東順治の発言 (本会議)

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○東順治君 私は、平和・改革を代表いたしまして、小渕総理大臣及び額賀防衛庁長官に質問をいたします。
 まず第一に、世界経済の立て直しに関して、今回の首脳会談でも重要案件として議論された我が国の経済運営について、質問をいたします。
 今回の会談でクリントン米大統領は、米国を含む多くの国の歴史的経験をかんがみ、日本の金融当局が、存続可能な銀行を適切な条件のもと、十分な額の公的支援によって支援する必要性を強調した。このことに対して、小渕総理は、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさない決意で臨んでいるという旨を応答しております。これは、金融システム安定化のためには、日本長期信用銀行を含めて大手銀行を破綻させない考えを強調したものでしょうか。
 ここで、喫緊の課題である長銀問題について伺います。
 クリントン大統領が強調した存続可能な銀行に、ずばり長銀が含まれるのかどうか、総理の見解を求めます。
 これに関連して、小渕総理は現地での内政懇において、長銀は破綻させないということで合意していると発言をしております。これは、明らかにさきの党首会談の合意と食い違っており、二十二日の自民党森幹事長の発表した統一見解とも相違しております。この点、総理の明確な見解と釈明を伺うものであります。
 次に、一部報道によりますと、総理は、二十二日付の米紙ニューヨーク・タイムズでのインタビュー記事で、世界経済の波乱要因となっている日本の不良債権問題や景気低迷の責任は、迅速な対応を怠った橋本龍太郎前首相や大蔵省のほか、金融機関の経営陣にあると語り、官民がそろって大きな過ちを犯したことが困難な状況をもたらしたとの認識を示し、さらに、日本は迅速な政策転換ができなかったと述べ、景気低迷を深刻化させた橋本前政権の財政構造改革路線と消費税率引き上げに問題があったとの見解を示したと報じられていますけれども、この報道内容は事実なのでしょうか。もし事実であるとすれば、この発言は重大な問題をはらんでおります。
 総理、あなたは、去る八月十八日の本院予算委員会におきまして、堺屋経済企画庁長官の著書「あるべき明日 日本・いま決断のとき」を引用しての、橋本政権下の消費税アップを含む九兆円の増税が失政であったと思うかどうかという質問に対して、当時としてはこの二%アップにつきましてはやむを得なかった、こう考えております、あるいは、橋本内閣の行ってきました政治のすべてについて、これを失政だとは考えておりません、このように答弁をされておられます。
 この質疑の内容と、ニューヨーク・タイムズのインタビュー記事の内容は百八十度異なるものであり、わずか一カ月少々で、橋本政権と消費税アップに対するあなたの認識をがらりとお変えになったのでしょうか。あるいは、米国での発言の方が実は真意だったのでしょうか。そうだとすれば、委員会審議の軽視であり、なおまた、橋本政権下の一閣僚として失政の責任をともにしたあなたの立場にしては、まるで人ごとのような発言で、到底看過することはできません。果たしてどちらの認識が真実なのか、明確なる答弁を求めます。(拍手)
 第三に、いわゆるTMD構想なるものに関してお伺いをいたします。
 日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2の協議後の米側との共同記者会見によりますと、額賀防衛庁長官は、戦域ミサイル防衛構想、いわゆるTMD構想については、共同技術研究を実施する方向で今後作業を進めていくことを合意したと述べ、これまでの調査段階を一歩進めて、日米共同技術研究へと入る旨を強調したと伺っています。
 TMDは、配備するにしても二十年はかかり、仮に開発に成功したとしても、二十年後には北東アジアの軍事的脅威は現在よりも大きくさま変わりして、配備が不必要な状況になっているやもしれない。しかも、配備までに二兆円、三兆円とも言われる巨額な経費がかかるとも言われている。我が国の防衛予算との関係はどうなるのか。また、研究と配備は別と言うが、共同研究に入った後では配備を断るのは難しいのではないかなどなど、このTMD構想については、あいまいな部分が余りにも多過ぎるのが現実であります。
 他方、これに対する我が国周辺国の対応はどうでしょうか。この2プラス2の合意に対して、中国はいち早く反対の声を上げています。中国は、いかなる国であれ、軍事的な優勢を求め、地域の安定を破壊するやり方には反対すると強く反発をしているのでございます。TMDの共同研究が本格化し、将来、技術が台湾に渡るなどすれば、中国保有の弾道ミサイルが威力を失うとの懸念などから警戒を強めているのでありましょう。
 そこで、現時点では、調査の段階から一歩踏み出すには反対であるという立場から、防衛庁長官にお聞きしたい。
 そもそも額賀長官の記者会見での合意という発言からして、それを聞いた日本政府関係者は、発表文書に合意という言葉はなかったので当惑したとも報じられておりますけれども、まず、合意というものが実際にあったのか否か。あったというなら、この合意とは、日本政府として共同研究に着手することを事実上決定したという意味なのかどうか。
 野中官房長官は二十一日の記者会見で、この合意について、共同技術研究を実施する方向を示し、そのことに必要な政府部内の調整を進めていくことを示したもので、政府として共同研究に着手することを決定したという意味ではないと述べているようですが、もしそうであれば、着手を決定していないのに、政府は既に研究費を来年度予算に織り込む方針を固めているではありませんか。一体これはどういうことなのでしょうか。着手を決定せずして、予算に織り込む方針を固められるのでしょうか。防衛庁長官に明確にお答えをいただきたい。
 第四に、北朝鮮のミサイル発射問題に対する我が国の対応に関し、KEDO事業への出資金拠出再開について伺います。
 先般ニューヨークで行われた日米安全保障協議委員会終了後の記者会見において、高村外務大臣は、出資金拠出再開に関し北朝鮮謝罪は絶対条件ではないという旨を発言し、今回の日米首脳会談においても、小渕総理は、北朝鮮の核兵器開発を防止する米朝枠組み合意を支持して、今後日米間で緊密に協議、協力していく旨を表明されました。
 確かに、核不拡散体制を維持する見地から、米朝の枠組み合意を支持し、北朝鮮による核開発を防止する意義は十分に理解できますし、資金協力凍結を続けることが、北朝鮮の核開発再開の口実になるようなことは絶対にあってはなりません。しかし、だからといって、KEDOの事業への出資金拠出は、国民の血税をもって行われることもまた事実でございます。しからば、国民世論の同意を得ずして、その拠出再開に安易に踏み込むことはできないはずです。出資金拠出再開には、少なくとも北朝鮮の誠意ある謝罪が最低の条件ではないのでしょうか。
 にもかかわらず、一部報道によれば、北朝鮮のミサイル発射実験を非難した小渕総理の国連演説に対し、北朝鮮は盗人の論理だと厳しく反論し、日本は我が国の衛星打ち上げが平和と安全への脅威だとし、事前通告がなかったと批判するが、日本は過去に衛星打ち上げを我が国に通告したことはない、日本の衛星打ち上げは平和と安全への脅威ではないのかと、開き直りとも言える主張をして、さらに、ミサイル発射が正当な主権行為であり、日本の敵対行動に対しては報復すると警告したとあります。
 もとより、我が国の衛星打ち上げについては、運輸省を通じて、シカゴ条約等にのっとり、空路、海路の両面の安全確保のため、全世界に向け衛星打ち上げの事実を事前通告しております。この義務を怠った事実は一度もないのであります。
 北朝鮮とは、事ほどさように大変な難しい国です。国交もありません。しかし、だからこそ、なおさらのこと、米朝協議の行く末を目安にするのみではなくて、一方で、我が国自身が直接北朝鮮に対して誠意ある態度、謝罪というものを求めるあらゆる努力を懸命になすべきなのではないでしょうか。しかし、現状では、残念ながら日本の顔の見える外交が感じられません。
 このKEDO事業への出資金拠出再開の問題は、日本外交のかなえの軽重を問われている重大な問題だと私は認識をしております。私は、決して感情論ではなくて、当たり前のことを当たり前に申し述べているつもりでございます。
 最後に、この点についての小渕総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕

発言情報

speech_id: 114305254X01319980924_018

発言者: 東順治

speaker_id: 33177

日付: 1998-09-24

院: 衆議院

会議名: 本会議