池澤康郎の発言 (厚生委員会)
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○池澤参考人 池澤でございます。
ただいまの土肥先生の方からの御質問について、私なりに理解したことをお答えしたいと思います。
まず一つは、医療の世界に現在競争原理がどのように働いているかということでございます。これは、現にそのような競争原理は働いているというふうに私は思っております。
私が属しております中野区の医師会及びその二次医療圏と言われるところで言いますと、新宿、中野、杉並というところが二次医療圏になっております。二次医療圏の中には、もちろん、慶応病院、それから東京医大、東京女子医大といった三つの大学病院と、そのほかに社会保険中央病院その他の公的病院も存在しております。また、民間病院もかなりたくさんございます。また、それと同じように、さらに多くの診療所がございます。
そういった中で、患者の動向ということを、実は私どもの中野総合病院がかつて提案いたしまして、中野、新宿あるいは一部練馬にかかりまして、杉並を含めましての病院長の懇談会というものをこれまでに約二十年間ほど、初めは毎月一回やっておりまして、最近は二、三カ月に一回開いております。かなり打ち解けた、しかもかなり秘密事項までお互いに知らせ合っての情報交換会をやっております。
そういうことを通じてわかりますことは、それぞれの病院長の持っている考え方、また開設者の持っている考え方がいかにその病院を発展させ、あるいは失敗に導くかということをこの二十年間私はつぶさに見てまいりました。現実に、多くの診療所あるいは病院といったものが私どもの二次医療圏におきましてもこの二十年間において消長、あるいはなくなっていったというところまでございます。
そういった中で、何がそういう原因となったのかといえば、ひとえに、どれだけ国民の、地域の住民のために本当に役立つ医療を行っているのかということだというふうに思います。それにどれだけ徹し得るかということが非常に大切である。
これは、最近の地元の医師会は、最近のというのはちょっと語弊がありますけれども、地域医療ということに医師会がかなり熱心になっておりまして、いかにして地域医療のネットワークをつくるかということでかなり努力を続けております。
例えば、たしか今年度中にできますけれども、それぞれの病院が現にどういう患者を診ており、各科においてどういう手術ができるのか、それの成功率はどの程度であるのかというデータを出してくれと。また一方、診療所では、例えば内科で開業していても実は専門は糖尿病である、あるいは耳鼻科で開業をしていても専門は自分は鼻であるというようなことがあるわけですね。そういったことから、自分は往診可能である、あるいは訪問医療にも協力できる、できないということについての情報を全部出して、そういうことによって地域のネットワークを病院と診療所で完全につくろう、完全に地元の住民のためにやっていこうということが計画されております。これは中野区のみならず、中野はむしろおくれている方で、台東区を初めかなり多くの都内の医師会が中心になってのそのようなネットワークづくりをやっておるというふうに聞いております。
私はこれは大賛成でございまして、そのようなネットワークが完全にできていけば、本当の意味で、例えば内科で開業している診療所に行っても、自分の専門でないということであればお互いに紹介し合う、あるいは病院に紹介し合う、また病院の方から地元のだれに紹介するというようなネットワークができる。そういう本当の意味での地域の住民の医療を守ろうではないかと。
それができていない場合に、新しく参入してそれに加わっていくということが確実に認められるならば、そういうこととして、これまでの欠点、どうしても補えなかった点を補えるならば、積極的にその新規参入は認めるべきであろうというふうに思うわけです。しかしながら、既にそういうネットワークが完成しているのに、あたかもそれが不完全であるかのような印象を与えながら新規参入をしていくことは決して望ましいことではないということを申し上げたい。
参考までに申し上げますと、これは一つの例でございますけれども、これまでの二次医療圏ということで墓京都を例にとって申し上げますと、東京都は例えば十三に分かれておりますけれども、中央部と言われているところでは、住民がその二次医療圏の中で診療を受けている割合はわずかに四七・四%、半分でございます。あるいは、静岡県の熱海伊東地方では、四二・七%が二次医療圏の中でもって診療を受けているにすぎない。極端な例はもっといろいろございますけれども、そういうようなわけでございまして、高い例では、例えば仙台という二次医療圏では九六・五%がその中で診療を受けている。つまり、そこでの診療がいかに完結しているか、そういう度合いがございます。
しかし、この数字は、先ほど私が初めに述べましたけれども、現在の二次医療圏というその規定の仕方が非常に不十分なために、お手元の資料の最後から二ページにあります表のように、さまざまな病床利用率の差がございます。そういうようなことで、まだまだ大体において全国で八〇%です。しかし、この八三%というのは非常にいい数字だと私は実は思っております。
というのは、一般に、私どもの病院の場合にこの程度のベッドのあきがございますと、あらゆる救急患者を受け入れることができる。先ほど阿部先生がおっしゃいましたけれども、すし屋などのようなお話を申し上げましたけれども、病院あるいはベッドというものは、これはいわばデパート方式でございまして、ある科の患者がたくさん来れば、自由に利用をし得るという流動性を持っておりますから、これはすし屋がフランス料理をつくれないというのと話が違っております。その意味では、ベッドというものはトータルで、やはり全体の十分な量というものを決めて、それに応じてやっていくべきであろう。
また、新規参入する側といたしましては、今申し上げましたような十分なネットワークというものを調べた上で、さらにそこにどういう問題点があるのかということを考えなければ、新しく参入してもそこで十分に経営できず、運営に失敗するということは目に見えているわけでございますから、そういったことについて十分な検討をしなければ、参入しても全くむだである。それによって、例えば社会的入院というようなものがふえるようなことが仮にあるとしたらば、それこそ保険財政をつぶすことにもなりかねない。
いわんや、さらにそれを、私は、実は今回問題になっていると思われます特定医療法人の病院長にならないかということをかつて誘われたこともあったわけでございまして、そのときに私は断りましたけれども、そんな意味で、私はかなりこのいろいろな動きについては存じ上げているつもりでございます。
私は、端的に申し上げまして、金もうけのために医療を行うというような考え方は絶対に慎むべきである、しかしながら、その地域におきまして、本当にどのネットワークのどの部分が足りないかということがあるならば、そこに新規参入していくということは積極的にお互いに進めるべきであろうというふうに思います。
以上でございます。