堺屋太一の発言 (消費者問題等に関する特別委員会)

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○堺屋国務大臣 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的な考え方につきましては、去る一月十九日、本会議場における経済演説において明らかにしたところであります。本日、消費者問題等に関する特別委員会が開催されるに当たり、重ねて所信の一端を申し上げさせていただきます。
 我が国経済は、二年連続のマイナス成長という経済国難ともいうべき状況にあり、この不況を克服して我が国経済を再生することが当面の最重要課題であります。
 今日の深刻な経済状況には、短期循環、長期波動、歴史的発展段階の転換という三重の波が重なっています。まず、短期の循環では、九七年初頭を頂点として、景気は下降局面に入っています。長期波動においては、戦後一貫して成長拡大してきた我が国経済が、八〇年代末のバブル景気を境として安定成熟局面に入っています。もう一つは、規格大量生産型の近代工業社会から多様な知恵の時代という、より大きな歴史的発展段階の転換です。
 これらの三重の波は相互に絡み合っており、現下の経済国難から脱出するには、これら三重の波を同時に解消していかなければなりません。
 このような認識に立って、政府は、平成十一年度の経済をはっきりプラス成長にすること、失業をふやさないこと、そして、経済における国際協調を進めることという三つの目標を立て、これを達成するため、不況の環を断ち切るべく全力を挙げてまいりました。
 第一は、金融システムの再生であります。
 小渕内閣は、昨年来、金融システムの再生のための法的整備や予算措置等を行ってきました。今後は、用意された法的、財政的枠組みを的確かつ厳格に運用し、我が国金融システムの早期健全化に努める一方、金融機関に対しては厳しく効率化と情報公開を求める方針です。
 第二は、需要の喚起であります。
 昨年十一月の緊急経済対策において、政府は総事業規模十七兆円超の事業を実施することとし、平成十一年度予算においては、公共事業について、公共事業等予備費を含め、前年度に比べて一〇%を上回る伸びを確保しました。また、税制面では、六兆円を超える個人所得課税、法人課税の恒久的な減税に加えて、個人の住宅取得等に対する特別措置を初めとする政策減税を含め、国、地方を合わせて平年度九兆円を超える減税を実施することといたしました。
 第三は、雇用及び起業の拡大であります。
 これからの日本経済では、企業別、産業別の盛衰には大きな格差が生じると見られ、より柔軟で適切な労働力の再配置が必要になります。新しい産業構造や就業形態に即した雇用の開発と創造に力を注ぐべく、勤労者の能力開発を強化し、新規雇用創出に対して新たな助成制度を設けるほか、新たに事業を起こそうとする者の資金調達を支援する措置を講ずることとしております。
 以上のように、金融、需要、雇用の三点で不況の環を断ち切ることによって、来る平成十一年度には〇・五%程度のプラス成長を見込むことができます。
 重要なのは、これを平成十二年度までに本格的な経済再生につなげ、二十一世紀においても我が国が世界の先端を行く国であり続けるように、経済社会の構造と国民の心理を未来志向型に改革することであります。
 そのために、緊急経済対策においては、生活空間倍増プラン及び産業再生計画の策定を打ち出すとともに、二十一世紀先導プロジェクトを盛り込みました。また、民間の資金やノウハウを活用して公共の施設やサービスの充実を促進する手法、いわゆるPFIを推進するためにも、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案の早期成立を期待するものであります。
 小渕内閣が進めるもう一つの重要経済政策は、国際経済への貢献です。世界経済、中でも我が国とかかわりの深いアジア経済の安定には、我が国経済が果たす役割が極めて重要です。
 こうした認識に立って、緊急経済対策には、事業規模一兆円程度のアジア支援策等を盛り込みました。また、市場開放苦情処理体制を活用しながら諸外国の要望にこたえていくなど、輸入や対日投資の促進に取り組んでまいります。
 以上のような積極的な諸施策と大規模な減税の結果、平成十一年度予算では三十一兆五百億円の公債を発行することとなりました。財政の健全化はもとより重要でありますが、現下の経済状況においては、何よりも急ぐべきは不況からの脱出であり、その成果として生じる多様な選択肢の中で考えていくべきであります。
 官僚主導からの決別を知らしめたことは、小渕内閣の重要な業績の一つであります。特に、金融の分野において、透明かつ公正な金融行政への転換、推進等が、政府が、言葉だけではなく、実際の政治や行政においても厳格な自由経済を志向していることを知らしめる重要なメッセージとなっています。
 先般、小渕総理大臣より、経済審議会に対して、この歴史的な転換期に当たって、我が国経済社会のあるべき姿とその実現に向けての経済新生の政策方針を策定いただくよう諮問がありました。経済審議会では、経済戦略会議の提言をも踏まえて、今後十年程度の間に達成すべき我が国経済のあるべき姿とそれに至る道程を指し示していただけるものと期待しています。
 また、選択の自由が広い市場経済では、公正な競争と事業者の情報公開が欠かせぬ一方、選ぶ者の自己責任も重くなります。これに対応して、消費者と事業者との間の契約に広く適用される民事ルール、いわゆる消費者契約法の制定も積極的に検討いたします。また、人々の善意による活動の重要性も増すことでしょう。政府は、民間の非営利団体、いわゆるNPOの活動を促進するための条件整備を今後とも続けてまいります。
 我が国は、今、深い不況のやみに閉ざされています。しかし、我々の立つ基盤は揺るぎないものであります。
 これからの日本が目指すのは、夢と安心がともにある世の中です。若者が夢膨らませる可能性があると同時に、高齢者や失敗者にも新たな挑戦の機会のあることが重要です。消費だけではなく、教育や住居や職業でも選択の幅を広げることが大切です。拡大する高齢者市場、歩いて暮らせる町づくり、育児や家事のアウトソーシングなど、これから広がると見られる分野は限りなくあります。
 世界に先駆けて高齢社会が現実となる日本は、その豊かさとすぐれた慣習を生かして、これからの人類文化に積極的な貢献ができることでしょう。
 今、この国に必要なのは、みずからに対する自信と未来への夢、そして改革を実現する勇気ある実行です。
 本委員会の皆様方の御理解と御協力を切にお願いいたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 堺屋太一

speaker_id: 30364

日付: 1999-03-04

院: 衆議院

会議名: 消費者問題等に関する特別委員会