池澤康郎の発言 (厚生委員会)

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○池澤参考人 池澤でございます。
 お手元にレジュメをお配りをお願いしてあると思いますけれども、これに従いまして述べたいと思います。
 今回、私がここに呼ばれました主な問題点は、今回の国民健康保険法等の一部改正の中で、特に新たな病床の全部または一部について保険医療機関の指定を行わないことができるというくだりではないかというふうに思います。このことを中心にいたしまして、必要病床数ということについて中心に述べたいと思います。
 まず、御存じのように、必要病床数の計算方式というものがございまして、これはよく御存じのとおりであると思いますので省略いたします。
 この式の内容を見ますと、これは全国の一律の病床利用率で入院している患者数の割合を割っていくということでございまして、これは確かに、全国的に見ましてちょうど八三%、現在でいいますと八三%ということになりますけれども、これは、私の資料の最後から二枚目のところで、病床利用率というのが述べてある右から二番目の欄の一番下に全国平均の八三・〇というのがございまして、これで例えば割っていくということになるわけでございます。これと同じ数字の都道府県であるならば、これは確かに、それぞれの医療圏におきまして最低の必要な病床数というものを割り出すことができる。
 しかし、これはあくまでもミニマムであって、マキシマムな病床数ではございません。例えば全国の四十七都道府県の中で二十三の都道府県が全国平均を上回っております。つまり、そういったところではミニマムの数を下回るということになります。厚生省の今回の案では、必要病床数を基準として、それを上回れば過剰である、そうでなければ非過剰であるというようなことでもって、過剰医療圏において新たに病床をふやそうとすることに対して規制するというようなことになっております。
 これは確かに一つの考え方ではございますけれども、しかし、私がこだわりますのは、必要病床数ということに対しての問題点であります。必要病床数というのと十分病床数というのは違います。必要病床数というのは、この式から見て明らかなとおり、あくまでも最低必要な病床数ということでございまして、それで果たして国民医療に対して十分なサービスができるかということを考えますと、やはり大きな懸念を持たざるを得ない。
 つまり、十分な病床数を抱えていて、それで問題を論じていくということでないといけないのではないか。つまり、十分な病床数を超えているかどうかということが大切な問題であろうというふうに思います。厚生省の文章では、法律では、必要病床数という言葉でしかありません。もっとも、これは私がいただきました資料によりますと、「必要十分な病床数(必要病床数)」というふうに書いてあるところがございまして、これは言葉のあやかというふうにも思いますけれども、そういうくだりもございます。
 昭和二十三年に医療法が制定されましたときに、このときに既に医療計画ということが医療法の中に盛られておりました。しかし、これが現実に問題になりましたのは、昭和六十一年八月三十一日の各都道府県知事あてに出された厚生省健康政策局長通知、健政発第五十六号によってでございました。この中で初めて二次医療圏という問題点が出されたわけでございます。
 そのときに、この医療圏の設定の条件として、二ページに書いておきましたけれども、「自然的条件及び日常生活の需要の充足状態、交通事故等の社会的条件を考慮して一体の区域として病院における入院に係る医療を提供する体制の確保を図ることが相当であると認められるものを単位として認定する」ということでございます。
 そのようにして二次医療圏は設定されておりまして、先ほどの最後から二ページ目の資料の表の中で申し上げますと、左から三番目のところに二次医療圏数ということが書いてございます。例えば里京都では十三、二次医療圏があるということになっております。
 しかし、この昭和二十三年当時は、戦後の荒廃した医療の状況の中で、いかにして国民のニーズにこたえ得るだけのベッドを確保し得るかということでもって、必要病床数という言葉は確かにそのときにとっては大切な言葉でございました。その後、必要病床数をふやせということでもって、どんどん病床の増床が図られたわけでございます。
 しかし、これはあくまでも、その当時の地域の住民の人口の動きというものと関係して考えますと、それほど大きな人口の動態はなかった。しかし、昭和五十五年ごろを境といたしまして、御存じのとおり我が国の人口動態は非常に変化いたしました。特に、これは首都圏あるいは大きな政令都市の中及びその周辺において起こりました。
 すなわち、通勤圏は大体百キロというところにまで拡張いたしましたし、それからまた、割合大きなマーケットが、大きなデパートあるいは小売店等、チェーン店等がどんどん地方に進出していくということもありました。大学生が都心からは離れた八王子あるいはその他の周辺の地域に分散しているということは御承知のとおりであります。
 そういった中で、果たしてどのような医療圏というものを改めて設定すべきであるのか。昭和六十一年ごろの考え方というものは、現在においても果たしてまだ妥当であるのか。つまり、その後の十年以上の中で、さらに人口の動きというものはいろいろございまして、簡単に申し上げれば、例えば里京都で申し上げますと、私のおります中野区の近辺でも、独身者がふえておりまして、また老人がふえております。しかし、子連れの家庭というものは大体東京都の周辺部に行くというようなことでございます。
 そういったことから、二次医療圏というものについての考え方についても、かなり考え直す必要があるんじゃないだろうかというふうには思います。
 例えば、東京のある下町の区では、最近でございますけれども、八つあった病院が四つに減っております。ところが、その区は、皮肉なことに千床足りないと言われていたところです。千床足りないところでなお病院が減った。これはどういうことを意味するんだろうか。これは果たして、その二次医療圏というふうに定めた、必要病床数と定めた方式が間違っていたのか、あるいはそこでの医療サービスのネットワークづくりがうまくいかなかったのか、いろいろな問題が検討されなければならないと思いますが、必ずしも現在言われている二次医療圏というものが、また、そこでの必要病床数というものが妥当であるかということについては懸念を持つわけであります。
 それで、もう一度、最後の方から二ページの資料二のところを見ていただきますと、必要病床数というものが左から三番目の項目のところにございます。その一番下を見てみますと、全国でもって百二十万六千七百五十五床ということになっております。これは、平成九年三月末現在の数字でございます。右側の病床利用率というところを見ていただきますと、八三%ということになっておりまして、実働の病床数は百万ちょっとでございます。つまり、これは、必要病床数というよりも、言葉をかえて言えば、十分病床数なのではないかというふうに思うわけでございます。
 そのような意味をもちまして、私は、必要病床数を超えたからいけないというのではなくて、十分病床数を超えたかどうかということで判定するということをすべきである。
 それから、最後に申し上げますけれども、病院をつくるということについては、病院経営者はかなりしっかりした倫理観を持っていないといけない。そういった点について、今回の問題になっております、ある医療法人の問題についても意見を述べたいと思います。
 病院をつくるには、他の病院を譲り受ける、あるいは診療所をつくってこれを拡大する、それから署名等を求めていくというような方法が確かにあると思います。
 しかしながら、この署名を求めるというようなことは既に証明済みでございまして、例えば、国立の病院を統廃合していったときにさまざまな署名運動が行われましたけれども、いずれも無効でございました。いずれも、その病院がなくなってから、地域医療には全く問題なかったわけであります。しかも、署名というのは、あくまでも選挙その他の問題と関係して、地域の自治体を揺さぶるという問題をはらんでおりまして、必ずしも病院経営者がとるべき態度ではないというふうに私は思うわけでございます。
 しかし、問題としては、あくまでも国民の医療を守る、国民の医療にとって何がプラスかという観点に立って、その上で問題を論じるべきでございまして、その上で、いたずらに地域の既存の医療機関との間の摩擦をつくりながらその中で医療機関を設定していくということについては、誤っているというふうに私は考えておりまして、この点につきましては、あくまでも地域の十分な理解を求めるということをすべきである。
 ただし、厚生省案として述べられております、必要病床数ということで論じていくということは論理的に非常におかしい。むしろ、十分病床数というものを厚生省が作成していって、それにもとるかどうか、それを超えるかどうかで論ずるべきであるというふうに私は思います。
 以上、時間をオーバーしまして失礼いたしました。(拍手)

発言情報

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発言者: 池澤康郎

speaker_id: 27149

日付: 1998-04-14

院: 衆議院

会議名: 厚生委員会