二見伸明の発言 (本会議)

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○二見伸明君 私は、自由党を代表して、ただいま提案されております橋本内閣不信任案に対し、賛成の討論を行います。(拍手)
 平成八年一月橋本内閣の誕生以来、今日で約二年五カ月が経過しました。この間、橋本内閣としての見るべき業績はほとんどありません。経済政策を初め数々の政策の誤りにより、日本経済は混乱をきわめております。株価の低迷、円安、史上最悪の失業率、続出する企業倒産など、事態は日を追うにつれて深刻化しております。国民も企業も、先行きの見通しが全く立たない中で深刻な不安に悩まされております。
 一方、このような状況がもたらすいら立ちと閉塞状況の中で、少年による刺殺事件が相次ぐなど、社会の荒廃も日増しに強まっております。
 私は、今日のこのような状況を招いたのは橋本内閣自身であることをまずもって指摘しなければなりません。
 まず、橋本内閣の相次ぐ経済政策の誤りであります。今日の不況の直接の原因は、橋本内閣の経済認識の誤りと、その結果としての経済財政政策の失敗によるものであることは明らかであります。
 総理、朝令暮改は国を滅ぼします。経済が立ち直りかけていた昨年には、消費税の引き上げや特別減税の打ち切りなどによって約九兆円もの負担を国民に押しつけ、平成八年度に三・二%成長まで回復した我が経済を〇%にたたき落としました。不況がさらに深刻化すると、それまでかたくなに拒否していた二兆円の特別減税をある日突然復活させました。一方、財政構造改革法成立後わずか四カ月もたたないうちに、その法律を改正し、赤字国債の発行による十六兆円規模の経済対策を発表しております。まさに支離滅裂であります。
 金融機関の不良債権処理の問題についても、橋本内閣は、不良債権の処理は順調に進んでいる、銀行はつぶれることはないし、つぶさない、銀行の処理には公的資金は使わないと一貫して主張してまいりました。ところが、その舌の根も乾かないうちに、通常国会の冒頭では、金融機関救済のための三十兆円の公的資金の投入であります。また、十分な準備期間を置くこともなく日本版金融ビッグバンを強行し、金融機能を麻痺させ、貸し渋りなどによって中小企業者を倒産、自殺といった悲惨な状況に追い込んでおります。昨年一年間の自殺者は三年連続で増加し、二万四千三百九十一人に達しています。その中でも、経済苦の自殺者が急増しています。橋本内閣はこの悲惨な実態にどう責任をとるのか、私は総理の弁明を聞きたいくらいであります。
 財政構造改革については、経済再建なくして財政再建なしの鉄則を忘れ、歴史に残る大増税を行い、景気を失速させてしまいました。一方、景気が悪いときに、財政を自縄自縛にしてしまう財政構造改革法を無理やり成立させた、財政機能を麻痺させた。その結果、景気がとんでもないことになると思った瞬間に、苦し紛れに、法の骨格を変えるものではないという詭弁を使って、赤字国債の発行を伴う十六兆円の規模の経済対策を実施するというありさまであります。まさに支離滅裂であり、理念も政策の一貫性も何にもありません。
 総理の支離滅裂さは、経済、財政、金融政策の面ばかりではありません。総理の公約である六つの改革すべてに及んでおります。
 行政改革は、戦略もなく、単なる機構いじりや看板のつけかえにすぎません。橋本総理はようやくベースキャンプに着いたと言われたそうですが、化け物のような巨大な利権官庁をつくっただけじゃありませんか。行政改革の本質は、まず中央から地方へ、官から民へという権限の移譲、規制緩和や、あるいは行政官庁の仕事の中身を見直す、これから始めるのが行政改革の本質なのです。その本質を忘れて、ばかでかい利権官庁をつくっただけであります。巨大官庁の誕生により、ますます権限、財源が集中し、チェックも難しくなり、政官業の癒着の構造は今以上に強化されるおそれすらあるのであります。
 社会保障改革も、国民のためではありません。いかにして社会保険制度を維持するかだけであります。昨年の医療費の値上げの結果、医者にかからなければならない人がかかりにくくなったという現実があります。これなどは悪政の最たるものであります。
 教育改革においても、その姿は全く見えておりません。教育の基本である何を教えるべきかという哲学も理念もありません。
 我々の前に明らかなことは、橋本総理には国政の最高責任者としての識見も政策判断力も全くないということであり、総理として失格であるということであります。橋本総理にもし時代を見抜く洞察力があるならば、不信任案を突きつけられるという醜態をさらす前に、みずからの不明を恥じ、総辞職すべきであります。これが不信任の第一の理由であります。
 賛成の第二の理由は、みずからの政権維持のため、政府・与党で二枚舌を使い、国民の代表である国会をだまし続けたということであります。
 橋本内閣は、平成十年度予算の審議を通じ、国会では、十年度予算は最善であると言い続けてきました。ところが、国会の外では、額賀官房副長官は通常国会が始まる前から、米国政府高官に、平成十年度予算成立直後の四月に大型補正を行うことを約束したではありませんか。自民党の加藤幹事長や山崎政調会長などは、大型補正予算の編成を示唆する発言を公然と繰り返してきました。結局、橋本総理が、平成十年度予算が成立した直後の四月九日、十六兆円規模の総合経済対策を発表し、そのための大型補正を行うことを内外に明らかにしたことにより、総理の国会での答弁が偽りであり、与党幹部の発言が事実であることが明白になりました。
 国会での偽りの発言は重大な政治責任を伴います。我が国は議院内閣制の国であり、政府・与党一体であります。橋本総理自身、内閣総理大臣たると同時に、自民党の総裁でもあります。政府と与党で役割を分担し、二枚舌を使うなどということはあってはならないことです。国会と国民をだまし続けてきた総理の態度は、まさに、国会の論議を不毛のものとし、議会制民主主義を否定するものであると言わざるを得ません。
 賛成の第三の理由は、橋本内閣は疑惑隠し内閣であり、信任できないということであります。
 今通常国会の焦点の一つは、石油卸商泉井氏からの自民党山崎拓政調会長への献金疑惑でありました。泉井氏は、昨年末の臨時国会において、議院証言法に基づく証人として、国会の場においてその真相を明らかにいたしました。しかしながら、山崎政調会長は我々の証人喚問要求を拒否し続け、会期末間際になって、政治倫理審査会という非公開の場において、しかも偽証をしても罪に問われることのない弁明という形で、一方的に泉井氏の証言を否定したのであります。議院証言法で偽証が罪に問われる泉井氏の証言と偽証をしても罪に問われない山崎氏の発言では、どちらが真実を語っているかは一目瞭然であります。
 政治倫理審査会は、政治家が罪を逃れるための駆け込み寺ではありません。疑惑解明のためには山崎氏の証人喚問が絶対必要であったにもかかわらず、自民党はこれを拒み続け、橋本総理は総裁として何ら指導力を発揮しませんでした。民間人ならば証人喚問し、仲間の政治家の証人喚問は拒否するというやり方は、国民に政治家に対する不信を増長させるだけであります。(拍手)
 また、橋本総理と中国人女性との交際問題は、単なる総理と通訳との交際の問題ではなく、我が国の中国に対するODAの無償援助にかかわる疑惑というように、総理自身の疑惑の問題であります。国政のリーダーたる総理自身に疑惑が持たれた以上、総理は、政治倫理綱領にのっとって、率先してみずからの疑惑を解明すべきであります。しかるに、総理の態度は全く逆であります。必要な資料の提出を拒み続けるなど疑惑隠しに奔走している始末であります。
 このような、政治倫理問題をないがしろにする橋本内閣に、国民の信頼が大前提である国政を担当する資格などありません。
 橋本内閣は、既に諸外国からも不信任されております。アジア通貨危機の原因は橋本内閣のとり続けるデフレ政策にあり、日本の景気後退が通貨危機に拍車をかけるのは紛れもない事実であります。
 橋本内閣の姿勢は、外交・安全保障政策においても常に場当たり、後手後手でありました。
 昨今のインドネシアの邦人帰国についても、またも準備行為というあいまいな形で、自衛隊に任務遂行を命じたのであります。沖縄基地問題が解決できないのも、国の責任において解決するという強い決意を示すことなく、その場その場のつじつま合わせに終始した結果であると言わなければなりません。
 橋本内閣二年五カ月は、まさに支離滅裂、朝令暮改の毎日でございました。中国の古典「中庸」にこういう一節があります、「国家まさに滅びんとするや、必ず妖げつあり」。橋本内閣二年五カ月の支離滅裂、官僚の目を覆いたくなるような腐敗、堕落など、国まさに滅びんとする状況であります。自民党の諸君もこのことはじっと胸に手を当てて反省をしてもらいたいと思います。
 最後に、自民党の諸君に申し上げたい。
 論語に「身を殺して仁をなす」という言葉があります。諸君がまさに本物の政治家たらんとするのであれば、小さな私の感情を乗り越えて、日本のため、社会、国民のために、不信任決議案に賛成する勇気を持っていただきたいということであります。改めて自民党の諸君の良心に私は炎をともしたいと思います。
 以上をもちまして、賛成討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 114205254X04619980612_020

発言者: 二見伸明

speaker_id: 6042

日付: 1998-06-12

院: 衆議院

会議名: 本会議