林芳正の発言 (経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○林芳正君 自民党の林芳正でございます。第一班の報告をさせていただきます。
去る五月十八日、経済活性化及び中小企業の緊急対策樹立に関する調査に資するため、静岡県静岡市において行われました地方公聴会における公述人の意見陳述及び質疑応答について御報告を申し上げます。
派遣委員は、斎藤委員長、田村委員、成瀬委員、平田委員、保坂委員、今泉委員、前川委員、牛嶋委員、海野委員、梶原委員、緒方委員、島袋委員及び私、林の十三名でございました。
まず、静岡県中小企業団体中央会会長の井上光一公述人からは、地方経済は予想以上に悪く、即効性のある対策の実施が必要であるが、不況期間が長過ぎたために経営者に気力がうせており、さらなる景気追加策を切れ目なく実施することが肝要である。また、四兆六千億円の所得減税の効果はあらわれておらず、法人税の軽減を含めた恒久減税措置が有効である。貸し渋りの状況については、都市銀行において顕著であるのに対して、政府系金融機関は協調融資等でその対応に効果を発揮しつつある。また、大店法の廃止に伴い、新たな法体系の中での町づくりに不安を感じており、大店立地法及び中心市街地活性化法の制定、都市計画法の充実等によって中小小売商業の発展に配慮を願いたい旨の公述がなされました。
次に、中小製造業代表の静岡県家庭紙工業組合理事長及び全国家庭用薄葉紙工業組合連合会理事長佐野廣彦公述人からは、静岡県は中小企業を中心とした家庭紙メーカーの集積地であり、特にトイレットペーパーの生産量は全国の四二%を占めており、ほとんどが古紙の再生紙である。市場は大企業の参入によって生産過剰となっており、過剰在庫による市場価格の暴落で中小家庭紙メーカーは経営状況が一段と悪化している。このため、中小企業信用保険法の特定業種の指定を受けているが、経営資金として保険限度額に不満の企業が多い。また、昨年末以来の円安の影響で、古紙を原料としている中小メーカーでは、燃料費の上昇により製造コストが上昇し、製品価格の上方修正の原因となっている旨の公述がなされました。
次に、中小小売業代表の静岡県商店街振興組合連合会理事長御園井宏昌公述人からは、これまで幾たびか景気対策が講じられてきたが、小売業には効果は余りなく、抜本的対策が必要である。特に、昨年の消費税引き上げで売り上げは伸びず、中小零細小売業はデパート業界以上に困っている。また、金融関係については、土地の担保価値が低下しているため、銀行が貸し出しの回収を始めており、新しく創設される特別貸付制度を早急に実施してもらいたい。流通については、現在大型量販店が無差別に郊外に出店しており、中心市街地の活性化を阻害している。再開発が進まないことも中心市街地に打撃を与えており、駐車場の有無により中心部と郊外との格差が拡大している旨の公述がなされました。
次に、労働者代表の日本労働組合総連合会静岡県連合会会長の石井水穂公述人からは、静岡県内の有効求人倍率は全国に比して若干高いが、かなり冷え込んでおり、直接雇用労働者にもかなりの影響が出ている。また、景気回復の観点からは、六兆円減税の恒久化を要求しているが、少子・高齢化社会への対応を考えると、限られた正規雇用労働者で社会保険料を負担しなければならなくなるため、恒久減税では不十分で、税率の抜本改正が必要である。その際、特に自己資産を充実させる必要のある三十歳から五十歳代の世代に対する税率の引き下げが重要な政策テーマとなる旨の公述がなされました。
以上、公述人からの意見陳述に関して、主に次のような質疑応答がなされました。
まず、中小企業者と金融機関とのつき合いの中で推察される貸し渋りの理由、地方銀行及び信用金庫の貸し渋りの実態について質疑がなされたところ、貸し渋りの要因には、担保価値が少なくなり従来はどの担保に見てくれない場合、また銀行が格付に気を使い本来の貸付業務において危険を避けている場合などがある。また、地方銀行等は地縁や長い取引関係があるので、都市銀行よりは貸し渋りは少ない。なお、政府系金融機関及び信用保証協会は役立っている旨の答弁がありました。
また、失業率が三・九%になった今日、新たな雇用対策が必要ではないかとの質疑がなされたところ、雇用の流動化、失業なき労働移動に当たっては生涯保障の流動化のための環境整備が必要である。また、その流動化を法律で練るべきか否かについて世論を形成していく必要がある旨の答弁がありました。
また、最近の景気の低迷は国民の先行き不安感に大きな要因があり、国民の元気が出る方策について質疑がなされたところ、国民の可処分所得の増大が必要であり、最優先で減税措置を講じなかったことが一番の問題である旨の答弁がありました。
さらに、商店街の衰退理由及び活性化策について質疑がなされたところ、商店街の後継者がいなくなり、自然淘汰されていることが中心市街地の空洞化に拍車をかけている。また、固定資産税の関係で賃貸料が余り下がらないため、よいテナントが入らず、物販中心の本来の商店街がなくなりつつある。商店街活性化のためには都市計画上の用途地区の色分けを明確に守ってもらいたい旨の答弁がありました。
なお、公述人の意見陳述終了後、坂本静岡県副知事から、中小企業金融制度における中小企業の資本金上限額の引き上げに際しての旅館業等の従業員規模の改善、離職者の再就職促進のための施策の充実等について要望がありました。
以上、御報告申し上げます。