明石康の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(明石康君) 今、吉岡委員からの御意見を拝聴しまして、非常に国連憲章をよく勉強しておられるなと感銘を受けました。
 実は、国連がそもそも理想としておった体制は今委員がおっしゃったとおり集団安全保障体制であり、はっきり申し上げると普遍的集団安全保障体制であったわけです。ところが、国連憲章七章に規定してあります普遍的集団安全保障体制というのは、残念ながらその中に決められてあった国連軍もできておりませんし、現実には機能しておらないわけです。そのために国連憲章の六章とか八章とかというものがむしろ活発に援用されるようになってきているわけで、七章の中では国連軍以外の、つまり軍事的制裁以外の、私の申し上げた外交的・経済的制裁その他がより活用されて現在に至っておるわけでございます。
 それから、地域機構の活用というのがこれからますます盛んになるであろうと申し上げましたけれども、この場合の地域機構というのはまさに国連憲章第八章に規定してある機構のことでありまして、これは基本的には安保理の下に副次的に従属する機構になるわけでございます。
 五十一条下の機構というのは地域機構と違います。五十一条は七章の中にありまして、八章ではありません。まさに北大西洋条約機構、NATOはこの五十一条下につくられたものでありまして、NATOとかワルシャワ条約機構というのは冷戦時代の所産であり、これは、五十一条の個別的及び集団的自衛の固有の権利という、そういう五十一条下の、これは語弊がありますけれども、いわば国連憲章の中の鬼子ともいいますか。これは、一九四五年のサンフランシスコの国連制定会議のときに、国連が機能しなくなったときにそういう安全弁を設けておかないならばだめではないかと、アメリカの上院議員であったバンデンバーグさんがラテンアメリカ諸国の懸念も取り入れながら挿入したのがこの五十一条であるわけで、国連憲章の本来の線とは違うわけであります。冷戦という状況の中でむしろどちらが重要になってきたかといえば、五十一条的な同盟条約が世界じゅうに張りめぐらされて現在に至っておる。日米安保条約ももちろんその線であります。
 そういうわけで、国連が本来考えられたとおりに機能しておれば、五十一条のそういう援用ということは必要なかったし、またあり得なかったと思いますけれども、分裂した世界ではそれがやはり安全を守るために必要であったということだと思います。現在の国連はそういうことで第七章の体制はごく一部しか生きておりませんけれども、やはり我々は希望を捨てるべきではなくて、最も安定的な形での日本の安全を目指して、五十一条も当分は必要でありましょうけれども、それをより安定的な、より世界的な体制にしていくという努力は続けるべきであろうと思います。

発言情報

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発言者: 明石康

speaker_id: 32147

日付: 1998-09-25

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会