小林元の発言 (本会議)
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○小林元君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
私の地元であります茨城県は、動燃を初め原研といった原子力の研究開発機関が所在し、また、我が国で初めて商業用の原子力発電が行われた地であって、いわば原子力開発利用のメッカとも言えるところであります。
しかしながら、動燃は、敦賀市に引き続き東海村でもたび重なる重大な事故を起こし、さらにゆゆしきことに、それらの事故に関連して、虚偽報告や不十分な通報連絡といった不適切な対応が重ねて行われたのであります。「もんじゅ」事故の教訓が生かされていれば、昨年三月のアスファルト固化処理施設における火災爆発事故は防げたのではないかと思います。まさに、地元住民に対する裏切りともとれる事態でありました。
これまで原子力開発利用は、国民の理解と協力を得つつ、安全の確保を大前提として進められてきたはずです。このように、地元住民を初め国民の信頼に反し、ひいては原子力開発利用そのものへの不信感を招き、不安感を増幅したことは非常に遺憾であります。資源の乏しい我が国にとって、原子力は選ばざるを得ない選択肢の一つであるだけに、できるだけ早急に動燃を抜本的に改革し、損なわれた国民の信頼が回復されるよう努めることが最重要課題と考えております。
そこで、今回の動燃改革について、総理はどのように評価されているのか、また、国民の信頼回復への道筋をどのように考えているのか、お伺いしたい。
今回の改革は、動燃改革検討委員会の報告書を踏まえて取り組まれていると聞いています。その報告書においては、動燃の体質及び組織、体制について徹底的にチェックした結論を一言でまとめると、経営の不在としておりますが、これを改めることは非常に難しいことだと思います。しかしながら、これを乗り越えなければ動燃の再出発はあり得ないわけであり、我が国の核燃料サイクル確立に向けた研究開発の担い手を喪失することになります。
そもそも動燃改革は、法律をつくることによって実現をするといった性格のものではありません。あくまでこの法案は動燃改革の骨格を定めるものにすぎないのであって、真の意味での改革が達成されるかどうかは、実態的にどのような取り組みをしていくのかで決まるものと考えます。
そこで、動燃改革については、この法律改正以外にどのような取り組みが行われているのか、科学技術庁長官にお伺いしたい。
また、どんなに法律や制度を変えたところで、動燃の体質そのものが変わらなければ何の意味もありません。見せかけだけの改革に終わらせないためには、その閉鎖性を改善し、常に国民の目にさらされるよう、業務運営の透明性を確保しなければなりません。既に昭和三十年に制定されました原子力基本法において、民主、自主、公開の三原則がいち早く定められています。我が党初め野党四党は情報公開を最重要課題と考え、そのための法案を提出しております。
そこで、国民にわかりやすい情報の積極的な公開に向けて、国及び改組後の法人においてはどのように取り組みを行っていくのか、科学技術庁長官、先導的役割を果たしていただきたいと存じます。御決意を伺います。
今回の改正により、これまでの動燃の業務を抜本的に見直し、整理縮小するとともに、核燃料サイクルの技術的な確立に必要な業務に重点化されております。しかしながら、その整理縮小の内容を見ますと、既に実証炉の建設中止が決定していた新型転換炉開発や、民間により事業が円滑に進められる段階を迎えているウラン濃縮開発など、この改革以前にそもそも整理されるべきではなかったかと思います。まさに、これは科学技術庁及び動燃における問題の先送り体質のあらわれととらえることができるのではないでしょうか。
その意味で、今後の業務運営に当たってはスクラップ・アンド・ビルドを徹底するとともに、適時適切に業務の見直しが行われるべきと考えますが、総理の御所見はいかがでしょうか。
また、今回の改革に当たって、動燃における業務の肥大化が指摘されていることにかんがみれば、商業化のめどがつくなど民間で実施すべきものについては、核燃料サイクル開発機構においては業務として行えないように明確にすべきと考えますが、科学技術庁長官のお考えはいかがでしょうか。
今回の一連の不祥事については、その責任は動燃にあることは明らかです。しかしながら、監督官庁である科学技術庁の責任も重大であると思います。同罪だと言っても過言ではありません。そこで、動燃の一連の事故や不祥事を踏まえて、科学技術庁においてはどのように自己改革に取り組んでいるのか、科学技術庁長官にお伺いしたい。
次に、原子力政策について幾つかお伺いします。
プルサーマル計画については、プルトニウムの需給調整のための数合わせとの声があります。また、現段階においては、プルトニウム利用の主役である高速増殖炉の実用化についての見通しも立っておりません。使用済み燃料については、いわゆるワンススルーといった使い捨て路線をとっているアメリカのような国と、我が国のように再処理リサイクル路線をとっている国がありますが、その選択についてはもっと柔軟に対応すべきと考えます。
使用済み燃料が資源的な観点から価値があるものならば、資源の少ない我が国としては、それを有効に使っていくことは意義のあることと思います。しかしながら、現段階において、帳じり合わせが必要な再処理を行う必要はなく、将来、プルトニウムを有効に利用できる状態になるまで、使用済み燃料を再処理せずに保管しておくべきと考えますが、総理の御見解をお伺いしたい。
また、プルサーマルについては、諸外国においては二十年以上前から行われており、技術的に確立したものであるとも聞いております。「もんじゅ」事故への対応も進まない中、突然昨年二月に軽水炉でのプルトニウム利用を開始することが閣議了解されました。プルサーマルが余剰プルトニウムの帳じり合わせではなく本当に意味のあるものならば、我が国において核燃料サイクルの基本方針や、その中でのプルサーマルの位置づけをもっと明確にして推進すべきであると思うのですが、諸外国に比べ、我が国においてプルサーマルがおくれている理由について、科学技術庁長官、どのようにお考えでしょうか。
冒頭申し上げましたように、私の地元におきましては、国内初の商業用原子力発電所である日本原子力発電東海発電所が昭和四十一年以来、三十余年にわたる運転をこの三月三十一日に停止いたしました。原研JPDRの先例はありますが、今後は国内の商業炉では先例のない解体、撤去が行われると聞いております。
運転を終了した原子力施設を早期に解体、撤去することは、今後の原子力立地政策上非常に有効なことと考えます。しかしながら、当原子力施設の解体に伴って十六万トンの廃棄物が生じ、そのうち放射線のレベルが異なるさまざまな放射性廃棄物が二万三千トンと大量に発生いたします。そのレベルに応じた分類をするなど、いかに合理的に処理、処分をするのか、バックエンド対策を早急に確立する必要があります。
そこで、原子力施設の解体廃棄物の処分に関する基本的な考え方について、総理の御見解をお伺いしたい。
ただいま申し上げましたように、我が国初の商業用原子力発電所が営業運転を停止したところでありますが、現在稼働中の原発五十一基のうち、二十年を経過した原発は十三基に及んでおります。新規立地が容易に進まない状況下で、これらの発電所の耐用年数を少しでも延長したいと考えることは容易に想定できます。古くなった施設に関しては、新しい段階では余り問題とならなかったような項目についてまで十分にチェックする必要があるのではないかと思います。この問題は、それぞれの電力会社が個別に対応するといった性格のものではなく、国の方針として統一的に対処すべきものと考えます。
そこで、商業用の原子力発電所の高経年化対策については、十分な安全確保を図るため国による指針が必要と考えるが、総理の御見解をお伺いしたい。
これまで、幾つか原子力政策についてお伺いしましたが、今後の原子力政策につきましては、原子力委員会の定める原子力の研究開発及び利用に関する長期計画を基本としているものと理解しております。現行の平成六年に定められた長期計画は、その後の状況の変化に対応したものになっておりません。例えば、平成七年には新型転換炉実証炉の建設中止が決定されました。この動燃改革や高速増殖炉懇談会報告書の内容もいまだ反映されたものとはなっておりません。早急に長期計画を改定すべきと考えますが、原子力委員会委員長たる科学技術庁長官の御見解をお伺いしたい。
地元茨城県では、四月一日に原子力施設と県、市町村が締結している原子力安全協定が改正され、また、東海村では初めて原子力対策課が創設されまして対策の強化に努めております。
国においても、動燃による一連の事故や不祥事によって損なわれた、地元住民を初め国民の信頼が早急に回復されるよう、真の動燃改革の達成に向けたさらなる努力を強く要求するものであります。
最後に、阪神大震災、動燃事故、ペルー事件などが続発し、政府の危機管理能力の欠如が露呈し、また、住専問題や金融破綻が相次ぎ、橋本不況と断じざるを得ない深刻な状況にあります。臨機応変と称し、小出しのびほう策の連続で後手に回り、国民に何の希望も与えておらず、先行き不安は募るばかりです。
大河ドラマで登場する水戸藩主徳川斉昭は、日本一の藩校弘道館を開校しました。その弘道館において吉田松陰が尊敬しました会沢正志斎総裁のもとで、徳川慶喜は先見性、実践性、国家的視野を重視する水戸学の真髄を学んだのであります。
今、第三の国難の時代と言われておりますが、総理、進むも引くもあなた御自身の選択であります。武士道を重んずる橋本総理、慶喜に学び、国家国民のため、身を捨てて大政奉還を決断すべきことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕