黒田東彦の発言 (大蔵委員会)

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○黒田政府委員 御指摘のとおり、アジア諸国と日本の経済関係は大変密接でございます。したがいまして、アジアで通貨・金融市場の変動が続く中で、成長率の低下、インフレ率の上昇、失業者の増加といったことが起こり、大変厳しい経済情勢になっておりますことは、当然、我が国の経済にいろいろな形で影響を及ぼし始めております。
 私どもは、この影響について三つほどあろうかと思っております。まず第一は、今申し上げたようなアジア経済の低迷によりまして我が国のそれらの地域に対する輸出が減少する。二番目には、それらの国に対する我が国の銀行の貸国債権の内容が悪化するのではないかという懸念。三つ目には、これらの地域には我が国からたくさんの企業が進出しておりますが、それらの企業の収益が悪化するということを通じて我が国の経済にも影響があるのではないかということでございます。
 それぞれについて見てまいりますと、輸出につきましては、既にタイ、韓国、インドネシア等に対する我が国からの輸出の伸びが昨年の秋ごろからマイナスになり始めておりまして、特にことしの一月、二月とかなり大幅な、二けたぐらいのマイナスになってきております。我が国のアジア地域に対する輸出というのは輸出全体の四割ぐらいを占めておりますので、これは遠からず我が国の輸出及び経済に影響を及ぼしてくるということかと思います。
 二番目の、邦銀のこれら諸国に対する貸付残高というものも総額で三十兆円ほどあるわけでございます。特にタイ、韓国、インドネシアに対する貸し付けにつきましてはいろいろな懸念が示されておるわけでございます。幸いタイと韓国は金融状況はかなり改善をしてきておりますが、インドネシアにつきましては依然として金融も含めて非常な変動が続いており、その債権についての懸念が続いているわけでございます。
 三番目の現地進出企業の収益の悪化という問題につきましては、為替が切り下がっておりますので、それらに進出しております企業のうち、輸出を中心としたものはむしろ輸出がこれから伸びるであろうと思われますが、国内市場を当てにした進出企業については非常な収益の悪化ということが懸念されるということで、これらについてもいろいろな形で影響してくるということになろうかと思います。
 したがいまして、御案内のとおり、政府といたしましては、二月からの特別減税の実施、あるいは公共事業の追加、金融システム安定化対策などいろいろな措置を講じてきておりますし、これらに加えまして先ごろ可決されました十年度税制改正などの措置が相乗効果を持って、こういったアジアからのマイナスの影響をどれだけか相殺してくれるような形で寄与するのではないかというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 1998-04-03

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会