渡辺秀央の発言 (本会議)
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○渡辺秀央君 私は、自由党を代表し、去る十一月二十七日、本院においての小渕総理の所信表明演説に対して質問をいたすものであります。
まず最初に、さきの十一月十九日に行われました自由党、自民党両党首の会談合意について、総理の所信を伺います。
このたびの会談は、我々自由党小沢党首と自民党総裁小渕総理との正々堂々とした、国民の面前で行われた、まさに日本国の現状を憂い、国民の深刻な不安を一掃するために、今政治に何を求められているのか、今政治は何をなさなければならないのかを真剣勝負で議論し合った結論が合意書として確認し合ったものであると思います。
まして、参議院においては数の問題も両党では半数に達することでもなく、したがって、国会対策でもなければ、これまでのような野合と言われるものでもなく、政策を議論し合った結果の基本政策の合意であります。その合意書の冒頭文の書き始めに、「いま、日本は国家的危機の中にある。」と厳しい現状認識を共通の土俵としたものであり、歴史の傍観者たり得ない政治家として、強い決意で責任ある政治を共有し合う誓いを内外に表明したものであると信じます。
マックス・ウェーバーは、政治とは何かとの質問に、言下に政治とは情熱と判断であると答えたことを思い起こし、小沢、小渕両党首に、私は今ここに、この勇気ある政治へのすさまじい情熱と、そしてこの国難の時期における党利党略を捨てた判断と決断力に対して、改めて敬意を表しつつ、小渕総理の誠実性の中にたくましい指導力を確信して、この合意事項に対する実行性について御所見を伺うものであります。
次は、経済、税制、社会保障の問題についてであります。
現下の深刻な経済危機は、我が国の構造問題にその元凶があります。金融システム不安にしても、構造問題の象徴ではあるものの、ほんの一部分にすぎません。今行わなければならない政策は、我が国が避けることのできない構造改革を強力に推進するとともに、なおかつ、改革に伴う痛みを和らげるための政策を同時併用して実行していかなければならないと考えます。
以下、具体的に我が自由党の政策を述べつつ、御所見を伺うものであります。
まず第一に、行革減税、つまり行政改革による歳出削減を財源とする大規模な減税を行うことであります。
我が国財政への懸念から、たとえ政府が恒久減税であると表明しても、国民は財政危機が深刻化すればまた増税になるのではないかとの疑心暗鬼に陥っております。本当の意味での恒久減税を実現するために、行政改革による諸経費の削減額を減税財源に充て、確実なものとすべきであると考えます。
具体的には、所得税、住民税、法人関係税を来年一月から十兆円、中長期的には十八兆円の規模の減税を行うことであります。所得課税については、累進構造を緩和し、最高税率を初めとするすべての税率を引き下げるべきであります。また、法人課税の実効税率を国際水準並みに引き下げることであります。法人課税には、グローバルスタンダードとの調和を図るため、連結納税制度の導入も欠かせません。
第二に、行革についてであります。
総論賛成各論反対ではなく、真剣に行政改革に取り組むことであります。行政改革の本質は、規制の大幅な撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、役所の仕事を減らしてスリムで効率的な政府を構築すれば、国、地方の歳出を一割以上カットして、減税の財源とすることが十分可能なはずであります。
例えば、国の事業補助金を廃止して、公共事業一括交付金として地方自治体に交付し、真に必要な事業が効率よく行われるようにする、同時に、地方分権の受け皿となる自治体の体力を高めるため、現在約三千ある地方自治体を約三百の市に再編し、国民生活に直結するものはすべて地方に任せて真の地方分権を確立することであります。国家公務員は、離職者の半数不補充を十年間実施することにより、二五%の削減が可能です。同時に、政治家自身がこれらの改革に取り組む決意を示すため、国会議員の定数を衆参両院とも二割を目標に随時削減すべきであると思います。
第三に、消費税率を抜本的に見直すことであります。
政府は、バブル崩壊後、数度にわたる経済対策により公共事業の追加を行ってまいりました。確かに景気を下支えする効果はあったかもしれませんが、民需主導へとバトンタッチするための施策が不十分であったため、抜本的な景気回復につながることにならなかったことは明らかであります。GDPの六割を占める個人消費を直接刺激し、住宅投資などを活性化させるために、消費税率を抜本的に見直すべきであります。
消費税減税は、消費をしなければその恩恵に浴せないため、所得課税の減税や公共事業より波及効果はすぐれていることは申すまでもありません。また、福祉目的財源としての将来の段階的引き上げを凍結とセットで提示することにより国民の理解は得られ、さらに駆け込み需要を誘発することができると思うのです。税率アップによる経済への影響は、所得課税や社会保険料の直接負担を段階的に軽減することによって打ち消すことが十分可能であります。諸外国の例を見ても、付加価値税の税率を上げ下げすることは広く行われているところであることは論をまちません。
第四に、消費税を福祉目的化し、福祉のナショナルミニマムを国の責任により保障することであります。
現在、社会を支えている世代の方々、特に若い人たちは、人口構造の急激な変化に対して戸惑い、保険料の負担に見合った給付を自分たちが将来受けられるのだろうかという不安を抱いております。また、現在給付を受けている老人や障害者の方々は、その水準を引き下げられるのではないかとの不安を抱いております。
このような年金制度を初めとする社会保障制度への不信が人生の将来設計を直撃し、先行き不安感が消費低迷の大きな要因となっているのであります。社会保険制度を維持するのではなく、真の安心できる社会保障制度を確立しなければならないということを、政治が国民に自信を持って約束することが大切なときであると思います。
自由党は、基礎年金、高齢者医療、介護というナショナルミニマムの三本柱は、そもそも保険集団の中で支えることになじまないと考えます。ましてや、今日のような人口構成下にあっては、現行の保険方式によって支え続けることは不可能であり、国民全体で支えていかなければなりません。社会保障の給付水準を安定して維持するために、消費税の使途を福祉目的化し、基礎年金、高齢者医療、介護の財源に限定すべきであると考えます。
また、社会保険料は課税最低限以下の人たちでも納付せねばならず、非常に逆進性の強い性格を持っておることを改めて指摘しております。直接負担という視点から、税と社会保険料は一体のものとして、総合的に勘案する必要があると思うのであります。消費税を福祉目的税とすることによって、社会保険料の直接負担を引き下げることが可能となります。直接税の減税は、さきに述べた行革減税により行うべきであります。消費税の福祉目的化と行革減税によって、初めてスリムな政府の実現と国民の可処分所得をふやすことが可能となるのであります。
次に、財政の健全化についてであります。
自由党は、かねてより経済再建なくして財政健全化なしと一貫して主張をいたしております。実際、九七年度に七兆円の増税を行った結果、マイナス成長となり、税収も法人税を中心に落ち込み、ほぼ当初の増税分に見合う額が税収減となって帳消しとなっておるのであります。財政健全化は、増税によって行うのではなく、行財政一体不可分の見直しによる歳出削減と、たくましく再建された強い経済から得られる税の増収によって達成されていくことが政治の正しい手法であると信じます。
また、安定成長という巡航速度に達するためには、加速度をつけて立ち上がらなければなりません。ましてや、我が国経済は二年連続のマイナス成長という、戦後初めての異常な状況にあります。かじ取りを誤れば、三年連続のマイナス成長にもなりかねません。財政健全化のためには、経済再建、景気対策を強力に、最優先策としてとらなければならないのであります。
もはやこれまでのシステム、方法論は通用いたしません。日本経済を根本から立て直すためには、旧来の手法にとらわれない大胆な思い切った発想が必要であります。これらの政策をパッケージとして提示し、同時並行的にスタートさせ、今世紀中にこれら改革を軌道に乗せなければ、日本は沈没してしまうのであります。我々の主張に対し、小渕総理の御所見を伺いたいと思います。
次に、外交・安全保障問題についてであります。
十一月十九日に行われた党首会談では、安全保障政策についても、自由党と自民党の間に合意が行われました。我々は、この合意に基づき、安全保障政策が推進されていくものと確信するものであります。
当面の重要課題は、日米ガイドライン関連法案であります。
昨年の九月二十三日に行われた日米ガイドラインの最終報告から一年以上が経過しており、これまで成立に消極的であった政府の姿勢は極めて遺憾であり、このままでは日本不信の原因ともなりかねません。これらの問題について自民党と真剣な政策協議を行ってまいりたいと考えます。
また、事実上国連の平和活動の中心となっているPKO活動についても、積極的に推進する必要があります。
平成四年に成立したPKO協力法は、当時の自公民三党の妥協の産物であり、その当時はやむを得なかったこととはいえ、法律の中に矛盾や不十分な点があり、これらについても抜本的な見直しを行う必要があります。
もう一つの重要な課題は、沖縄基地問題の解決であります。
新沖縄県知事のもと、政府と知事との間に基地問題に関する対話が促進されようとする機運が醸成されつつあることは歓迎すべきでありますが、政府がこれまでしてきたような、その場のつじつま合わせではなく、国の責任において解決するという強い決意を示し、沖縄県民との信頼関係を再構築した上で問題解決に当たるよう求めるものであります。
北朝鮮問題は、我が国の安全にとって死活的な問題であります。ミサイル発射問題は、我が国が看過することのできない重大な問題であります。今後は、これに備える態勢を早急に整備すべきであります。我が国の安全にとって重大事態に発展すると認められる場合には、ちゅうちょすることなく安全保障会議を開催するとともに、総理官邸に情報の一元化、指揮命令系統の一元化を図るなど、関係法令を整備すること、有事の際に自衛隊など関係機関が超法規的な行動をとることのないよう、有事法制を整備することなどが必要と考えるのであります。
また、北朝鮮による地下核開発施設などの疑惑解明を国連に対して働きかけるとともに、日本人拉致疑惑を解明すること、選抜ではない、里帰りを希望する日本人妻すべての里帰りを実現することを求めていくべきであります。
一方で、朝鮮半島の緊張緩和に向けた取り組みは引き続き重要であり、この見地から、米韓両国と緊密な連携のもと、米朝協議や四者協議、さらには、六者協議にかかわっていくことが重要であると考えるものであります。
以上の点について小渕総理の御所見を承ります。
さて、最後に私は、政治改革の重要性を指摘しなければなりません。
以上に述べた日本立て直しのための改革も、政治に対する国民の信頼と協力がなくしてはできません。政治家自身がみずから襟を正すとともに、率先して改革に取り組む姿勢を示す必要があると思います。
この意味において、総理が所信表明の冒頭に、防衛庁装備品の調達をめぐる背任事件や政党助成金の不正使用疑惑で国会議員が逮捕された事件に対し、遺憾の意を表明し、政治倫理の確立と政治改革関連法案の早期成立を訴えられたことに対し、私も深く同感いたします。加えて私は、国会議員みずからが議員定数削減に真剣に取り組むことによって、これらの構造改革をリードする必要があると考えます。あわせて、国会審議における政府委員制度の廃止などにより、議員同士が国政の基本を真剣に議論し合える制度の導入を図るべきであります。
これら政治改革を進めることによって、初めて官僚依存の政治からの脱却が可能となると確信をするものであります。
本音と建前の一体の政治を目指す総理のお人柄に期待しつつ、御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕