黒田東彦の発言 (大蔵委員会)
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○黒田政府委員 まず、私の方から、ただいま委員御指摘の点について、具体的なインドネシアの例に沿ってお話を申し上げたいと思いますが、確かに、インドネシアのIMFプログラムは、昨年合意された後、最近に至るまで必ずしも所期どおりの成果を上げませんでした。そうした中で実は幾つかの問題が起こり、既に修正されたものもございます。
一つは、例えば、昨年インドネシアの場合には金融機関の問題があるということで十六の銀行を閉鎖したわけでございます。ただ、閉鎖した際に預金の全額を保護しなかったものですから、その後、金融機関の一種の取りつけのようなものが起こりまして、何百とある民間の金融機関から国営の金融機関へあるいは外国の金融機関へ預金がシフトしてしまうということで、大変な貸し渋りあるいは金融システムの機能しない状況が起こってしまったということがございます。
これは、金融機関の問題につきましてはIMFも十分認識しており、各地でいろいろなプログラムの際に、金融機関を閉鎖する際に預金の全額を保護するということは必ずしもしていないわけでございますが、インドネシアの場合に同じようなことをやったところ、大変な預金シフトが起こり、問題をむしろ悪化させてしまったということがございました。これは、既に一月の段階でIMFとインドネシアと話し合いを行いまして、自後、銀行の預金はすべて全額政府が保証する、保護するという政策をとりまして、そういった預金シフトあるいは取りつけ騒ぎ的なものは終息したわけでございます。
これなども、ほかの国‘地域で成功した手法が、アジア、特にインドネシアで必ずしも成功しなかったという例かと思います。ちなみに、タイ及び韓国では、初めから両国政府が非常に強く主張したこともございまして、銀行の預金は全額政府が保証するという政策をとっておりましたために、金融機関に対する取りつけ騒ぎのようなものは結局起こらなかったわけでございます。
それから、もう一つございますのが、インドネシアについて構造改革という中でたくさんの問題が指摘されているわけですが、食糧の専売というものを従来やっております。これを米だけに限定して、その他すべての食糧の専売を廃止するということをインドネシア政府と話して当初の計画に入れたわけでございますが、その後、ルピアの大変な下落の中で食料品価格が高騰する、あるいは一万六千とも七千とも言われている島国でございますので、そういったところへの食糧の供給が十分に行かなくなるのではないかという懸念が生じてまいりました。現在、インドネシア側とIMF側とで話しております中に、この食糧の専売を、もちろん長期的にはこれも自由化していくということはインドネシア政府も合意しているわけでございますが、当面どういつだスケジュールでこれを段階的に実施していくかということについて話を進めている。これなども、事前には、一万六千、七千という島国で、しかも人口の四分の一ぐらいがいろいろな僻地に住んでいるというインドネシアの実情が、そのプログラム策定のときにこのインドネシアの状況が必ずしも入っていなかったのではないかというふうなことまで言われている状況でございます。
したがいまして、御指摘のように、IMFのプログラムというのは基本的に国の経済金融状況が問題を生じたところに適用されるものでございますので、ただでさえ難しいわけでございますが、特にアジアの場合に、その歴史的、地理的な状況というものを十分踏まえてプログラムを策定していかなければならない、それを我が国としても側面からできるだけサポートしていかなければならないというふうに存じている次第でございます。