土肥隆一の発言 (厚生委員会)
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○土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。
昭和六十二年に精神保健法の改正があって、それから五年ごとに法律を見直してまいりまして、これからまた五年、精神保健福祉の分野でまだまだ立ちおくれている精神病の患者さんに対する医療、福祉、それを充実していかなければならない。そういう意味では、五年ごとのピッチを上げてきたということは大変よかったと私は思っております。このピッチを緩めてはならない。したがって、あと十年ぐらい、五年刻みでこの精神保健福祉法の充実に向けて頑張らなければならないと思っております。
それは、日本の精神病の世界が、あるいは精神病医療の世界が非常に不幸な出発をいたしまして、日本人の独特の偏見とか精神病に対する無理解から、医療の現場におきましても、あるいは病院におきましても、あるいは市民感情からいたしましても、大変たくさんの無理解や誤解、そして偏見に満ちた日本の社会における精神病の患者さんのケアを今後どうするかということは、まだまだたくさんの宿題が残っているというふうに考えるわけであります。
一方、行政の方も、私の勝手な言い方をさせていただければ、精神医療の世界を民間病院にゆだねまして、ほぼ民間に任せて、国、地方も含めて多くの関与をしなかった。そのことがまた逆に民間病院を生き残らせ、そしてまた入院患者も、社会的入院などと言われますけれども、病院の経営上、ベッド数を満たすような意味においても民間優先でやってきた。そして、民間優先はいいんだけれども、民間に大幅に、九〇%、九五%以上依存していますから、はっきりした物の言い方が行政の側からもできない。医療監督にいたしましても、さまざまな指導におきましても、まことに腰の引けた行政ではなかったかというふうに私は思うわけであります。そして、病院は自分の病院のベッドさえ埋まれば経営は成り立つわけでありますから、そうした動き、傾向がずっと続いてまいりました。
しかしながら、さすが今日に至りまして、患者さんの人権とかあるいは長期社会的入院をどう解消するかというときになりますと、やはり環境整備として、この福祉、長期入院の患者を受け入れることのできる地域、そして社会復帰施設などの必要が叫ばれるようになりまして、今日では、特に今回の改正法案ではかなりの部分見通しが立ってきた、めどがついてきた。だけれども、仕事をするのはこれからだということを痛切に思うわけでございます。
〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
私は、大阪にありました安田系病院、精神病院でございますけれども、大和川病院の問題についてこの五、六年かかわってまいりました。そして今日では、この法人が持っております三つの病院が一気に崩壊していく、あるいは私の言い方を許していただければ、行政による強制的撤去といいましょうか撤退といいましょうか、そういう一種の荒療治、荒仕事をやってきたというふうに思う次第でございます。その辺は、今回質問をするに当たりまして詰めさせていただきます。
この大和川病院につきましては、実は私、平成五年にこの厚生委員会で大和川病院の問題を取り上げました。大和川病院に参りましてその余りのひどさにあきれ返りまして、約一時間にわたって厚生省に対して質問をいたしました。これが平成五年の六月の二日でございました。そして、今日、平成十年になりましてやっと、大和川病院を初めとする三病院の余りのひどさに厚生省も腰を上げまして、大阪府と協力して病院の閉鎖に及ぶわけでございます。その三病院が完全に閉鎖いたしましたのが平成十年の七月でございます。八月の五日には三病院の入院患者が転退院を完了しております。ですから、五年から十年まで、正式に言いますと約五年です。くしくもこの平成五年に精神保健法の改正があって、今回また再改正をやろうとしている。
実は、五年間、私はこの大和川病院の問題について訴え続け、何とかしなければいけないということを繰り返し申してまいりましたけれども、腰が上がりませんでした。例えば、平成五年には二回、四月と七月に実地指導をいたしました。平成六年は一回、平成七年も一回、平成八年も一回、平成九年になりまして急に動きが活発になりまして、立て続けに指導をいたしまして、八月にはこの病院を閉鎖するということでございました。
私はその間、実はこの病院から告発を受けておりました。この病院を私は訪問いたしました。それが平成五年の五月の八日のことでございました。そして、そこで院長に会いまして、もう少し患者さんを大事にするような病院にしてほしい、その年二月にこの大和川病院の入院患者が死亡いたしまして、その件について、どういうことだったのですかということを聞きに行ったわけであります。院長の部屋でまことに平穏な対談をいたしました。
ところが、それが建造物不法侵入、威力業務妨害、名誉毀損ということで、大阪地検に私は告発されたわけであります。裁判の用意もしておりました。それのみならず、ここの弁護士は、特定はできないのですけれども、私の選挙区に無署名の手紙をばらまきまして、自称衆議院議員土肥隆一というのがいるようですが、というふうに始まっているわけです。そして、こんな大阪地検に告発されているような人間が議員をしていいのでしょうかというような話で、県会議員でありますとか市会議員でありますとか、私の地元の神戸にばらまいたわけでございます。それも証拠書類として法廷闘争に用意しておったのでありますけれども、その間に病院はつぶれてしまったということでございます。
今回の大きな法改正は、言うまでもなく、病院の管理体制をきっちりしよう、精神病院に対する指導監督を強化しようということでございます。しかし、法律を変えまして何かいきなり強化しようというような、いかにも振りかざしたような法案になっておりまして、その辺の実態をはっきり理解し、問題点の一番行き着くところをしっかり吟味しないと、幾ら法律で縛っても、三十万からいる精神病院の患者さんの幸せはもたらされない、このように思うわけであります。
そうした中で、まず、指定医についてお尋ねしたいと思います。
指定医に関して、指定医の精神病院の管理者への報告というのがございます。三十七の二でございます。これを見ますと、指定医が非常に重要だということが繰り返し強調されております。なるほど、そうでございます。精神病院は、指定医によってよくも悪くも決定すると私は思っております。
ところが、指定医の仕事は、三十七条の二でございますけれども、指定医は、その勤務する精神病院に入院中の者の処遇が三十六条の規定に違反しているときは、当該精神病院の管理者にその旨を報告すること等により、当該管理者において当該精神病院に入院中の者の処遇の改善のために必要な措置がとられるよう努めなければならない、こうなっております。
大和川病院の例を言いますと、指定医がいるんです。だけれども、これは雇われ指定医でございます。当然、院長は指定医じゃございません、三つの病院を経営していますから。そして、この院長というか理事長が、現場にいないにもかかわらず、一々細かに指示するわけです。ですから、この次はどうしましょうかと電話で問い合わせして、私が訪問している間もそうでしたけれども、もう理事長、院長の言うままなんですね。
それで、どんなに良心的な指定医であっても、患者さんが不当な扱いを受けている、規定に違反しているから精神病院の管理者にその旨を報告して、そして管理者が入院中の者の処遇の改善のために必要な措置がとられるように努力しなさい、努めなさい、こうなっておるわけですが、こういうことが果たして実現可能なのか。何をもってこのような法案が出てきたのか。実態はそうじゃないんじゃないか。報告とはいかにも腰が引けた表現ではないでしょうか。私の表現を言わせていただければ、指摘して説得せねばならないぐらいの文言にすべきだと思うのであります。
この指定医の今回の大きな責任追加といいましょうか、今までの入院や治療やその他と違いまして、管理者に物を言わなきゃならないという法案でございますが、この背景、そしてこれが本当に実効性の伴うものであると判断するのかどうか、まずお聞きしたいと思います。