黒田東彦の発言 (大蔵委員会)

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○黒田政府委員 御指摘のヘッジファンド、あるいはいろいろな形での短期資金の移動が今回の通貨危機にかなりの影響を持ったのではないかということは幅広く言われておりまして、実は、今委員の御指摘の中にありましたようなマハティール・マレーシア首相の問題提起もございまして、IMFの中でもこの問題についての議論が行われております。
 まだ十分この議論が煮詰まったわけではございませんので、議論の途上ということを御理解いただきたいと思いますけれども、少なくとも、今回のアジアの通貨危機の中でヘッジファンドの役割というものがあったということは認められるわけでございますけれども、量的なものをずっととってまいりますと、ヘッジファンドの金額というものは、トータルの国際資本移動の中では必ずしも大きなものになってまいりません。それは、短期資金あるいは長期資金、委員御案内のように、特に短期資金の場合は国際的な銀行の貸し出しというものが非常に巨額に上っております。それから、長期資金になりますと、直接投資というものも相当あるわけでございます。これらはヘッジファンドが直接には行っておらないものでございます。したがいまして、量的に見ますと、必ずしもヘッジファンドが今回の通貨危機を大きく深刻化させたという統計的な証拠というのはなかなか見当たらないわけでございます。
 しかし、御案内のとおり、タイの場合もインドネシアの場合もまた韓国の場合も、それから、IMFのプログラムを要請するようなことにはなっておりませんけれども、マレーシアその他の東南アジア諸国の場合も、いろいろな重要な時期にヘッジファンドの動きが見られたということは、これは新聞報道等もされているわけでございまして、確かに重要な時期に決定的な影響を与えた可能性というのはまだ残っておるわけでございまして、さらに今後検討していく必要があるというふうに思っております。
 そこで、こういう問題に対する対処の仕方ということになりますと、先日の東京で開かれました第二回のマニラ・フレームワーク会合でも合意された点でございますが、短期的な資本移動の状況を監視する、モニターするということの必要性、これは途上国、先進国、またアジアのいわゆるエマージングエコノミーと言われる国々も一致しているわけでございます。これはIMFも一致しておりますので、今後の経済のサーベイランスの場合には必ず短期的な資本移動の状況を見ていくということになろうかと思います。
 そこで、第二段階で、それではそういうモニターした結果に応じてどういつだ措置をとるかということになると、ここで若干意見が分かれるわけでございます。措置ということになりますと、短期資金の受け入れ側、アジア諸国とかそういう国について、受け入れている銀行あるいは企業の外貨資金の取り入れ状況をモニターした上で何らかの措置をそういった国がとるかということになるわけでございます。昔風の為替管理というものはなかなか現在では有効でないという議論が強くなっておりまして、むしろ、銀行や企業に対するいわゆるプルデンシャルなというか、過度のリスクを負わないような形に規制をするというようなことは、現に銀行については行われておりますし、一般の企業についても外貨資金繰りについてはそういったことを検討してはどうかという意見が、そういう資金の受け入れ国側の議論としてはございます。これはある程度、今後とも前向きに検討されていく可能性があると思います。
 問題は、資金の出し手側、つまりヘッジファンド等がある方でヘッジファンド等について何らかの規制ができるかどうかということでございますが、これについては、これまでのところ非常に悲観的というか、消極的な意見が多いわけでございます。
 と申しますのは、銀行の場合ですと、銀行はどこの国でも免許業種でございますし、銀行監督がございまして、銀行のリスクのとり方については厳しい規制がございます。ところが、ヘッジファンド、その他のファンドというものはいわば任意に、個人でも企業でも自由につくって、自由なところがらどんなものにも、どんな場所にも投資するというものでございまして、基本的に規制が難しいというか、どこかの国でありますと、規制のないところにファンドをつくって、そこから投資するということになりかねないということで、出し手側の銀行の規制についてはBIS等を通じて非常に厳しい規制が現在もかかっておりますし、今後もその改善については十分議論されていくと思いますが、事ヘッジファンドについて出し手側で何らかの規制をするということについては、これまでのところ消極的な意見が強いというのが現状でございます。
 私どもとしては、確かに、規制というものをヘッジファンド等に直接かけるということは非常に難しいと思いますが、唯一あり得るというか、合理的なものとして我々も考えておりますし、そういうことを検討してはどうかと思っておりますのは、出し手側のそういうところの情報をディスクローズする、どういうポジションをとっているのか、どういう通貨投機をしているのかということについてのデータを何らかの形でディスクローズさせられないかどうか、そういうことによって危険を防止できないか、これは検討に値するのではないかというふうに考えております。

発言情報

speech_id: 114204629X01919980403_028

発言者: 黒田東彦

speaker_id: 19167

日付: 1998-04-03

院: 衆議院

会議名: 大蔵委員会