青山貞一の発言 (国土・環境委員会)

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○参考人(青山貞一君) 環境総合研究所所長・環境行政改革フォーラム代表幹事の青山と申します。
 私が発言します立場は、いわゆる環境NGOといいますか、そういう市民の総意、総意までいきませんけれども、そういうNGOの立場で発言させていただきたいと思います。
 昨年から、重要法案に関しまして、衆議院、参議院、NGOをこういう公聴会にお呼びいただける機会が多くなりまして、そういう意味で私ども非常に国会議員の皆様に感謝しているところでございます。
 私は、二種類資料をお配りしております。一つは、佐和先生と同じように、私の陳述内容を三枚のA4の紙にしたためたものでございます。もう一つは、京都会議が終わった後、後ろにおりますけれども、カナダから私どもの研究所に留学してきており、東京工業大学の大学院に行っておりますシンディーさんが中心になりまして、京都会議に参加されたNGO、専門家がそれぞれ英文で京都会議の総括を行ったものであります。既に五十カ国、百の海外NGOに送ってあります。英文でありますが、ぜひ先生方にも一読いただければと思います。
 さて、今回の地球温暖化対策推進法案でありますが、私は環境NGOといいますか私自身の意見を申し上げるわけでありますが、先ほど委員長から忌憚のないということがありましたのと、この法案に関しましては、環境庁、通産省、他省庁、私自身シンクタンクをやっておりますが、実務上いろいろと知っていることがございますので、そういうものを他の公述人とは別に申し上げたいと思っています。
 まず第一点は、法案のスキーム、骨格についての課題であります。
 今回の法案は、いわゆる枠組み法案といえば格好はいいんですけれども、ほとんどが責務規定だけで義務規定が全くない。したがいまして、国際公約でありますCOP3の六%削減をするための担保法案となっていないということが第一の問題であります。
 これは、一つの理由は、COP3が終わってからこの法案が出るまでの時間が非常に短く、環境庁自身の実務も三カ月弱、特別の部屋をつくってやっていましたけれども、かなり拙速、稚拙は否めないというのがあると思います。
 本法案を指して、ちまたでは、事業者サイドでは事業者に余り害がないからあってもいいとか、あと環境NGOとか環境庁はないよりはあった方がいい、もしくは国際的世間体が保たれるというようなことをおっしゃっているというふうにやゆする向きがありますが、私自身はもちろん、世界で最初にCOP3の内容を担保する国内法、国内統制法と言いますけれども、統制措置をとることには反対ございません。ぜひ世界に先駆けてこのような法案をつくっていただきたい。
 しかし、いわゆる骨組みが主であって内容が非常に乏しい。後で政省令、規則、規定、ガイドライン等で審議会とか環境庁が肉をつけるのかもしれませんが、初めから骨。しかも、環境庁は昨年十一月十八日に中間取りまとめといたしまして、「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」、特に「我が国における制度的枠組みについて」という子細にわたる法制化に対する国内法の内容についての枠組みを用意していましたけれども、それの内容の恐らく二割ぐらいしか今回の法律案に反映されておりません。逆に、この行革下にあって新しく公益法人をつくるような組織的な話が非常に多くなっている。あと推進員といいます資格制度といいますか、そういうものをつくるような話が法案全体の目的と定義を外しますと半分ぐらいを占めている。これは全く十一月十八日の中間取りまとめにはないものであります。
 ということで、本来二〇〇八年から二〇一二年の間に我が国が公約いたしました、加重平均の問題はありますけれども、六%温室効果ガスを削減するということをあえて法律をつくって担保するという観点からしますと、今回の法律は理念、精神、責務、あと組織をつくる話であって、到底そのような六%を担保するものにはなっていないというのがまず第一の問題かなと思います。
 それで次に、民間事業者が策定する実施計画というのがございます。これは、御承知のように通産省が省エネ法というのをちょうど同じ時期に次官会議を通しまして、環境庁がもたもたしている間にこれを出しました。それで、次官会議を通りまして閣議決定されましてこの法案の修正がなされたわけですが、もとより産業分野の伸びというのは少ないんですけれども、排出量全体に占める割合は約五〇%あるということですから、産業分野の温室効果ガスを削減することは極めて重要な話であります。
 しかし、昨年一年間、私どもは外務省、通産省、環境庁のこのCOP3の目標づくりのプロセスを外から監視していたわけでありますが、春の時点で案を出し、それについて国民の意見をもらってCOP3に持っていく、もしくはAGBMに持っていくという話がおくれにおくれる、ついぞ十月六日に国会議員の皆さん及び社会に出るという、省庁間の非常に不透明性の高い目標づくりのプロセスを見てきたわけであります。
 それと同じことが実はこの産業分野につきましては通産省と環境庁の間でありまして、結局、冒頭申し上げましたけれども、環境庁はみずから、今回出ている法案よりはるかに内容の濃いものを用意していたはずなんですが、結果的にその部分を全部はぎ取った中で通産省の次官会議に至る前に通産省の了解を得た。環境庁の企画調整局長初め、努力は認めますが、そういうことで通ったという経緯からして、もとより省エネ法で対応できる部分はCO2だけでありますが、それが結果的に内容をかなり緩めたということは否めないというふうに思います。
 次に、二つ目に、大規模公共事業、土木事業、突出している我が国のこのような公共事業、土木事業が政府によって行われる。今経済が非常に悪いですから、民間企業が行うことによってCO2がふえるというよりは、公共事業、土木事業の突出によってCO2がふえる、温室効果ガスがふえるということが懸念されるわけでありますが、今回の法案では通産、建設、運輸、農水など政府の大規模な政策、施策、開発事業、予算的措置が、温室効果ガスに結びつく話が一切触れられていないということが大きな問題だと思います。
 しかも、政府のさまざまな行政計画、法定計画、事業予算を見ますと、皆右肩上がりを前提とした将来の社会経済フレームになっております。それに基づいて道路整備五カ年計画とか電源開発基本計画、エネルギー長期需給見通し、政府の行政計画ができておりますが、それらはいずれも右肩上がりになっております。それを何ら環境庁との間で調整することなくこの法案をつくっても、じゃ民間はまだしも政府みずからの話はどうなるのだということが私は大いに懸念されるところでございます。
 それで、地球温暖化防止予算の七割から七割五分が道路建設費に充てられる、もしくは含められているという話がありまして、海外に行ってもこれは笑いの種になっております。一方、この温暖化防止のために今後原子力発電所を二十基つくっていくというような話もございます。これは非現実的な話でありますが、核廃棄物処理の問題でとんざしている現状にあって二十基の原発をつくる、今後温暖化の七五%の予算を使って道路をつくる、それとこの環境庁の基本方針と調整ができなければこの法案の意味は半減するというふうに思います。
 次に、自治体が策定する実施計画というのがございます。自治体は御承知のように環境基本法のもとで環境基本計画、それ以前に環境管理計画、それから一九九二年のリオ・サミット以降はアジェンダ21のもとでのローカルアジェンダ21という計画をつくっております。環境庁は補助金も出しています。
 そういう中で、自治体はかなりいろいろなこれに類する計画を過去つくってきました。さらにここで実施計画という目的もなければ目標もない。あと計画がどう達成されているかという、進行管理と言うんですけれども、それもない。そういう計画を入れた場合に自治体そのものが混乱を来す、当惑する。あと住民参加で過去の計画をつくっておりますから、住民にとってもまた何か新しい計画を国が考えたということになります。
 ですから、これはするなということじゃないんですけれども、十分過去の環境庁が進めてきました環境系の計画との調整をしていただきたいと思います。
 次、関連する組織づくりの課題。これは冒頭申し上げましたが、当初の環境庁の中間取りまとめには全くなかったものであります。しかし、目的と定義を除きますと、法案の半分がこれに関するものになっています。それで、行政改革、財政逼迫のもとで、言い方は悪いんですけれども、そういう公益法人、外郭団体をつくると思われるような内容、これは衆議院の本会議で武山百合子自由党議員がかなり具体的に申し上げていますけれども、やはりこの辺は既存のものを使うということもさることながら、本来の六%削減に向けて他省庁とすり合わせするなり協議するなり、透明性のあるルールをつくることが本題であるにもかかわらず、過半がこの組織づくりに向けられているという現実を私は非常に危惧するものであります。
 最後に、情報公開、透明性の確保。これは今申し上げてきたとおりでありますが、昨年一年間を見ていて、COP3の内容が外交案件だという名のもとに一切草案も出されない、議員の皆様にも十月になるまで案すら国は出さない、そのようなことがあっていいのか。アメリカの場合には、上院、下院を私ども見ていましたけれども、早くから議会でも論議していました。
 それは結果的にその内容がどうだとは違うと思うんです。プロセスだと思うんです。それで、言いますと、佐和先生等もおっしゃっていましたけれども、やはりそのプロセスを国民の前にちゃんと出せるような枠組みを中に入れていただきたい。都道府県が計画を出すとか事業者が計画を公表するのとは別に、国の省庁問協議で、もしくは基本方針をつくるプロセスにおける透明性を高めることが重要だと思います。
 もう一つ、この温暖化防止のもとになります排出量というのはあくまで計算で出てくる数値であります。ですから、そのもとになる燃料種類別燃料使用量とか、その背景にあります人口、世帯数、交通量、貨物取扱量、発電量等々の社会経済フレーム、数値を当然細かく国民に出すべきだと思います。今、インターネット時代であり、ホームページで幾らでもその情報は出せるわけでありますから、それを出していただきたい。毎年出していただきたい。さらに、国全体の排出量とは別に、少なくとも都道府県別の排出量を毎年出していただきたい。そうすれば、どの県がどう努力しているか、一極集中がどう進んでいるかということがこれらの社会経済指標及び温室効果ガスの排出量から明らかにわかるわけであります。
 これは外から監視する、もしくは住民が参加する、自治体がそれに関与する上でのインセンティブになりますということで、ぜひこれは非常にわかりやすい話ですし実現可能な話ですので、参議院での修正があると衆議院に行ってこれが難しくなるというような話もありますが、私は、今の衆議院、参議院のねじれ化の中で、ぜひ参議院の野党の皆さんには今の法案をよりいいものにする、骨組みだけじゃなくて少し肉をつけていただくという意味で、省庁問協議のルールと透明性を高める話と都道府県レベルでデータを出すというような話に関しまして修正をしていただければ幸いと思います。
 以上であります。

発言情報

speech_id: 114314314X00419980922_010

発言者: 青山貞一

speaker_id: 19713

日付: 1998-09-22

院: 参議院

会議名: 国土・環境委員会