西川太一郎の発言 (本会議)
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○西川太一郎君 私は、自由党を代表して、ただいまの小渕総理大臣の報告に関して質問をいたします。
小渕総理は、外務大臣時代にはクリントン大統領との会談を行っていないことと伺っており、今回の日米首脳会談は、文字どおり、初顔合わせでありました。
日米両国は、世界第一位、第二位の経済大国であり、安全保障の上でも重要な同盟国であります。クリントン大統領が日米関係は二国間関係で最も重要だと語っていたように、双方がそれぞれ十分に意思の疎通を図りながら対外的な役割を果たすことは、両国にとっての利益だけではなく、世界にとって大きな意味を持つものであります。それが世界に対する責任でもあります。
折あたかも、世界経済はデフレの危機に直面しており、それを回避するために日米両国がどのようなリーダーシップを発揮するのか。また、核不拡散問題や環境、エネルギー、アジア経済危機、犯罪など、国際的な諸問題にどのように取り組んでいくのか。この会談を、両国民のみならず、世界は注目して見守っていたはずであります。
ところが、今回の会談は、政府・与党が、野党とも十分話し合いをつけないまま、訪米に合わせて金融問題の結論を出すかのような対応に終始した結果、ニューヨーク・タイムズに金融問題では成果はなかったと報道されるように、何の収穫もない残念な結果に終わってしまったと言わざるを得ません。
問題の焦点が日本の経済危機に絞られ、アジアの金融危機が始まって以来、日本の景気回復のおくれを批判し続けてきた米国に対して、小渕総理からは、内需拡大による日本経済の景気回復を実現するために全力を挙げるという抽象的な意気込みだけが伝えられ、それに米国側が理解を示したというだけの、何の益もない会談に終わってしまったのではないでしょうか。経済危機克服を初めとする、世界が直面している共通のテーマについて、両首脳が世界に向けたメッセージを共同文書として発表するということもありませんでした。
総理は、出発前に、世界的な不況の中で、世界経済全体をその不安から解消して、しっかり好転させなければいけない、率直に話し合いたいと言っておられましたが、今回の会談で世界経済の不安が解消されたとお考えなのか、率直な御感想をまずお聞かせいただきたいのであります。
また、会談の中で総理は、我が国の経済、景気対策に関して、今後さらに適切なあらゆる手段を講ずることについて理解を得たところだと述べたと伝えられていますが、それはどのような手段なのか。
恒久的減税の実行や、補正予算と来年度予算を一体的に運用するいわゆる十五カ月予算の編成、総理の諮問機関である経済戦略会議が年末までに景気てこ入れ策をまとめるという、これまで言ってこられたことのほかにも新たな対策を講ずるということなのか。そうであるならば、それはどのような対策なのか、国民に具体的にお示しいただきたいのであります。
次に、いわゆる長銀問題について伺います。
小渕総理は、訪米前、野党三会派と個別に会談をし、長銀問題は特別公的管理等によって対処するといたしました。自民党首脳は、我々自由党との会談において、長銀の関連ノンバンクに対する債権放棄は合併契約に盛り込まれているものでありやめさせることはできない、合併前資本注入は十三兆円スキームが廃止された場合でも新しいものを用意したいとし、極めてあいまいもことした内容に終始していたため、我々自由党は賛否を留保したのであります。
しかるに、総理はその後、訪米途上の専用機内において、大手銀行は破綻させないとし、自民党首脳も、長銀はできる限り健全な形で住友信託銀行と合併できるよう誘導措置をしたいと述べ、従来の方針どおり、十三兆円のスキームを利用して長銀を救済した上で、合併を強行させようとしていることが明らかになったのであります。自由党は、党首会談におけるいわゆる玉虫色の合意内容がきっと修正協議の障害になると予測していましたが、全くそのとおりの事態になったのであります。
そこで、小渕総理に伺います。
第一に、日本長期信用銀行はどのようにされるおつもりでしょうか。方法論はともかく、公的資金により救済されるのですか、それとも清算されるのですか。明確にお答えをいただきたいのであります。
第二に、小渕総理は、この長銀問題に関して、アメリカ向けと日本向けと、自民党内向けと野党向けという幾つもの顔を持っておられるではありませんか。なぜ使い分けておられるのか、その真意を伺いたいのであります。
第三の質問は、なぜ長銀救済にそこまでこだわられるのですか。何としても長銀を助けなければならない特別の理由でもあるのですか。
第四に、規模が大きい、国際的影響が大きいと言われるが、国際的影響が大きいものはすべて公的資金で救済するおつもりですか。
第五に、自民党政府の失政、無策によって中小企業はばたばたと倒産し、それに伴う失業と自殺の増加は目を覆うばかりであります。規模が大きいからといって救済するのは、余りにもアンフェアであると思われませんか。
第六に、長銀の関連ノンバンクに対する債権放棄は従来どおり進められるのですか。株主責任、経営責任と並んで忘れてはならないものに、借り手責任があります。長銀の債権放棄による損失を税金により穴埋めするなら、これは日本列島総モラルハザードを招きかねません。
第七に、早期健全化スキームと称して、金融機関救済のために税金投入する道を開こうとしているのではないですか。
第八に、クリントン大統領が、存続可能な金融機関に公的資金投入を求めたとの報道がありますが、これは事実ですか。
第九に、総理は、長銀がクリントン大統領の言うところの存続可能な金融機関であるとお考えですか。
そして最後に、総理は、アメリカに対して長銀への公的資金投入を約束してきたのですか、していないのですか。もし約束してきたのであれば、野党三党への合意との整合性はどのようにとるおつもりですか。
以上十項目について、小渕総理の明確な答弁を求めます。
次に、北朝鮮問題について伺います。
今回の首脳会談で、北朝鮮がこれ以上のミサイルの発射、開発、輸出を行わないよう働きかけていくことを日米両国が確認したことは当然であると考えますが、北朝鮮に対しては、食糧支援や朝鮮半島エネルギー開発機構、いわゆるKEDOによる軽水炉建設など米朝関係の改善に前向きな米国と、KEDOに対する資金協力の凍結など制裁措置を継続している日本では、考え方に開きがあり、この食い違いを解消する努力が今回の会談の重要な意義でなければならなかったと考えるものであります。
そこでお尋ねいたしますが、小渕総理は、米国国務省が北朝鮮に対して三十万トンの食糧援助を追加実施すると発表したことについて、どのような認識を示されたのか。話題にもされなかったのか。また、我が国が実施しているKEDOの軽水炉支援の凍結解除には、北朝鮮の謝罪、ミサイル技術の拡散防止、地下施設の査察など、相応の条件が必要であることをはっきりと大統領に伝えたのか。これらの点について、明快な御答弁をいただきたいのであります。
次に、いわゆる戦域ミサイル防衛、TMDの問題について伺います。
日米首脳会談に先立って米国を訪問した額賀防衛庁長官は、米国防総省でコーエン国防長官と会談し、TMD構想の日米共同技術研究を行うと表明し、国内的な手続を開始したいと述べたと伝えられますが、国内的な手続とは具体的に何を指しているのか。TMDに向け踏み出すということは、防衛戦略の練り直しという大きな視点からとらえることが当然必要であると考えますが、TMDの我が国における安全保障上の位置づけについてどのようにお考えになっておられるのか、総理の御所見をお尋ねいたします。
次に、国連総会での小渕総理の演説に関連して伺います。
総理は国連演説で、北朝鮮のミサイル発射を強く非難し、地域紛争を防ぐために軍縮の必要性を訴えられた上で、核不拡散について、特に核兵器保有国に対しても核軍縮を一層進めることを要請されました。その趣旨はまことに結構なことでありますが、核保有国の核軍縮については、言うべくしてなかなか実現しないのが現実であり、単に国連で演説するばかりでなく、核兵器を保有する各国に対して具体的に働きかけることが求められているのであります。
そこで伺いますが、今回の日米首脳会談において、米国に対してこの問題で何か働きかけをされたのか。また、十一月にそれぞれ予定されている総理のロシア公式訪問や江沢民中国国家主席の日本訪問の際にも、核軍縮について要請されるおつもりなのか、小渕総理の御答弁をいただきたいのであります。
冒頭述べましたように、日米関係は最も重要な二国間関係であり、その関係強化が我が国にとって最大の国益であると言っても過言ではありません。昨年十月に総理府が実施した外交に関する世論調査によれば、日米関係を良好と考えているという答えは七一%にも達しております。また、本年四月に外務省が米国民を対象に行った対日世論調査でも、一般市民で六〇%、有識者で八九%が、日本は信頼できる友好国であると認識しております。
このような両国民の相互信頼がますます確固たるものとなり、日米両国が世界の平和と繁栄に貢献していくことができるよう、私ども自由党も精いっぱい努力することを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕