林桂一の発言 (国会等の移転に関する特別委員会)
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○政府委員(林桂一君) 国会等移転審議会事務局次長の林でございます。
昨年十二月の発足以来、今日までの国会等移転審議会の調査審議状況について御説明申し上げます。
国会等移転審議会は、昨年六月に一部改正がなされました国会等の移転に関する法律に基づいて設置されることとなり、衆参両議院の同意を得て内閣総理大臣より二十人の委員が任命され、昨年十二月に発足をいたしました。
また、審議会が認める専門的事項について調査審議するため、審議会委員八人と新たに内閣総理大臣が任命した九人の専門委員で構成する調査部会が設置されております。これまでに八回の審議会と五回の調査部会が開催され、国会等の移転先の候補地の選定等について鋭意調査審議が進められているところであります。
審議会及び調査部会の開催経過及び各回の議事は、参考資料1のとおりであります。
まず、昨年十二月十九日に開催された第一回審議会では、会長の互選、会長代理の指名及び内閣総理大臣からの諮問等が行われました。
また、第一回及び第二回審議会においては、首都機能移転について委員によるフリートーキングが行われております。
そして、第二回及び第三回審議会では、調査部会の設置も含め、調査審議の進め方について検討が行われ、中心的課題である移転先候補地の選定は、三つのタームに分けて段階的に進めていくとの方針が確認されました。
すなわち、第ータームは、全国から選定基準に照らして調査対象地域を抽出する。第二タームは、調査対象地域について関係地方公共団体の協力も得ながら詳細な調査を実施する。またこの際、必要に応じて現地調査を行う。第三タームは、調査対象地域の相互比較を実施し、さらに総合評価により移転先候補地を選定するという内容であります。
また、これとあわせて、移転費用のモデル的試算、新都市像の検討を行うこととされました。
さらに、国会等移転の意義と効果の検討、関係機関ヒアリング、海外事例の報告等を随時行うとともに、国民合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情、東京都との比較考量の検討も行うこととされました。
第四回審議会以降は、この方針を踏まえつつ、逐次課題の検討が行われているところであります。
第一に、調査対象地域の抽出、選定については、第五回審議会において検討が開始されて以来、調査部会での検討も行われ、第二タームにおいて詳細な調査を行うべき複数の調査対象地域の選定に向けて検討が進められております。十月八日に開催された第八回審議会においては、参考資料2−1としてお配りしてございます「調査対象地域の設定の進め方」が了承され、現在はこれに従って調査部会において引き続き検討が行われているところであります。
第二に、移転費用のモデル的試算については、第四回審議会で検討が開始され、調査部会での検討、審議会への報告、さらなる検討が重ねられた結果、第八回審議会において、参考資料3としてお配りした内容により審議会の結論とすることとされました。
第三に、首都機能移転の文化的側面については、第四回審議会において検討の必要性が提起され、堺屋委員を中心に検討が行われてきたところでありますが、第八回審議会において同委員より検討結果の報告が行われました。報告の要旨については、参考資料4としてお配りしてございます。
第四に、新都市像の具体化については、第七回審議会において調査部会に検討を求めることとされ、十月二日の第四回調査部会においてワーキンググループを設置して検討を進めることとされました。
以上のような課題ごとの検討に加え、第四回審議会において、関係機関ヒアリングとして東京都からのヒアリングが行われております。
また、専門家のヒアリングとして、第五回審議会では、溝上委員と片山専門委員から地震及び都市防災について、第六回審議会では、森地専門委員から交通計画について、第七回審議会では、井手専門委員から環境について、第八回審議会では、石井威望委員から情報通信について、それぞれ説明を受けたところであります。
このほかにも、第三回審議会において、移転の意義と効果、東京一極集中問題についての検討及びキャンベラ、ブラジリアの海外事例についての事務局からの報告や、第六回審議会において、総理府世論調査結果の事務局からの報告などが行われております。
一方、調査部会については、本年四月二日に第一回会合が開催されて以来、審議会の求めに応じ、調査対象地域の抽出、設定、移転費用のモデル的試算等の調査審議が行われており、検討成果については、逐次審議会に報告されているところであります。
以上が今日までの国会等移転審議会の開催経過の概略でありますが、課題ごとの検討状況の要点につきましては、お配りしております参考資料に沿って順次御説明申し上げます。
なお、審議会は、当初、来年秋の答申を一応の目安として調査審議が進められておりましたが、六月三日の「財政構造改革の推進について」の閣議決定において、「首都機能移転問題については、その経緯及び財政構造改革においてあらゆる分野で痛みを伴う改革が進められている状況を総合的に勘案して慎重な検討を行うことを提起する」とされました。
このため、六月二十日に開催されました第六回審議会において、財政構造改革をめぐる経緯、議論について国土庁長官から説明が行われ、意見交換の後、国会等移転審議会の今後の運営方針について確認がなされました。
その内容といたしましては、国土庁長官から、財政構造改革の推進に関する閣議決定を踏まえ、六月六日の閣議において、財政構造改革期間、すなわち一九九八年から二〇〇三年度までは、原則として新都市の建設事業に対する財政資金の投入は行わないこととし、今後とも、移転先候補地の選定等必要な検討を引き続き進める旨の発言を行ったことが報告され、これを踏まえて、現在までの審議状況を考えると、まだまだ課題が山積していることから、必ずしも来年秋の答申にこだわることなく、さまざまな検討課題について十分な調査審議を行うこととされました。
また、答申や第ータームの取りまとめの時期については、本審議会、調査部会における審議の進捗状況を勘案しつつ、今後改めて審議会において相談していくこととされました。
それでは続きまして、主要な検討課題について、これまでの検討成果も交えつつ、調査審議状況を御説明申し上げます。
まず、移転先の候補地の選定については、参考資料211をごらんいただきたいと存じます。
先ほども御説明いたしましたが、全体の流れを三つのタームに分けて、第ータームにおいて、概括的な調査を行い、複数の調査対象地域を設定することとされております。
調査対象地域の設定の進め方としては、まず、国会等移転調査会報告において掲げられている九つの選定基準を、日本列島上の位置あるいは東京からの距離等の移転先の位置の条件に係る項目と、土地取得の容易性や地震、火山に対する安全性等の移転先の新都市の開発可能性に係る項目に分け、それぞれの項目について客観的な抽出条件を設定し、この条件に適合する調査対象地域候補案を抽出することとされました。
こうして抽出された候補案については、機械的な作業の結果であり、第二ターム以降詳細な検討を行う必要がないと明らかに考えられる地域もあるであろうことから、それぞれの地域ごとの特性把握やグループ分け及びグループごとに見た地域の特性把握を行った上で調査対象地域を設定するところとされたところであります。
他方、国会等移転調査会報告では、三百キロメートル以遠の地域についても、極めてすぐれた長所を有する地域については検討の対象としておりますので、三百キロメートル圏の周辺地域や、地元地方公共団体等が移転先候補地として表明している地域についても検討を加え、三百キロメートル圏内において抽出された調査対象地域との比較を行うこととされました。
このような作業を経て調査対象地域を設定することとされておりますが、現在は、それぞれの地域の特性について議論を行いながら検討が進められているところであり、十二月八日に開催予定の次回調査部会において、部会としての意見の取りまとめを行うべく、引き続き検討が行われることとされております。
次に、移転費用のモデル的試算について参考資料3により説明させていただきます。
首都機能移転に係る費用については、国土庁長官が主催した首都機能移転問題に関する懇談会の平成四年六月の取りまとめにおいて、最大で六十万人、面積九千ヘクタール、費用総額十四兆円と試算されておりました。
しかし、この試算については、全体事業費のうち民間投資と公的負担の範囲が分けて示されていない。また、移転の事業は数十年の超長期にわたって段階的に行われるにもかかわらず、第一段階の事業費について検討されていない。また、行政改革が行われ、行政機関の移転規模が縮小した場合の移転費用について検討されていない。さらに、新幹線、高速道路、空港等の整備費用についても検討する必要があるなどの問題があり、このため、国会等移転審議会において、これらの観点に加え、前提データ等を見直し再試算が行われたところであります。
試算結果の概要は、参考資料3の一枚目の表のとおりでありますが、今回の試算では、当面の第一段階の事業、すなわち建設開始後十年程度で国会を中心として移転する事業の費用の試算が行われております。
これは、移転の全体事業費の試算については、数十年の超長期先の不確定要素が多い事業費を提示することとなる一方で、第一段階の事業費については、現実的な費用としての試算が可能であり、また公的事業が先行的に行われ、各年の財政支出についても議論しやすいことによるものであります。
その結果、第一段階、すなわち人口十万人、面積千八百ヘクタールに対応した十年間程度の費用総額としては四兆円となり、このうち今後特に議論が求められる公的負担額については二兆三千億円となりました。
また、最終的な移転費用についても、平成四年の懇談会取りまとめとの比較検討も必要なことから試算が行われておりますが、移転規模については、現在の行政改革の議論等を踏まえつつ検討する必要があるため、とりあえず行政機関の二分の一が移転するケースとすべて移転する最大ケースにより幅を持って示されております。
具体的な試算結果については、二分の一ケースの費用総額としては七兆五千億円、うち公的負担額は三兆円、最大ケースの費用総額としては十二兆三千億円、うち公的負担額は四兆四千億円となりました。
次に、首都機能移転に係る文化的側面の検討について説明させていただきます。
首都機能移転については、その文化的側面を考察することの重要性が審議会委員から提起され、本年五月以降、堺屋委員を中心に検討が行われ、十月八日の第八回審議会において同委員より検討結果の報告が行われました。
その要旨は参考資料4のとおりですが、報告では、新都市のたたずまいや人々のライフスタイルが日本人すべてにさまざまな影響を与えることを検討すべきとされています。
特に、新都市のあるべき、または予想されるたたずまいについて検討を行い、新都市の個性として、軽やかな都市、落ちつきのある都市、ゆとりのある都市、新しい文化を体現する都市の四点が掲げられています。
その内容の一端を御紹介いたしますと、軽やかな都市とは、ビルが林立するような集中的な都市ではなく、政府の威圧感のないような都市。流動性が高く、生涯定住者が比較的少ない都市。また、落ちつきのある都市とは、物質的、量的な豊かさよりも精神的、質的な豊かさを表現した町のたたずまいを持つような都市。またゆとりのある都市とは、業務のリエンジニアリングや通勤時間の減少等により余暇が充実し、家族とともにゆとりある生活が営まれるような都市。さらに、新しい文化を体現する都市とは、従来の日本文化を継承しつつ、独自の新しい日本文化を体現する都市といったものです。
なお、検討結果については、今後、新都市像の検討などに当たって参考とすることとされました。
最後に、新都市像の検討について御説明いたします。
移転先の新都市像については、国会等移転調査会報告において、文章により幾つかの姿が記されているところであります。しかしながら、今後、委員の間で共通のイメージを持って候補地選定の作業を進めるためにも、また国民的な議論を高めていくためにも、新都市の姿をより具体的に検討し、そのイメージを視覚的にも示すことが必要ではないかとの問題提起が審議会においてなされました。
このため、国会等移転審議会においても移転先の新都市像について検討することとし、調査部会に石井幹子委員を座長とするワーキンググループを設け検討が開始されたところであり、来年春から夏ごろをめどに検討結果が取りまとめられることとされております。
以上が、昨年十二月以降、今日までの国会等移転審議会の調査審議状況の概略であります。これをもちまして御報告を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。