渕上貞雄の発言 (本会議)
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○渕上貞雄君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、小渕内閣総理大臣の所信表明演説につきまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
まず冒頭、自自連立問題についてお尋ねをいたします。
連立政権で重要なことは、連立政権の運営のあり方とその政権が何を目指すかということです。社民党がさきがけ、自民党と村山連立政権をつくったのは、強権的で独裁的手法をとる小沢政治の方向に対する強い危惧から、民主的で透明な協議システムと決定ルールを大切にし、憲法の理念に基づく政治を目指したからです。
ところが、今日の自自連立のありようはいかがでしょうか。自自連立両党の協議内容が国民不在の密室で行われ、極めて不透明な経過をたどっていることは、国民の政治不信をより一層増幅させるものと言わざるを得ません。
また、自自連立という保守勢力同士の連立によって新保守主義的政策が遂行されるならば、福祉、雇用、環境、平和といった国民生活の課題が自助努力、自己責任にゆだねられ、軽視されるおそれがあります。手法も、小沢流の強権政治の復活のおそれなしとはしません。消費税見直しや閣僚数、議員定数の削減、政府委員の廃止という国民受けする課題を打ち上げる一方で、例えば自衛隊の国連軍参加といった重要な問題が提起されています。自自連立の方向は、ガイドライン関連法案や憲法調査委員会設置、組織犯罪対策法案など、憲法に挑戦する極めて危険な動きに拍車をかけることは必定であります。改憲と軍拡志向は危険と言わざるを得ません。同時に、リベラルな改革を志向していた自民党内の多くの方にとっても、旧来の自民党の古い体質への逆戻りの要素が強まることにもなります。
私たち社民党は、第二次保守合同である自自連立政権に対し、憂慮を覚える方々と手を携えて鮮明に対決をしてまいります。自民党総裁でもある小渕総理の自自連立に対する御認識をお伺いいたします。
また、議員定数削減にしましても、参議院においては定数と選挙制度を参議院改革の課題として各派で協議することにしており、小沢党首との合意は、参議院の独自性を否定するものと言わざるを得ませんが、総理の御見解を求めます。
さて、先月十九日、地方分権推進委員会の第五次勧告が出されましたが、公共事業の大胆な分権化にはほど遠いものであり、組織、権限の温存された巨大官庁であるという批判を免れません。総理、中央省庁のスリム化は失敗したのではないでしょうか。
一方、恒久的減税の国と地方の負担割合が決まりましたが、税源保障の面では、たばこ税の配分割合の変更にとどまり、地方が望んでいた抜本的税源移譲は行われませんでした。あくまでも当分の間の措置であり、地方財政の現下の危機的状況を打開するためにも、抜本的な国から地方への税源移譲を求めるものです。
そこで、地方分権推進委員会自体も、当初は提起をしていました国と地方の歳入歳出割合の乖離の矛盾について真正面から検討を行い、今後本格的に国と地方の財政関係の分権化を図っていくために、税財政の分権に焦点を絞った第二次地方分権推進委員会を設置することを提案いたします。総理、いかがでしょうか。
さて、政府の緊急経済対策は、生活空間倍増であるとか、二十一世紀先導プロジェクトであるとか、一見斬新に見えるものの、従来型の公共事業が大宗を占めていることに変わりはありません。このような大型プロジェクト依存、公共事業依存の対策が効果を上げず、国と自治体の借金をふやすばかりで、悪循環に陥っているのがこの間の教訓ではないでしょうか。現在の深刻な消費不況は、老後の不安や雇用不安など、国民の先行きに対する不安にあると考えます。この不安を解消しない限り不況は回復しないのではないでしょうか。
総理、所信表明では、なぜか関心が強い年金、福祉、医療、介護の将来の姿について触れられていないのですが、不安の解消策こそが経済を活性化させると考えますが、御意見を求めます。
そこで、地域振興券についてお伺いいたします。
当初の商品券構想は景気対策が主であったにもかかわらず、弱者対策とあわせたことによって制度の意義と目的が不明確になってしまいました。そればかりか、地域振興を主たる政策目的としたため、逆に給付対象を選別することが法のもとの平等に反するものとなっています。また、社民党の強い要求で実施されてきた臨時福祉給付金等の支給と異なり、低所得の高齢者に対し、著しい逆差別感を与え、また、所得要件等を設けることなく、十五歳以下の子供を持つ世帯の世帯主に一律に支給することは、著しく不公平な制度です。おつりを出さないことによって、事業者に対する隠れた補助金となる可能性もあります。池田政調会長の言葉をかりて言えば、ポリティカルクーポンというこのような政策は、中長期的な福祉、年金等に対する国民の安心を保障するものとはおよそ無縁のものであり、政府・自民党と一部政党の無原則な政策は、国民の許容するものではありません。
私は、各自治体に老齢化人口に応じた介護保険基金(仮称)を設置したり、社民党の提案している飲食料品にかかる消費税額戻し金制度を創設したりする方が効果的であります。総理の御見解をお伺いいたします。
総理は、百万人規模の雇用創出・安定を目指すと述べられていますが、何ら具体的中身は示されておりません。どのように百万人規模の雇用創出を行うのか、お尋ねをいたします。
社民党は、公共事業における雇用収縮の改善を図るために、政府または自治体の行う公共事業の発注においては、雇用情勢に顕著な改善が見られるまでの当分の間、受注事業主に対して失業者の雇用を促進する措置を義務づけることを提案いたします。総理、このことを受け入れる用意がございますか。
総理は、失業者をふやさない雇用とか、流動性のある安定雇用社会の構築と述べられています。あたかも働く者にとって有効な施策のように聞こえますが、突き詰めていけば、企業にとって使い勝手のよい雇用の創出であります。したがって、たとえそこで就労することができたとしても、それは先行き雇用不安を抱えての就労でしかなく、真の安定的雇用が確保されたとは言いがたいのであります。
総理、国民の声に、いや失業者の生の声に今こそ本当に耳を傾けるときです。働く者にとっての雇用確保とは、安定的な就労と安定的な収入の確保であります。このことが何よりも景気回復策の重要施策であります。総理のお考えをお聞かせください。
総理、来年で新ゴールドプランが終了いたしますが、私たち社民党は、絶対的に不足している福祉基盤の整備のために、スーパーゴールドプランの策定と百万人規模のホームヘルパー等の雇用創出をすることを政策提言しています。雇用創出になり、福祉の充実を通して将来の不安の解決にも資すると思いますが、新ゴールドプラン達成後の施策と福祉ヒューマンパワーの養成による雇用創出に対する総理の御見解を求めます。
また、子育て後の女性を初め、地域住民が例えば給食や配送サービス等介護福祉分野で開業する際の支援を新事業創出促進法案において明確、積極的に位置づけることを提案いたします。総理、いかがでしょうか。
老後の生活の柱である年金については、だれもが暮らせる年金水準の実現を図ることが喫緊の課題であると考えています。社民党は、保険料を引き上げず、給付水準を維持し、その財源として基礎年金の国庫負担を、現在の三分の一から来年度二分の一、最終的には全額国庫負担へと移行させるべきと主張してきました。
さきの国会で総理は、我が党の土井党首の質問に対し、「莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況にかんがみ、国庫負担の引き上げを行うことは困難である」とおっしゃいました。しかし、今回、政府は二十兆円を超える規模の緊急経済対策を打ち出し、財政構造改革法を凍結するとしています。さらには、自民党においても基礎年金の国庫負担率を二分の一にすることが検討されています。状況が刻一刻と変化しつつあると考えます。もう一度御見解をお伺いいたします。
日本の政党として初めて公的介護システムを提唱した社民党は、介護を社会化し、安心できる高齢社会を築くため、二〇〇〇年にスタートする介護保険制度を円滑に実施することが重要であると考えます。保険あって介護なしとの心配が国会審議の段階からあり、本院においても決議がなされましたが、福祉施設やヒューマンパワーなど介護基盤整備を国の責任で確実、着実に推進し、保険あって介護ありとすることが緊急の課題です。
特に介護保険料は、基盤整備の状況や地域の事情などによって試算にばらつきがあり、六千円程度になってしまう自治体もあります。そこで、市町村の基盤整備を促進しつつ、利用者である市民の安心に資する観点から、社民党は、制度スタート時からの保険料を全国一律二千五百円とし、三年間据え置き、国の責任で一般財源から財政調整を行うというスキームを提案いたします。総理、いかがですか。
福祉は、経済成長の単純な恩恵でもなければ、ましてや経済成長の足を引っ張るものでもありません。介護を初めとする福祉の充実は、将来の不安を解消するのに役立つものであり、福祉への投資こそが雇用創出を初めとしたすそ野の広い経済波及効果をもたらし、老後や子育ての不安を一掃できるのです。
お年寄り一人一人の尊厳を大切にするためにも、特養の全室個室化は大前提であります。それには現在の十倍の部屋の建設が必要です。公共施設や道路のバリアフリー化、住宅の改造、介護機器の開発普及を進めなければなりません。このように福祉の充実で地域経済を下支えし、経済を活性化させる原動力にすべきであると考えます。総理、いかがですか。
児童買春防止法案、国家公務員倫理法案のような、自社さ三党で共同提案しながら継続審議となっている法案について、早期成立が求められています。とりわけ、自民党内では社民党との連立解消に伴って消極論がふえていると仄聞しておりますが、政党助成金の不正使用問題で中島洋次郎議員が逮捕されるなどの問題もあり、政治改革関連法案の早期成立に向けて総裁としてのリーダーシップを発揮されるよう期待をいたします。総理、いかがでしょうか。
また、自由党が提出し、継続審議となっている国会議員等の入札干渉等の処罰等に関する法律案について、自自連立政権ではどうなされるのか、総理の御見解をお伺いいたします。
次に、新たな日韓漁業協定に関連する漁業振興対策等について、総理に質問いたします。
排他的経済水域内における資源の確保について、具体的にどのような方策をお考えですか。さらに、協定締結に伴って漁業者の経営安定を図るための新たな措置が必要と考えます。その具体的な検討状況についてもお伺いいたします。
さて、去る十一月四日、男女共同参画審議会が新たな基本法制定を内容とする提言を取りまとめ、総理に答申しました。
我が国における女性の地位がいまだ国際的水準からおくれていることを認め、基本法制定を提言したことを私は評価するものであります。しかし、基本法の策定に当たっては、女性差別撤廃条約、ILO百五十六号条約、北京行動綱領などを踏まえ、ぜひとも女性差別の撤廃、個人の尊厳の確保を実現できる男女平等基本法にしていく必要があります。総理の御見解をお伺いいたします。
さらに、基本法策定の作業とあわせて、この機会にあらゆる現行法、制度について男女平等の観点から再検討することも必要だと考えます。総理の御見解はいかがでしょうか。
今回、財政構造改革法の凍結法案を提案されていますが、私たち社民党は、防衛関係費を集中改革期間の今世紀中、対前年度比同額以下とする条項をも停止させることに強い抵抗感を感じずにはいられません。そもそも防衛関係費は国民経済的に見て、いわば消耗的性格の経費です。冷戦終結後の先進各国の防衛費は対前年度マイナスが主流です。防衛庁をめぐるさまざまな汚職事件に接しますと、これまで聖域化されてきた防衛費は、その大胆な抑制により、このような不正の再発を防ぐしかありません。
宮澤大蔵大臣、かつて大蔵大臣の先輩には、軍縮の断行を訴えたがゆえに凶弾に倒れた浜口雄幸、井上準之助、高橋是清といった信念の方々もいらっしゃいます。大臣の決意のほどをお聞かせください。
今ヨーロッパでは、多くの国で社民政党が政権を獲得し、新たな社会民主主義の台頭という状況が生まれています。その背景には、経済のグローバル化と市場万能主義の席巻に対する社会的公正、人権、弱者の立場からの揺り戻しがあります。市場競争の真っただ中に国民を追いやる政策は、ヨーロッパの流れからの逆行であり、私は、もう一つの改革の道を描いていくことこそ必要性を痛感しています。市民とともに、二十一世紀の社会的セーフティーネットを構築していく決意を表明し、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕