橋本龍太郎の発言 (本会議)

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○国務大臣(橋本龍太郎君) 加藤議員にお答えを申し上げます。
 まず、昨日の予算成立後の定例の記者会見についての御批評をいただきました。
 私は、国会を初めとする国民の皆様、また、国際社会の声を聞きながら、我が国の経済運営に最終的な責任を持つ、内閣総理大臣という役職として政治決断をしたものでありまして、必ずや皆様に御理解をいただけるものと考えております。必要なときに、必要な施策を講じることにより、その責任を果たしてまいりたいと思います。
 また、次に、公衆衛生審議会小委員会報告書について御言及をいただきました。本法案が審議会の議論に反して、社会防衛が強調されているという御指摘であります。
 基本理念に患者の皆さんに対する人権への配慮を盛り込み、所要の手続保障を行う等、公衆衛生審議会の御意見及び答申を反映し、感染症予防と人権の尊重の要請を両立させているものと考えております。審議会の報告書の内容につきましては、法律を実施していく中でさらに反映させていきたいと考えております。
 次に、エイズ予防法の歴史的経緯を検証し、本法案の提案理由に謝罪を明記すべきではないかというお尋ねをいただきました。
 エイズ予防法は、治療法がなく、エイズの急速な拡大が懸念されていたという当時の状況を踏まえて、その蔓延の防止を図るため、昭和六十三年に制定されたものであり、当時としてはやむを得なかったと考えておりますが、今日の時点で見れば、よりさまざまな御意見にも耳を傾けるべき点があるように思います。本法案の制定に当たり、エイズ予防法を廃止いたしますのは、エイズ予防法制定以来の医学医療の進歩や正しい知識の普及等の変化を踏まえたものでございます。
 次に、法律案の目的規定の中に、種々の人権の保障と尊重を明記すべきという御意見をいただきました。
 本法案の目的は、感染症の発生及び蔓延を防止することにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることにあります。その目的を達成する上での人権への配慮はもとより重要でありますことから、本法案全体の基本理念を定めた第二条において、これを明記いたしました。
 次に、医師の責務として、患者の人権保護等を明記すべきであるという御意見につきましては、患者の皆さんの人権保護につきましては、医師を含む国民の責務を定めた規定の中で明記をいたしております。
 また、医師による良質かつ適切な医療の提供という点について御指摘がございましたが、これは医療の提供に関する基本原則を定めております医療法に位置づけられておりますため、改めて本法案に特別な規定を置く必要はないと判断をいたしました。
 次に、感染症患者の行動制限につきまして、幾つかのお尋ねがございました。
 行動制限の対象疾病、対象患者、理由の告知等の一連の手続につきましては、本法案で規定するとともに、さらに具体的な手続や基準につきましては、国が示す基本指針等で明確にしていくこととなっております。基本指針等の内容につきましては、患者の御理解と協力が得られますよう、人権保護も配慮しながら、今後検討してまいりたいと思います。
 次に、感染症専門の臨床医の養成についてのお尋ねがございました。
 感染症に関する人材の養成は、極めて重要な問題として認識をいたしております。そして、それは先ほどの御答弁とも重複いたしますけれども、新興感染症だけではなく、既に、日本国内において患者が激減しておりますような再興感染症についても、同じような問題を抱えております。こうした点を考えますとき、この感染症に関する人材の養成は極めて重要な問題と認識しておりまして、法案におきましても、国と地方公共団体の責務として明確に位置づけをしております。感染症の専門家を養成していくために、医学教育機関における教育を含め、取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、エイズ研究及び国際協力関係の研究費のマイナスが政府の後退姿勢をあらわしているのではないかというお尋ねをいただきました。
 研究の効率化を図ることによって、今後とも成果を上げるように努めてまいりますし、特に、エイズ患者の方々に直接関係のある研究関連経費につきましては、予算額を維持する等の配慮を行ってまいりました。
 次に、自己血輸血の普及を図るべきであるという御指摘をいただきました。
 自己血輸血は、議員御指摘のとおりに、輸血後の感染症あるいは免疫反応等の危険を予防できる有用な方法であり、我が国としては、まだ必ずしも普及率は高いと言えませんが、今後とも関係機関の協力を得ながら、その推進に取り組んでいきたいと思います。
 また、議員から御指摘をいただきました血液事業法の制定に関する御指摘につきましては、現在、中央薬事審議会において鋭意御検討をいただいておりまして、その御意見を踏まえて、所要の法案の提出に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 次に、国立感染症研究所の再移転についてのお尋ねがございました。
 国立感染症研究所は、平成四年に現在の新宿区戸山町に移転新築したところであり、その際、世界保健機関、WHOの定めました実験室バイオセーフティー指針等に基づき、その安全性に十分配慮して建設をされており、現段階で他の地域への再移転は考えていないと承知をいたしております。
 次に、バイオ施設についての法的整備を含めた対応を示すべきではないかという御意見をいただきました。
 現在、国立感染症研究所等の国の研究施設につきましては、世界保健機関が定めました実験室バイオセーフティー指針に基づいて安全管理規程等を作成し、それらに基づいて適正、安全な取り扱いに努めているところでございます。
 そのため、現時点で直ちに法制化することについては考えておりませんが、国際的な動向を見極めながら、必要に応じ、今後検討することも考えてまいりたいと思います。
 次に、危機管理の観点から感染症対策に対する御提言をいただきました。
 これまでも、国立感染症研究所の機能強化を初め、厚生省に健康危機管理調整会議を設置する等の対応を図ってまいりましたが、今後とも、議員御指摘のとおり、感染症の研究者や臨床医と行政の連携体制の整備等、機動的に感染症対策が実施できる体制の構築に努めてまいりたいと思います。
 次に、自然の権利と国際的な動物の移動についてのお尋ねをいただきました。
 我が国は、これまでワシントン条約を通じて野生動物の保護に取り組んでまいっております。さらに、議員の御指摘のありました動物の移動に関する国際的な規制につきましては、国際的な動物移動の現状、その規制の必要性や効果等を慎重に検討しながら、内外の意見を踏まえて対応してまいりたいと思います。
 最後に、砂漠化防止条約の早期締結についてお尋ねをいただきました。
 森林の保全、砂漠化の防止を含め地球環境問題は、我が国が貢献を果たしていくべき最重要分野の一つ、そう考えております。御指摘の条約の締結につきましては、今国会への提出に向けまして鋭意作業を進めているところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114215254X01919980410_010

発言者: 橋本龍太郎

speaker_id: 24487

日付: 1998-04-10

院: 参議院

会議名: 本会議