リチャード・クーの発言 (経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会)
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○参考人(リチャード・クー君) よいプロジェクト、悪いプロジェクトという点は、私は今の日本の世論が余りにもよいプロジェクトプラス景気回復という欲張りの議論になっているような気がしたのであえて極論のような話をさせていただいたわけで、もちろんこれは御指摘のあったような将来性のあるプロジェクトにどんどんお金が行くことにこしたことはない。私もそうなってくれればもっといいなというふうに思いますが、そうならないからといって景気対策がきかないんだという論調が出てきているのは私は非常に要注意だと思うんですね。非常に危険であるという気がします。
私は財政は大変きいていたというふうに思います。きいていなかったら、あれだけ財政を切ってこんなに日本経済ががたがたになるということはあり得なかったわけであります。つまり、財政が支えていたもの、中にはいいプロジェクトもあり中には悪いプロジェクトもあったかもしれませんが、財政が支えてきたものというのは絶大なものだったんですね。その柱を切ってしまったものですから今のような状況になってしまったわけで、そういう意味ではもしもやっていなかったらどんな状況になっていただろうかというところから波及効果という計算をしてほしいなという気がします。
何もやらなくても今の状況、やればもっとよくなるというのが多くのエコノミストの財政支出に対する非難なんですが、もっとよくならなかったからきかなかったんでしょうという話になっているわけですけれども、実はやっていなかったらそれこそ我々どん底になっていたわけで、それを財政で支えてきたと、そっちから計算すれば財政が支えできたものは非常に大きかった。したがって、余りプロジェクト内容で議論が左右されないようにもっと根底の部分も評価すべきではないかということでお話ししたわけで、それがいいプロジェクトに向かえばそれはそれにこしたことはないということであります。
びっくりするくらいの減税というのはどんなものかという御指摘でしたが、結局どうも余りびっくりするようなものをやると国民がついていかないんですね、この国は。マスコミでは大胆な政治決断とかいうことが盛んに言われますが、実際に大きな話をやると何かもうたたかれてしまう。
例えば、何年か前の十八兆円減税、私はあれは正しい政策だったと思います。まさにアメリカから見ればあれは正しい政策だった。ところが、出てきた途端もうたたかれまくっちゃって、それで結局にっちもさっちもいかなくなった。あのとき、十八兆円やっていれば、今ごろ日本経済は絶対こんなことにはなっていなかった。恐らく、世界から非常に高い評価を受けていたんだと思います。
でも、そういうつまり余り大きなことをやっても、まだそこまで国民の危機感が行っていないのか、それともマスコミの危機感が行っていないのかわかりませんが、結局たたかれちゃうんですね。そうだとしたら、残念ですけれども公共事業で中央突破を図るしかないのかなと、そういう気がしております。
本当は、恒久減税で、しかもそれは税制改正を伴う恒久減税と。単にお金を配るということではなくて、もうビッグバンも実際に進行しているわけですから、ビッグバンで人々がリスクをとれるような税制体系にしていく。アメリカやイギリスの投資家と十分日本の人たちが勝負できるような税制にしていく、そういう大規模な恒久減税というのが私は一番中長期的に日本にとっては必要なんじゃないかという気がします。ただ、あの十八兆円の結末を見ていますと、なかなかそういうことを言う気もなくなってしまうんですが、私はまだまだ税制面で日本でやることはたくさんあるというふうに思います。
あと、ストップ・アンド・ゴーについてですけれども、もうこれだけ同じ間違いを繰り返してきた。せっかくこれまでも十五兆円とか十四兆円とかいろんな景気対策が打たれてきたわけですけれども、ちょっと景気がよくなると、またそれをたたいてしまってすべてがポシャってしまうというこの繰り返しなんですね。それだけはもう何とかやめてほしいなという気はします。そういう意味では、財政改革法の凍結ということも私は考えてもいいんじゃないか。
どうしても今の日本の議論というのは欲張りの議論だと思うんですね。いいプロジェクトも欲しいけれども景気回復も欲しいとか、景気回復も欲しいけれども財政再建も欲しいとか、こういうちょっと欲張った議論があるもんですから、いつになっても本当にこの国はどっちへ向かっているのかということが見えずに、結果として両方ともやられてしまう。私は、こついう緊急事態ですから、どっちが先だということを皆さんが決めでいただいて、それでまさにそういう方向で突き進んでいただきたいというふうに思います。