山下芳生の発言 (本会議)
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○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
日米安保共同宣言に基づく新ガイドラインによって、日本防衛中心から、新たに周辺事態での出動、米軍支援に役割を拡大した自衛隊に、必要な権限、組織、体制を与えようとするのが今回の防衛庁設置法及び自衛隊法の改正であります。
まず初めに、統合幕僚会議の権限拡大について伺います。
一つは、統合防衛計画に並んで、新たに統合警備計画の作成を統合幕僚会議の権限としたことであります。政府は、この統合警備計画には周辺事態における米軍基地警備も含まれると衆議院で答弁しましたが、これはまさに警備計画自体が周辺有事対処計画だということではありませんか。憲法上も断じて許されないものであります。答弁を求めます。
また、統合幕僚会議の自衛隊の指揮命令に関する権限は、従来、防衛出動、治安出動時に限られていましたが、今回、それ以外の場合にも防衛出動時と同様に認めたことも重大であります。これは、周辺事態での日米共同作戦計画づくりや指揮調整、情報交換などを行うために、統幕会議の権限を強め、ガイドラインで強調された周辺事態での日米の陸海空部隊の統合作戦を効果的に行うためのものではありませんか。
次に、陸上自衛隊の旅団の創設と海上自衛隊の補給本部の新設でありますが、これらはいずれもガイドラインを実行するための自衛隊の組織改編・強化であります。
いわゆる旅団化は、一部師団の規模は縮小するものの、即応予備自衛官の配備などの部隊改編と装備の近代化を進めることにより、機動性と独立の作戦機能を持つ部隊をつくり上げることになります。これはガイドラインでうたわれた平時のPKO、人道的国際救援活動、テロ、不正規型の攻撃や周辺事態に対処できるものにするということではありませんか。
海上自衛隊の補給本部の新設は、昨年の陸上自衛隊の補給統制本部の設置と並んで、周辺事態での自衛隊による米軍への補給、輸送、整備など、後方支援体制を一層強化するものではありませんか。防衛庁長官の答弁を求めます。
さて、総理は四月七日、新ガイドラインを実施するための関連法整備の骨格を了承しましたが、明らかにされた法整備の大要は極めて重大であります。
第一に、日本が米軍への支援、協力を行う周辺事態とは何か、周辺事態をだれが判断し決定するのかということについてであります。
この問題は国会で繰り返し議論になり、これまで政府は、周辺事態が仮に起きた場合には、その判断は日本が自主的に必要な国内手続を踏まえながら判断すると答弁してきました。
ところが、今回の大要では、周辺事態は認定することなく、なし崩し的に米軍協力を決定するというではありませんか。それはなぜですか。報道にあるように、いつの時点から周辺事態であると認定するのは難しい、周辺事態であるという認定と実施内容の決定という二段構えでは、差し迫った危機に機敏に対応できないというのですか。
米軍が周辺事態だと一方的に判断すれば、これまでの政府答弁で明らかなように、日米が緊密に協議して調整するので、米軍への協力を拒否するようなことはあり得ないのであり、結局、政府の決定で、自衛隊を初め政府機関、地方自治体、民間、挙げてこれに支援、協力させられることになるのではありませんか。
また、国会への報告は、基本計画の決定または変更があった場合のみとしていますが、これは、米軍が行う戦闘行動への日本の支援、協力を国会にも諮らず、政府が一方的に決定して、国民に押しつけるということではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
第二に、捜索・救難活動についてであります。
大要では、周辺事態において戦闘によって遭難した戦闘員、すなわち米兵を捜索・救難するとしていますが、これは通常の海難救助などとは全く性質の違うものであります。大要は、戦闘地域と一線を画された公海及び他国領海で行うとしていますが、他国の領海内まで出動しての行動が戦闘行動と無関係のような言い分は全く成り立たないのではありませんか。
また、捜索・救難活動、船舶検査活動、在外邦人の輸送における武器使用に関する規定について検討中といいますが、一体何を検討するというのですか。捜索・救難や船舶検査活動などで自衛隊が武器使用するということになれば、それはまさに日本が紛争の当事国になるということではありませんか。
第三に、機雷掃海の問題についてであります。
今検討されている機雷掃海は、停戦の合意がなされ、平和が回復した後、遺棄された機雷を掃海するというのとは全く別次元の問題であります。周辺事態で戦闘が行われているときに、相手国が戦闘行為の一環として自己防衛のために敷設する、それは戦闘行動を行っている米軍に対してのものであり、その機雷をいかなる名目であれ、自衛隊が出ていって掃海するという行為は武力行使そのものではありませんか。
政府は、これまで、我が国に対する武力攻撃があった場合、しかも必要な条件が満たされたときに初めて自衛権の発動ができると言ってきました。日本が何ら武力行使を受けていない周辺事態で、このように自衛隊が米軍と共同で行動し、後方地域支援を行うということがどうして自衛のための措置と言えるのか、明確な答弁を求めます。
第四に、ACSA協定についてであります。
大要は、日米共同訓練、PKO、人道的国際救援活動に限定されている現行ACSA協定を周辺事態に対応できる協定に改定するとし、米軍への物品提供に当たっては、武器弾薬を除くとしていますが、現行協定と同じように、武器部品の提供、武器弾薬の輸送は排除しないのではありませんか。
現行協定を締結する際に、政府は、これらは米軍の訓練などに限定しており、米軍の戦闘行動にかかわるものではないと強調しましたが、新ガイドライン別表の後方地域支援における物資の輸送について、防衛庁長官は、武器弾薬も含まれると答弁しています。武器部品の提供、武器弾薬の輸送を周辺事態において行うことになれば、これはまさに米軍の戦闘行動を直接支援するものではありませんか。答弁を求めます。
第五に、PKOで派遣された自衛隊の武器使用を指揮官の命令で行うことができるようにする法改正は極めて重大であります。
従来の憲法見解を百八十度転換し、政府が絶対に譲ることができないとしていたPKO法の前提条件である五原則を覆すことは断じて許されません。総理の明確な答弁を求めます。
最後に、私は、新ガイドラインに基づく自衛隊の再編強化に反対し、日本国憲法の平和原則を真正面からじゅうりんして進められている、周辺事態での米軍への日本の支援、協力を義務づける新ガイドライン立法作業の中止を強く要求し、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕