鈴木仁の発言 (文教委員会)
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○参考人(鈴木仁君) このような席にお呼びをいただきまして、せっかくの機会でございますので、まず最初に、お手元にお配りしてございます私ども日本PTAの概要について若干御説明をさせていただきたいと思います。
社団法人日本PTA全国協議会は、小学校また中学校におけるPTA活動を通して、我が国の社会教育、家庭教育と学校教育との連携を深め、青少年の健全育成と福祉の増進を図り、社会の発展に寄与することを目的とした社会教育関係団体でございます。
私どもの団体は、会員数一千二百万会員でございます。政令都市を入れまして全国に六十団体ございまして、その中で理事十九名で法人化をされております。全体的に、年に六回ほど全国の六十名の会長会をもっての会議をし、またその間、理事会を開いていろいろな事業を展開しているところでございます。
事業につきましては、ここにいろいろ記載されているようなことをやってございます。最近では、淡路・神戸の大震災におきましては、育英基金ということで我々のもとに全国の会員から集まったお金が十二億を超えました。このお金を、公益法人という形にしまして、親を亡くして義務教育に残っている子供がかなりの人数でございましたので、その子供たちが義務教育を卒業できるまで資金の援助をしようというような形で、この基金の中から援助をさせていただいております。また、各PTA等におきましても補助させていただいているという組織でございます。
次に、子供の社会環境についてのアンケート調査でございます。
これもお手元の資料を見ていただきたいのでございますが、まずこの調査の概要でございます。子供たちの生活意識、行動の実態を明らかにし、生活環境改善のための基礎資料を得ることを目的に本調査を実施したということでございます。
調査対象者は、中学三年の男女、及びその子供の保護者という形で調査をさせていただきました。
調査方法につきましては、調査対象校あてにアンケート用紙を郵送し、また、対象者本人記入後封印をして投函をしていただくということで、大変これは慎重を期して回収をさせていただいたわけでございます。
有効回収については、全国二千四百校でございまして、六十協議会を通して行ったわけでございますが、回収率は七四・一%でございました。
次に、この問題についての概要を説明させていただきますと、まず最初に十五ページを見ていただきたいのでございますが、十五ページは有害薬物についての調査でございます。
文部省の調査によると、高校三年の一五%が「個人の自由」と答え、四・五%が「一回くらいならかまわない」と答えているが、今回のPTAの調査によると、中堂二年生では全体の一・七%が何らかの有害薬物を使用しているものの、平成六年の調査に比べて〇・六ポイント減少しているというふうに私どもは押さえたわけでございますが、平成六年度の調査につきましては回収率、またお願いをした校も少なかったものでございますから、その辺の違いが出ているのかと思います。また、使用することに「抵抗がある」と答えた生徒が九二・四%あり、文部省の調査より抵抗感が強いというようなことがあらわれております。
この薬物に対する危機意識というものについて、有害薬物の使用について前回調査よりも減少しており、九割を超える生徒が「抵抗がある」と答えております。文部省または最近の総務庁の調査でも「絶対いけない」としている反面、「他人に迷惑を掛けないので使うかどうかは個人の自由」と、薬物に対する危機意識が緩んでいる。また、薬物は一度手に染めたら取り返しのつかない事態を招くということを早い時期からしっかりと指導をしなければならないのではなかろうか、このように今回の調査で思ったところでございます。
次に、三十一ページを見ていただきたいのでございますが、援助交際についてでございます。
援助交際をした「経験がある」生徒は女子が〇・八%、男子が〇・二%ありました。「したことはないがどういうものか知っている」生徒は男女平均で七二・九%だが、女子が八二・八%でございまして、男子が六三・二%と、女子の認識が高いということでございます。援助交際について「とても抵抗がある」生徒が五一・三%いる反面、「あまり抵抗がない」「全く抵抗がない」生徒が合わせて一八・三%いるのが目を引いたところでございます。また、ブルセラショップの利用に対する抵抗感が、「とても抵抗がある」が五六・八%、「やや抵抗がある」と答えたのが二六・五%もあるのに比べて、援助交際への抵抗感が低い。人数は少ないが、その動機を尋ねると、「興味があった」と「お金がほしかった」というのが五〇%ずつあり、家庭や学校で性の問題についてしっかり教育する必要を感じさせられたところでございます。
この遊び感覚の援助交際、また性教育の必要性というものを考えたときに、援助交際という言葉が代表する売春という犯罪であるという認識が極めて低いのではなかろうか。援助交際の動機が、興味があったから、小遣いがもらえるからといったことからであるが、ここで考えなければならないことは、学校、家庭、社会を含めたモラルの欠如に問題があり、性教育の必要性と、なぜいけないのかを親子が、または教師と児童生徒がひざを交えてしっかと話し合っていくことが必要なのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
次に、三十三ページでございますが、万引きについてでございます。
PTA調査によると、「万引きの経験がある」と答えた生徒が二〇・四%、「経験がない」とする者が七七%で、経験のある生徒が前回の調査より二・九ポイントふえております。子供の万引きについて、「あるかもしれない」「あることを知っている」と答えた親は八・五%いる一方、親が「ない」と思っているのに子供が「万引きの経験がある」と答えたのが一七・四%に上っております。これは、今回調査をした子供たちの親にも調査をしているわけでございますから、ここには親と子供のずれがはっきりしているのではなかろうかと思います。親の認識の差ということではないかと思いますが、子供の万引きについての親の意識の差は、うちの子に限ってという親の一方的な見方にあるのではないか。三つ子の魂百までもではないが、幼いときから人の物をとってはいけない、やってはいけないことはきちっと教えるなど、家庭の教育が大切ということが重要になってくるのではなかろうか、このように思っておるところでございます。
次に、資料の前の方に参りまして五ページでございますが、飲酒、喫煙についてでございます。
飲酒の経験は「ある」が六一・九%でございまして、「おいしくてまた飲みたい」が二二・三%。たばこの経験は「ある」が二〇・八%、「おいしくてまた吸いたい」が一二・七%ございました。両親が知っているのは飲酒が八一・七%、喫煙については四三・二%で、親に気づかれたが「何も言われなかった」のは、飲酒が七七・八%、たばこにつきましては三四・二%ある。たばこに比べて酒に対する親の態度が甘いように出ているわけでございますが、これは飲酒が主として自宅内であることが理由ではないか、このように思っております。飲酒またたばこを黙認する親ということがあらわれているのではなかろうか。外では酒を飲んだりたばこを吸わないで、飲んだり吸ったりは自宅でと、家庭で飲酒、喫煙を許すというより、外への気づかいから勧める。なぜいけないのかを親自身も学び、見直す必要があるのではなかろうか。ここについても家庭教育の重大さが感じられるところでございます。
もう一点、ちょっと資料の後ろの方にまた戻るのでございますが、三十六ページに保護者の意識というものが出てございます。
これは、保護者に対して「子供の教育のための社会環境」について尋ねたところ、「TVやマスコミの情報が悪影響を及ぼしていると思う」が八八・〇%でございます。「子供達の遊びの内容や感覚が大人にはわかりづらくなっている」が七六・四%などとなっております。また、最近の中学生について、「自分たちの世代と倫理観が異なっていると思う」が七四・九%、「いらいらしたり、ストレスをためていると思う」が七一・一%、「何を考えているのかよくわからない」が五九・四%あり、親子の感覚の世代格差が広がっていることをあらわしているのではなかろうかと思います。親が子供のことをわからなくなっている状況がはっきりあらわれているとしか言いようがないと思います。その意味でも、PTAの果たす役割が大きなことと我々は感じているところでございます。
広がる世代間の価値観の格差ということで、価値観の差が拡大していることは事実でございますが、子供をしかれない親がふえている。そうした親をどう教育するか。子育ての自信を持たせるためにはマニュアルづくりだけではなく、理屈、理論ではない体をぶつけ合う親の教育が課題ではないかと思います。
また、先ほどの有害でございますが、この有害につきましても、覚せい剤等について八十何%が認識をしているということに対しましては、それだけ中学三年生の子供たちが興味を持っているということでございますので、これは大変なことだというふうに考えておるところでございます。
さらに、神戸市須磨区において発生した事件でございますが、特に子育ての当事者としての私たちPTA会員は、いつか我が子がいずれかの当事者となる可能性を含んでいることを考えると、子育ての原点に戻ってこの問題を考えなければならないというようなことから、この十月に行われました日本PTAの全国大会におきまして、一万三千人の会員の集まる全国大会でございましたが、その席で緊急アピールを出させていただきました。それがお配りした資料でございます。
この中で特に、子供といえども反社会的行為は決して許されるものではないとの基本的姿勢を家庭において教育すること、また、子供の日常の生活態度に十分留意するというようなこともしっかりと親の認識を得たところでございます。
さらに、保護者と教師が日常的に十分な連携を深め、双方からお互いに気楽に話し合える環境づくりをしていかなければならないだろう。さらには、教師、保護者代表、地域の代表、また教育諸団体を加え、地域単位での対策を講じていこう。さらに、テレビや出版物などマスメディアが青少年の有害環境を配慮し、国及び都道府県に対して必要な法的規制を図るように要請をしたところでございます。
このような調査は、私どもは五十三年のときにも調査をさせていただいております。そのときの調査でも、ここまでの数字ではございませんが、若干このような数字が出てきたときにマスコミを通しお願いをし、いろいろ要望、陳情等もしたわけでございますが、なかなかその問題に全体が取り組んでくれるまでには至らなかったと。そして、その後の平成六年に二度目の調査をいたしました。それで今回の調査という形でございます。
いろいろな問題がふえてきているということで、今回は特に援助交際等が新たに加わったというような問題でございます。この問題を学校が、親が、また地域がというようにお互いになすり合うんではなくて、本当に真剣に考えていかなければならないというところで我々も今苦慮しているところでございます。
以上でございます。