上杉光弘の発言 (地方行政委員会)
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○上杉国務大臣 おはようございます。
所信を申し上げたいと思います。
委員長、理事、委員各位におかれましては、平素から地方行政及び警察行政の推進に格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。
この機会に所管行政の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し上げ、皆様の深い御理解と格段の御協力を賜りたいと存じます。
さて、二十一世紀を間近に控え、内外ともに大きな変革期を迎えつつある中で、国民が豊かさとゆとりを実感できる社会を実現していく上で、地域の総合的な行政主体である地方公共団体の役割はますます増大しております。
地方行財政を取り巻く環境には依然として極めて厳しいものがございますが、国、地方を通ずる行政改革を一層進めますとともに、今後とも、地方税財源の充実強化を図りながら地方分権を具体的に推進し、みずからの創意工夫で地域づくりを行える新時代にふさわしい地方自治を確立していかなければなりません。
私は、このような基本的認識のもとに、最大限の努力を払ってまいります。
以下、概要について御説明いたします。
地方分権の推進につきましては、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、地方公共団体の自主性、自立性を高めていくことが必要であります。
政府といたしましては、四次にわたる地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重し、今通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成することとしております。
このため、自治省におきましては、昨年末に、機関委任事務制度の廃止後における地方公共団体の事務のあり方及び一連の関連する制度のあり方についての大綱を取りまとめたところでありますが、今後とも、地方公共団体が自己決定、自己責任の原則のもとにみずからの行政を行うことのできる新時代にふさわしい地方自治を確立するため、地方分権の推進に全力を尽くしてまいります。
また、地方公共団体においても、自主的な市町村の合併の推進や広域連合の活用など、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい行政体制の整備、確立を図っていただくことが重要であり、私といたしましても、その推進に積極的に取り組んでまいります。
なお、特別区の自主性、自立性を強化する方向で都区制度の見直しを行うため、地方自治法等の一部を改正する法律案を今通常国会に提出するよう、本日閣議決定を行ったところでございます。
次に、地方公共団体における行政改革についてでありますが、地方分権の成果を十分に上げるためには、地方公共団体が自覚を持って徹底した行政改革に取り組むことが必要であります。また、現下の極めて厳しい行財政環境のもと、二十一世紀にふさわしい日本の新しいシステムを構築するため、政府においては行政改革や財政構造改革への取り組みを強力に進めているところでありますが、国、地方を通じた行財政改革を推進するためには、地方行革のより積極的な取り組みが不可欠であります。
このため、先般、地方行革の新たな指針を策定し、行政改革のさらなる推進を強く要請するとともに、情報の提供等を通じて地方行革の一層の支援に努めているところであり、今後とも、地方行革の推進を最重要課題の一つとして積極的に取り組んでまいります。
公務員行政につきましては、公務能率の向上、公務員倫理の確立と厳正な綱紀の保持、給与・定員管理の適正化、正常な労使関係の樹立等に引き続き努めてまいります。また、来るべき高齢社会に対応し、高齢地方公務員の新たな再任用制度を設けることについて検討を行うほか、社会経済情勢の変化に対応した地方公務員制度のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、地方税制について申し上げます。
先般、本委員会で審議、採決をいただいたところでありますが、平成十年度分個人住民税について、当面の経済状況等を踏まえ、六千億円規模の特別減税を実施することといたしております。この特別減税につきましては、原則として六月に実施することとしており、現在、市町村の税務当局などにおいて、円滑に実施するための所要の手続を進めているところであります。
この特別減税以外の平成十年度の地方税制改正につきましては、最近における社会経済情勢の変化に対応して早急に実施すべき措置として、法人事業税について、課税ベースを適正化しながら、平成十年四月一日以降に開始する事業年度から、基本税率を一二%から一一%に引き下げますとともに、土地税制の見直しなどの改正を行うほか、地方分権を推進する観点から、課税自主権を尊重するため、個人の市町村民税の制限税率を廃止するなどの改正を行うこととしております。
また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村の実情等にかんがみ、増額を図ることとしております。
なお、事業税につきましては、課税の公平化や税収の安定化などを図るため、課税標準への外形基準の導入が課題となっており、平成十年度において、税制調査会での御議論等を踏まえながらさらに検討を深めてまいりたいと考えております。
地方税は地方公共団体と住民を結ぶ地方自治の基盤であり、この上に立ってこそ、時代の要請である地方分権の推進も図られるものと考えております。私といたしましても、課税自主権を尊重しつつ、地方税の充実確保を図ってまいります。
次に、地方財政について申し上げます。
地方財政は、引き続き大幅な財源不足の状況にあり、地方財政の借入金残高は平成十年度末には百五十六兆円に達する見込みとなっておりますが、今後その償還により公債費の一層の増加が見込まれるなど、極めて厳しい状況にあります。
こうした地方財政の現状のもと、平成十年度の地方財政計画の策定に当たりましては、所得税及び個人住民税の特別減税が実施されることに伴う地方財政への影響を補てんするほか、財政構造改革の推進に関する特別措置法等を踏まえ、地方一般歳出を抑制することを基本といたしますとともに、引き続き生じることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう補てん措置を講じております。
この結果、平成十年度の地方財政計画の歳入歳出の規模は八十七兆九百六十四億円で、前年度と同額程度となっております。公債費等を除く地方一般歳出は、七十三兆三千六百二十五億円と、前年度に比べ一兆一千五百六十七億円、一・六%の減となっております。
また、地方公営企業につきましては、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備を推進するとともに、社会経済情勢の変化に対応した新たな事業展開を支援し、あわせて経営健全化・効率化を推進し、経営基盤の一層の強化に努めてまいります。
二十一世紀に向け活力ある豊かな地域社会を実現するためには、地方公共団体は地域の総合的な行政主体として、みずからの創意工夫による施策を積極的に展開していくことが何よりも必要であります。
このため、自主的・主体的な地域づくり、少子・高齢化等に対応した総合的な地域福祉施策の展開、国際交流・国際協力の推進等の重要な課題に地方公共団体が積極的に対応していけるよう、引き続き支援してまいります。
とりわけ地域づくりの課題として、食糧等を供給するという経済・産業活動面のみならず、水資源の涵養、自然環境の保持等国土保全という多面的かつ重要な公益的機能を有しておる農山漁村地域は、過疎化、高齢化の進展等によりその活力は低下してきておりまして、これら機能と役割が低下していることが憂慮されるところであります。
一方、町の中心部におきましては、空き店舗の発生等の商業の衰退を初めとする中心市街地の空洞化が進行しております。このため、平成十年度の地方財政対策においても、地方公共団体が農山漁村地域における国土保全対策を総合的に推進する経費や、町の中心部の再活性化を計画的に、総合的に推進する経費に対して地方財政措置を講じることとしたところでありまして、今後とも引き続き農山漁村地域の活性化、中心市街地の再活性化などに努めてまいりたいと考えております。
また、高度情報通信技術の進展に対応して地域の情報通信基盤の整備を促進し、住民サービスの向上、地域の活性化を図ることが重要な課題となっております。このため、平成十年度より、光ファイバー等を利用したネットワークの整備等に対して新たに地方財政措置を講ずることとしております。
さらに、情報化め一層の進展に対応して、行政の簡素効率化、住民サービスの向上に資するため、住民基本台帳ネットワークシステムの導入につきまして、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を今通常国会に提出するよう、本日、閣議決定を行ったところであります。
次に、消防行政について申し上げます。
我が国の消防は、昭和二十三年に地域に密着した自治体消防として発足して以来、本年で五十周年を迎えました。この間、関係者の努力の積み重ねにより、組織・施設・装備等の充実強化が図られ、国民からの厚い信頼を得るに至っており、また、国際協力にも大きく寄与してまいりました。
しかしながら、昨年もナホトカ号海難流出油災害、鹿児島県出水市土石流災害を初め、各地での地震、風水害、林野火災、危険物漏えい事故など、住民の安全を脅かす災害・事故が相次いで発生しております。
こうした中で、国民の防災に対する関心は依然として高く、災害に強い安全な町づくりを推進し、総合的な災害対応力を強化することが強く求められております。
私は、災害などから国民の生命、身体、財産を守り、安全で安心な地域社会を実現することが政治の理想であるという認識に立ちまして、安全で安心な地域社会づくりと消防防災行政の推進を二つの大きな柱に、地域防災計画の抜本的な見直しを初め、地域の防災機能を高めるための基盤整備の推進、消防防災の広域的な応援体制や防災情報通信体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
また、消防団の充実強化、自主的な防災体制の整備に取り組みますとともに、技術革新の成果なども取り入れながら、今後とも消防防災全般にわ
たる充実強化に全力を挙げて取り組んでまいります。
次に、警察行政について申し上げます。
良好な治安は、国家社会発展の基盤であり、国民一人一人が豊かで安心できる生活を送るために、欠くことのできないものであります。
最近の治安情勢は、少年犯罪の凶悪化や銃器使用による凶悪事件の発生など、まことに厳しいものがありますが、私は、我が国が誇る財産ともいうべき良好な治安を維持向上させるため、全力を尽くして国民の皆様の期待と信頼にこたえてまいる所存であります。
初めに、少年非行情勢と対策について申し上げます。
本年に入って、少年による刃物を使用した凶悪事件が相次いで発生しておりますが、最近の少年非行情勢を見ますと、刑法犯少年が増加を続ける中、昨年は、少年による凶悪犯罪が昭和五十年代以降最悪を記録したほか、少年への覚せい剤汚染も拡大するなど、極めて憂慮すべき状況にあります。
次代を担う少年を非行や犯罪の被害から守り、その健全な育成を図ることは、国民すべての願いであり、社会全体として早急に取り組むべき課題であります。警察といたしましても、強さと優しさを車の両輪としつつ、少年事件捜査や少年補導活動の強化、学校、家庭、地域との連携や広報啓発活動の推進、少年を取り巻く環境の浄化活動などの諸課題につきまして、関係機関・団体と協力しながら、緊急かつ総合的な対策の推進に努めてまいります。
次に、犯罪情勢と対策についてでありますが、現下の最重要課題は、組織犯罪対策であります。
昨年、暴力団幹部に対する射殺事件が発生し、一般市民が巻き添えとなって亡くなられましたが、それ以降、銃器発砲件数、死者数がともに増加に転じるなど、依然として銃器が安全な市民生活に対する直接の脅威となっている状況が続いております。
このような情勢を踏まえ、内閣に設置された銃器対策推進本部のもと、関係省庁や海外の関係機関との連携を図り、暴力団等が組織的に管理している銃器を重点に、その流入阻止と摘発を推進いたしますとともに、違法銃器の根絶に向けた諸対策を強力に推進していくこととしております。
また、暴力団に対しては、あらゆる法令を活用した検挙活動を中心に、暴力団対策法の効果的運用や、事務所撤去等の暴力団排除活動を組み合わせた暴力団総合対策を強力に推進してまいる所存であります。
一方、昨年は、大手企業による総会屋等に対する利益供与事件が相次いで検挙され、大きな社会問題となりました。こうした中、昨年七月には、いわゆる総会屋対策のための関係閣僚会議が開催され、企業から不正な収益を獲得する活動の排除に向け、政府を挙げた取り組みがなされているところであります。
警察におきましても、取り締まりとあわせ、企業及び業界団体等に対する指導及び支援を強化しているところであります。
また、近年、来日外国人による組織的な犯罪が多発し、我が国の治安に対する重大な脅威となっております。
このような情勢を踏まえ、警察庁では、昨年四月に来日外国人犯罪対策室を設置して、来日外国人犯罪の実態解明と徹底した取り締まりを行い、成果を上げてきたところであります。今後とも捜査体制の充実、関係機関との連携の強化などの諸施策を推進し、犯罪組織の実態解明とその壊滅に向けた取り締まりを強化してまいります。
さらに、昨今の情報通信ネットワークの急速かつグローバルな規模での発展により、我が国においても、新たなコンピューター技術等を用いた犯罪が増加しているところであります。
こうしたいわゆるハイテク犯罪については、その対策が国際的な重要課題となっておりますが、警察といたしましても、国際的要請に対応しつつ、都道府県警察の捜査力強化の取り組み等に加え、それを技術的に支援するための体制の充実強化を図るなど総合的な対策を推進してまいる所存であります。
また、オウム真理教関連事件につきましては、平田信を初めとするオウム真理教関係指名手配被疑者が依然として逃走中であり、警察庁長官狙撃事件の全容解明のためにも、引き続き、全国警察を挙げて被疑者の発見、検挙に取り組んでまいります。
また、最近の薬物情勢につきましては、少年による覚せい剤乱用の急増、来日外国人による密売事犯の増加等、非常に厳しい状況にあります。
警察といたしましては、今後とも薬物の供給の遮断と需要の根絶に不法収益対策を加えた三本柱による総合的な薬物対策を一層強化してまいる所存であります。
さらに、金融・不良債権関連事犯につきましては、債権回収業務の進捗や本格化する金融制度改革等、経済取引環境の変化に伴い新たな事案の発生も懸念されることから、引き続き、関係機関と緊密な連携をとりながら、必要な諸対策を推進してまいります。
次に、警備情勢と対策についてであります。
国際テロ情勢については、世界各地で宗教・民族間問題等を背景としたテロが頻発する中、在ペルー日本国大使公邸占拠事件等の発生で端的に示されたように、我が国の権益や在外邦人に対する脅威が高まっております。
一方、国内においても、右翼等による銃器を使用したテロや、成田問題等に関連した極左暴力集団によるテロ、ゲリラ事件等が今後とも発生することが懸念されるところであります。
警察といたしましては、こうした厳しいテロ情勢にかんがみ、引き続き、情報収集活動の強化、事案対処能力の充実、国際協力の推進等テロ対策の充実強化に努めてまいる所存であります。
また、二十六年ぶりに我が国で開催された長野オリンピック冬季競技大会については、全国警察を挙げて警備、交通諸対策を推進した結果、無事終了したところでありますが、引き続き、パラリンピック冬季競技大会についても、その安全確保を図ってまいる所存であります。
次に、交通情勢と対策についてであります。
平成九年中の交通事故死者数は、国民の皆様を初め関係方面の懸命な努力により、二年連続して一万人を下回りました。
しかしながら、いまだ多くのとうとい人命が失われており、交通事故発生件数も五年連続して過去最悪の記録を更新していることから、決して予断を許さない状況にあります。
安全で快適な交通社会を実現することは、すべての国民の願いであります。警察といたしましては、関係機関・団体、とりわけ市町村との連携を一層強化するとともに、国民一人一人が交通安全を身近な問題として、積極的に交通安全活動に参加していただくよう、広報啓発活動の充実を図りつつ、交通安全教育の推進、交通安全施設等の整備、指導取り締まりの強化等の対策を講じていくこととしております。
次に、地域社会における安全の確保についてであります。
地域社会における安全は、国民が安心して暮らすために欠くことのできないものであります。このため、特に年少者、高齢者等弱い立場にある者が地域での安全を体感できるような地域社会の実現に向け、自治体やボランティアの方々と連携しながら、地域安全活動を推進していくこととしております。
また、交番・駐在所は、地域住民に最も身近な警察機関として地域社会の安全と平穏の確保に大きな役割を果たしております。今後とも地域住民の期待と信頼に十分こたえていけるよう、その充実強化に努めてまいります。
なお、本国会において、風俗営業に対する規制の緩和などを内容とする風営適正化法の一部を改正する法律案を提出いたしたいと考えておりますので、慎重御審議のほどよろしくお願いをいたします。
以上、警察行政の当面する諸問題について申し上げましたが、先般、警視庁警部が収賄罪で逮捕・起訴される事案が発生し、国民の警察に対する信頼を損ねたことについてはまことに遺憾であります。今後とも警察職員の綱紀の粛正と職業倫理の確立について、さらなる徹底に努めてまいります。
現下の極めて深刻な諸情勢に的確に対処し、我が国の治安水準を維持、向上させるためには、警察力の一層の充実強化が必要であります。このため警察といたしましては、従来にも増して組織、人員の効率的運用、職員の資質向上、装備資機材の近代化など業務の合理化を積極的に推進するとともに、必要な警察体制のあり方について十分な検討を重ねてまいりたいと考えております。
さらに、警察職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう、引き続き処遇の改善や勤務環境の整備にも取り組み、真に国民の負託にこたえることのできる警察の確立に努めてまいる所存であります。
以上、所管行政の当面する諸問題につきまして、所信の一端を申し述べましたが、委員長、理事、委員各位の格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう、一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。