浅野勝人の発言 (本会議)
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○浅野勝人君 私は、自由民主党を代表して、朝鮮民主主義人民共和国が日本の上空を通過する軌道で弾道ミサイルを発射したことに関連する政府の対応策について質問いたします。
朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮は、旧ソビエト製のスカッドミサイルを改良して開発したノドン一号の試射以来、五年ぶりに、八月三十一日昼、新しい弾道ミサイルを発射しました。このミサイルは、北朝鮮の東部沿岸の大浦洞、朝鮮語の地名テポドンから発射されて、千数百キロ離れた三陸沖の公海上に着弾しました。
ノドンから五年間。北朝鮮のミサイルシステム技術の進歩には、正直のところ、目をみはるものがあり、北朝鮮の軍事技術レベルを侮っていた思いがいたします。けだし、軍事技術のレベルが上がれば上がるほど、他国に与える脅威の強さに比例することを忘れてはなりません。
事前の通告なしに、他国の領域を通過するのを承知で、弾道ミサイルを発射した例を私は知りません。通常は、予想弾着地点の安全のため、事前に関係国ないしは関係地域に詳細な連絡をするのが国際慣例であります。今回はどうであったか、およそ見当はつきますが、改めて実態を伺っておきます。
なぜなら、一つ間違えば、日本列島にミサイルが落ちたかもしれないからであります。それを承知で発射したことは、明らかな敵対行為です。みだりに事態をあおるつもりはありませんが、防衛出動の要件となっている、攻撃のおそれがある場合に該当すると言えなくもありません。
無論、脅威の対象となるのは日本だけではありません。射程二千キロ内外ということは、日米安保条約で言う極東に存在する大方の米軍基地を含めて、カムチャツカ半島からウランバートル、香港、台湾、さらにはフィリピンの北部まで入りますから、北東アジア全域に与える脅威ははかり知れないものがあります。
政府は、一日経過して、安保会議議員懇談会を開きましたが、情報入手とともに、間髪を入れず招集すべきではなかったでしょうか。政府の危機意識がこれでは、強烈なメッセージとして国の内外に伝わりません。鋭く反応し、北朝鮮への強硬な抗議はもとより、バイとマルチの場を問わず、あらゆる機会をとらえ、総力を挙げて国際世論に訴えるべきなのに、その気迫が足りません。
何の目的で無謀な試みを強行するのか、想像するしかありませんが、おととい、防衛庁に韓国の千国防部長官を迎えて、日韓防衛首脳会談が行われました。その直前のミサイル発射は、これを強く意識したものと私は見ておりまして、日韓両国が中心となり、アメリカ、中国を含めて緊急に協議すべきであります。あわせて、国連の安保理事会に提起して、国際世論を喚起する手はずに抜かりはないか、念を押させていただきます。
さらに、日本独自の対応として、日朝正常化交渉の予備会談、それに伴う北朝鮮への経済協力、食糧援助のあり方、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOへの対応などにどのように対処するつもりか。二回目の発射の可能性への対処を含めて、政府の決意を伺っておきます。
もう一つ重要な側面は、核を含む大量破壊兵器を運ぶ弾道ミサイルを拡散する問題であります。
アメリカは、北朝鮮のミサイル輸出を懸念して、しばしば弾道ミサイルの開発と輸出を中止するよう求めてきましたが、北朝鮮は、ミサイルの配備と輸出をやめさせたいのなら、米朝関係を正常化し、中止に伴う補償をすべきだと主張して、輸出の拡張を表明し、とても国際社会の一員としての自覚など期待できません。
今回の場合、在日米軍から、かなり早い段階で、ミサイル発射の可能性を知らされていたと聞いております。情報を得てから、イージス艦四隻は日本海でどのように展開していたのか、伺っておきます。航空自衛隊二十八カ所のレーダーサイトでは、マッハ十を超えるミサイルの捕捉は困難と思うからです。これは軍事的に極めて重要な事柄ですから、イージス艦のレーダーがミサイル発射をキャッチしたかどうかの具体的かつ詳細な結果については答弁は要りません。
二百キロから三百キロの上空を猛スピードで飛来するミサイルの捕縛は困難を極める技術です。その意味では、日常的に軍事情報をみずからの手で確保することは大変重要です。したがって、自前の偵察衛星、監視衛星を持つにこしたことはありません。
ただ、宇宙の開発利用は平和目的に限るとした昭和四十四年の国会決議とのかかわりが出てまいります。平和目的とは非軍事と定義しているからですが、平和と安全を確保するための措置については優先すべきだという考え方もありますので、政府としても、導入のありようを検討し始めてはいかがかと存じます。
政府は、三年前から、今日の事態を想定して、BMD、弾道ミサイル防衛の調査費を計上して、アメリカと共同研究を進めてきました。ところが、防衛庁は、来年度予算の概算要求でBMDの技術研究費を見送っています。これは、BMDに批判的な姿勢を明確にしている中国の江沢民国家主席の来日に配慮した結果と受け取る向きもあります。
BMDは、専ら飛んできたミサイルからみずからを守る専守防衛のシステムそのものであります。日米防衛協力の新しいガイドラインには、自衛隊及び米軍は弾道ミサイルに対応するために密接に協力し調整すると明記されております。中国の理解を求める努力をする一方で、アメリカとの間で、日本がどの分野の調査研究を担当するか、急いで決める必要が改めて出てまいりました。
アジア太平洋地域、なかんずく北東アジアの平和と安全のために、ガイドライン関連三案の審議を早急に始め、論議を尽くして、成立、承認を目指すことが国会の急務となってきたことを指摘させていただきたいと存じます。
以上、それぞれの問題点について政府の見解を伺いたいと存じますが、一向に解明されない日本人拉致疑惑に、ミサイルが加わって、北朝鮮アレルギーがさらに強まっています。
それでもなお、それでもなお地道な話し合いによる外交努力が問題解決の基本であることに変わりないことを確認し合って、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕