金本良嗣の発言 (行財政機構及び行政監察に関する調査会)

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○参考人(金本良嗣君) 金本でございます。よろしくお願いいたします。
 山本先生の方から一般的な御議論がございましたので、もう少し具体に近いお話をさせていただきたいと思います。ただ、具体に近いと申しましても、本当の具体例というのはまた後から御質問のプロセスでもし御質問があればお話しするということで、今の山本先生のお話よりもう少し制度的に具体的になるというふうな形でお話しさせていただきたいと思います。
 それで、私自身、評価、監視といったことについては特に専門家ではございませんで、政府活動の評価、監視についてかかわりを持たされたのは、基本的には行政改革委員会、昨年十二月に解散いたしましたが、その中の官民活動分担小委員会の中でこういう議論をいたしまして、その中で考えさせられたということでございます。これからお話しすることは、私自身の言葉で私なりの整理をしてございますが、お配りしてあります行政改革委員会の最終意見の該当部分のものと基本的には平仄が合っているというふうに考えております。
 それで、まず評価、監視ということですがどういうものを評価、監視するのかということについて必ずしも共通の理解がないような感じがありまして、評価の対象というのは甚だ広いということをまず申し上げておきたいと思います。
 今、日本で現実にかなりの程度進みかけているものは公共事業の評価に関してでありますが、評価、監視の対象というのはそれにとどまるものではなくて、もっといろんなものがあり得るということであります。
 それで、政府活動は必ず二つの側面を持っておりまして、一つは国民のために役立つことをする政策の側面、もう一つは、何かの政策をすればそれを実行するための組織なり人間なり資金なりが必要で、その運営に関してどういうふうに効率的にするかという側面が必ずついて回るということになります。したがいまして、評価をする場合にはその両方について目配りをしなければいけないというふうなことになります。
 その二つの側面については勘どころが大分違いますので、場合によっては組織が分かれたりということもあり得るわけですが、基本的な枠組みあるいは基本的な考え方はそれほど違わないということであろうかと思います。ただ、今回のテーマは政策評価ということのようでございますので、政策評価に重点を置いてこれからお話しさせていただきたいと思います。
 あと、評価の対象になるのは政府活動すべてだということでございますが、頭の整理のために、非常に話題になっている三つのものを取り上げておくといいのではないかということで整理させていただいております。
 一つは、国あるいは地方自治体の公共部門の組織形態の問題でありまして、いろんな組織を民営化できないか、あるいは独立行政法人にできないか、こういったことも一つ重要な話でございます。二番目の問題は、国民の税金を使うものに関して税金に見合った便益を国民に対して与えているかということの評価が必要だというのがもう一つの問題であります。三番目の問題は、まだ日本では余り取り上げられておりませんが、欧米諸国ではかなりシステマチックな取り組みが行われている分野でありまして、それは政府が民間活動を規制する規制政策に関して政策評価をシステマチックに行うということであります。これはアメリカ、カナダではレギュレーション・インパクト・アナリシス、規制インパクト分析というふうなことで呼ばれておりまして、政府部内、行政機構内部でそういう取り組みが行われております。
 こういう三つのものを取り上げさせていただくわけですが、それぞれについて少しずつやり方が違わざるを得ないということがございますが、全部満遍なく御説明しておりますと時間がなくなりますので、幾つか話題に応じて適当に取捨選択させていただいて御説明させていただきたいと思います。
 まず、何をやるにも基本的な理念というのをきっちりしておかなければいけないということでありまして、それについて、評価の基本的な理念としては多分私自身は三つのことがあるんだろうというふうに思っております。
 最初は、政策あるいは政府機関の運営というのが国民にとって本当に利益になっているかという便益と費用の総合評価ということが基本的な理念としてなければならないということであろうかと思います。
 これは世界の潮流として、今まではどちらかというと政府の活動に関して国民は出資者だ、オーナーだと、オーナーがコントロールするんだという側面の強調が多かったわけですが、最近それに関する若干の見直しが行われておりまして、国民は政府活動の消費者だ、顧客であるということで、顧客にとってどういうサービスを提供しているのかという側面に立って見直すべきではないか、こういうふうな議論がありますけれども、ここでの便益と費用の総合評価というのは、顧客である国民の立場に立って意味があるかどうかということをチェックするということであろうかと思います。これは組織形態の問題あるいは公共支出の問題あるいは規制政策の問題、それぞれについて、少しずつ違った形ではありますが、行うべきであるというものであろうかと思います。
 二番目の問題としては、今さっき山本先生のお話の中に、政府は民間と違って競争がないというお話がありましたが、必ずしも全く競争がないというわけではなくて、いろんな関係者がいろんな形で競合したり競争したりしている、こういうチェック・アンド・バランスをどううまく機能させていくかということを考える必要があるんだろうと思います。
 特に、評価、監視については、評価、監視を一つの機関がやる、例えば会計検査院が評価、監視をしますということになりますと必ずしもうまい評価、監視ができない。評価・監視機能を独占する独占体としていろんなゆがみが出てきたり、あるいは効率的な活動ができないということになりかねない。したがいまして、評価、監視についても複線的な評価、監視が必要である。
 日本の場合ですと、行政監察局、会計検査院、それから国会の衆議院、参議院というのがメーンなものでありますが、もっと広く一般の第三者機関、例えば大学でありますとかいろんな立場からいろんな評価、監視があって、それが競うという必要があるんだろうというふうに思っております。
 次の問題は、透明性の問題であります。
 この透明性については二つの役割があるんだろうというふうに思います。一つは、今さっき申し上げたチェック・アンド・バランスを有効にするためには情報をみんなが共有しておる必要がある。だれかだけが情報を独占しているというときには有効なチェック・アンド・バランスが働かないということになります。
 もう一つの側面としては、政策立案機能において競争原理がうまく働くようにするということであろうかと思います。日本ではえてして政策立案機能が官庁に独占されるという傾向があったわけですが、ほかの国では必ずしもそうではなくて、さまざまな情報が広く出ておりますので民間の財団等でもいろんな政策立案が行われている。そういう広い中で政策立案における競争があって、それに勝ち残った政策が生き残るというふうな仕組みに大ざっぱに言えばなっているんだろうと思います。
 そういう競争の中で勝ち残った政策立案機能が存在することはその国にとって重要であるということと同時に、日本でいい政策を考えたものをほかの国で使っていただくというふうなことのためにも非常に重要なんだろうと。競争の中で勝ち残っていないものについては、たとえ本当にいいものであってもなかなか外に対しては説得力がないということになるんだろうと思っております。
 それで、レジュメを少し飛ばさせていただきまして、「評価と監視の仕組み」という三のところに入らせていただきたいと思います。
 評価、監視について非常に重要なのは政府活動のパフォーマンスを評価するということでありまして、政府活動が法律にのっとって、規則にのっとって行われているということはもちろん重要ですが、評価、監視の重点というのはそこではなくて、成果、パフォーマンスがいいかどうかという評価をする必要がある。実は、政府機能というのはこういう評価が難しいものが多いわけなんですが、だからといってしないということではうまくいかない。難しいものではあるけれども、最大限の努力をして評価するようにしていく。それを明確にしておかなければ組織としていいパフォーマンスは生まれてこないというふうなことになるかと思います。
 こういうことを申し上げるのは、実際にパフォーマンスの評価をしようと思いますと、どこの国でもそれほどかっちりしたものはできない。見てみると、やはり政府機能のすべてを満遍なくうまくつかまえるということはできないわけですけれども、ただ、物事に完全ということはあり得ないわけでありまして、重要なものをある程度つかまえることができれば、そういう成果でもって評価していくということは組織に働く人たちにとって非常に大きな刺激になるということであろうかと思います。
 その際、非常に重要なのは、特に日本のような国ですと各省庁非常に独立性が強いわけですので、評価に関するかなり一般的なガイドラインを設定する必要があるんだろう、こういう機能を省庁横断的なものとして打ち立てる必要があるんだろうと思います。アメリカではナショナル・パフォーマンス・レビューという形でゴア副大統領が音頭をとって政府全体としてやっておりますが、こういう試みをしないとなかなか政府活動の評価というのは定着していかないだろうというふうに思っております。あともう一つ重要なのは、評価というのは単に評価をするということではなくて物事が動いていくダイナミックなプロセスの中で使われていくということでありまして、最初の政策立案のところで評価があると同時に、途中でも評価がある、終わったところでも評価がある、各時点での評価が国民全体に流れていっていろんな形での議論が起こるということが非常に重要なんだろうと思います。そのプロセス、どういうタイミングで評価が行われて、どういうタイミングでどういう情報が外に出ていくのかということをうまく制度設計するということが非常に重要なんだろうというふうに思っております。
 そのことの一つの例として、参考資料でお配りしてあるものの四十ページに、これは政府機関の組織形態あるいは業務サービスの見直しのプロセスを書いてあるものですが、当初、最初の段階の見直しとしては、業務内容を洗い直して、廃止できるのか、あるいは民営化できるのかというふうなチェックを行うわけですが、このプロセスで当然いろんな評価結果は国民に出ていくということになります。その後、もし政府法人として残るというふうなことになりますと、長の任命等々いろんなことについてプロセスがあって、またそれらについて評価のプロセスがあるということであります。
 この表では明示されておりませんが、私自身一番重要だと思っておりますのは、このプロセスのどの段階でどういう情報が外に出ていくのかということであります。そこまで含めたプロセスをうまく設定しておくという必要があるんであろうと思います。
 もう時間が余りありませんので、最後のところに入らせていただきますが、三ページの四のところであります。
 今まで申し上げたのは非常に一般的な話でございますが、これから日本で五年、十年というスパンを考えたときにどういうことが必要なのかということを考えてみますと、まだ評価、監視の仕組みがほっておいて定着するようなタイミングではなさそうだと。何かもう少しある意味で短期的には大きな仕掛けを考える必要があるんだろうということであります。そのために、私あるいはこの行政改革委員会の最終意見でも述べておりますのは、第三者機関を政府部内に設立する必要があるんではないかということであります。
 こういう第三者機関は組織形態の問題でありますとかあるいは公共投資の評価でありますとかあるいは規制政策の評価でありますとか、そういったものについてガイドラインを設定して監視を行うということを想定しております。
 なぜこういうものが現在必要かということでありますが、日本において実質的に政策立案機能を担ってきたのは各省庁でありますが、各省庁の機能をうまく発揮させるという意味で現状の仕組みは限界があるのではないかということであります。
 一つは、日本の官庁は非常に典型的な終身雇用組織でありまして、各省庁の省益というのがそこのメンバーの利益ということと一体化しているということであります。そういう場合には、当然省益と国益との利益相反というのが問題になるわけでありまして、それをどういうふうにカバーしていくか、どういうふうにうまい方向に持っていくかというためには省庁を横断的に見るものが必要だということになるかと思います。
 もう一つのポイントとしては、今の省庁組織は今までの仕組みを想定して職員の訓練が行われている、したがいまして評価、監視を行うための専門的な能力が必ずしも培われていないということであります。
 三番目のポイントとしては、こういう評価のプロセスでキーになるのは情報が外に出ていくということでありますが、どういう情報をどのタイミングでどれだけ出せばいいかということについてはっておいてはなかなか出てこない、各担当者としては出したいんだけれども、出して問題にされてしまうと後自分のキャリアにとってバッテンになるということもございまして、ほっておいてはなかなかうまくいかないということがあるかと思います。そういうプロセスをうまく制御していくためには外部からの圧力が必要で、こういうもののために第三者機関というのが必要であろうというふうに考えております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 金本良嗣

speaker_id: 17292

日付: 1998-03-11

院: 参議院

会議名: 行財政機構及び行政監察に関する調査会