リチャード・クーの発言 (経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会)
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○参考人(リチャード・クー君) まず即効性、あと減税か公共事業がまたは構造改革かと。
即効性でいいますと、私はやはり公共事業が一番即効性があると思います。公共事業というのは政府がみずから金を使うわけですから、金を使った時点で次の人の所得が発生している。GDPというのは発生した所得を足していくわけですから、即効性という意味では最も有効だということになります。
これを青天井でやるのかという点につきましては、はっきり言って青天井でやってもいいというくらいの決意を表明された方が最終的に納税者のコストは安くなるのではないかという気がします。
つまり、けちってけちってやって八年間もこういう状況になっている。それでまた景気がよくなるとまた財政再建をやると、またポシャって今回のようにクラッシュみたいな状況になる、またやる。こういうことを繰り返されるよりも、むしろ何年間かはとにかく景気の足腰を強くしなくちゃいけないのだということで、必要なものは幾らでもやるというくらい言われた方が最終的に納税者にかかるコストはかなり小さくなるのではないかという気がします。
つまり、本当に青天井で、それで財政赤字が膨らんでどうしようもなくなるというよりも、もう少しダイナミックに考えていただいて、みんながびっくりするくらいの公共事業、またこれはびっくりするくらいの規模の減税でもいいわけですが、そういうことを打ち出して、不安心理に動揺してしまっている今の日本経済をとこか中央突破していただきたい。
これは、いや、ここは五兆円やるけれども来年はまた財政再建ですねと、このことをIMFでさえ心配し始めているわけです。ことしは十六兆円で何とかなるかもしれないけれども、来年はまた財政改革法がキックインしちゃいますとまたポシャっちゃうんですねと。こういうことをみんなが心配し始めたら、何をやってもきかなくなります。それは一番日本にとって恐ろしいわけで、そういう意味では、青天井と言うと語弊がありますけれども、かなり大胆にそしてこれが最優先課題なんだと。財政再建と景気対策と両方欲しいというと結局両方とも失う可能性があるわけで、実際に過去の数年はそういう結果になってしまったわけですから、ここではひとつ大きく決意をされて、とにかく景気の足腰を強くしていくことを最優先しようと。アメリカでも、今財政黒字で喜んでおりますけれども、あれは景気がよくなったからああいう結果になったわけで、アメリカ版財政改革法案ですが、グラム・ラドマン法というのが大分前につくられましたけれども、結局それで財政均衡に行ったわけじゃないんです。
したがって、即効性という意味では公共事業です。ただ、中長期的に人々の景気に対する不安感を払拭するという意味では、大変大胆な減税または公共事業という考え方で打ち出された方が最終的な納税者のコストはかなり安くなるのではないか。
ここ数年間を見ても、もっとそういう形で当初からやっておれば、今ごろこんな状況にならなくても済んだのじゃないかという気がするんです。結局するずる小出し、兵力の逐次投入と言うんですか、やっていたがために全滅しちゃったという感じが非常に強くします。そういう意味では大胆にやっていただきたいというふうに思います。
構造改革につきましては、これは今のアメリカ、イギリスの例を見ても、よくアメリカやイギリスで言われるんですが、結局レーガンがやったことで得をしたのはクリントンとトニー・ブレアてあると。ブッシュのときまではその効果が出てこなかったじゃないかと言われるくらい、構造改革というのは時間がかかります。
これは絶対必要で、ぜひできる限りのスピードで進めていただきたいんですが、経済企画庁が言っているように、すぐことし何%これで景気がよくなるというような考え方は間違いじゃないか。これはアメリカが一番よく知っているんです。なぜかといいますと、レーガンがその間違いをしてしまった。レーガンも構造改革はマクロ政策だと思って、これをやれば景気はよくなると言ってやったわけですが、結果は財政赤字ばかり膨らんじゃって、景気はなかなかよくならなかった。構造改革というのは、人々のそれこそ人生観を変えるというくらいまでしないと景気はよくならないわけで、それにはかなりの時間がかかります。
日本は残念ながらかなり構造改革がおくれていますから、それは早急に進めていただきたいんですけれども、それをやれば財政はやらなくてもいいということではないと思うんです。むしろ財政をやりながら、人々の不安心理がこれ以上拡大しないような状況を維持している間に、体力があるうちに構造改革を進めていくというコンビネーションが望ましいのではないかという気がします。
最後に低金利政策ですけれども、私は、低金利政策には余り期待すべきではないというふうに思います。これを一層下げるという点についてはもっと期待すべきではないんじゃないか。
といいますのは、今でこそ貸し渋りが去年の十一月ごろから大変な事態になって、多くの中小企業は銀行がお金を貸してくれないものですから、公的金融機関に行ったりまたは最悪の場合消費者金融の方まで向かっている。そうすると、少しでも金利が安い方がいいじゃないかという議論が一部で出てきていますけれども、その前の状況、去年の十一月までの状況つまり貸し渋りが始まる前の状況を見てみますと、ほとんどの金融機関が運用難でした。運用難というのは、金があるけれども貸す先がないということなんです。そういう状況が実はバブル崩壊以降すっと続いておりまして、日本はそういう意味では世界でも非常にまれな状況が去年の十一月まで続いたわけであります。
それはどういうことかというと、普通、銀行の不良債権問題がありますと、銀行は貸し渋りまくってそれが庶民を直撃するという形になるんですが、日本の場合は銀行の不良債権問題があったにもかかわらず、去年の十一月ごろまで貸し渋りはほとんど起きていなかった。むしろ銀行は運用難で、一部上場企業の課長なら無担保で何百万も金を貸すというようなことが実際に行われていたわけであります。
したがって、銀行が積極的に融資をしたかった、しようとした時期があったにもかかわらず、景気がなかなか回復できなかったということは、金融政策、金利が問題ではなくて、やはり景気全体に対する見方、そして構造改革のおくれ、こっちが日本経済の足を引っ張っている基本的な問題じゃないか。
したがって、財政による内需拡大、そしてそれに並行して構造改革を早急に進めていただきたいというふうに思います。