムードになっております。御理解、御支援を賜りたいと存じます。
どうもありがとうございました。