国土・環境委員会
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会
会議録情報#0
平成十年九月二十二日(火曜日)
午後一時二分開会
—————————————
委員の異動
九月十八日
辞任 補欠選任
福山 哲郎君 北澤 俊美君
加藤 修一君 福本 潤一君
九月二十二日
辞任 補欠選任
北澤 俊美君 福山 哲郎君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 陣内 孝雄君
理 事
太田 豊秋君
松谷蒼一郎君
小川 勝也君
福本 潤一君
緒方 靖夫君
委 員
坂野 重信君
田村 公平君
長谷川道郎君
山下 善彦君
脇 雅史君
岡崎トミ子君
佐藤 雄平君
福山 哲郎君
弘友 和夫君
岩佐 恵美君
大渕 絹子君
泉 信也君
島袋 宗康君
政府委員
環境庁企画調整
局長 岡田 康彦君
事務局側
常任委員会専門
院 八島 秀雄君
参考人
中央環境審議会
企画政策部会長
上智大学法学部
教授 森嶌 昭夫君
京都大学経済研
究所所長 佐和 隆光君
環境総合研究所
所長
環境行政改革
フォーラム代表
幹事 青山 貞一君
元気象庁気象研
究所研究室長 増田 善信君
—————————————
本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○地球温暖化対策の推進に関する法律案(第百四
十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院
送付)
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この発言だけを見る →午後一時二分開会
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委員の異動
九月十八日
辞任 補欠選任
福山 哲郎君 北澤 俊美君
加藤 修一君 福本 潤一君
九月二十二日
辞任 補欠選任
北澤 俊美君 福山 哲郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 陣内 孝雄君
理 事
太田 豊秋君
松谷蒼一郎君
小川 勝也君
福本 潤一君
緒方 靖夫君
委 員
坂野 重信君
田村 公平君
長谷川道郎君
山下 善彦君
脇 雅史君
岡崎トミ子君
佐藤 雄平君
福山 哲郎君
弘友 和夫君
岩佐 恵美君
大渕 絹子君
泉 信也君
島袋 宗康君
政府委員
環境庁企画調整
局長 岡田 康彦君
事務局側
常任委員会専門
院 八島 秀雄君
参考人
中央環境審議会
企画政策部会長
上智大学法学部
教授 森嶌 昭夫君
京都大学経済研
究所所長 佐和 隆光君
環境総合研究所
所長
環境行政改革
フォーラム代表
幹事 青山 貞一君
元気象庁気象研
究所研究室長 増田 善信君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○地球温暖化対策の推進に関する法律案(第百四
十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院
送付)
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陣
陣内孝雄#1
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから国土・環境委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十八日、加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として福本潤一君が選任されました。
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この発言だけを見る →まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十八日、加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として福本潤一君が選任されました。
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陣
陣内孝雄#2
○委員長(陣内孝雄君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
弘友和夫君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →弘友和夫君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
陣
陣内孝雄#3
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
陣
陣
陣内孝雄#5
○委員長(陣内孝雄君) 地球温暖化対策の推進に関する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、四名の参考人の方々から御意見を聴取することといたしております。
参考人は、中央環境審議会企画政策部会長・上智大学法学部教授森嶌昭夫君、京都大学経済研究所所長佐和隆光君、環境総合研究所所長・環境行政改革フォーラム代表幹事青山貞一君及び元気象庁気象研究所研究室長増田善信君でございます。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
皆様には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人の方々には忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
本日の会議の進め方について御説明いたします。
まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人の方々の意見陳述は着席のままで結構でございます。
それでは、まず森嶌昭夫参考人にお願いをいたします。森嶌参考人。
この発言だけを見る →本日は、本案の審査のため、四名の参考人の方々から御意見を聴取することといたしております。
参考人は、中央環境審議会企画政策部会長・上智大学法学部教授森嶌昭夫君、京都大学経済研究所所長佐和隆光君、環境総合研究所所長・環境行政改革フォーラム代表幹事青山貞一君及び元気象庁気象研究所研究室長増田善信君でございます。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
皆様には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。参考人の方々には忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
本日の会議の進め方について御説明いたします。
まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人の方々の意見陳述は着席のままで結構でございます。
それでは、まず森嶌昭夫参考人にお願いをいたします。森嶌参考人。
森
森嶌昭夫#6
○参考人(森嶌昭夫君) 私は、本日は中央環境審議会企画政策部会の部会長という立場で意見を陳述させていただきます。
なお、このような意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。
中央環境審議会では、環境基本法に基づきます環境基本計画というのがございまして、環境基本計画の進捗状況につきまして毎年点検作業を行っております。一昨年から昨年にかけましては、京都会議が開催されるということを受けまして、環境基本計画の対象としている諸施策のうち、特に温暖化防止対策につきまして重点項目の一つとして検討をいたしました。
昨年の六月にその結果を出してございますけれども、その際検討をいたしましたところ、政府におかれましては、関係閣僚会議の決定としまして、地球温暖化防止行動計画という温暖化防止のための諸施策を平成二年に決定しておられるところでありますけれども、これは非常に総合的なものではございますが、既存の施策をより地球温暖化の防止に役立つという観点から運用していくというものでございまして、多くの施策が並べられておりますけれども、それらはもともと温暖化防止ということを目的とした施策ではないものも多いわけであります。さらに、国の行動計画ということでございますので、国の施策についてのみ計画が立てられておりまして、地方公共団体であるとかあるいはその他の事業者、国民等の主体についての直接の働きかけということはございません。
この地球温暖化防止行動計画が存在しているにもかかわらず、実際には、行動計画が策定されました平成二年から平成七年の五年間に、先生方御案内のように我が国のCO2の総排出量は九%も増加をしております。とりわけ民生、運輸の分野では二八%の増になっております。その点で、全く効果はなかったというふうに評価するわけにはいきませんけれども、先ほど申し上げたような制約から、諸施策が行われているにもかかわらず、それらの間に有機的な関係、体系的な整合性がないということもございまして、ある程度の効果は見られるものの、当初予定されていたような一九九〇年レベルで安定化させる、そういう目的は達せられていないということに我々の評価、我々と申しますか、中央環境審議会の点検結果は出ました。
そこで、点検をいたしました直後から昨年の八月以降、京都会議を迎えるということで、そもそも温暖化防止がなぜ必要であるのか、また我が国ではどのような温暖化防止のための取り組みがなされているか、これは民間も含めてでありますけれども、それからさらに温暖化防止に取り組むための技術的な対策等の見通し等につきまして、いわば事実を整理するということでございましたけれども、中環審での企画政策部会で検討をいたしまして、そして京都会議を迎え、京都会議の決定によって、それに対応できるような施策を中環審としても考えたいということでございました。
さらに、これも御案内のとおりに、京都会議におきましては、我が国が二〇〇八年から二〇一二年の間に九〇年レベルの六%削減という義務を負うことになったわけであります。そこで、環境庁長官が「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」という諮問をなさいまして、これを受けまして、京都会議の結果を受けて具体的にどのような施策が可能かということで検討を開始いたしまして、かなり集中的な審議をした結果、本年の三月六日に中間答申を出したところでございます。
そこでのこの中間答申の考え方でございますけれども、先ほど申しました政府の諸施策のあり方から見まして、やはり温暖化防止という目的を正面から掲げて、そして総合的、有機的な施策体系をつくる必要があるということを考えたわけでございます。
具体的には、温暖化と申しますのは、これはすべての主体がかかわっております。国も地方公共団体も事業者も国民も、すべての主体がその活動によって温暖化にかかわっているわけでありますので、そこで温暖化防止の上での各主体の責務を明らかにする、各主体が温室効果ガスを削減するという責務を負っているんだということを法律上明らかにするということがまず第一点。
それから第二点には、基本方針を策定しまして、それぞれの主体がどのような役割をなすべきかについて、枠組み条約というのがございますけれども、いわば枠組み的な法律をつくるということを考えました。
なお、基本方針の内容につきましては、法律に項目は書いてございますけれども、これらは直接環境庁所管の法律のみならず、また直接に温暖化防止を目的とした法律ないしは施策でないものについても、それらは温暖化防止に向けての配意をするというようなことも含めまして、基本方針をいわば全体的に中長期的な観点から施策の整合性を図るということであります。
それから三番目には、すべての主体にかかわっております。その意味では、直接にこの法律は権利義務を規定するものではありませんけれども、間接的に国民の生活にもかかわってまいりますので、それらすべての主体がどのような活動をするかということにつきまして国会の場で十分に御審議をいただいて、そして透明性のある法律とするということが必要であります。そして、法律に基づいて基本方針をつくる、そしてその基本方針は公表されるという形で透明性を確保していきたい。その一つの最も中核となるのは、これを法律に規定するということでございます。諸計画のように、事実上いわば行政的な決定、行政的な施策ということにとどまらないということが第三点であります。
さらに、本来ならば、京都会議ですべての事項が最終的に決定されているのでしたら、この提案をしております温暖化防止推進法案にもすべての事項をいわば確定的な形で提示ができるわけでございますけれども、一つには、国内的にもさまざまな施策が新たに展開される。その意味では、既にいろいろな効果のわかるものが施策のすべてではないということのほかに、最も重要なことは、御案内のように、いわゆる柔軟メカニズムと言っておりますけれども、排出量の取引であるとかCDMとか共同実施というようなものは議定書には書かれましたけれども、中身はまだ決まっておりません。吸収源の扱いについてもこれからということでございます。
その意味で、国際的な取り決めがまだできていない段階で日本が温暖化防止対策をとるにしても、国際的な合意と申しましょうか、交渉によっては変わってくるところはあるかもしれません。それにもかかわらず、少なくとも私は外国との関係がどうあろうとも国内施策はきちっと進めていくべきだというふうに考えております。
その意味で、温暖化防止を全体として取り扱う法律としてはまだ固まらないところがあるので、ともかく現時点でつくれるものと申しますか、現時点で法律にできるところからしていく。そして、現時点でできている法律の内容ももちろんですが、現時点では法律に盛り込むことのできない事項については逐次実際の事態が展開するに従ってつけ加える、あるいは国内的なものについては改正をするということで、一刻も猶予ができない、すぐさま温暖化防止の対策に取りかかるべきであるという観点から、法律としてはやや不十分であっても、ともかく将来のためのフレームワークをつくってここで基本方針を検討し、さらには各施策をそれぞれ進めるということが大事ではなかろうか、そういう観点で中環審は答申を出したわけであります。
なお、私どもの中間答申を出す前後に省エネ法の改正などがなされておりますし、それからまた、政府におかれましては温暖化防止対策推進本部を組織され、温暖化防止対策推進大網というものが六月に発表されております。そこでも既に取り組みが始まっているところでありまして、私は、中環審の部会長としてこれらの取り組みを高く評価しておりますけれども、それにもかかわらず、やはり基本的な枠組み、しかも特に省エネ法の場合にはその対象がある程度限定をされておりまして、ダイレクトに民生あるいは事業所等を対象にしておらないのみならず、中小企業についても必ずしも対象になっていないということ、それからまた、温暖化の中でも直接に対象となっているのは、化石燃料の燃焼ということを中心に考えておりますので、省エネ法は十分に有効に働き得る法律だとは思いますけれども、幾つかのところでまだカバーされていない点もございます。
それから、温暖化防止対策推進大綱につきましては、これは政府の決定でございますから、やはり国会によって基礎づけられる必要があるのではないかという点から、私は、温暖化防止対策推進法をぜひ参議院においても御審議いただき、これを通していただきたい。中原審としては、ぜひ一刻も早く体系的、総合的に取り組む仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
この発言だけを見る →なお、このような意見陳述の機会を与えていただきましてありがとうございます。
中央環境審議会では、環境基本法に基づきます環境基本計画というのがございまして、環境基本計画の進捗状況につきまして毎年点検作業を行っております。一昨年から昨年にかけましては、京都会議が開催されるということを受けまして、環境基本計画の対象としている諸施策のうち、特に温暖化防止対策につきまして重点項目の一つとして検討をいたしました。
昨年の六月にその結果を出してございますけれども、その際検討をいたしましたところ、政府におかれましては、関係閣僚会議の決定としまして、地球温暖化防止行動計画という温暖化防止のための諸施策を平成二年に決定しておられるところでありますけれども、これは非常に総合的なものではございますが、既存の施策をより地球温暖化の防止に役立つという観点から運用していくというものでございまして、多くの施策が並べられておりますけれども、それらはもともと温暖化防止ということを目的とした施策ではないものも多いわけであります。さらに、国の行動計画ということでございますので、国の施策についてのみ計画が立てられておりまして、地方公共団体であるとかあるいはその他の事業者、国民等の主体についての直接の働きかけということはございません。
この地球温暖化防止行動計画が存在しているにもかかわらず、実際には、行動計画が策定されました平成二年から平成七年の五年間に、先生方御案内のように我が国のCO2の総排出量は九%も増加をしております。とりわけ民生、運輸の分野では二八%の増になっております。その点で、全く効果はなかったというふうに評価するわけにはいきませんけれども、先ほど申し上げたような制約から、諸施策が行われているにもかかわらず、それらの間に有機的な関係、体系的な整合性がないということもございまして、ある程度の効果は見られるものの、当初予定されていたような一九九〇年レベルで安定化させる、そういう目的は達せられていないということに我々の評価、我々と申しますか、中央環境審議会の点検結果は出ました。
そこで、点検をいたしました直後から昨年の八月以降、京都会議を迎えるということで、そもそも温暖化防止がなぜ必要であるのか、また我が国ではどのような温暖化防止のための取り組みがなされているか、これは民間も含めてでありますけれども、それからさらに温暖化防止に取り組むための技術的な対策等の見通し等につきまして、いわば事実を整理するということでございましたけれども、中環審での企画政策部会で検討をいたしまして、そして京都会議を迎え、京都会議の決定によって、それに対応できるような施策を中環審としても考えたいということでございました。
さらに、これも御案内のとおりに、京都会議におきましては、我が国が二〇〇八年から二〇一二年の間に九〇年レベルの六%削減という義務を負うことになったわけであります。そこで、環境庁長官が「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」という諮問をなさいまして、これを受けまして、京都会議の結果を受けて具体的にどのような施策が可能かということで検討を開始いたしまして、かなり集中的な審議をした結果、本年の三月六日に中間答申を出したところでございます。
そこでのこの中間答申の考え方でございますけれども、先ほど申しました政府の諸施策のあり方から見まして、やはり温暖化防止という目的を正面から掲げて、そして総合的、有機的な施策体系をつくる必要があるということを考えたわけでございます。
具体的には、温暖化と申しますのは、これはすべての主体がかかわっております。国も地方公共団体も事業者も国民も、すべての主体がその活動によって温暖化にかかわっているわけでありますので、そこで温暖化防止の上での各主体の責務を明らかにする、各主体が温室効果ガスを削減するという責務を負っているんだということを法律上明らかにするということがまず第一点。
それから第二点には、基本方針を策定しまして、それぞれの主体がどのような役割をなすべきかについて、枠組み条約というのがございますけれども、いわば枠組み的な法律をつくるということを考えました。
なお、基本方針の内容につきましては、法律に項目は書いてございますけれども、これらは直接環境庁所管の法律のみならず、また直接に温暖化防止を目的とした法律ないしは施策でないものについても、それらは温暖化防止に向けての配意をするというようなことも含めまして、基本方針をいわば全体的に中長期的な観点から施策の整合性を図るということであります。
それから三番目には、すべての主体にかかわっております。その意味では、直接にこの法律は権利義務を規定するものではありませんけれども、間接的に国民の生活にもかかわってまいりますので、それらすべての主体がどのような活動をするかということにつきまして国会の場で十分に御審議をいただいて、そして透明性のある法律とするということが必要であります。そして、法律に基づいて基本方針をつくる、そしてその基本方針は公表されるという形で透明性を確保していきたい。その一つの最も中核となるのは、これを法律に規定するということでございます。諸計画のように、事実上いわば行政的な決定、行政的な施策ということにとどまらないということが第三点であります。
さらに、本来ならば、京都会議ですべての事項が最終的に決定されているのでしたら、この提案をしております温暖化防止推進法案にもすべての事項をいわば確定的な形で提示ができるわけでございますけれども、一つには、国内的にもさまざまな施策が新たに展開される。その意味では、既にいろいろな効果のわかるものが施策のすべてではないということのほかに、最も重要なことは、御案内のように、いわゆる柔軟メカニズムと言っておりますけれども、排出量の取引であるとかCDMとか共同実施というようなものは議定書には書かれましたけれども、中身はまだ決まっておりません。吸収源の扱いについてもこれからということでございます。
その意味で、国際的な取り決めがまだできていない段階で日本が温暖化防止対策をとるにしても、国際的な合意と申しましょうか、交渉によっては変わってくるところはあるかもしれません。それにもかかわらず、少なくとも私は外国との関係がどうあろうとも国内施策はきちっと進めていくべきだというふうに考えております。
その意味で、温暖化防止を全体として取り扱う法律としてはまだ固まらないところがあるので、ともかく現時点でつくれるものと申しますか、現時点で法律にできるところからしていく。そして、現時点でできている法律の内容ももちろんですが、現時点では法律に盛り込むことのできない事項については逐次実際の事態が展開するに従ってつけ加える、あるいは国内的なものについては改正をするということで、一刻も猶予ができない、すぐさま温暖化防止の対策に取りかかるべきであるという観点から、法律としてはやや不十分であっても、ともかく将来のためのフレームワークをつくってここで基本方針を検討し、さらには各施策をそれぞれ進めるということが大事ではなかろうか、そういう観点で中環審は答申を出したわけであります。
なお、私どもの中間答申を出す前後に省エネ法の改正などがなされておりますし、それからまた、政府におかれましては温暖化防止対策推進本部を組織され、温暖化防止対策推進大網というものが六月に発表されております。そこでも既に取り組みが始まっているところでありまして、私は、中環審の部会長としてこれらの取り組みを高く評価しておりますけれども、それにもかかわらず、やはり基本的な枠組み、しかも特に省エネ法の場合にはその対象がある程度限定をされておりまして、ダイレクトに民生あるいは事業所等を対象にしておらないのみならず、中小企業についても必ずしも対象になっていないということ、それからまた、温暖化の中でも直接に対象となっているのは、化石燃料の燃焼ということを中心に考えておりますので、省エネ法は十分に有効に働き得る法律だとは思いますけれども、幾つかのところでまだカバーされていない点もございます。
それから、温暖化防止対策推進大綱につきましては、これは政府の決定でございますから、やはり国会によって基礎づけられる必要があるのではないかという点から、私は、温暖化防止対策推進法をぜひ参議院においても御審議いただき、これを通していただきたい。中原審としては、ぜひ一刻も早く体系的、総合的に取り組む仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
陣
佐
佐和隆光#8
○参考人(佐和隆光君) お手元にこういう資料がございます。短い時間になるべく多くのことを言いたいと思ってこういう資料を用意いたしました。
それでは、読ませていただきます。
まず初めに、昨年十二月の京都会議において何が決まったのかを確認しておきたいと思います。京都議定書の要点を列挙いたしますと次のとおりであります。
一、二〇〇八年から二〇一二年を目標年次とする。つまり、二〇一〇年を挟む前後五年間であります。二、先進国全体で一九九〇年比少なくとも五%削減する。三、国別の差異化を施す。日本六%、アメリカ七%、ヨーロッパ諸国八%等の削減率であります。四、一九九〇年以降の植林、再植林などによる吸収源を加算する。五、六つの温室効果ガス、CO2、メタン、亜酸化窒素ほか三つを二酸化炭素に換算して加え合わせたものを削減対象とする。六、共同達成を認める。七、排出権取引制度を導入する。八、先進国間の共同実施を認める。九、途上国との協力をクリーン開発メカニズム、CDMとして制度化する。
温暖化問題は、科学が政治や経済を動かした過去二番目の事例だと言うことができます。最初の事例は、オゾン層を破壊するフロンガスの全廃を決めたモントリオール議定書であります。その意味で、温暖化問題についての意思決定は、次のような手順を踏んで行われるべきであります。
地球温暖化による危害を防ぐためには、例えば二一〇〇年の大気中の二酸化炭素の濃度をいかほどにコントロールすべきなのかの決定を科学者にゆだねる。次いで、そうした目標を達成するためには、二〇一〇年までに二酸化炭素の排出量を一九九〇年比何%削減するべきかを、科学者、経済学者、国際政治学者、工学者らの衆知を集めて定める。そして、どのような地球温暖化対策を講じるべきなのかもまた専門家の意見を十分に尊重して定めるべきだと私は考えます。
温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出を削減するにはどんな対策が考えられるのでしょうか。大別すれば、それらを自主的取り組み、規制的措置、経済的措置の三つにくくることができます。
市場を尊重する立場に立つならば、経済的措置、例えば炭素税、燃費効率のいい自動車への優遇税制等が優先されてしかるべきであると私は考えます。別の言葉で言いかえますと、これからの温暖化対策を思案するに当たっては、自由化、国際化という時代潮流との整合性に配慮すべきであります。自由化、国際化がいまだしの時代、恐らく一九七〇年代ごろまでは企業や消費者の自主的取り組みが十分に功を奏し得たのです。しかし、自由化と国際化の進んだ今日の経済社会を見る限り、自主的取り組みの有効性は甚だしく減じたと言わざるを得ません。また、何かにつけ規制緩和の言われる折から、規制的措置はあくまでも経済的措置を補完するものと心得るべきであります。
一例を挙げますと、太陽電池を普及させるための施策として、我が国では補助金制度が施行されていますが、ドイツのアーヘン市では太陽電池で発電された電力を通常の電気料金の十倍の値段で買い上げることが制度化されています。どちらも太陽電池を普及させるための政府の市場介入をねらった施策であり、しかるべき財政的措置を必要といたしますが、どちらの方式が自由主義経済社会における対策としてスマートなのでしょうか。
私はアーヘン方式の方がはるかにスマートな施策だと考えております。なぜなら、補助金政策が奏功するには、政府が市場の働きをあらわす微分方程式を熟知したラプラスの悪魔でなければならないからであります。つまり、補助金政策が奏功するには、いかほどの補助金をあてがえばいかほどの応募があるのかを政府はあらかじめ知る必要があるからです。神ならざる人間にとって、あるいは神ならざる政府にとって、そんなことは不可能であります。また、余計な人手を必要とするのも補助金政策の欠点であります。他方、アーヘン方式の場合、消費者の選択の自由に任せるというのがその利点であります。アーヘン方式のように市場を尊重する施策のことを経済的措置と言うのであります。
さて、京都議定書では、コミットメント期間は二〇一〇年を挟む五年間とされています。温室効果ガスの排出を一〇%削減するとしたとき、それを一年間でやるのは確かに大変難しいことです。しかし、実際には十三年かけてやるのだということを見落としてはなりません。時間をかけてゆっくりとできるわけですから、消費者や企業に対して急いで何かを禁止したり義務づけたりする必要は決してありません。人間だれしも時間を十分にかければ新しい環境に適応することは容易なはずであります。
次に、産業部門、民生部門、運輸部門の二酸化炭素排出量の削減可能性について私見の一端を披露させていただきます。
私の基本的な考えは、できるだけ無理のないところから、我慢する必要のないところから削減すべきだということであります。同じことを難しく言いかえれば、限界費用の安いところからということになります。こうした観点から削減可能性を検討いたしますと、運輸部門や民生部門での削減可能性を過小評価すべきではないとの結論に達します。低燃費車を普及させること、そしてモーダルシフトを促すこと、省電力設計の家電製品の普及を図ること等により、別段さしたる不便を感じたりすることなく二酸化炭素の排出量を削減することができます。
近年の統計をよく見てみますと、経済成長とエネルギー消費の伸びの関連性が往年に比べて薄くなったことを認めざるを得ません。その証拠の一つとして挙げられるのが、一九九〇年以降、経済成長率が相対的に低かったにもかかわらず、二酸化炭素排出量が顕著な伸びを示したことであります。九〇年から九五年にかけて二酸化炭素排出量は約八・五%もふえたのです。
その内訳を見ますと、産業部門は〇%、民生部門は一六%、運輸部門もまた一六%の勢いで伸びました。産業部門のエネルギー需要と経済成長の間には一定の関係があると見て差し支えありません。しかしながら、民生用、運輸用のエネルギー需要と経済成長との間にはさほど有意な相関関係は認められません。九〇年から九五年にかけて運輸部門のエネルギー消費がなぜそんなにふえたのかというと、燃費効率の悪い三ナンバーの高級車やレクリエーションビークルがふえたからにほかなりません。また、民生用のエネルギー需要がふえたのは、電力多消費型の家電製品がこの問普及途上にあったからにほかなりません。私の見るところ、こうした趨勢はほぼ飽和状態に達しつつあるのではないでしょうか。
温暖化対策をやればまるで経済成長率が下がるかのような議論が横行しておりますが、そうした議論は経済学のABCをわきまえない、全くのためにする議論だと言わざるを得ません。温暖化対策に費用がかかるのは紛れもない事実ではありますが、だからといって温暖化対策が経済成長率を低下させるわけでは決してありません。例えば、炭素税制の導入は、消費者から政府への所得移転をもたらすだけであって、政府が移転された所得の使い道を誤らない限り経済成長率が鈍化するわけでは決してありません。また、炭素税を導入すると同時に、レベニュー・ニュートラルな所得税減税を行えば、果たして消費はふえるのでしょうか減るのでしょうか。結論だけを申しますと、ふえるとも減るとも言えません。いずれにせよ、その絶対値は小さいと言って差し支えないと思います。
ただし、もし日本だけが炭素税を課するのだとすれば、エネルギー多消費型輸出産業への適切な手当てを講じることが必要であります。例えば、鉄鋼業などがこのエネルギー多消費型輸出産業の代表例かと思います。したがいまして、例えば日本からの鉄の輸出に際しては水際で炭素税を払い戻し、例えば韓国からの鉄の輸入に際しては水際で炭素税を徴収するというのが一案であります。あるいはまた、スウェーデンにならってエネルギー多消費型産業を免税にするのも一案であります。
温暖化対策の結果、産業がウイナーインダストリーとルーザーインダストリーに分かれることは避けられません。したがって、政府は、ルーザーインダストリーのロスを最低限に食いとめるためにはどうすればよいのかを真剣に検討するべきであります。ザ・ビッゲスト・ルーザーは石炭産業であります。大規模な石炭産業を抱えるオーストラリア、カナダ、アメリカが温暖化対策に消極的なのはそれゆえよくわかります。しかし、幸いなことに我が国には石炭産業はもはやないに等しいではありませんか。その意味で、日本は温暖化対策の最もやりやすい国の一つだと言えます。低燃費車をつくることを得意とする日本の自動車産業や省電力設計の家庭電化製品をつくるのを得意とする日本の電機産業は明らかにウイナーではないでしょうか。
また、同じ業界内でもウイナーカンパニーとルーザーカンパニーに分かれることは避けられません。その意味で、先日決まったばかりのダイムラー・ベンツとクライスラーの合併を京都会議の結果を色濃く反映した自動車産業界での世界的な再編の始まりだと解釈することができます。
以上申し述べましたとおり、今後数年間のうちに先進各国のいずれもがいや応なく温暖化対策を具体化する必要に迫られます。その際、経済的措置を優先し、その足らずを規制的措置で補うというのが市場経済の国であるはずの我が国における温暖化対策のあり方だと私は確信いたしております。
最後に、排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズムなどの京都議定書により制度化された国際制度について簡単に意見を述べさせていただきます。
日本の排出削減率は九〇年比六%ということですが、このことを言いかえますと、二〇〇八年から二〇一二年にかけての五年間に日本は一九九〇年の排出量の九四%の五倍の温室効果ガスを排出する権利を得たことになります。すなわち、五年間の排出量が与えられた排出権以下になることを義務づけられたわけであります。この排出権を過不足に応じて取引しようというのが排出権取引にほかなりません。
例えば、ロシアの排出権はロシアの一九九〇年の排出量の五倍となるわけです。ロシアの場合は削減率が〇%ですから、一九九〇年の排出量掛ける一掛ける五ということで五倍となるわけですが、ロシアは一九九五年に九〇年比三〇%もの意図せざる削減を行っており、恐らく多少の努力をするだけで当該の五年間の排出量を排出権以下に抑えることが可能なはずです。したがって、ロシアは排出権取引の売り手となり、日本、アメリカなどが買い手となるものと予想されます。
それでは排出権の価格は一体いかほどかということになりますが、前もってそれを予測することは不可能であります。炭素換算一トン当たり二百ドルという説もあれば三ドルという説もあるといったぐあいに、諸説紛々のありさまです。京都議定書の中に排出権取引が盛り込まれたとはいえ、その中身については何も決まっていないのが実情であります。ことし十一月に開催されるブエノスアイレス会議の重要議題の一つが、排出権取引を初めとする国際制度のあり方だと言われております。これらの国際制度についての私の見解は、後ほど御質問があれば幾らでもお答えいたします。
さて、地球温暖化対策推進法は、昨年十二月の京都議定書を受けて、そのコミットメント期間である二〇〇八年から一二年へ向けて、我が国のさまざまな主体が取り組むべき地球温暖化対策の基本方針を定めるものとしてその意義を高く評価いたす思いであります。恐らく、次の課題は温室効果ガスの削減のための有効な対策を講じることであります。温暖化対策推進法がその名のとおり有効かつ公正な温暖化対策を推進するための礎石となることを願うものであります。
以上です。
この発言だけを見る →それでは、読ませていただきます。
まず初めに、昨年十二月の京都会議において何が決まったのかを確認しておきたいと思います。京都議定書の要点を列挙いたしますと次のとおりであります。
一、二〇〇八年から二〇一二年を目標年次とする。つまり、二〇一〇年を挟む前後五年間であります。二、先進国全体で一九九〇年比少なくとも五%削減する。三、国別の差異化を施す。日本六%、アメリカ七%、ヨーロッパ諸国八%等の削減率であります。四、一九九〇年以降の植林、再植林などによる吸収源を加算する。五、六つの温室効果ガス、CO2、メタン、亜酸化窒素ほか三つを二酸化炭素に換算して加え合わせたものを削減対象とする。六、共同達成を認める。七、排出権取引制度を導入する。八、先進国間の共同実施を認める。九、途上国との協力をクリーン開発メカニズム、CDMとして制度化する。
温暖化問題は、科学が政治や経済を動かした過去二番目の事例だと言うことができます。最初の事例は、オゾン層を破壊するフロンガスの全廃を決めたモントリオール議定書であります。その意味で、温暖化問題についての意思決定は、次のような手順を踏んで行われるべきであります。
地球温暖化による危害を防ぐためには、例えば二一〇〇年の大気中の二酸化炭素の濃度をいかほどにコントロールすべきなのかの決定を科学者にゆだねる。次いで、そうした目標を達成するためには、二〇一〇年までに二酸化炭素の排出量を一九九〇年比何%削減するべきかを、科学者、経済学者、国際政治学者、工学者らの衆知を集めて定める。そして、どのような地球温暖化対策を講じるべきなのかもまた専門家の意見を十分に尊重して定めるべきだと私は考えます。
温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出を削減するにはどんな対策が考えられるのでしょうか。大別すれば、それらを自主的取り組み、規制的措置、経済的措置の三つにくくることができます。
市場を尊重する立場に立つならば、経済的措置、例えば炭素税、燃費効率のいい自動車への優遇税制等が優先されてしかるべきであると私は考えます。別の言葉で言いかえますと、これからの温暖化対策を思案するに当たっては、自由化、国際化という時代潮流との整合性に配慮すべきであります。自由化、国際化がいまだしの時代、恐らく一九七〇年代ごろまでは企業や消費者の自主的取り組みが十分に功を奏し得たのです。しかし、自由化と国際化の進んだ今日の経済社会を見る限り、自主的取り組みの有効性は甚だしく減じたと言わざるを得ません。また、何かにつけ規制緩和の言われる折から、規制的措置はあくまでも経済的措置を補完するものと心得るべきであります。
一例を挙げますと、太陽電池を普及させるための施策として、我が国では補助金制度が施行されていますが、ドイツのアーヘン市では太陽電池で発電された電力を通常の電気料金の十倍の値段で買い上げることが制度化されています。どちらも太陽電池を普及させるための政府の市場介入をねらった施策であり、しかるべき財政的措置を必要といたしますが、どちらの方式が自由主義経済社会における対策としてスマートなのでしょうか。
私はアーヘン方式の方がはるかにスマートな施策だと考えております。なぜなら、補助金政策が奏功するには、政府が市場の働きをあらわす微分方程式を熟知したラプラスの悪魔でなければならないからであります。つまり、補助金政策が奏功するには、いかほどの補助金をあてがえばいかほどの応募があるのかを政府はあらかじめ知る必要があるからです。神ならざる人間にとって、あるいは神ならざる政府にとって、そんなことは不可能であります。また、余計な人手を必要とするのも補助金政策の欠点であります。他方、アーヘン方式の場合、消費者の選択の自由に任せるというのがその利点であります。アーヘン方式のように市場を尊重する施策のことを経済的措置と言うのであります。
さて、京都議定書では、コミットメント期間は二〇一〇年を挟む五年間とされています。温室効果ガスの排出を一〇%削減するとしたとき、それを一年間でやるのは確かに大変難しいことです。しかし、実際には十三年かけてやるのだということを見落としてはなりません。時間をかけてゆっくりとできるわけですから、消費者や企業に対して急いで何かを禁止したり義務づけたりする必要は決してありません。人間だれしも時間を十分にかければ新しい環境に適応することは容易なはずであります。
次に、産業部門、民生部門、運輸部門の二酸化炭素排出量の削減可能性について私見の一端を披露させていただきます。
私の基本的な考えは、できるだけ無理のないところから、我慢する必要のないところから削減すべきだということであります。同じことを難しく言いかえれば、限界費用の安いところからということになります。こうした観点から削減可能性を検討いたしますと、運輸部門や民生部門での削減可能性を過小評価すべきではないとの結論に達します。低燃費車を普及させること、そしてモーダルシフトを促すこと、省電力設計の家電製品の普及を図ること等により、別段さしたる不便を感じたりすることなく二酸化炭素の排出量を削減することができます。
近年の統計をよく見てみますと、経済成長とエネルギー消費の伸びの関連性が往年に比べて薄くなったことを認めざるを得ません。その証拠の一つとして挙げられるのが、一九九〇年以降、経済成長率が相対的に低かったにもかかわらず、二酸化炭素排出量が顕著な伸びを示したことであります。九〇年から九五年にかけて二酸化炭素排出量は約八・五%もふえたのです。
その内訳を見ますと、産業部門は〇%、民生部門は一六%、運輸部門もまた一六%の勢いで伸びました。産業部門のエネルギー需要と経済成長の間には一定の関係があると見て差し支えありません。しかしながら、民生用、運輸用のエネルギー需要と経済成長との間にはさほど有意な相関関係は認められません。九〇年から九五年にかけて運輸部門のエネルギー消費がなぜそんなにふえたのかというと、燃費効率の悪い三ナンバーの高級車やレクリエーションビークルがふえたからにほかなりません。また、民生用のエネルギー需要がふえたのは、電力多消費型の家電製品がこの問普及途上にあったからにほかなりません。私の見るところ、こうした趨勢はほぼ飽和状態に達しつつあるのではないでしょうか。
温暖化対策をやればまるで経済成長率が下がるかのような議論が横行しておりますが、そうした議論は経済学のABCをわきまえない、全くのためにする議論だと言わざるを得ません。温暖化対策に費用がかかるのは紛れもない事実ではありますが、だからといって温暖化対策が経済成長率を低下させるわけでは決してありません。例えば、炭素税制の導入は、消費者から政府への所得移転をもたらすだけであって、政府が移転された所得の使い道を誤らない限り経済成長率が鈍化するわけでは決してありません。また、炭素税を導入すると同時に、レベニュー・ニュートラルな所得税減税を行えば、果たして消費はふえるのでしょうか減るのでしょうか。結論だけを申しますと、ふえるとも減るとも言えません。いずれにせよ、その絶対値は小さいと言って差し支えないと思います。
ただし、もし日本だけが炭素税を課するのだとすれば、エネルギー多消費型輸出産業への適切な手当てを講じることが必要であります。例えば、鉄鋼業などがこのエネルギー多消費型輸出産業の代表例かと思います。したがいまして、例えば日本からの鉄の輸出に際しては水際で炭素税を払い戻し、例えば韓国からの鉄の輸入に際しては水際で炭素税を徴収するというのが一案であります。あるいはまた、スウェーデンにならってエネルギー多消費型産業を免税にするのも一案であります。
温暖化対策の結果、産業がウイナーインダストリーとルーザーインダストリーに分かれることは避けられません。したがって、政府は、ルーザーインダストリーのロスを最低限に食いとめるためにはどうすればよいのかを真剣に検討するべきであります。ザ・ビッゲスト・ルーザーは石炭産業であります。大規模な石炭産業を抱えるオーストラリア、カナダ、アメリカが温暖化対策に消極的なのはそれゆえよくわかります。しかし、幸いなことに我が国には石炭産業はもはやないに等しいではありませんか。その意味で、日本は温暖化対策の最もやりやすい国の一つだと言えます。低燃費車をつくることを得意とする日本の自動車産業や省電力設計の家庭電化製品をつくるのを得意とする日本の電機産業は明らかにウイナーではないでしょうか。
また、同じ業界内でもウイナーカンパニーとルーザーカンパニーに分かれることは避けられません。その意味で、先日決まったばかりのダイムラー・ベンツとクライスラーの合併を京都会議の結果を色濃く反映した自動車産業界での世界的な再編の始まりだと解釈することができます。
以上申し述べましたとおり、今後数年間のうちに先進各国のいずれもがいや応なく温暖化対策を具体化する必要に迫られます。その際、経済的措置を優先し、その足らずを規制的措置で補うというのが市場経済の国であるはずの我が国における温暖化対策のあり方だと私は確信いたしております。
最後に、排出権取引、共同実施、クリーン開発メカニズムなどの京都議定書により制度化された国際制度について簡単に意見を述べさせていただきます。
日本の排出削減率は九〇年比六%ということですが、このことを言いかえますと、二〇〇八年から二〇一二年にかけての五年間に日本は一九九〇年の排出量の九四%の五倍の温室効果ガスを排出する権利を得たことになります。すなわち、五年間の排出量が与えられた排出権以下になることを義務づけられたわけであります。この排出権を過不足に応じて取引しようというのが排出権取引にほかなりません。
例えば、ロシアの排出権はロシアの一九九〇年の排出量の五倍となるわけです。ロシアの場合は削減率が〇%ですから、一九九〇年の排出量掛ける一掛ける五ということで五倍となるわけですが、ロシアは一九九五年に九〇年比三〇%もの意図せざる削減を行っており、恐らく多少の努力をするだけで当該の五年間の排出量を排出権以下に抑えることが可能なはずです。したがって、ロシアは排出権取引の売り手となり、日本、アメリカなどが買い手となるものと予想されます。
それでは排出権の価格は一体いかほどかということになりますが、前もってそれを予測することは不可能であります。炭素換算一トン当たり二百ドルという説もあれば三ドルという説もあるといったぐあいに、諸説紛々のありさまです。京都議定書の中に排出権取引が盛り込まれたとはいえ、その中身については何も決まっていないのが実情であります。ことし十一月に開催されるブエノスアイレス会議の重要議題の一つが、排出権取引を初めとする国際制度のあり方だと言われております。これらの国際制度についての私の見解は、後ほど御質問があれば幾らでもお答えいたします。
さて、地球温暖化対策推進法は、昨年十二月の京都議定書を受けて、そのコミットメント期間である二〇〇八年から一二年へ向けて、我が国のさまざまな主体が取り組むべき地球温暖化対策の基本方針を定めるものとしてその意義を高く評価いたす思いであります。恐らく、次の課題は温室効果ガスの削減のための有効な対策を講じることであります。温暖化対策推進法がその名のとおり有効かつ公正な温暖化対策を推進するための礎石となることを願うものであります。
以上です。
陣
青
青山貞一#10
○参考人(青山貞一君) 環境総合研究所所長・環境行政改革フォーラム代表幹事の青山と申します。
私が発言します立場は、いわゆる環境NGOといいますか、そういう市民の総意、総意までいきませんけれども、そういうNGOの立場で発言させていただきたいと思います。
昨年から、重要法案に関しまして、衆議院、参議院、NGOをこういう公聴会にお呼びいただける機会が多くなりまして、そういう意味で私ども非常に国会議員の皆様に感謝しているところでございます。
私は、二種類資料をお配りしております。一つは、佐和先生と同じように、私の陳述内容を三枚のA4の紙にしたためたものでございます。もう一つは、京都会議が終わった後、後ろにおりますけれども、カナダから私どもの研究所に留学してきており、東京工業大学の大学院に行っておりますシンディーさんが中心になりまして、京都会議に参加されたNGO、専門家がそれぞれ英文で京都会議の総括を行ったものであります。既に五十カ国、百の海外NGOに送ってあります。英文でありますが、ぜひ先生方にも一読いただければと思います。
さて、今回の地球温暖化対策推進法案でありますが、私は環境NGOといいますか私自身の意見を申し上げるわけでありますが、先ほど委員長から忌憚のないということがありましたのと、この法案に関しましては、環境庁、通産省、他省庁、私自身シンクタンクをやっておりますが、実務上いろいろと知っていることがございますので、そういうものを他の公述人とは別に申し上げたいと思っています。
まず第一点は、法案のスキーム、骨格についての課題であります。
今回の法案は、いわゆる枠組み法案といえば格好はいいんですけれども、ほとんどが責務規定だけで義務規定が全くない。したがいまして、国際公約でありますCOP3の六%削減をするための担保法案となっていないということが第一の問題であります。
これは、一つの理由は、COP3が終わってからこの法案が出るまでの時間が非常に短く、環境庁自身の実務も三カ月弱、特別の部屋をつくってやっていましたけれども、かなり拙速、稚拙は否めないというのがあると思います。
本法案を指して、ちまたでは、事業者サイドでは事業者に余り害がないからあってもいいとか、あと環境NGOとか環境庁はないよりはあった方がいい、もしくは国際的世間体が保たれるというようなことをおっしゃっているというふうにやゆする向きがありますが、私自身はもちろん、世界で最初にCOP3の内容を担保する国内法、国内統制法と言いますけれども、統制措置をとることには反対ございません。ぜひ世界に先駆けてこのような法案をつくっていただきたい。
しかし、いわゆる骨組みが主であって内容が非常に乏しい。後で政省令、規則、規定、ガイドライン等で審議会とか環境庁が肉をつけるのかもしれませんが、初めから骨。しかも、環境庁は昨年十一月十八日に中間取りまとめといたしまして、「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」、特に「我が国における制度的枠組みについて」という子細にわたる法制化に対する国内法の内容についての枠組みを用意していましたけれども、それの内容の恐らく二割ぐらいしか今回の法律案に反映されておりません。逆に、この行革下にあって新しく公益法人をつくるような組織的な話が非常に多くなっている。あと推進員といいます資格制度といいますか、そういうものをつくるような話が法案全体の目的と定義を外しますと半分ぐらいを占めている。これは全く十一月十八日の中間取りまとめにはないものであります。
ということで、本来二〇〇八年から二〇一二年の間に我が国が公約いたしました、加重平均の問題はありますけれども、六%温室効果ガスを削減するということをあえて法律をつくって担保するという観点からしますと、今回の法律は理念、精神、責務、あと組織をつくる話であって、到底そのような六%を担保するものにはなっていないというのがまず第一の問題かなと思います。
それで次に、民間事業者が策定する実施計画というのがございます。これは、御承知のように通産省が省エネ法というのをちょうど同じ時期に次官会議を通しまして、環境庁がもたもたしている間にこれを出しました。それで、次官会議を通りまして閣議決定されましてこの法案の修正がなされたわけですが、もとより産業分野の伸びというのは少ないんですけれども、排出量全体に占める割合は約五〇%あるということですから、産業分野の温室効果ガスを削減することは極めて重要な話であります。
しかし、昨年一年間、私どもは外務省、通産省、環境庁のこのCOP3の目標づくりのプロセスを外から監視していたわけでありますが、春の時点で案を出し、それについて国民の意見をもらってCOP3に持っていく、もしくはAGBMに持っていくという話がおくれにおくれる、ついぞ十月六日に国会議員の皆さん及び社会に出るという、省庁間の非常に不透明性の高い目標づくりのプロセスを見てきたわけであります。
それと同じことが実はこの産業分野につきましては通産省と環境庁の間でありまして、結局、冒頭申し上げましたけれども、環境庁はみずから、今回出ている法案よりはるかに内容の濃いものを用意していたはずなんですが、結果的にその部分を全部はぎ取った中で通産省の次官会議に至る前に通産省の了解を得た。環境庁の企画調整局長初め、努力は認めますが、そういうことで通ったという経緯からして、もとより省エネ法で対応できる部分はCO2だけでありますが、それが結果的に内容をかなり緩めたということは否めないというふうに思います。
次に、二つ目に、大規模公共事業、土木事業、突出している我が国のこのような公共事業、土木事業が政府によって行われる。今経済が非常に悪いですから、民間企業が行うことによってCO2がふえるというよりは、公共事業、土木事業の突出によってCO2がふえる、温室効果ガスがふえるということが懸念されるわけでありますが、今回の法案では通産、建設、運輸、農水など政府の大規模な政策、施策、開発事業、予算的措置が、温室効果ガスに結びつく話が一切触れられていないということが大きな問題だと思います。
しかも、政府のさまざまな行政計画、法定計画、事業予算を見ますと、皆右肩上がりを前提とした将来の社会経済フレームになっております。それに基づいて道路整備五カ年計画とか電源開発基本計画、エネルギー長期需給見通し、政府の行政計画ができておりますが、それらはいずれも右肩上がりになっております。それを何ら環境庁との間で調整することなくこの法案をつくっても、じゃ民間はまだしも政府みずからの話はどうなるのだということが私は大いに懸念されるところでございます。
それで、地球温暖化防止予算の七割から七割五分が道路建設費に充てられる、もしくは含められているという話がありまして、海外に行ってもこれは笑いの種になっております。一方、この温暖化防止のために今後原子力発電所を二十基つくっていくというような話もございます。これは非現実的な話でありますが、核廃棄物処理の問題でとんざしている現状にあって二十基の原発をつくる、今後温暖化の七五%の予算を使って道路をつくる、それとこの環境庁の基本方針と調整ができなければこの法案の意味は半減するというふうに思います。
次に、自治体が策定する実施計画というのがございます。自治体は御承知のように環境基本法のもとで環境基本計画、それ以前に環境管理計画、それから一九九二年のリオ・サミット以降はアジェンダ21のもとでのローカルアジェンダ21という計画をつくっております。環境庁は補助金も出しています。
そういう中で、自治体はかなりいろいろなこれに類する計画を過去つくってきました。さらにここで実施計画という目的もなければ目標もない。あと計画がどう達成されているかという、進行管理と言うんですけれども、それもない。そういう計画を入れた場合に自治体そのものが混乱を来す、当惑する。あと住民参加で過去の計画をつくっておりますから、住民にとってもまた何か新しい計画を国が考えたということになります。
ですから、これはするなということじゃないんですけれども、十分過去の環境庁が進めてきました環境系の計画との調整をしていただきたいと思います。
次、関連する組織づくりの課題。これは冒頭申し上げましたが、当初の環境庁の中間取りまとめには全くなかったものであります。しかし、目的と定義を除きますと、法案の半分がこれに関するものになっています。それで、行政改革、財政逼迫のもとで、言い方は悪いんですけれども、そういう公益法人、外郭団体をつくると思われるような内容、これは衆議院の本会議で武山百合子自由党議員がかなり具体的に申し上げていますけれども、やはりこの辺は既存のものを使うということもさることながら、本来の六%削減に向けて他省庁とすり合わせするなり協議するなり、透明性のあるルールをつくることが本題であるにもかかわらず、過半がこの組織づくりに向けられているという現実を私は非常に危惧するものであります。
最後に、情報公開、透明性の確保。これは今申し上げてきたとおりでありますが、昨年一年間を見ていて、COP3の内容が外交案件だという名のもとに一切草案も出されない、議員の皆様にも十月になるまで案すら国は出さない、そのようなことがあっていいのか。アメリカの場合には、上院、下院を私ども見ていましたけれども、早くから議会でも論議していました。
それは結果的にその内容がどうだとは違うと思うんです。プロセスだと思うんです。それで、言いますと、佐和先生等もおっしゃっていましたけれども、やはりそのプロセスを国民の前にちゃんと出せるような枠組みを中に入れていただきたい。都道府県が計画を出すとか事業者が計画を公表するのとは別に、国の省庁問協議で、もしくは基本方針をつくるプロセスにおける透明性を高めることが重要だと思います。
もう一つ、この温暖化防止のもとになります排出量というのはあくまで計算で出てくる数値であります。ですから、そのもとになる燃料種類別燃料使用量とか、その背景にあります人口、世帯数、交通量、貨物取扱量、発電量等々の社会経済フレーム、数値を当然細かく国民に出すべきだと思います。今、インターネット時代であり、ホームページで幾らでもその情報は出せるわけでありますから、それを出していただきたい。毎年出していただきたい。さらに、国全体の排出量とは別に、少なくとも都道府県別の排出量を毎年出していただきたい。そうすれば、どの県がどう努力しているか、一極集中がどう進んでいるかということがこれらの社会経済指標及び温室効果ガスの排出量から明らかにわかるわけであります。
これは外から監視する、もしくは住民が参加する、自治体がそれに関与する上でのインセンティブになりますということで、ぜひこれは非常にわかりやすい話ですし実現可能な話ですので、参議院での修正があると衆議院に行ってこれが難しくなるというような話もありますが、私は、今の衆議院、参議院のねじれ化の中で、ぜひ参議院の野党の皆さんには今の法案をよりいいものにする、骨組みだけじゃなくて少し肉をつけていただくという意味で、省庁問協議のルールと透明性を高める話と都道府県レベルでデータを出すというような話に関しまして修正をしていただければ幸いと思います。
以上であります。
この発言だけを見る →私が発言します立場は、いわゆる環境NGOといいますか、そういう市民の総意、総意までいきませんけれども、そういうNGOの立場で発言させていただきたいと思います。
昨年から、重要法案に関しまして、衆議院、参議院、NGOをこういう公聴会にお呼びいただける機会が多くなりまして、そういう意味で私ども非常に国会議員の皆様に感謝しているところでございます。
私は、二種類資料をお配りしております。一つは、佐和先生と同じように、私の陳述内容を三枚のA4の紙にしたためたものでございます。もう一つは、京都会議が終わった後、後ろにおりますけれども、カナダから私どもの研究所に留学してきており、東京工業大学の大学院に行っておりますシンディーさんが中心になりまして、京都会議に参加されたNGO、専門家がそれぞれ英文で京都会議の総括を行ったものであります。既に五十カ国、百の海外NGOに送ってあります。英文でありますが、ぜひ先生方にも一読いただければと思います。
さて、今回の地球温暖化対策推進法案でありますが、私は環境NGOといいますか私自身の意見を申し上げるわけでありますが、先ほど委員長から忌憚のないということがありましたのと、この法案に関しましては、環境庁、通産省、他省庁、私自身シンクタンクをやっておりますが、実務上いろいろと知っていることがございますので、そういうものを他の公述人とは別に申し上げたいと思っています。
まず第一点は、法案のスキーム、骨格についての課題であります。
今回の法案は、いわゆる枠組み法案といえば格好はいいんですけれども、ほとんどが責務規定だけで義務規定が全くない。したがいまして、国際公約でありますCOP3の六%削減をするための担保法案となっていないということが第一の問題であります。
これは、一つの理由は、COP3が終わってからこの法案が出るまでの時間が非常に短く、環境庁自身の実務も三カ月弱、特別の部屋をつくってやっていましたけれども、かなり拙速、稚拙は否めないというのがあると思います。
本法案を指して、ちまたでは、事業者サイドでは事業者に余り害がないからあってもいいとか、あと環境NGOとか環境庁はないよりはあった方がいい、もしくは国際的世間体が保たれるというようなことをおっしゃっているというふうにやゆする向きがありますが、私自身はもちろん、世界で最初にCOP3の内容を担保する国内法、国内統制法と言いますけれども、統制措置をとることには反対ございません。ぜひ世界に先駆けてこのような法案をつくっていただきたい。
しかし、いわゆる骨組みが主であって内容が非常に乏しい。後で政省令、規則、規定、ガイドライン等で審議会とか環境庁が肉をつけるのかもしれませんが、初めから骨。しかも、環境庁は昨年十一月十八日に中間取りまとめといたしまして、「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」、特に「我が国における制度的枠組みについて」という子細にわたる法制化に対する国内法の内容についての枠組みを用意していましたけれども、それの内容の恐らく二割ぐらいしか今回の法律案に反映されておりません。逆に、この行革下にあって新しく公益法人をつくるような組織的な話が非常に多くなっている。あと推進員といいます資格制度といいますか、そういうものをつくるような話が法案全体の目的と定義を外しますと半分ぐらいを占めている。これは全く十一月十八日の中間取りまとめにはないものであります。
ということで、本来二〇〇八年から二〇一二年の間に我が国が公約いたしました、加重平均の問題はありますけれども、六%温室効果ガスを削減するということをあえて法律をつくって担保するという観点からしますと、今回の法律は理念、精神、責務、あと組織をつくる話であって、到底そのような六%を担保するものにはなっていないというのがまず第一の問題かなと思います。
それで次に、民間事業者が策定する実施計画というのがございます。これは、御承知のように通産省が省エネ法というのをちょうど同じ時期に次官会議を通しまして、環境庁がもたもたしている間にこれを出しました。それで、次官会議を通りまして閣議決定されましてこの法案の修正がなされたわけですが、もとより産業分野の伸びというのは少ないんですけれども、排出量全体に占める割合は約五〇%あるということですから、産業分野の温室効果ガスを削減することは極めて重要な話であります。
しかし、昨年一年間、私どもは外務省、通産省、環境庁のこのCOP3の目標づくりのプロセスを外から監視していたわけでありますが、春の時点で案を出し、それについて国民の意見をもらってCOP3に持っていく、もしくはAGBMに持っていくという話がおくれにおくれる、ついぞ十月六日に国会議員の皆さん及び社会に出るという、省庁間の非常に不透明性の高い目標づくりのプロセスを見てきたわけであります。
それと同じことが実はこの産業分野につきましては通産省と環境庁の間でありまして、結局、冒頭申し上げましたけれども、環境庁はみずから、今回出ている法案よりはるかに内容の濃いものを用意していたはずなんですが、結果的にその部分を全部はぎ取った中で通産省の次官会議に至る前に通産省の了解を得た。環境庁の企画調整局長初め、努力は認めますが、そういうことで通ったという経緯からして、もとより省エネ法で対応できる部分はCO2だけでありますが、それが結果的に内容をかなり緩めたということは否めないというふうに思います。
次に、二つ目に、大規模公共事業、土木事業、突出している我が国のこのような公共事業、土木事業が政府によって行われる。今経済が非常に悪いですから、民間企業が行うことによってCO2がふえるというよりは、公共事業、土木事業の突出によってCO2がふえる、温室効果ガスがふえるということが懸念されるわけでありますが、今回の法案では通産、建設、運輸、農水など政府の大規模な政策、施策、開発事業、予算的措置が、温室効果ガスに結びつく話が一切触れられていないということが大きな問題だと思います。
しかも、政府のさまざまな行政計画、法定計画、事業予算を見ますと、皆右肩上がりを前提とした将来の社会経済フレームになっております。それに基づいて道路整備五カ年計画とか電源開発基本計画、エネルギー長期需給見通し、政府の行政計画ができておりますが、それらはいずれも右肩上がりになっております。それを何ら環境庁との間で調整することなくこの法案をつくっても、じゃ民間はまだしも政府みずからの話はどうなるのだということが私は大いに懸念されるところでございます。
それで、地球温暖化防止予算の七割から七割五分が道路建設費に充てられる、もしくは含められているという話がありまして、海外に行ってもこれは笑いの種になっております。一方、この温暖化防止のために今後原子力発電所を二十基つくっていくというような話もございます。これは非現実的な話でありますが、核廃棄物処理の問題でとんざしている現状にあって二十基の原発をつくる、今後温暖化の七五%の予算を使って道路をつくる、それとこの環境庁の基本方針と調整ができなければこの法案の意味は半減するというふうに思います。
次に、自治体が策定する実施計画というのがございます。自治体は御承知のように環境基本法のもとで環境基本計画、それ以前に環境管理計画、それから一九九二年のリオ・サミット以降はアジェンダ21のもとでのローカルアジェンダ21という計画をつくっております。環境庁は補助金も出しています。
そういう中で、自治体はかなりいろいろなこれに類する計画を過去つくってきました。さらにここで実施計画という目的もなければ目標もない。あと計画がどう達成されているかという、進行管理と言うんですけれども、それもない。そういう計画を入れた場合に自治体そのものが混乱を来す、当惑する。あと住民参加で過去の計画をつくっておりますから、住民にとってもまた何か新しい計画を国が考えたということになります。
ですから、これはするなということじゃないんですけれども、十分過去の環境庁が進めてきました環境系の計画との調整をしていただきたいと思います。
次、関連する組織づくりの課題。これは冒頭申し上げましたが、当初の環境庁の中間取りまとめには全くなかったものであります。しかし、目的と定義を除きますと、法案の半分がこれに関するものになっています。それで、行政改革、財政逼迫のもとで、言い方は悪いんですけれども、そういう公益法人、外郭団体をつくると思われるような内容、これは衆議院の本会議で武山百合子自由党議員がかなり具体的に申し上げていますけれども、やはりこの辺は既存のものを使うということもさることながら、本来の六%削減に向けて他省庁とすり合わせするなり協議するなり、透明性のあるルールをつくることが本題であるにもかかわらず、過半がこの組織づくりに向けられているという現実を私は非常に危惧するものであります。
最後に、情報公開、透明性の確保。これは今申し上げてきたとおりでありますが、昨年一年間を見ていて、COP3の内容が外交案件だという名のもとに一切草案も出されない、議員の皆様にも十月になるまで案すら国は出さない、そのようなことがあっていいのか。アメリカの場合には、上院、下院を私ども見ていましたけれども、早くから議会でも論議していました。
それは結果的にその内容がどうだとは違うと思うんです。プロセスだと思うんです。それで、言いますと、佐和先生等もおっしゃっていましたけれども、やはりそのプロセスを国民の前にちゃんと出せるような枠組みを中に入れていただきたい。都道府県が計画を出すとか事業者が計画を公表するのとは別に、国の省庁問協議で、もしくは基本方針をつくるプロセスにおける透明性を高めることが重要だと思います。
もう一つ、この温暖化防止のもとになります排出量というのはあくまで計算で出てくる数値であります。ですから、そのもとになる燃料種類別燃料使用量とか、その背景にあります人口、世帯数、交通量、貨物取扱量、発電量等々の社会経済フレーム、数値を当然細かく国民に出すべきだと思います。今、インターネット時代であり、ホームページで幾らでもその情報は出せるわけでありますから、それを出していただきたい。毎年出していただきたい。さらに、国全体の排出量とは別に、少なくとも都道府県別の排出量を毎年出していただきたい。そうすれば、どの県がどう努力しているか、一極集中がどう進んでいるかということがこれらの社会経済指標及び温室効果ガスの排出量から明らかにわかるわけであります。
これは外から監視する、もしくは住民が参加する、自治体がそれに関与する上でのインセンティブになりますということで、ぜひこれは非常にわかりやすい話ですし実現可能な話ですので、参議院での修正があると衆議院に行ってこれが難しくなるというような話もありますが、私は、今の衆議院、参議院のねじれ化の中で、ぜひ参議院の野党の皆さんには今の法案をよりいいものにする、骨組みだけじゃなくて少し肉をつけていただくという意味で、省庁問協議のルールと透明性を高める話と都道府県レベルでデータを出すというような話に関しまして修正をしていただければ幸いと思います。
以上であります。
陣
増
増田善信#12
○参考人(増田善信君) 増田でございます。気象研究者として地球温暖化対策の推進に関する法律案に対する意見を述べさせていただきます。
アラスカで氷河が解け浜名湖ほどの湖ができたと報じられ、ことしの異常気象も温暖化のせいではないかと地球の温暖化が心配されています。
国連の組織としてつくられている気候変動に関する政府間パネル、すなわちIPCCは一九九五年、既に地球温暖化の兆候はあらわれており、もしこのまま温室効果ガスを放出し続けるならば、二一〇〇年には地球全体の平均気温が現在より二度C上昇し、海面水位も平均で約五十センチ上昇するだろうと予測しています。そして、その結果、低い地域は水没するだけでなく、地球全体の生態系の変化、世界的な食糧難、猛烈な台風や洪水、風水害などの頻発、マラリアなどの熱帯、亜熱帯の疫病の多発などが懸念されるとし、CO2濃度を現在の水準で安定化するためには、その排出を直ちに五〇ないし七〇%削減し、その後もさらに削減する必要があると警告しています。
昨年十二月、気候変動に関する国際連合枠組条約第三回締結国会議、すなわちCOP3が京都で開かれました。そして、この会議では締結国全体の温室効果ガスの二〇一〇年の削減目標を一九九〇年比で五・二%にするという議定書を採択して終わりました。主な国では、日本六%、アメリカ七%、EUすなわち欧州連合八%です。日本のCO2の削減は当初の提案どおり、二・五%にとどまりました。
IPCCがCO2の排出量を直ちに五〇ないし七〇%削減する必要があると警告しているにもかかわらず、京都会議がこのような低い削減目標しか採択し得なかったことば極めて残念です。この京都会議に出席していた島国ミクロネシアのファルカム副大統領が、我々の島が温暖化の最初の犠牲者になるときには全世界にとってもう手おくれだと嘆いたと言われています。本当にそのとおりだと思います。
このように、地球温暖化は人類の死活にかかわることであるにもかかわらず、COP3で決められた削減量は極めて不十分なものでした。それでもそれを達成するためには大変な努力が要るのです。
お配りした資料を見ていただきたいと思いますけれども、いかにそのことが大変かを示させていただきたいと思います。
この図で、実線は日本のCO2の排出量の変化を示したものですが、日本の九五年度のCO2の排出量は九〇年比で既に八・三%もふえており、二〇〇〇年には一六・六%になると予想されます。したがって、日本のCO2の削減量が二・五%で済むとしても、二〇〇〇年以降のわずか十年間でCO2の排出を約一九%も減らさなければならないのです。
これは国際的にも言えることです。鎖線は、気候変動枠組条約事務局の資料からのものですが、温室効果ガスの世界全体の九五年の排出量は、旧ソ連、東欧の経済活動の停滞により九〇年比で四・八%減少しましたが、二〇〇〇年には四・八%増加する見通しです。したがって、COP3で決められた削減目標五・二%を達成しようとすると、二〇〇〇年からの十年間で一〇%も削減しなければなりません。本当に大変な削減量なのです。
温暖化を防ぐためには発生源である温室効果ガスを減らすことですが、その九四%が化石燃料から出るCO2です。したがって、化石燃料の使用量を減らすことが急務です。そのためには日常的な省エネが重要ですが、家庭からの排出量はせいぜい六%足らずです。エネルギー転換部門、すなわち火力発電所からのCO2の排出が最大で、実に三〇%に達しています。しかも、火力発電所では投入したエネルギーの三九%しか有効に利用されておりません。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンパインドサイクル発電や、発電と熱供給を同時に行うコージェネレーションなどの採用でエネルギー効率を高めれば、CO2を大幅に減らすことができます。
同様に、産業部門でも、むだに捨てられている熱エネルギーを電気に変えて利用する必要があります。運輸部門でも、路面電車の復活など公営交通体系を整備して車を減らせば大気汚染とともにCO2も減らすことが可能です。ところが、政府の地球温暖化防止行動計画に関する予算は十一兆七千億円ですが、渋滞解消の名目で八兆四千億円が道路整備費です。方向が逆ではないでしょうか。
クリーンエネルギーの使用も重要です。実は私は、自宅の屋根に太陽光発電を載せて三年半、毎月発電量と使用量を調べています。その結果、太陽光発電が我が家で使う電力の約半分を賄ってくれています。もし我が国のすべての家庭の屋根に太陽光発電をつければ、CO2の総排出量を一六%削減できると試算されています。太陽光発電そのものは出力が小さいので動力には不向きですが、太陽光発電で水を電気分解して水素をつくり燃料電池に使えばクリーンなエネルギーが得られます。
政府は、原発はクリーンだと称して、温暖化対策の名目で二〇一〇年までに二十基の原発の増設を計画しています。しかし、チェルノブイリを初め「もんじゅ」や動燃の再処理工場の事故で明らかなように、深刻な放射能汚染をもたらしかねません。それだけでなく、何千年も高レベル放射性廃棄物を安全に管理しなければなりません。そのために冷却、換気などで大量な電気が必要であり、CO2が多量に出ます。クリーンだとは言えないと思います。
私は、この八月末から九月の初めにかけてアメリカに行き、事故を起こして解体中のスリーマイルアイランド原発、高レベル放射性廃棄物の地層処分の研究をしているヤッカマウンテン、そしてサクラメント電力公社を見学してまいりました。
特に興味深かったのはサクラメント電力公社で、この公社は一九八九年六月に稼働中の九十一万キロワットのランチョ・セコ原子力発電所を閉鎖し、それ以後は、水力、コージェネレーション、太陽光、風力、地熱、バイオマス、天然ガスなど、いわゆるクリーンエネルギーで約百十二万人のサクラメント市の電力をほぼ賄っています。原発をやめ、しかも採算を上げながら二十年間でCO2を三〇%も減らす計画を実施中です。
デンマークやドイツが温暖化防止のエネルギー対策で成果を上げていることはよく知られているように、技術的にはCO2を減らす方法はあるのです。問題は実行する意思があるかどうかです。
このように考えると、昨年のCOP3の温室効果ガスの削減目標は極めて不十分だと思いますが、その完全実施を目指して政府がいち早く地球温暖化対策の推進に関する法律案を国会に提出されたことには心から敬意を表します。しかし、率直に申し上げまして、この法律案では、ただでさえ不十分な温室効果ガスの削波目標さえ達成できないのではないかと危惧しています。その箇所を二、三述べさせていただきます。
まず第一は、法案の各所に用いられている「排出の抑制」という言葉です。これでは削減の緊急性が伝わらないように思えますので、はっきりと削減という言葉を使っていただければと思います。
第二は、第三条二項に「当該施策の目的の達成との調和を図りつつ」という言葉がありますが、「調和を図りつつ」という言葉が気になります。なぜかといいますと、一九六七年八月に施行された公害対策基本法に同じように「経済との調和を図りつつ」との文言があったため、実質的な施策が実施されず、この文言を削除するための国民的な大闘争が起こり、やっと一九七〇年十二月の公害国会で修正させたという苦い経験があるからです。
第三は、いずれも事業者に関係するところで、温室効果ガスの削減のための措置やその措置の実施状況などの公表が努力目標になっている点です。一九九〇年に地球温暖化防止行動計画が策定されながら、全く実質的な効果が上がらず、CO2の排出量が既に一九九〇年の水準の九・六%以上も増加しているのは、この行動計画が努力目標だけを羅列していたからだと思います。
今回の法案では「政府は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策に関する基本方針を定めなければならない。」と規定し、基本方針には「国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項」が入っております。また、温室効果ガスの総排出量を含む実施の状況の公表を義務づけています。ところが、最大の排出者である事業者にはその公表が努力目標になっているのです。もし事業者が公表しなければ、総合的かつ計画的な推進を図るための基本計画そのものが策定できなくなり、総排出量さえ算定できなくなるのではないでしょうか。これでは再び一九九〇年の行動計画の轍を踏むことになるのではないかと危惧されます。
本委員会におかれましては、これらの問題を含めて慎重に御審議いただき、本当に実効性のある法律をつくっていただきたいと思います。
ケニアには、「地球を大切にしなさい。それは親からもらったものではなく子供たちから借りているものだから」ということわざがあるそうです。二十一世紀の子供たちに本当にすばらしい地球を譲り渡すために御尽力くださることをお願いいたしまして、発言を終えさせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →アラスカで氷河が解け浜名湖ほどの湖ができたと報じられ、ことしの異常気象も温暖化のせいではないかと地球の温暖化が心配されています。
国連の組織としてつくられている気候変動に関する政府間パネル、すなわちIPCCは一九九五年、既に地球温暖化の兆候はあらわれており、もしこのまま温室効果ガスを放出し続けるならば、二一〇〇年には地球全体の平均気温が現在より二度C上昇し、海面水位も平均で約五十センチ上昇するだろうと予測しています。そして、その結果、低い地域は水没するだけでなく、地球全体の生態系の変化、世界的な食糧難、猛烈な台風や洪水、風水害などの頻発、マラリアなどの熱帯、亜熱帯の疫病の多発などが懸念されるとし、CO2濃度を現在の水準で安定化するためには、その排出を直ちに五〇ないし七〇%削減し、その後もさらに削減する必要があると警告しています。
昨年十二月、気候変動に関する国際連合枠組条約第三回締結国会議、すなわちCOP3が京都で開かれました。そして、この会議では締結国全体の温室効果ガスの二〇一〇年の削減目標を一九九〇年比で五・二%にするという議定書を採択して終わりました。主な国では、日本六%、アメリカ七%、EUすなわち欧州連合八%です。日本のCO2の削減は当初の提案どおり、二・五%にとどまりました。
IPCCがCO2の排出量を直ちに五〇ないし七〇%削減する必要があると警告しているにもかかわらず、京都会議がこのような低い削減目標しか採択し得なかったことば極めて残念です。この京都会議に出席していた島国ミクロネシアのファルカム副大統領が、我々の島が温暖化の最初の犠牲者になるときには全世界にとってもう手おくれだと嘆いたと言われています。本当にそのとおりだと思います。
このように、地球温暖化は人類の死活にかかわることであるにもかかわらず、COP3で決められた削減量は極めて不十分なものでした。それでもそれを達成するためには大変な努力が要るのです。
お配りした資料を見ていただきたいと思いますけれども、いかにそのことが大変かを示させていただきたいと思います。
この図で、実線は日本のCO2の排出量の変化を示したものですが、日本の九五年度のCO2の排出量は九〇年比で既に八・三%もふえており、二〇〇〇年には一六・六%になると予想されます。したがって、日本のCO2の削減量が二・五%で済むとしても、二〇〇〇年以降のわずか十年間でCO2の排出を約一九%も減らさなければならないのです。
これは国際的にも言えることです。鎖線は、気候変動枠組条約事務局の資料からのものですが、温室効果ガスの世界全体の九五年の排出量は、旧ソ連、東欧の経済活動の停滞により九〇年比で四・八%減少しましたが、二〇〇〇年には四・八%増加する見通しです。したがって、COP3で決められた削減目標五・二%を達成しようとすると、二〇〇〇年からの十年間で一〇%も削減しなければなりません。本当に大変な削減量なのです。
温暖化を防ぐためには発生源である温室効果ガスを減らすことですが、その九四%が化石燃料から出るCO2です。したがって、化石燃料の使用量を減らすことが急務です。そのためには日常的な省エネが重要ですが、家庭からの排出量はせいぜい六%足らずです。エネルギー転換部門、すなわち火力発電所からのCO2の排出が最大で、実に三〇%に達しています。しかも、火力発電所では投入したエネルギーの三九%しか有効に利用されておりません。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンパインドサイクル発電や、発電と熱供給を同時に行うコージェネレーションなどの採用でエネルギー効率を高めれば、CO2を大幅に減らすことができます。
同様に、産業部門でも、むだに捨てられている熱エネルギーを電気に変えて利用する必要があります。運輸部門でも、路面電車の復活など公営交通体系を整備して車を減らせば大気汚染とともにCO2も減らすことが可能です。ところが、政府の地球温暖化防止行動計画に関する予算は十一兆七千億円ですが、渋滞解消の名目で八兆四千億円が道路整備費です。方向が逆ではないでしょうか。
クリーンエネルギーの使用も重要です。実は私は、自宅の屋根に太陽光発電を載せて三年半、毎月発電量と使用量を調べています。その結果、太陽光発電が我が家で使う電力の約半分を賄ってくれています。もし我が国のすべての家庭の屋根に太陽光発電をつければ、CO2の総排出量を一六%削減できると試算されています。太陽光発電そのものは出力が小さいので動力には不向きですが、太陽光発電で水を電気分解して水素をつくり燃料電池に使えばクリーンなエネルギーが得られます。
政府は、原発はクリーンだと称して、温暖化対策の名目で二〇一〇年までに二十基の原発の増設を計画しています。しかし、チェルノブイリを初め「もんじゅ」や動燃の再処理工場の事故で明らかなように、深刻な放射能汚染をもたらしかねません。それだけでなく、何千年も高レベル放射性廃棄物を安全に管理しなければなりません。そのために冷却、換気などで大量な電気が必要であり、CO2が多量に出ます。クリーンだとは言えないと思います。
私は、この八月末から九月の初めにかけてアメリカに行き、事故を起こして解体中のスリーマイルアイランド原発、高レベル放射性廃棄物の地層処分の研究をしているヤッカマウンテン、そしてサクラメント電力公社を見学してまいりました。
特に興味深かったのはサクラメント電力公社で、この公社は一九八九年六月に稼働中の九十一万キロワットのランチョ・セコ原子力発電所を閉鎖し、それ以後は、水力、コージェネレーション、太陽光、風力、地熱、バイオマス、天然ガスなど、いわゆるクリーンエネルギーで約百十二万人のサクラメント市の電力をほぼ賄っています。原発をやめ、しかも採算を上げながら二十年間でCO2を三〇%も減らす計画を実施中です。
デンマークやドイツが温暖化防止のエネルギー対策で成果を上げていることはよく知られているように、技術的にはCO2を減らす方法はあるのです。問題は実行する意思があるかどうかです。
このように考えると、昨年のCOP3の温室効果ガスの削減目標は極めて不十分だと思いますが、その完全実施を目指して政府がいち早く地球温暖化対策の推進に関する法律案を国会に提出されたことには心から敬意を表します。しかし、率直に申し上げまして、この法律案では、ただでさえ不十分な温室効果ガスの削波目標さえ達成できないのではないかと危惧しています。その箇所を二、三述べさせていただきます。
まず第一は、法案の各所に用いられている「排出の抑制」という言葉です。これでは削減の緊急性が伝わらないように思えますので、はっきりと削減という言葉を使っていただければと思います。
第二は、第三条二項に「当該施策の目的の達成との調和を図りつつ」という言葉がありますが、「調和を図りつつ」という言葉が気になります。なぜかといいますと、一九六七年八月に施行された公害対策基本法に同じように「経済との調和を図りつつ」との文言があったため、実質的な施策が実施されず、この文言を削除するための国民的な大闘争が起こり、やっと一九七〇年十二月の公害国会で修正させたという苦い経験があるからです。
第三は、いずれも事業者に関係するところで、温室効果ガスの削減のための措置やその措置の実施状況などの公表が努力目標になっている点です。一九九〇年に地球温暖化防止行動計画が策定されながら、全く実質的な効果が上がらず、CO2の排出量が既に一九九〇年の水準の九・六%以上も増加しているのは、この行動計画が努力目標だけを羅列していたからだと思います。
今回の法案では「政府は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策に関する基本方針を定めなければならない。」と規定し、基本方針には「国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項」が入っております。また、温室効果ガスの総排出量を含む実施の状況の公表を義務づけています。ところが、最大の排出者である事業者にはその公表が努力目標になっているのです。もし事業者が公表しなければ、総合的かつ計画的な推進を図るための基本計画そのものが策定できなくなり、総排出量さえ算定できなくなるのではないでしょうか。これでは再び一九九〇年の行動計画の轍を踏むことになるのではないかと危惧されます。
本委員会におかれましては、これらの問題を含めて慎重に御審議いただき、本当に実効性のある法律をつくっていただきたいと思います。
ケニアには、「地球を大切にしなさい。それは親からもらったものではなく子供たちから借りているものだから」ということわざがあるそうです。二十一世紀の子供たちに本当にすばらしい地球を譲り渡すために御尽力くださることをお願いいたしまして、発言を終えさせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。
陣
陣内孝雄#13
○委員長(陣内孝雄君) ありがとうございました。
以上で参考人の皆様からの意見聴取は終わりました。
それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で参考人の皆様からの意見聴取は終わりました。
それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
脇
脇雅史#14
○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。
きょうは、四人の参考人の皆様方、大変お忙しい中おいでを賜りまして貴重な御意見を承りました。まことにありがとうございました。
皆様方の御意見、若干ニュアンスに差がございまして、青山先生、増田先生は少し不十分ではないかという御意見でございましたが、総体的に見ますと、ニュアンスの差こそあれ、非常に重要な法案であるという御認識であったというふうに思います。
私も、この法案は極めて大事な法案だというふうに認識をしている者の一人でございます。特に、国際的に見ましてもなかなか我が国がいろんな意味でリーダーシップをとり得ていないという中で、この種の問題は日本にとって、私たち日本人にとって世界的にリードをとっていくために最もふさわしい課題ではないかなというふうに思うのでございます。特に、日本人は昔から自然と調和をしながら生きてきた長い経験と実績がございます。そういった経験を踏まえて、ぜひともこの法案をよりよい形で成立をさせていただいて、国際的にもリーダーシップをとっていきたいというふうに思うのでございます。
しかし、言うはやすし行うはがたしてございまして、これまで文明の方向と申しますのは欲望に応じて、とりわけ量の拡大という方向で来たわけでございますから、ここで減らすような方向に行こうという、まさに文明の転換と言ってもいい転機になるべきことでございますから、なかなかそう簡単にはいかないように思っております。先ほど来お話もございましたように、全国民の皆さんがこの法案の趣旨をよく理解して、そしてみんなでやっていくという体制をつくらなければ、なかなか目標の達成は困難なのではないかなというふうに思うわけでございます。
そこで、この法案の第一条、目的の規定というのが極めて大事なのではないかなと思うのでございます。法律の顔と言ってもいい目的の欄でございますので、ちょっとこの第一条について御意見を承りたいのでございますが、お持ちでございましょうか。
衆議院の方で御審議をいただいたときに、やはりそんなことからだろうと思うんですが、よりょくするという観点から目的の項の修正が加えられました。敬意を表したいと思うわけでありますが、私、一読をいたしまして、こういった方面にやや素人だという面もあるわけでございますが、非常にわかりにくい。目的を読んだときに、こう言っては失礼なんですが、特に修正を加えていただいた部分の文言がなかなかなじみにくい部分がございまして、一般の国民の方々が目を通されたときに、この部分で少しくたびれてしまうと言ってはおかしいんですが、そんな心配をいたしております。
私の個人的な杞憂かもしれませんが、せっかくの機会でございますので、参考人の皆様方にそれぞれ専門のお立場からでも結構でございますし、国民の一人としての御意見でも構いませんので、この一条を読まれての率直な御感想をまず承りたいと存じます。恐縮でございますが、先ほどの御意見の陳述の順番にいただければ幸いでございます。
この発言だけを見る →きょうは、四人の参考人の皆様方、大変お忙しい中おいでを賜りまして貴重な御意見を承りました。まことにありがとうございました。
皆様方の御意見、若干ニュアンスに差がございまして、青山先生、増田先生は少し不十分ではないかという御意見でございましたが、総体的に見ますと、ニュアンスの差こそあれ、非常に重要な法案であるという御認識であったというふうに思います。
私も、この法案は極めて大事な法案だというふうに認識をしている者の一人でございます。特に、国際的に見ましてもなかなか我が国がいろんな意味でリーダーシップをとり得ていないという中で、この種の問題は日本にとって、私たち日本人にとって世界的にリードをとっていくために最もふさわしい課題ではないかなというふうに思うのでございます。特に、日本人は昔から自然と調和をしながら生きてきた長い経験と実績がございます。そういった経験を踏まえて、ぜひともこの法案をよりよい形で成立をさせていただいて、国際的にもリーダーシップをとっていきたいというふうに思うのでございます。
しかし、言うはやすし行うはがたしてございまして、これまで文明の方向と申しますのは欲望に応じて、とりわけ量の拡大という方向で来たわけでございますから、ここで減らすような方向に行こうという、まさに文明の転換と言ってもいい転機になるべきことでございますから、なかなかそう簡単にはいかないように思っております。先ほど来お話もございましたように、全国民の皆さんがこの法案の趣旨をよく理解して、そしてみんなでやっていくという体制をつくらなければ、なかなか目標の達成は困難なのではないかなというふうに思うわけでございます。
そこで、この法案の第一条、目的の規定というのが極めて大事なのではないかなと思うのでございます。法律の顔と言ってもいい目的の欄でございますので、ちょっとこの第一条について御意見を承りたいのでございますが、お持ちでございましょうか。
衆議院の方で御審議をいただいたときに、やはりそんなことからだろうと思うんですが、よりょくするという観点から目的の項の修正が加えられました。敬意を表したいと思うわけでありますが、私、一読をいたしまして、こういった方面にやや素人だという面もあるわけでございますが、非常にわかりにくい。目的を読んだときに、こう言っては失礼なんですが、特に修正を加えていただいた部分の文言がなかなかなじみにくい部分がございまして、一般の国民の方々が目を通されたときに、この部分で少しくたびれてしまうと言ってはおかしいんですが、そんな心配をいたしております。
私の個人的な杞憂かもしれませんが、せっかくの機会でございますので、参考人の皆様方にそれぞれ専門のお立場からでも結構でございますし、国民の一人としての御意見でも構いませんので、この一条を読まれての率直な御感想をまず承りたいと存じます。恐縮でございますが、先ほどの御意見の陳述の順番にいただければ幸いでございます。
森
森嶌昭夫#15
○参考人(森嶌昭夫君) 私は法律家でございますので一般的には法律の条文に余り抵抗がないんですけれども、確かに脇先生のおっしゃるように、これだけ長くくっつきますとどこで切れるのかというようなことで難しいということはございます。しかし、いかなる法律においても、すべての人はそれを丁寧に読んですべて理解するということではなくて、場合によっては中間を飛ばしても構わないわけでございまして、私は衆議院の英知に対して何もけちをつけるつもりは全くございません。
確かに難しくはなっているけれども、少なくともこの法律が気候変動条約それからそれに続く京都議定書をきちっと履行するための法律であるということを示したという点では、わかりにくさが加わったにしても、もともとこの法律が目的としていたところが明らかになったということで、私は差し支えないのではないかと。そして、くたびれないように途中は読まないでも済むというふうに、温暖化の問題が人類共通の課題であるというふうに、以前の法律のようにざっと目を通していただければいいのではないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →確かに難しくはなっているけれども、少なくともこの法律が気候変動条約それからそれに続く京都議定書をきちっと履行するための法律であるということを示したという点では、わかりにくさが加わったにしても、もともとこの法律が目的としていたところが明らかになったということで、私は差し支えないのではないかと。そして、くたびれないように途中は読まないでも済むというふうに、温暖化の問題が人類共通の課題であるというふうに、以前の法律のようにざっと目を通していただければいいのではないかというふうに思っております。
佐
佐和隆光#16
○参考人(佐和隆光君) 私は、法律家の森嶌さんがお答えになった後に答えるのは大変答えづらいといいますか、ほとんど法律なんというのは読んだことがございませんでして、今初めてこれも拝見して、これは悪文と言うべきかなというふうに私も思いました。しかし、これをどう直せばいいのかということについては必ずしもはっきりした私自身の意見があるわけではございません。
修正後の方がさらに複雑になっているわけでございますね。とても一息に読める文章ではないですね。それからまた、いろいろ最近話題の「等」も出てまいりますね。
ですから、そういう意味で、私自身は法律の専門家でないこと、そしてまた、文章のよしあしということについてはそれなりの見解は持っておりますが、決していい文章だとも思いませんが、趣旨そのものについては森嶌参考人がさっきおっしゃったとおり読めばわかるということで、その程度の印象しかございません。
この発言だけを見る →修正後の方がさらに複雑になっているわけでございますね。とても一息に読める文章ではないですね。それからまた、いろいろ最近話題の「等」も出てまいりますね。
ですから、そういう意味で、私自身は法律の専門家でないこと、そしてまた、文章のよしあしということについてはそれなりの見解は持っておりますが、決していい文章だとも思いませんが、趣旨そのものについては森嶌参考人がさっきおっしゃったとおり読めばわかるということで、その程度の印象しかございません。
青
青山貞一#17
○参考人(青山貞一君) 私は、目的に関しては、こういうものは今までいっぱい出てきましたから嫌というほどいろんなところで見ていますので、例えばこれ自身を高校生に読ませて、中学生に読ませてすぐわかるかということでいえば難しいと思いますが、ここについては余り特に意見とか文句はございません。
私は、きょうここへあえて来ましたのは、余りにも枠組み法といいますか、内容がない、骨ばかりだと。もしくは組織をつくる法案になっているということですから、あえて申し上げれば、早い話、目的の中に枠組み法であるというようなことを明記した方がいいのじゃないかと思います。
後で肉をつけますよと、環境庁の人間に聞けば聞くほど、とりあえず通してもらって、後で三年なり五年なり、森嶌さんと控え室でお話ししたときはすぐにでも改定をして肉をつけるんだと言っていました。ただ、五年先に肉がつく話になりますと、つまり私の言う法的統制措置で六%を担保する法律にするということになりますと、もう既に五年先になってしまう。
そうすると、今まででも皆さん申されていると思いますけれども、既に一九九〇年対比で一〇%、CO2に限ってもふえていますから、五年後に枠組みの上に肉をつけてそれぞれに義務規定を設ける、規制をする、経済的措置をするというようなことになりますと、明らかに遅いし、間に合わないということです。そちらの方こそ重要であって、あえて申し上げれば、ここでは内容の難しさというよりもこの法律が枠組みを与える法律であるということを本当は明記した方が、つまり英語にした場合に、世界的に批判なり、恥をかかないと言うと失礼ですけれども、内容が、後の方に出てくるものがここに書いてあるものに必ずしもなっていないということの方が問題だと思います。
この発言だけを見る →私は、きょうここへあえて来ましたのは、余りにも枠組み法といいますか、内容がない、骨ばかりだと。もしくは組織をつくる法案になっているということですから、あえて申し上げれば、早い話、目的の中に枠組み法であるというようなことを明記した方がいいのじゃないかと思います。
後で肉をつけますよと、環境庁の人間に聞けば聞くほど、とりあえず通してもらって、後で三年なり五年なり、森嶌さんと控え室でお話ししたときはすぐにでも改定をして肉をつけるんだと言っていました。ただ、五年先に肉がつく話になりますと、つまり私の言う法的統制措置で六%を担保する法律にするということになりますと、もう既に五年先になってしまう。
そうすると、今まででも皆さん申されていると思いますけれども、既に一九九〇年対比で一〇%、CO2に限ってもふえていますから、五年後に枠組みの上に肉をつけてそれぞれに義務規定を設ける、規制をする、経済的措置をするというようなことになりますと、明らかに遅いし、間に合わないということです。そちらの方こそ重要であって、あえて申し上げれば、ここでは内容の難しさというよりもこの法律が枠組みを与える法律であるということを本当は明記した方が、つまり英語にした場合に、世界的に批判なり、恥をかかないと言うと失礼ですけれども、内容が、後の方に出てくるものがここに書いてあるものに必ずしもなっていないということの方が問題だと思います。
増
増田善信#18
○参考人(増田善信君) 私は、衆議院で修正がなされました部分は、第三回締結国会議、COP3の内容というものを踏まえてこの法律案がつくられたその趣旨を目的のところへ示されたためであろうというふうに了解をしております。この法律案が人類そのものにとって大変重要な問題を含んでいるということをあらわしているという点では、こういう修正が入った点は評価をしております。
ただ、文章上の問題では恐らくいろいろ皆さん方御意見がおありだと思いますけれども、人類の未来にかかわった非常に重要な問題であるということを強調するという点では非常にこの修正はよかったと思っております。
この発言だけを見る →ただ、文章上の問題では恐らくいろいろ皆さん方御意見がおありだと思いますけれども、人類の未来にかかわった非常に重要な問題であるということを強調するという点では非常にこの修正はよかったと思っております。
脇
脇雅史#19
○脇雅史君 どうも大変ありがとうございました。
法律は正確さとわかりやすさが命ではないかという気がいたしておりますので、私どもこれからも努力をさせていただきたいというふうに思います。
ただいま目的の記述はともかく内容が大事であるという青山参考人の話がございました。私も全くそのとおりだと思うわけで、若干内容につきまして触れたいと思うのでございます。
この法律を一読いたしまして、私、もう一つ違和感を感じたところがございます。多分この法律を実効あらしめるためには、我々が一人一人エネルギーの消費を減らしましょうと言うのは簡単ですけれども、そう簡単にはいきませんから、実際に何をやったらいいかといいますと、先ほど増田参考人からお話がありましたが、技術開発が極めて大事なのではないかなというふうに思うわけでありますが、この法律の中には技術開発というところは出てまいりません。わずかに三条のところで技術的な調査をしましょうということ、あるいは技術的なアドバイスをしましょうということは出てくるわけでありますが、それ以外には出てきません。
私は、実は、この法律では技術開発を促進すべきである、推進すべきであるということがあった方がいいのではないかというふうに個人的に思うわけでありますが、ないということについていかがお考えであるかということが一点。
そして、もし書くとして、技術開発ということに何らかのインセンティブを与えるような方策が要るのではないかということが第二点。
そして、我が国がこの分野で世界に貢献できるとしたら、最も可能な技術開発分野は一体どんな分野であろうかということ、これが三点目でございますが、やや技術開発ということでございますので、どちらからでも結構でございますので、御意見のおありの方からお願いをしたいと思います。
この発言だけを見る →法律は正確さとわかりやすさが命ではないかという気がいたしておりますので、私どもこれからも努力をさせていただきたいというふうに思います。
ただいま目的の記述はともかく内容が大事であるという青山参考人の話がございました。私も全くそのとおりだと思うわけで、若干内容につきまして触れたいと思うのでございます。
この法律を一読いたしまして、私、もう一つ違和感を感じたところがございます。多分この法律を実効あらしめるためには、我々が一人一人エネルギーの消費を減らしましょうと言うのは簡単ですけれども、そう簡単にはいきませんから、実際に何をやったらいいかといいますと、先ほど増田参考人からお話がありましたが、技術開発が極めて大事なのではないかなというふうに思うわけでありますが、この法律の中には技術開発というところは出てまいりません。わずかに三条のところで技術的な調査をしましょうということ、あるいは技術的なアドバイスをしましょうということは出てくるわけでありますが、それ以外には出てきません。
私は、実は、この法律では技術開発を促進すべきである、推進すべきであるということがあった方がいいのではないかというふうに個人的に思うわけでありますが、ないということについていかがお考えであるかということが一点。
そして、もし書くとして、技術開発ということに何らかのインセンティブを与えるような方策が要るのではないかということが第二点。
そして、我が国がこの分野で世界に貢献できるとしたら、最も可能な技術開発分野は一体どんな分野であろうかということ、これが三点目でございますが、やや技術開発ということでございますので、どちらからでも結構でございますので、御意見のおありの方からお願いをしたいと思います。
増
増田善信#20
○参考人(増田善信君) 法律の中に技術開発の重要性という点を入れられるかどうかという点については皆さんで御検討願いたいと思いますけれども、やはり基本は二酸化炭素を主体とした温室効果ガスを削減するというところが基本にならなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
そういう点で、削減のためには、技術開発がもう既にかなり進んで実際に実行しておるところがあるわけですから、先ほどもお話しいたしましたように、そこでわざわざ新しいものまでつくらなくてもできる可能性があるんですね。そういう意味では、先ほど佐和先生がお話しになったかと思いますけれども、政府がそういう技術開発を積極的に援助するような施策、そういうことが、これはもちろん政府だけじゃなくて地方公共団体も含めてですけれども、そういうところが援助をしていくようなやり方が大変重要じゃないかというふうに思っています。そういう点では技術開発はかなり進んでいると言ってもよろしいと思います。
この発言だけを見る →そういう点で、削減のためには、技術開発がもう既にかなり進んで実際に実行しておるところがあるわけですから、先ほどもお話しいたしましたように、そこでわざわざ新しいものまでつくらなくてもできる可能性があるんですね。そういう意味では、先ほど佐和先生がお話しになったかと思いますけれども、政府がそういう技術開発を積極的に援助するような施策、そういうことが、これはもちろん政府だけじゃなくて地方公共団体も含めてですけれども、そういうところが援助をしていくようなやり方が大変重要じゃないかというふうに思っています。そういう点では技術開発はかなり進んでいると言ってもよろしいと思います。
脇
脇雅史#21
○脇雅史君 どうもありがとうございました。
それでは、もう時間がありませんので最後の御質問にさせていただきたいんですが、森嶌先生、中間答申を出されるに当たりまして非常な御苦労をされたと思うわけでございますけれども、先ほど来少しお話がありましたが、答申段階から比べて法案の中身がやや後退をしているのではないか、後退と申しますのは、削減をするという方向に対してしにくい方向に法案の中身がなっているのではないかという御指摘もございまして、また先日のこの委員会でも何人かの委員の方からその種の質問があったように思います。実際に苦労された部会長のお立場として、この法案をごらんになってどんな御意見をお持ちでございましょうか。
この発言だけを見る →それでは、もう時間がありませんので最後の御質問にさせていただきたいんですが、森嶌先生、中間答申を出されるに当たりまして非常な御苦労をされたと思うわけでございますけれども、先ほど来少しお話がありましたが、答申段階から比べて法案の中身がやや後退をしているのではないか、後退と申しますのは、削減をするという方向に対してしにくい方向に法案の中身がなっているのではないかという御指摘もございまして、また先日のこの委員会でも何人かの委員の方からその種の質問があったように思います。実際に苦労された部会長のお立場として、この法案をごらんになってどんな御意見をお持ちでございましょうか。
森
森嶌昭夫#22
○参考人(森嶌昭夫君) お答えをいたします。
確かに現在の法案と中環審で出しました中間答申の内容とは違っているところがございます。その一つは、先ほど青山参考人から御指摘がございましたように、産業界に関する点でありますが、私どもはこういう考え方がよいであろうということで中間答申を出しておりますけれども、それをどのような形で法律にするかということは審議会の役割ではありませんで、政府の責任でございます。
その際に、どういうふうなやりとりでそれについて国民がどう思うかということはともかくとしまして、できたものだけから判断をいたしますと、私どもは、要するに産業界が自主的にきちっと取り組んでほしいということであります。そのために例えば地方公共団体に報告をして地方公共団体からいろんなサジェスチョンをするということであります。御案内のように、現在、産業界は経団連を初めといたしまして自主的取り組みを始めております。そして、それについての自己評価もしておられます。
できたものから私が判断する限り、目的は産業界はちゃんとやってくださるということでありますから、そこで私どもが提案した方式とは違いますけれども、ともかく現時点で動いているものを中環審としては、少なくとも私としては見守っていきたい。そして、先ほどから見直しという話がありましたが、五年以内に検討するということがありますので、問題があれば、五年以内ですのでいつやってもいいわけですので、私どもはそのときに検討をして、別の方法があるとすればそれを提案をすべきではないか。
私は、法律というのは、特にこういう新しい、しかもいろんな要素を持っている法律というのはどんどん問題があれば国会議員の先生方に変えていただければいいと思っております。中環審とこの法案との違いは一つの政策の選択のあり方であって、目的は同じでありますから、私どもと違ったからといってこれは悪いということではなくて、国会でお決めになることでやってみて、そしてそれが目的にふさわしくない、目的を達成しないものであれば改めて中環審としては別の政策手法を提言するということになろうかと思っております。
この発言だけを見る →確かに現在の法案と中環審で出しました中間答申の内容とは違っているところがございます。その一つは、先ほど青山参考人から御指摘がございましたように、産業界に関する点でありますが、私どもはこういう考え方がよいであろうということで中間答申を出しておりますけれども、それをどのような形で法律にするかということは審議会の役割ではありませんで、政府の責任でございます。
その際に、どういうふうなやりとりでそれについて国民がどう思うかということはともかくとしまして、できたものだけから判断をいたしますと、私どもは、要するに産業界が自主的にきちっと取り組んでほしいということであります。そのために例えば地方公共団体に報告をして地方公共団体からいろんなサジェスチョンをするということであります。御案内のように、現在、産業界は経団連を初めといたしまして自主的取り組みを始めております。そして、それについての自己評価もしておられます。
できたものから私が判断する限り、目的は産業界はちゃんとやってくださるということでありますから、そこで私どもが提案した方式とは違いますけれども、ともかく現時点で動いているものを中環審としては、少なくとも私としては見守っていきたい。そして、先ほどから見直しという話がありましたが、五年以内に検討するということがありますので、問題があれば、五年以内ですのでいつやってもいいわけですので、私どもはそのときに検討をして、別の方法があるとすればそれを提案をすべきではないか。
私は、法律というのは、特にこういう新しい、しかもいろんな要素を持っている法律というのはどんどん問題があれば国会議員の先生方に変えていただければいいと思っております。中環審とこの法案との違いは一つの政策の選択のあり方であって、目的は同じでありますから、私どもと違ったからといってこれは悪いということではなくて、国会でお決めになることでやってみて、そしてそれが目的にふさわしくない、目的を達成しないものであれば改めて中環審としては別の政策手法を提言するということになろうかと思っております。
脇
岡
岡崎トミ子#24
○岡崎トミ子君 四人の参考人の先生方、本日はありがとうございました。それぞれのお立場から温暖化防止の問題に取り組んでいらっしゃるわけですけれども、そうした面から御提言をいただきましたこと、これからも参考にさせていただきたいというふうに思っております。
時間が限られておりますので早速質問に移らせていただきますけれども、森嶌先生、地球温暖化防止計画が目標達成できなかったその理由の一つとして、有機的、総合的な施策がなかったということを挙げられました。その反省を踏まえて温暖化防止推進法案を枠組みなるものとして用意したという説明だったというふうに思いますが、そのねらいはよくわかりましたけれども、その法案そのものは有機的、総合的な施策を保障したものではなかったというふうに思うんです。その一つとして、この中では縦割り行政の問題というもの、これは解消できないというふうに私は思っておりますけれども、この点に関しては、先生、どんなふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。行動計画の失敗の教訓というものを生かしていくためにもぜひ先生の御意見をお伺いしたいというふうに思います。
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森
森嶌昭夫#25
○参考人(森嶌昭夫君) お答えをいたします。
私は、この法律、先ほど青山参考人がおっしゃいましたけれども、骨だらけというお話がありましたが、総合的な体系的な計画ができるかどうかということは基本方針をどのようにしてつくっていくかということであろうと思います。その基本方針はこの法案の提案者である環境庁が決めるものではありませんで、これは内閣総理大臣が決めます。そして、関係省庁の長でしたかと協議をするということも義務づけられております。
私は、役所の縦割りがどういうふうにしたって、この法律だけ、どんなにこの法律で書いたとしても、それ自身は構造的なものでございますので、むしろその中で、縦割りだということを私はここで強調したいわけではありませんが、現在の省庁問を前提とした上で総合的にやるとすれば、それは内閣総理大臣が責任を持ってお決めになる、その基本方針を策定していく中で政府としてはぜひ総合的、有機的な関連を持たせてやっていただきたいというふうに思っております。それでまた、それは公表されることになりますので、国民の目にさらされているということだと思います。
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私は、役所の縦割りがどういうふうにしたって、この法律だけ、どんなにこの法律で書いたとしても、それ自身は構造的なものでございますので、むしろその中で、縦割りだということを私はここで強調したいわけではありませんが、現在の省庁問を前提とした上で総合的にやるとすれば、それは内閣総理大臣が責任を持ってお決めになる、その基本方針を策定していく中で政府としてはぜひ総合的、有機的な関連を持たせてやっていただきたいというふうに思っております。それでまた、それは公表されることになりますので、国民の目にさらされているということだと思います。
岡
岡崎トミ子#26
○岡崎トミ子君 青山先生にお伺いいたしますけれども、示されました温暖化防止推進法案によって森嶌先生が今指摘された問題点が解消されるかどうかということです。また、運用される際の注意点についてもお気づきの点があればお伺いしたいと思いますし、この法案のどこを修正すればいいというふうにお考えになっていらっしゃるか、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →青
青山貞一#27
○参考人(青山貞一君) 森嶌先生に御質問なさったことに関しまして、私は非常に深刻に受けとめております。
と申しますのは、昨年の衆議院の環境アセスメント法案、私、公述人で出たのでありますが、この一年をとりましても、環境影響評価法案、COP3の目標設定、通称PRTR、化学物質の情報公開、本法案、全部実は環境行政の二重行政と申しますか、忌憚なく言えば、通産省さんがことごとく類似のものを出される。その中で、環境庁のかなりのエネルギーがそれに費やされ、本来、国会審議なりNGOなり国民的な討議をすべきものがなかなかできないという現実がありました。
ですから、総合的、有機的とか言葉は幾らでも言えるんですけれども、この法案ができて、じゃ政府が基本方針をつくるからうまく省庁間で有機的かつ透明性を保つものができるかといいますと、私は無理だと思います。早くちゃんとした情報公開法をつくっていただきたいというのがお願いでありますが、やはり省庁間協議、例えば補佐レベルから次官会議に至るまでのプロセスを要所要所で文書で出される、少なくとも外から見える、国会議員もさることながら、外から見えるようなルールをこの中に一つ本当は入れていただきたい。それがないと、同じことを今後も繰り返すと思います。
建設省、運輸省等は随分環境問題にも熱心になってきたと思いますし、通産省ももちろん熱心なんですが、熱心な余りかどうかわかりませんが、先ほど言いました、この一年をとっても四つの重要法案、政策にあって、ほとんど二重行政もしくは、はっきり言えば環境庁のやることに対していろんな意味で横やりと言うとあれですけれども介入されている。ですから、それをどうにかするためには、この法案に限っても、やっぱり省庁間の会議、協議だけじゃそれは表に出てきませんから、外に見える形でのルールを入れていただく。何とか会議というのがあればそこでの議事録は必ず公開するとか、そういうふうに思います。
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ですから、総合的、有機的とか言葉は幾らでも言えるんですけれども、この法案ができて、じゃ政府が基本方針をつくるからうまく省庁間で有機的かつ透明性を保つものができるかといいますと、私は無理だと思います。早くちゃんとした情報公開法をつくっていただきたいというのがお願いでありますが、やはり省庁間協議、例えば補佐レベルから次官会議に至るまでのプロセスを要所要所で文書で出される、少なくとも外から見える、国会議員もさることながら、外から見えるようなルールをこの中に一つ本当は入れていただきたい。それがないと、同じことを今後も繰り返すと思います。
建設省、運輸省等は随分環境問題にも熱心になってきたと思いますし、通産省ももちろん熱心なんですが、熱心な余りかどうかわかりませんが、先ほど言いました、この一年をとっても四つの重要法案、政策にあって、ほとんど二重行政もしくは、はっきり言えば環境庁のやることに対していろんな意味で横やりと言うとあれですけれども介入されている。ですから、それをどうにかするためには、この法案に限っても、やっぱり省庁間の会議、協議だけじゃそれは表に出てきませんから、外に見える形でのルールを入れていただく。何とか会議というのがあればそこでの議事録は必ず公開するとか、そういうふうに思います。
岡
岡崎トミ子#28
○岡崎トミ子君 次に、温暖化防止推進法案は国に実行計画を定めることを義務づけておりますけれども、この実行計画はどの程度踏み込んだものにすべきというふうにお考えでしょうか。
佐和先生にまずお伺いしたいんですけれども、国が予算を出して行う事業、公共事業ですね、これは青山先生も先ほど触れていらっしゃいましたが、こういう公共事業によって排出される温室効果ガスの量を抑えることは実行計画の中に入れるべきだというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか、温暖化防止の点から公共事業をどう組みかえていくべきかについて御意見を伺いたいと思います。佐和先生に伺って、その後短目に青山先生お願いします。
この発言だけを見る →佐和先生にまずお伺いしたいんですけれども、国が予算を出して行う事業、公共事業ですね、これは青山先生も先ほど触れていらっしゃいましたが、こういう公共事業によって排出される温室効果ガスの量を抑えることは実行計画の中に入れるべきだというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか、温暖化防止の点から公共事業をどう組みかえていくべきかについて御意見を伺いたいと思います。佐和先生に伺って、その後短目に青山先生お願いします。
佐
佐和隆光#29
○参考人(佐和隆光君) 公共事業に関しましては、私ども経済学者の間でもそのあり方についてはさまざまな疑問あるいは問題点が指摘されているわけでございます。したがって、可及的速やかに公共事業の見直しということはぜひとも必要である。その際に、やはりおっしゃるような公共事業に伴う温室効果ガスの排出というようなことも見直しの一つのテーマに含めるべきではないかというふうに思っております。
以上です。
この発言だけを見る →以上です。