桝本純の発言 (国民福祉委員会)

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○参考人(桝本純君) 労働団体の連合におります桝本でございます。
 毎日働きながら月々のお給料から健康保険料を払っている、そしてまた病気になったときには保険証を持ってお医者さんのお世話になる、こういう生活をしております普通の労働者の立場から、今般国会に提出されております国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、特に老人拠出金の負担の見直しにつきまして意見を申し述べたいと思います。
 政府は、平成十年度予算の編成に当たって、まず財政構造改革という観点から社会保障関係費の大幅な伸びの圧縮、特に集中的に医療関係の国庫負担の削減ということを至上命題にし、あらゆる形での政府の負担の削減、そしてその負担の国民への転嫁というものを図ってまいりました。
 昨年九月から、私どもの保険料が引き上げられると同時に、患者の病院へ行ったときの自己負担が一割から二割に引き上げられ、さらに薬剤を理由にした追加負担が加えられた。このことは、現在の不況下で一般の労働者、サラリーマンにとって大変大きな打撃であっただけではなくて、我が国の社会保障の将来に対する不信を非常に強めたものであります。
 今回、ここで議論をされております老人医療費拠出金の負担の見直しは、さらにそれに追い打ちをかける負担の増加措置であります。
 例えば、今の現役サラリーマンの保険集団、健康保険組合の中でも比較的年齢が若い人たちが多いところで申しますと、月々労使で払っている保険料の半分以上、場合によっては六割近くが、自分たちの医療費のためではなくて、この老人医療費拠出金に、言い方は悪いですけれども、吸い上げられていると、これが実態でございます。さらにそれに加えて、退職して国民健康保険の方に籍を移したOBの人たちの拠出金の半分が、総額で言いますと一千百億円程度が現役のサラリーマンの保険に新しく加えられようとしている、こういう内容でございます。
 もちろん、高齢化に伴って全体としての社会保障関係の負担が傾向的にふえていかざるを得ないということは私たちも承知をしております。これが全体で納得のできる形で提示をされ、納得のできる形で負担をするのであれば、それはだれも拒否することではありません。
 しかし、今回こうした措置が医療制度の改革の展望とも関係なく、当面の単年度の予算措置のために無理やりにひねり出されたという一方の事実。他方で、これの裏側で、これをつくるときには厚生省の皆さんは、全くお金がないのでやむを得ないのだと、こういう説明をされておりながら、他方では九百七十億円の措置が、人件費、物件費等の見合いを含めて、率で言うと二・二%の医療費の上昇というのが何の説明もなく他方では出てまいりました。この両面は果たしてどういうバランスなのか、これは全く納得のいく説明がなかったわけでございます。
 加えまして、この問題について医療関係の審議会では大変意見が紛糾してついにまとめることができなかった。それだけではなくて、与党三党の医療改革協議会自身がこれについてはっきりと見解を取りまとめることができなかった。そして、予算編成のぎりぎりの時期に、特定団体の圧力としか私たちには理解できない状況の中で政治決着が図られたのがこの内容でありました。したがって、この政府案のつくられ方そのものが余りにも国民に対して国民の目が届かない不明瞭な形で提出されたことをあわせて指摘をしておきたい、そのように思うわけでございます、結論からいたしまして。
 その後の状況につきまして、二つ新しい事態がございました。
 一つは、一方で医療保険の抜本改革ということに着手すると、これは九月の患者負担の引き上げの前に政府が国民に約束をしたことでございますが、にもかかわらず、今国会にその改革の第一弾として予定をされておりました診療報酬並びに薬価制度の改革のための法案はついに出されておりません。つまり、改革は先送りされ、相次ぐ負担増だけが我々の前に突きつけられてきている、こういう事態でございます。
 もう一つ新しい事態は、この平成十一年度予算の編成の前提になっていたいわゆるキャップ制と言われるものが厚生大臣の御努力もあって外されることになりました。したがって、こういった無理やりの予算編成をする根拠は既に失われているはずでございます。
 私どもとしましては、来年度予算についての社会保障関係費のキャップを外すことになったことを踏まえ、当初の予算編成の前提がなくなったということを踏まえて、必要な社会保障及び医療関係の予算を確保していただくことがぜひとも必要である。その観点からするならば、今回のような措置をとる必要はなくなったのではないだろうか。したがって、今回の改正法案のうち、老人医療費拠出金の被用者保険に関する転嫁の部分に関してはこれを廃案とすべきだ、そのように考えるわけでございます。
 他方で、今お二人の国保の関係者から御報告がありましたように、現在の国民健康保険の財政状態が極めて厳しいことは国民あまねく承知しているところでありまして、これに関して制度改革へ至る過程の間、来年度については補正予算での措置をも含めて別個の手当てをしていただくのが妥当なのではないだろうか。そして、その措置を踏まえ早急に医療保険制度における高齢者の位置づけにつきまして制度の改革に着手をしていただきたい。現在の老人保健制度は既に制度的に破綻をしております。これを破綻させた基本的な構造的な原因は、医療保険のみならず現在の医療そのものに内在しているというふうに考えます。
 お手元に二色刷りの冊子をお配りしてございます。時間の制約上、内容については詳しく申しませんが、特にこの資料の中で、私どもは診療報酬や薬価制度と並んで高齢者医療制度のあり方について新しい提案を出したところでございまして、その中身につきましては冊子の九ページ以降、特に現在の制度にかわるものとして提起をしております退職者健康保険というものについては十二ページに図がありますので御参照、御検討を賜れば幸いでございます。
 いずれにしても、国会におかれましては、昨年八月与党協議会が出した二〇〇〇年度をめどとした医療並びに医療保険制度の抜本改革を是が非でも推進するというお立場からこの法案につきましてよろしく取り扱いをいただきたい、このように思います。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 桝本純

speaker_id: 22760

日付: 1998-05-19

院: 参議院

会議名: 国民福祉委員会