荒木清寛の発言 (本会議)

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○荒木清寛君 私は、公明を代表して、内閣提出の財政構造改革法改正案及び平成十年分特別減税関連三法案の四法案に、いずれも反対の立場から討論を行います。
 現在、日本経済は、消費の低迷に伴い企業収益が低下し、それが雇用の悪化や所得減少を通じてさらに消費が低迷するというデフレスパイラルに直面しております。金融不安、雇用不安に加え、社会保障に対する不安が重なり、消費者の消費性向は低下の一途をたどっています。政府が経済対策を打ち出したものの、消費回復の兆しは全く見えず、それどころか株価は低迷を続け、為替は一段と円安傾向を強めております。さらに完全失業率は過去最高の四・一%を記録しました。
 こうした事態を招いたのは、言うまでもなく橋本内閣の財政経済運営に関する失政です。消費税率引き上げ、特別減税打ち切り、医療制度改正等により国民に九兆円の負担増を強行したのに加え、昨年秋には景気低迷が明らかになっているにもかかわらず、財革法の成立を強行いたしました。その後、橋本総理は、昨年十二月に突如二兆円減税を公表した一方で、財革法に基づくデフレ型の十年度当初予算を提出し、無理やり成立を図ったのであります。ところが、予算成立直後に記者会見を行い、財革法改正を含む経済対策を公表いたしました。全く一貫性のない行動であり、どのような政策理念に基づいているのか理解ができません。ブレーキとアクセルを同時に踏む愚行と言わざるを得ないのであります。
 橋本内閣が将来の財政再建に固執する余り、当面の景気や経済に対し気配りを欠いたことが今日の不況を招いた最大の原因であることを、私は委員会審議の場で指摘いたしました。この指摘に対し、総理は、その指摘は甘受せざるを得ないと答弁されましたが、これまでの経済無策ぶりを本当に反省したとは到底思えないのであります。
 以下、財政構造改革法改正案を中心に、四法律案に反対する主な理由を申し上げます。
 第一は、橋本総理の経済運営に対する政策判断の誤りが明確にされていないからであります。
 昨年秋の財革法審議、平成十年度デフレ予算の審議に当たり、我々野党は景気回復の施策をたびたび進言したにもかかわらず、総理は一切耳をかそうとはしませんでした。それにもかかわらず、総理は、前言を翻し、景気対策として十年度補正予算を含め関連法律案を提出されたのであります。この政策判断の重大な誤りについて、総理は一切の責任を回避しておられます。これでは国民が橋本政権を信用しないのはけだし当然です。政府案に賛成することは到底できないのであります。
 第二は、財革法の改正が不十分であるからであります。
 我々は、財政再建偏重路線から景気重視路線へと政策転換が行われたことを内外に鮮明になるよう、財革法の執行を凍結すべきであると主張してまいりました。しかし、改正案はそこまで踏み込むことを避けております。この結果、今後も当初予算は緊縮型とならざるを得ず、予算編成や当初予算審議期間中は機動的かつ果敢な景気対策が打てないということにならざるを得ません。
 第三に、この結果、財革法の制約を受けない補正予算が当初予算と同時並行で策定され、建設国債に依存した従来型公共事業追加予算が組まれるという構造的欠陥が温存されることになります。このような補正予算の常態化が続くようなことがあれば、財政法第二十九条が有名無実の規定になってしまうだけではなく、財政構造改革そのものが根本的に否定されることになってしまうのであります。
 第四に、今国民が最も求めている恒久減税が政府案ではできないということであります。
 現在のデフレ型の不況は、消費の低迷がその最大の要因であることは論をまちません。一時的な可処分所得の増加、すなわち、特別減税では国民の消費拡大は望めず、長期的な所得拡大、恒久減税こそが求められておるのであります。同時に、恒久減税を決断することが、むだな公共事業の中止を含め、不要不急の歳出の大胆な削減を行うためのインセンティブとなり、経済に活力を与えることになるのであります。
 第五に、今回の改正で財政再建目標を当初の二〇〇三年度から二〇〇五年度へと二年後送りしていることであります。
 財政再建の目標年度は目標値と同じ重要性を持つものであり、これを後送りしたということは、財革法の基本的な枠組みが既に破綻したことを示しているのであります。しかも、大蔵省が十年度補正予算編成後に国会に提出した財政事情の試算に示された今後の要調整額の推移を見ても、目標年度の再度の延長も必至であります。このような事態となれば、国民の政治不信を一層増幅する結果となることは明白です。
 第六に、社会保障関係費だけ平成十一年度においてのみキャップを外すことにしておりますが、場当たり的な改正と言わざるを得ません。そもそも、財政再建の名のもとに福祉の切り捨てを行うことは言語道断、本末転倒であり、このような不当な制約は直ちに撤廃するべきであります。
 なお、政府が提出している減税関連三法案は、本年度に新たに二兆円の特別減税を追加しているにすぎません。公明が主張している恒久減税六兆円、四兆円の商品券の支給という十兆円の大型減税と比較して規模が小さく、単年度限りの一時的な措置であり、景気浮揚効果は期待できません。我々の主張とは大きな隔たりがあり、賛成できません。
 財政構造改革を全うする上で大切なことは、経済の再建なくして財政の再建なしとの原則です。現在のような出口の見えない経済不況の真っただ中で、なおかつクラウディングアウトも起きていないときには、財政を拡張的に運営するのが経済政策の鉄則であります。中途半端な財革法の改正は直ちにやめ、我々の主張するように財革法を凍結し、今こそ集中的な財政政策、景気対策を優先させるべきであります。
 そうした意味で、橋本内閣の退陣こそが最大の景気対策であることを訴え、討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 荒木清寛

speaker_id: 13126

日付: 1998-05-29

院: 参議院

会議名: 本会議