松あきらの発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○松あきら君 公明の松あきらでございます。
 私は、公明を代表しまして、ただいま議題となりました原子力基本法及び動力炉・核燃料開発事業団法の一部を改正する法律案につき、総理並びに担当大臣に質問をいたします。
 昨年十二月、地球温暖化防止京都会議におきまして、温室効果ガス削減率などを内容とする議定書が採択されました。CO2を削減することは、これ以上化石燃料をエネルギー源としないこととも言えます。
 しかし、私たちの生活は電力なしには瞬時も成り立ちません。一般家庭に普及している家電製品の待機電力だけでも百万キロワットの発電所一基を必要とするとも言われております。豊かな生活を求めてますますその需要がふえることが予想されます。
 既に日本の電力の三分の一は、原子力発電が国民生活を支えている今日、日本のエネルギーの将来について、化石エネルギーから原子力エネルギーにそのほとんどを頼ることにするのか、新エネルギー、代替エネルギーの研究開発に本格的に着手するのか、ここで改めて中長期のエネルギー政策の見通しが真剣に検討されなければなりません。総理の御所見を伺いたいと思います。
 さて、原子力が日本の将来のエネルギーとして期待されていても、平成七年十二月に高速増殖炉「もんじゅ」において、また、平成九年三月にアスファルト固化処理施設において事故を起こし、さらに、それらに関連して、虚偽の報告や不十分な通報連絡といった一連の不適切な対応を行ってきたことから、国民の原子力に対する信頼感は大きく損なわれました。原子力は何か恐ろしいもの、危ないもの、えたいの知れないものといった認識は国民の一般的な感想であると思います。政府は、原子力に関して情報を積極的に開示していくという姿勢に欠けていたからです。
 十分な情報開示と安全対策こそが国民の安心感と信頼感を育て、それは原子力に対する国民の合意形成へとつながっていくと思っております。原子力に対する国民合意形成への努力と決意を総理にお伺いいたします。
 次に、プルトニウム利用政策についてお伺いします。
 エネルギー資源の乏しい我が国としては、ウラン燃料の有効利用を図る観点から、原子力発電所から出てくる使用済み燃料を再処理し、そこから取り出されるプルトニウムを有効利用することを基本としております。その一環として、現在、軽水炉でプルトニウム燃料を燃やすプルサーマル計画が具体化しつつありますが、プルサーマルの安全性、必要性について、地元住民を初め国民に対し、全くといってよいほど浸透しておりません。
 政府が前面に出て、核燃料サイクルの必要性、プルサーマルの安全性などについて、地元では説明を始めているようですが、電力の大消費地でもきちんと説明すべきであると思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 二月にフランスでは、高速増殖炉スーパーフェニックスの放棄が決定されました。フランス以外にも、既にアメリカやイギリスなど先進国が相次いで撤退する中、我が国だけが研究開発を進めていくのか。しかも、昨年十二月に原子力委員会が取りまとめた高速増殖炉懇談会の報告書では、現行の原子力長期計画に明記されていた実用化時期など、具体的なスケジュールが記述されておりません。このような不透明な中で、なぜ巨額の国費を投入して研究開発を進めていくのか、その意義を、総理、国民にお示しください。
 国民の皆さんは、核物質は高度な知識と経験を持った方々によって、厳重な管理のもとに置かれているに違いないと信じております。しかるに、八つの国立大学において、国の承認を得ていないウランやトリウムが約千五百個、約五十四キロも放置されていたということが、先日、判明いたしました。私たちが最も信頼してきた大学の管理のいいかげんさもさることながら、新聞に取り上げられながら、調査もせず放置していた国の責任は重大です。また、管理を甘く見る雰囲気が大学にあるのであれば、これもゆゆしき問題です。
 また、去る九日には、原子炉の構造材料などの試験をする日本核燃料開発という企業において、放射能を帯びた試験用の金属材料片が十九個もなくなっていたばかりか、紛失したことを何カ月も国に報告しなかったということも判明いたしております。
 これらは、いずれも原子力関係者の意識の低さのあらわれであるばかりか、このようなことは、国民が原子力利用に不信を抱く原因となります。原子力政策を語る以前の基本にかかわる問題であると思います。総理及び国がまず意識を変えるべきです。総理及び文部大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
 次に、動燃の今後のあり方についてお伺いします。
 まず、動燃の情報公開についてであります。
 動燃の情報公開指針については、動燃の研究成果発表程度のものとの評価がなされております。本当に情報公開で望まれていることは、経営の実態、科学技術庁、通産省とのやりとりである通達、指示、報告などについてであると思います。特に、事故隠しや情報改ざんなどにより信用を失墜した後ということを考えれば、経営及び管理にかかわる実情がわかるような資料も公開の対象とすべきと考えますが、科学技術庁長官、いかがでしょうか。
 次に、新法人の事業の撤退に係る雇用問題についてお伺いします。
 新法人が新型転換炉、ウラン濃縮、海外ウラン探鉱から撤退するとのことですが、撤退に際して、これまで動燃の事業に協力してきた地元の意向も十分に反映させる必要があると考えております。
 聞くところによれば、跡地に宇宙ごみ監視施設を建設するなど、計画が報道されておりますが、新型転換炉「ふげん」の立地している福井県、ウラン濃縮原型プラントの立地している岡山県ともに、事業撤退に伴う経済影響や雇用を懸念しているとのことです。円滑なる事業の撤退に向けて、地元の方々の雇用など心配のないよう、しっかり対策を講ずるべきです。こういうことをしっかり手当ていたしませんと、今後どこも国の原子力政策に協力をしなくなると思います。総理、お約束願えますか、お伺いいたします。
 最後に、平成八年に科学技術基本計画が策定され、五年間で十七兆円の規模まで引き上げるということで、科学技術にとって一見追い風の状況になっております。
 しかし、一方、国及び地方が五百兆円近い長期債務を抱え、財政構造改革が急務となっている現在、国としてどの分野にどれだけの予算を重点的に配分し、プロジェクト完成までどれだけの期間かけるのか、国家的な戦略的判断が当然なされなければなりません。特に、科学技術の研究開発に要する費用は莫大なものがあります。科学技術研究開発だからといって、あらゆるところに漫然と予算がつけられるようなことはいつまでもやっていてはいけないと思います。
 このような見地から、科学技術戦略は、国家戦略として、だれがどういうシステムで今後構築していくのか、総理に御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114215254X02219980422_014

発言者: 松あきら

speaker_id: 31948

日付: 1998-04-22

院: 参議院

会議名: 本会議