不破哲三の発言 (本会議)

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○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、小渕首相に質問するものです。
 まず伺いたいのは、首相が、さきの参院選での国民の審判をどのように受けとめているかであります。
 自民党は、比例代表選挙では得票率二五%、投票した有権者の四分の一の支持しか得られませんでした。大都市部では、自民党候補はほとんど全滅しました。自民党の政治に対する国民の批判が、これだけ鮮明に噴き出したことは、かつてなかったことであります。ところが、首相は、この選挙結果について、所信表明演説で、国民が我が国の経済情勢を極めて深刻に感じていることのあらわれだと指摘するにとどまりました。
 首相、あなたの耳には国民の強い批判の声が聞こえていないのですか。もし聞こえているとしたら、首相は、自民党政治のどこが国民に批判され、その審判を受けたと考えているのか、そして、どのような反省を行い、自分たちの政策のどこをどのように変えようとしているのか、選挙戦の審判を受けた政権党の党首としての責任ある見解を伺いたいのであります。(拍手)
 国民の不安と批判が集中したのは、何よりも今日の不況の問題でした。
 経済情勢は、今日ますます深刻の度合いを深めています。その特徴は、国民の家計消費の冷え込みを最大の内容とする消費不況の性格がいよいよ浮き彫りになってきたことであります。それなのに、橋本前内閣は、国民の消費を拡大する真剣な手だてを講じないまま、ここに不況対策の最重点があるとして、銀行業界への支援に三十兆円に上る国民の税金をつぎ込む、こういう枠組みをつくり上げました。
 私たちは、選挙戦で、今政治に問われているのは、大銀行の応援団になるのか、それとも国民の消費の味方になるのかの選択だと訴えました。ある新聞は、選挙後に、共産党のこの問題提起が選挙戦の政治対決の軸をつくったと書きましたが、この訴えが多くの有権者の共感を得たというのは、全国各地を歩いての私自身の実感でもあります。
 ところが、今、小渕内閣は、国民の審判を受けた橋本前内閣の政策をそのまま実行しようとしています。首相は、自分の内閣を経済再生内閣と名づけました。しかし、消費不況を打開して日本経済を再生させようという政策は、演説のどこにも見当たりませんでした。そこにあるのは、金融システムの再生、つまり、国民の税金の投入によって銀行業界を支援しようという、大銀行の応援団の立場に徹したものではありませんか。
 もちろん、不良債権問題の解決は、今日の緊急課題の一つであります。しかし、このことだけに熱中して、それが不況対策の中心だとするのは、日本経済の現実を余りにも無視したものと言わなければなりません。(拍手)
 現実はますます深刻化する消費不況であり、それを引き起こした最大の責任は、消費税増税など昨年の九兆円国民負担増の政策にあります。日本銀行や政府の経済企画庁の最近の報告も、景気悪化が、昨年四月、消費税引き上げとともに始まったことを事実として認めています。
 その上に立って伺いたい。
 第一。首相、あなたは、現在の不況が消費不況の性格を持っていること、また、橋本内閣の国民負担増九兆円の政策が、少なくともその有力な原因となったこと、この政策が日本経済の誤ったかじ取りとなったことを認めますか。
 第二。消費不況の打開のためには、国民の消費を拡大する積極的な施策が必要であります。小渕内閣は、この点でどのような政策を持っているのですか。首相の演説を聞いた限りでは、この点では無策としか思えません。国民の消費拡大への積極策をお持ちであるならば、ぜひ説明を願いたいと思います。
 首相の演説によると、いわゆる恒久減税の実施を景気対策として位置づけているようにうかがえました。しかし、その内容は、景気対策どころか、国民の消費をさらに冷え込ませる、不況推進型の政策と言わざるを得ません。
 首相は、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税の実施を国民に公約しました。これを聞いた多くの人々は、当然自分もその減税の対象となると考えます。しかし、あなた方が示した大枠に基づいて各方面で試算した結果は、減税となるのは一部の法人とごく一部の高額所得者だけで、国民のほぼ九割は、特別減税が打ち切られるために、所得税、住民税が増税になるという予想で一致しています。減税とは名前だけ、国民の圧倒的多数には増税を押しつけるというのが政府の提案だとしたら、余りにも国民をばかにした話ではありませんか。(拍手)
 首相の言う恒久減税は、国民の全体に現実の減税をもたらすものなのか、それとも減税は一部に限られるのか、そうであるとしたら、国民のどれだけの部分が増税になるのか、国会の場で減税を公約した以上、首相にはその実際の内容を明確にする義務があります。はっきりした答弁を求めます。
 その際、特別減税は別だという言い逃れは許されません。一年だけの特別減税であっても、それは政府自身が提案し、現に実施されている減税であって、それが今年度、国民が負担している現実の税金であります。国民の生活にとっては、その水準から税金が減るのかふえるのかが問題であります。来年度の税金がその水準からふえるとなれば、それが国民生活に新たな重圧を加えることは明瞭ではありませんか。
 そして、政府の減税案なるものが、国民の大多数には増税だというものであるならば、それが国民生活に破壊的な影響を及ぼすと同時に、国民の消費をさらに冷え込ませ、消費不況をさらに悪化させることは明白ではありませんか。首相は、この消費不況のただ中に国民に増税を押しつけて景気を悪化させるという誤りを、再び繰り返すつもりなのですか。首相の真意をただすものであります。
 しかも、政府は、国民に増税を求める一方、二兆数千億円にも上る大幅な法人税減税を行おうとしています。これは全く許されないことです。
 法人税については、政府の税制調査会法人課税小委員会の報告でも、日本では企業の利益の中で課税の対象となっている範囲が狭いという問題、いわゆる課税ベースの問題があり、その問題と切り離しての国際比較は適切でないこと、現時点で法人課税の軽減を行う環境にはないということが指摘されていました。
 その報告さえ無視して、六兆円以上という減税財源の約四〇%を大企業減税に振り向けるというのは、余りにも公正さを欠いた、国民踏みつけのやり方ではありませんか。
 政府が真剣に景気打開の見地から減税に取り組むというのなら、このような大企業や高額所得者だけの減税方針は取りやめて、庶民のための減税に徹すべきであります。
 そして、何はおいても今優先的に取り組むべきものは、消費税の減税であります。国民世論の多数は、以前から景気対策への第一の要求として、消費税減税を挙げてきました。選挙の後で実施された日本経済新聞の世論調査でも、景気対策への要望の第一が消費税の減税で、五四・七%がその実施を要求しています。
 それにはそれだけの根拠があります。
 第一に、この数字が示しているものは、消費税増税が毎日の買い物に直接の圧力を加え、我が家の消費を抑制していることを、国民の多くが生活の実態から実感しているという現実にほかなりません。
 第二に、消費税減税は、減税分が消費の拡大に直結することを、税制の仕組みから直接に保障されている唯一の減税の方式であります。どの世帯にとっても消費を拡大すればするほど減税の効果が広がるというのがその特徴でありますから、消費拡大への効果ははっきりしております。
 第三に、消費税減税を決断することは、日本が消費の拡大という本格的な不況対策にそれだけの真剣さを持って取り組み始めたことを、内外に強力に発信する意義を持ちます。それが衝撃的な波及効果を持つことは間違いないでしょう。(拍手)
 私たちは消費税の廃止を目指す政党ですが、以上の立場から、税率を増税前の三%に戻す消費税減税を、景気打開への緊急対策として提唱してきました。もちろん、将来的にどんな税制像を目指すかについて言えば、政府にも我が党以外の野党にもそれぞれさまざまな立場がありますし、それはそれとして時間をかけて議論をすべきことであります。しかし、日本経済の現状は、不況打開のためにこれが有効で必要な措置だとなれば、将来像の違いをわきに置いても、それに大胆に取り組むことを求めているのではないでしょうか。
 その見地から、私は、多くの国民に増税をもたらすような、そして消費を冷え込ませ、景気をさらに悪化させることが目に見えているような今の政府案ではなく、消費税減税の実施を真剣に検討することを政府に求めたいと思うのであります。(拍手)
 私たちは、消費税減税に加えて、所得税、住民税についても庶民に手厚い恒久減税を行い、合わせて七兆円規模の減税を提唱しています。特に、国民の家計消費の拡大が重要な現在ですから、この面でも、庶民に手厚い減税の方式を選ぶことが大切であります。
 首相、消費税減税を求める国民の声は本当に切実であります。それはまた、不況の打開という日本経済の要請にもかなっています。政府が、これまでとってきた政策的な立場にこだわらず、この問題を真剣に検討することを重ねて要望するものであります。(拍手)
 そして、どんなに国民の強い要求があってもこれを拒否するというのであるならば、その理由と根拠を、国民の前に明らかにしてもらいたいのであります。
 次に、金融対策の問題に進みます。
 不良債権の処理は、政府と銀行業界の先送り政策によって余りにもおくらせられてきました。しかし、そのおくれを取り戻すためだからといって、何をやってもいいということにはなりません。今回政府が提案している処理方式は、国民と日本経済にとって多くの重大な問題をはらんでいます。
 第一に、不良債権処理に当たっての最も重大な政治問題は、その費用、つまり銀行などが引き起こした不始末の穴埋めをだれの負担でやるのか、その穴を公的資金、つまり国民の税金で埋めるのか、それとも銀行業界の自己責任、自己負担で埋めるのかという点にあります。
 日本共産党は、銀行などが引き起こした不始末の処理に国民の税金を投入することには、厳しく反対するものです。この立場は、アメリカなどでは既にルールとして確立している原則であります。
 アメリカは、八〇年代から九〇年代にかけて、深刻な金融危機に苦しみました。公的資金の投入を政策とした時期もありますが、それはアメリカの経済と財政に重大な痛手を負わせました。その教訓に立って、九一年の法律で、公的資金の投入を禁じ、必要な費用は銀行業界の自己責任、自己負担で賄うという原則を確立し、税金の投入なしに危機を解決したのです。ブリッジバンクの制度も活用されましたが、それには一ドルの税金も使われませんでした。首相は、アメリカのこの経験と教訓をどう考えますか。そこから学ぶところがあるとは思いませんか。
 政府の今の提案は、これとは全く反対の立場に立っています。それは、肝心の銀行業界には負担増を一切求めない、すべての処理を公的資金の投入、すなわち専ら国民の税金によって賄おうというものであります。
 首相、政府は、住専問題への公的資金の投入が問題になった二年前の国会で、これ以後は公的資金の投入は絶対にやらないと公約しました。また、今日の不良債権問題について、大蔵省幹部が、今の銀行業界には全体としてそれを処理する体力があると答弁したのは、わずか七カ月前のこの国会においてであります。
 それなのに、政府は、どうしてその銀行業界に不良債権処理の負担増を求めないのか、また、国際的な教訓も無視して、政府自身の公約も踏みにじり、すべてを国民の税金で賄うという暴挙になぜ固執するのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二は、不良債権処理についての政府の提案が、問題の金額的な規模を全く示していないことであります。
 政府は、処理すべき不良債権の総額はどれだけあると見積もっているのか、また、公的資金の投入がどれだけの規模で必要になると見通しているのか、それが問題であります。公的資金を使っての不良債権の処理を国会に提案する以上、あなたには、これらの金額的な枠組みを国会と国民に説明する義務があります。
 三十兆円で足りなければ幾らでも積みますよ、これは、就任の翌日、新聞インタビューに答えた宮澤蔵相の言葉であります。金額的な規模を示さず、税金投入の仕組みだけをつくるという政府のやり方は、この言葉のとおり、状況のいかんでは無制限に税金を投入できる、底なしのパイプをつくることになるではありませんか。(拍手)
 次に、財政の問題であります。
 政府は、いわゆる恒久減税についても、銀行応援の三十兆円にしても、特別の財源対策を立てず、主として赤字国債の増発などに頼るとしています。将来の増税を必至とするこんなやり方で本当の経済対策になるか、こういう強い不安と危惧の声が既に多くの方面から上げられています。私も全く同感であります。
 日本の財政の危機的な現状は、一刻も放置できるものではありません。日本経済の現在と将来を真剣に考えるならば、景気対策を積極的に進めながら、財政危機の悪化を防止する政策をとることが必要です。また、社会保障の積極的な拡充策をとることも、国民の将来的な生活不安を取り除くために緊急、切実に要求されていることであります。
 これらの課題をあわせて解決していくためには、世界からもその異常さが指摘されている、ゼネコン型公共事業中心の逆立ちした財政の構造を正すことが、いよいよ急務となっております。
 ここ数年来、日本の財政では、国と地方を合わせて、公共事業への財政支出は約五十兆円、社会保障への公的支出は約二十兆円という状態が続いています。これは資本主義諸国でも極めて異例なことで、公共事業への財政支出は、ヨーロッパ諸国やアメリカの水準を数倍も上回るものとなっています。これこそが、一方で今日の財政破綻を引き起こし、他方では社会保障への公的支出を欧米諸国の三分の一、四分の一という低水準に押し下げている、その最大の原因となっているものであります。
 私たちは、公共事業最優先のこの逆立ち財政を世間並みの社会保障優先の財政に改めることを財政再建の大目標に据え、十カ年計画でこれを段階的に改革していく方針を立てています。この転換に踏み出せば、消費税減税などについても、その第一年度の財政改革によって、赤字国債の増発によらずに実行することができるし、財政再建の道を進みながら、同時に社会保障の充実という国民的な課題にこたえていくことも可能となります。
 首相は、日本経済再生への決意を繰り返し表明しましたが、公共事業優先という異常な道から社会保障優先という普通の道へ財政のかじを切りかえ、国民とともに日本経済の民主的な再生への道を探求する意思はありませんか。
 現状を憂慮しているのは、私たちだけではありません。
 先日、財界団体の一つである経済同友会が六月八日に発表した公共事業改革の本質という提言を拝見しました。そこでは、既得権益の集約となって壮大なむだを生んでいる公共事業の現状が厳しく批判され、一、公共事業の全体の規模の縮小、二、巨額な公共事業費の根拠となってきた長期計画の廃止など、一連の思い切った改革が提唱されていました。
 首相、基本的には自民党政権を支援する立場に立っている財界団体の目から見ても、ゼネコン中心の公共事業への政府・自民党の異常な打ち込みぶりは、もう我慢のできないところへ来ているのであります。この問題についての首相の考え方を聞きたいと思います。(拍手)
 次に、日中関係の問題です。
 私は、参院選直後に中国を訪問し、六月に結ばれた関係正常化の合意を踏まえて、中国共産党の江沢民総書記・国家主席と会談してきました。その際、私は、国交正常化以後二十六年の歴史を踏まえ、また二十一世紀を展望して、日中関係がよるべき立脚点として、次の五つの原則の提唱を行いました。
 第一、日本は、過去の侵略戦争を厳しく反省する。第二、日本は、国際関係において、一つの中国の立場を堅持する。第三、日本と中国は、互いに侵さず、平和共存の関係を守り抜く。第四、日本と中国は、どんな問題も話し合いで平和的に解決する。第五、日本と中国は、アジアと世界の平和のために協力する。この五原則であります。まず、この五原則について、政権の責任者としての首相の考えをお聞きしたいと思います。
 私が、侵略戦争への反省と一つの中国の問題を冒頭に強調したのには、理由があります。それは、どちらも特別に日本の責任にかかわる重大問題であると同時に、この二十六年間、この問題で日本側に原則を踏み外す動きが出てきたときには、必ずそれが日中関係の波乱となってあらわれたからであります。
 第一に、日本が中国に対して行った侵略戦争は、中国国民に与えた被害の大きさからいっても、戦争の期間の長さや侵略した領土の規模の大きさからいっても、二十世紀の世界の歴史の中で最も際立ったものでした。この侵略戦争への真剣な反省なしに、本当の意味での中国との友好はもちろん、アジア諸国との友好もあり得ません。この侵略戦争への反省をどう考えているのか、首相の責任ある見解を改めて伺いたいと思います。(拍手)
 新しい内閣を組閣するとき、いつも過去の歴史の認識をめぐる閣僚の発言が問題になります。今回もそれが繰り返されました。それは、根本をただせば、日本が中国に対して行った戦争を侵略戦争と認めず、その事実を歴史から消し去ることを主張する有力な潮流が、自民党内部に、組織的にもさまざまな形をとって存在しているところに、何よりの問題があります。
 この状態を放置していたのでは、政権党として、日中関係に責任を持って対処することができないのではありませんか。そして、その責任を果たすためには、侵略戦争と植民地支配への反省という問題で、党内にある歴史認識の混迷を正し、党としての見解の統一を図る必要があるのではありませんか。あなたが、自民党の総裁として、決意を持ってこの問題に取り組む用意があるかどうか、伺いたいのであります。(拍手)
 第二の、一つの中国の立場とは、台湾を中国の領土と認める立場をあらゆる国際関係で貫くという問題です。台湾は、今から百三年前、日本が中国から奪って自分の植民地とし、戦後、ポツダム宣言の受諾とともに中国に返還した中国の領土であります。ですから、日本は、世界の他のどの国よりも、台湾問題で原則的な立場を貫く特別の責任を負っています。
 今、ガイドライン問題をめぐって、台湾とその周辺地域をガイドライン発動の範囲内に含めるかどうか、これが重大問題になっています。
 この問題では、政府は、一九六〇年の安保国会で、安保条約で言う極東の範囲内に台湾とその周辺を含める答弁を行いました。それが今でも安保条約の有効な解釈だとされ、ガイドライン論議にも引き継がれていますが、私は、ここには重大な時代錯誤があるということを指摘したいのであります。
 政府が、台湾を安保条約の対象地域とする見解を示したのは、日本もアメリカも、台湾の政権を中国の正統政権とする誤った立場に立って台湾と国交を結び、アメリカは台湾と相互防衛条約を結んでいた時代でした。しかし、その後、七〇年代の初めにアメリカも日本も対中国政策の大転換を行いました。両国とも、台湾との外交関係を絶って中国と国交を結び、一つの中国の立場、すなわち台湾を中国の領土の一部とみなす立場を認めるに至ったのであります。まじめにこの立場に立つなら、台湾やその周辺を安保の対象範囲とする以前の解釈が、もはや成り立ち得ないことは明白であります。あえてそれに固執すれば、一つの中国を否定して中国の内政問題に手を出すという、国際的に全く道理のない立場に立たざるを得ないことになります。(拍手)
 首相、国際関係の道理をまともに考えるなら、過去の誤った遺産はきっぱりと投げ捨て、台湾とその周辺は、安保条約の対象範囲からも、ましてやガイドラインの発動範囲からもきっぱりと外す、こういう立場を鮮明にすべきではありませんか。そうしてこそ、将来に向けての日中関係の安定した発展が可能になることを指摘して、首相の見解を問うものであります。(拍手)
 次に、核兵器の問題ですが、首相、あなたは所信表明演説で、核兵器のない世界を目指し、世界に向けイニシアチブを発揮することについて語りました。あなたのこの言葉が真剣なものであるなら、まずその第一歩として、国連総会での日本代表の行動に検討を加えるべきではありませんか。
 昨年の国連総会で、非同盟諸国から、期限を切った核兵器廃絶のための交渉を求める決議案が提案され、賛成百九、反対三十九、棄権十八の多数で採択されました。アジアでは二十二カ国がこの表決に参加しましたが、核保有国である中国を含めて二十カ国が賛成の態度をとりました。アジアの国で核兵器廃絶のこの決議に背を向けたのは、日本と韓国、韓国は金大中政権以前のことでしたが、この二カ国だけでした。核兵器使用禁止決議案の採択でも、同じことが繰り返されました。
 これは昨年だけのことではありません。期限を切った核兵器の廃絶や使用禁止の決議案が、国連総会に提案されるとき、日本政府はいつも棄権の態度をとってきました。被爆国民の代表でありながら、国連という国際政治の場で、核兵器廃絶の世界的な流れに逆らう態度をとり続けるとは、余りにも情けないことではありませんか。
 核兵器のない世界を目指すという立場で、この問題の真剣な再検討を行うことを強く求めるものであります。(拍手)
 最後に、私は、首相に、解散・総選挙への決断を求めるものであります。
 首相、あなたは衆議院での多数によって首相に選ばれましたが、自民党が、現時点での国民の審判で二五%、国民の四分の一の支持しか得られなかったことは厳然たる事実であります。しかも、あなたは、選挙で国民が支持しないと表明した前内閣の政策をそのまま受け継ぎ、何事もなかったかのような態度でそれを実行に移そうとしています。国民主権が憲法で宣言されている日本で、最初から国民の支持を受けず、民意に逆らった政治を強行しようとする内閣の存続が、許されるはずはありません。(拍手)
 私は、この国会での代表質問及び予算委員会総括質問を通じて、当面する諸問題に対する自民党と政府の立場、また野党それぞれの立場を国民の前に明らかにした後、直ちに国会を解散して、総選挙で国民の意思を問うことを強く要求して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕

発言情報

speech_id: 114305254X00519980811_015

発言者: 不破哲三

speaker_id: 31749

日付: 1998-08-11

院: 衆議院

会議名: 本会議