形見重男の発言 (厚生委員会)

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○形見参考人 おはようございます。
 私は、地方の医師会であります香川県の医師会の会長をいたしております形見重男と申します。
 生まれて初めて国会というところに参りまして、それも参考人として出席を要請されましたので、本日は非常に緊張をいたしております。しかしまた、名誉なことであるとも思います。
 それでは、陳述をさせていただきます。
 医療計画制度は、昭和六十年の医療法改正で導入され、昭和六十二年から平成元年にかけて各都道府県で医療計画を作成し、公示され、現在に至っております。
 医療計画は、都道府県単位で作成されることにより、計画的な医療提供体制が確保、拡充され、秩序ある地域医療が進展するものであり、また、効率的な運用が図られており、国民にとっても医療計画は必要であると考えています。
 この医療計画では、当該地域で必要とされる病床数を設定し、既に必要病床数を超える病床過剰地域では新たな病院開設や増床を規制することも含まれておりますが、ようやく制度として定着したところであります。しかし、急性期のための病床と長期療養のために病床を分けて算出し、これらをトータルしたものを必要病床数とするなどの改革は必要ではあります。すなわち、現行の医療計画制度を堅持しつつ、内容についての検討が必要であると思っています。
 一方、この病床規制につきましては、憲法の保障する営業の自由という観点から、罰則を設ける等の強制力を持たせることには慎重でなければならず、都道府県医療審議会の意見を聞いて知事が病床過剰地域での病院の開設や増床をしないよう勧告するという現行制度はやむを得ないものと思っています。
 今まで我々は、この勧告を無視して病院の新設や増床をすれば地域には受け入れられないものと考え、各医療機関はみずから自制して、勧告を受けないようにしてきました。しかし、最近、一部の医療法人がこの勧告を無視して、病床過剰地域においても強引に病院の開設、増床を行うという事態が生じております。もしこれを社会的に認めるということになりますと、医療計画は全く形骸化され、法の精神は死滅してしまいます。何よりも、そのことによって不必要な過当競争が生ずる結果、今までかかりつけ医が担ってきた地域医療は崩壊してしまいますので、地域住民の保健医療に重大な影響を及ぼすことになります。
 また、医療計画による病床過剰地域における病床規制は、既得権の擁護になり新陳代謝を阻害するものではないかという意見もございましょうが、医療に一般社会による競争原理をそのまま持ち込むことは、利益追求を容認することにつながります。医療法でも、営利目的で病院、診療所を開設できないことになっております。
 国民医療費の伸び率を抑制しようとする現在の政策のもとでは、医療提供面においても、保険医療機関の指定等については都道府県知事と医療機関との契約と考えられておりますので、健康保険制度上もある程度の制限はやむを得ないものと考えており、国民にも理解を得られているものと考えております。むしろ、地域で必要とされる病床数の範囲内で、アメニティーの充実、病院の機能評価などを通じて、病院の質の向上を目指すべきではないかと思っております。
 だからといって、医療法で病院の新設や増床を全くできないように規制することは、先ほど申し上げましたとおり、憲法の保障する営業の自由を損なうことになります。そこで、医療法上は病院の開設や増床を許可するが、健康保険法で、都道府県知事は、病床過剰地域内の病院等について、医療法に基づく勧告に従わない場合には新たな病床の全部または一部について保険医療機関の指定等を行わないことができるものとすることは、以上の観点から妥当な方法であると考えています。
 今までも、勧告を無視して病院の新設、増床を行った場合には、通知で保険医療機関に指定しないという運用が行われてきました。今回の改正は、それを法律に直接規定するものであり、一層明確になりますので、賛成するものであります。
 また、今回の健康保険法の改正案では、都道府県知事は、既存の保険医療機関等を含め、指定の申請等のあった病院等について、医師、看護婦その他の従業者の人数が医療法に定める数を勘案して厚生大臣が定める基準に満たないときや、その他適正な入院医療の効率的な提供を図る上で保険医療機関等として著しく不適当と認められるときは、その病床の全部または一部について保険医療機関の指定等を行わないことができるものとすることを規定しようとしております。
 現在、医療法の人員配置につきましては、標準を定めたものであり、この標準に満たない、いわゆる標欠病院と言われる病院数も少なくありません。これは、医療費の抑制の結果、人件費が払えないために補充できない場合や、募集をしてもなかなか人員が集まらないなどの理由からであると考えております。
 したがいまして、厚生大臣が定める基準は、慎重に規定する必要があります。また、この規定を機械的に適用するのではなく、改善指導などを十分に行った後に、なお改善されない場合に適用するなど、地域医療の確保に支障を来さないように、その運用において慎重であるべきであると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 114204237X00819980414_002

発言者: 形見重男

speaker_id: 24589

日付: 1998-04-14

院: 衆議院

会議名: 厚生委員会