リチャード・クーの発言 (経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会)

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○参考人(リチャード・クー君) 大半の海外の見方、海外の見方というのはこの場合、英語圏、国際金融にいる我々は、ロイターですとかニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルとかこういうところから全部情報を得ますから、結局アメリカのジャーナリストがどう見るか、イギリスのジャーナリストがどう見るかというのが世界の見方に残念ながらなってしまうんです。ここの見方は残念ながら今非常に厳しいです。私も三週間前ワシントンを回って、本当に袋たたきに遭って帰ってきたと言ってもいいくらい、めった打ちされて帰ってきました。
 ただ、その中でかなりの部分、固定観念というのが海外にあるんですね。したがって、その固定観念から解きほぐしていかないと日本のことは正しく理解されないんではないかという気がしております。固定観念というのは、例えば護送船団方式というのは、銀行が何よりも望んでいる非常に生ぬるいしかも居心地のいいものであって、これを維持するために三十兆円が使われているのではないかという点。それからもう一つは、日本の政権、自民党ということですけれども、自民党と銀行はべったりであって、銀行と自民党の利権が一致しているものですから、だからその銀行を救うためにああいうプログラムをつくったんじゃないかとか、何かそういう書き方なんです。一部、日本のマスコミにもそういうふうに書いて喜んでいる人たちもおりますけれども、実際は大分違うわけですね。そういう点を細かく説明していく。
 例えば、実際は自民党も銀行に対しては非常に厳しい見方を持っているし、銀行に対して非常に嫌な思いをされたところもあるようですけれども、そういうところを説明して、決して銀行と自民党はべったりじゃないと。
 また、護送船団方式につきましても、なかなか公的資金が入れられない中で、一時これは非常にタブー視されていたわけですが、そういう中で問題があるときには、しようがなくて護送船団の中のいい銀行を無理やり頼んで悪い銀行の支援に充てるというようなことをやっていた。
 私もこの時期、だから三、四年前からですが、多くの銀行、経営内容のいい銀行からですけれども、今何が一番恐ろしいかなって大蔵省から夕食の招待を受けるのが一番恐ろしいんだよと、大蔵省から夕食の招きを受けますと必ずどこかの銀行を救済しろという話になるので、何としてでもこれには出たくないんだと。こういう話をしますと、欧米のジャーナリストはびっくりします。それが護送船団の実態だったんだと。いい銀行にとっては決していい話ではなかったけれども、ああいう状況で外部から金を入れられない中で、残念ながらそういう方法しか当時なかったんだと。だから、この辺から解きほぐしていかないと私は海外の誤解はなかなか解けないという気がします。
 そういう意味では、幾つか悪い銀行をシンボリックにつぶすというのも一つの方法かなと思うんですが、海外ではそういう論調が非常に強い。つぶすんでしょうと、つぶすんだったら認めましょうと、こういうことを言われる政府高官は非常に多いんですが、私はやはり北海道の二の舞を、日本じゅうが北海道のような状況になってはいけないということですから、ちゃんと受け皿の準備ができてからのみ整理していくという方法を今後とも進めるべきで、欧米はちょっと長い間待っていた、八年間も待ってやっと今動き出しているということで、彼らは八年間も待ったんだからもうすごいアクションが出てもいいじゃないかと思う向きもありますが、ここは日本のペースで事を進めていくべきじゃないか。ちゃんと説明すれば、アメリカだって同じ状況に同じことやったじゃないかというふうにボールを向こうに投げ返すと、そう言われてみればそうだったという話になります。
 ただ、そこまでちゃんと議論しないとどんどん誤解がひどくなる。誤解がひどくなると円安、株安。円安、株安、貸し渋りということですから、なぜこういうことをやってきたのか、北海道の状況はどういうことだったかというようなことは強く説明された方がいいんではないかというふうに思います。
 あと、国債の格付についてですけれども、十八カ月の執行猶予をもらったような形になっていますが、今の日本の状況、確かに数年前に比べるとかなり厳しいというのはここでも出てきた意見で、にもかかわらず、ムーディーズが何もしないのかと言われると今度ムーディーズが困っちゃうわけですから、そういう話が出てきたんだと思いますが、ただ、ムーディーズの分析の方を読んでみますと、長期的な財政再建がないがしろにされかねないとか、そういう見方で分析が書かれているんですね。それは私はちょっと的外れじゃないかというふうに思います。
 つまり、日本が今こういう状況になってしまったのはかなりの部分時期尚早の財政再建が原因だったのではないか。それを理由にムーディーズが格下げするのは非常におかしいわけで、もしも時期尚早の財政再建をやっていなければ恐らく今のような状況にもなっていなかったし、今のような状況になっていなかったら、日本のその他のファンダメンタルズ、貿易収支がこれほど大きな黒字がある、経常収支もこれほど大きな黒字がある、本来そういうところでムーディーズは判断するわけで、世界最大の黒字国を格下げするというのは本末転倒なんですね。でもそれは、余りにも日本経済のほかの部分がおかしいから、こっちをちょっと無視してでもネガティブにしたいというような機運があるようですけれども、こっちがちゃんと手が打てれば、後はまた日本の強い方に目が向いて、必ずしも格下げになる理由はないんじゃないかというふうに思います。

発言情報

speech_id: 114214079X00319980525_028

発言者: リチャード・クー

speaker_id: 25070

日付: 1998-05-25

院: 参議院

会議名: 経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会