林四郎の発言 (内閣委員会公聴会)
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○林公述人 私、こういうような席に出席したことが初めてでございまして、多分ふつつかなことがあるのではないかなと思いますが、お許しいただきたいと思います。
初めに、私の現在の気持ちを率直に申し上げますと、今回の日の丸を国旗に、君が代を国歌に法制化という考え方に私は賛成いたします。いろいろ申し上げたいことがありますが、せっかくこのような機会ができたということで、私はあえて賛成をしたいと思っております。
理由は、先ほど小林先生がるる御説明なさったことと私の考えていることは全く同じでございまして、ダブった御説明をしてもしようがないと思いますが、これによって、日の丸あるいは君が代に直接かかわっておられる皆さんは、これからは踏ん切りをつけて、自信を持ってかかわることができるのではないかなという点で、大変結構なことだというふうに思っております。
昨年は、長野オリンピックとかワールドカップ、ワールドサッカーと、久しぶりに実は日の丸・君が代に接する機会がありました。この久しぶりにというところが実は問題なんですが、それで私も大変感激をいたしました。
実は、お恥ずかしいことですが、私のうちには日の丸がありません。それから私の友人、知人に聞いても、だれ一人日の丸を自宅に持っておりません。自分のうちの玄関に掲げたこともございません。ましてや、一九四五年、戦争が終わってからこの方、君が代を自分の口で歌ったことなどは一度もありません。それから、直接歌っているのを聞いたこともありません。多分ここにおられる皆さんも御質問されると、おれもそうだという方がおられるかもしれませんが、事ほどさように日本の国旗・国歌には戦後どうして日常性というものがなくなってしまったのかなということが、実は私は残念でならないのです。
実は、オリンピックとか、サッカーの中田君が表彰式で口を動かさなかったということで一部マスコミに書かれたことから、彼はちょっと痛めつけられたようでございますが、それを見ていて、その後三月に入って高校の卒業式で、また国歌と日の丸についての管理者側と先生あるいは生徒との間にトラブルがあったのを見まして、これは困ったことになったなと私は胸を痛めておりました。
そこで、実は「サピオ」という月二回刊の雑誌があるのですが、この雑誌は現在大変売れ行きがよくて、私は総合論評誌と言っておりますが、特に北朝鮮関係なんかの記事は出色だというふうに思っております。その「サピオ」に対して、この際国旗と国歌について思い切って大特集を組まないか、そして日本の国旗・国歌はどうあるべきかということを皆さんで反対、賛成両論を入れて論じ合ってみないかということを申し上げましたところが、すぐに賛成が得られまして、ちょうど今、初夏のこの七月から取材を開始しまして八月二十日ころに発売になった号で、大特集をやりました。
これは全体としては大変好評だったのですが、その特集の口火を切ったのは私でありまして、私の論旨は後で申し上げますが、高校生が本当に日の丸と君が代が嫌ならば、この際新しい国歌と新しい国旗をつくったらどうだろうかという提案を実はその雑誌の中ではしたのでございます。
もう少し細かく申し上げますと、私は直接首都圏の十五歳から十七歳前後の高校生にお会いしました。そして、一つ一つ実は面接してお話を伺ったのです。
そのときの状況をちょっと述べさせていただきたいのですが、まず第一に、あなたは日の丸をどこで見たことがありますかと質問しますと、これはすぐに答えが返ってこないのです。返ってくると、長野オリンピック、サッカー、それからそういえば学校の入学式にかかっていたな、卒業式の日にも校門にかかっていたなというくらいで、例えばニューヨークとかロンドンなんかのビジネス街のビルに星条旗とかユニオンジャックが翩翻と翻っているような、生活の中での日常性というのは、どうも日本の国旗にはないなという印象を受けたのです。
ところで、あなた方の家には日の丸の旗がありますかと質問しますと、これはだれも答えません。そして変な顔をしているのです。そして、一人の子だけが、私のうちにはありますと、これは女の子でしたが。そして、それはどんな意味ですかと聞くと、日の丸の「丸」は、あれは太陽です、それから君が代の「君」は天皇ですと明快に答えました。どこで教わったのと聞きましたら、両親が教えてくれました、こういう返事がありました。それ以外の約八十名、私が面接した子供たちのだれ一人、私のうちには国旗はありません、手でさわったこともありません、こういう答えが返ってまいりました。まことに残念な気持ちが実はしたわけでございます。そして、こういう質問はこちらから誘導的に、意図的に質問しない限り、ほとんど黙っていて返事が出てこない。
そして最後に、あなた方は国旗とか国歌というのに余り関心ないのと聞くと、関心はありません、興味もありません、こういう答えが返ってくるのです。これは、これが教育の問題だと一口で言ってしまうといろいろまた問題があろうかと思いますが、家庭のしつけの問題もあるのじゃないかというふうに私は実は思っております。
特に、国旗についてはあの旗でいいんじゃないのという意見が多いのですが、君が代については、ダサいとか、あのメロディーが嫌だとか、低音で出る歌って歌いづらいんだよなとか、こういう言葉が返ってまいります。もっと元気の出るような、明るくて楽しい国歌はないんですかと。それは君たちがつくったらいいんじゃないかと私は実は言ったわけですが、いやあというような感じで、なかなか明快な返事は返ってまいりません。
そのうちに、一人の子が手を挙げまして、国歌なんて必要なんですか、こういう質問がありました。え、国歌なんて必要ないと思うのと言ったら、私は国歌なんて必要ないと思うよ、こういう返事。そうか、そうすると、例えば堀江謙一さんがヨットに乗って一人でアメリカに行ったとき、日本の国旗をつけていないと実はサンフランシスコの港に入れないんだよ、世界的にはそういう規則になっているよという説明をすると、ええっと、びっくり仰天するわけです。つまり、あれ、そのような基礎的なことも学校で教えていないのかなというふうに実はその瞬間思いましたし、それから、全体として、今の高校生、私がお会いした高校生が特別なのかもしれませんが、国旗・国歌に対しては極めて無関心であったというのがまず第一印象でございます。
数年前に、財団法人の日本青少年研究所というところがありまして、国旗・国歌に対する意識と態度調査という、皆さん御存じかもしれませんが、したことがあります。その中で日米の高校生の国旗と国歌に対する意識調査をしておりますが、自分の国の国旗・国歌に対して必ず起立すると答えた高校生の割合は、日本が二五・六%に対して、アメリカは九七・二%という数字が出ております。また、外国の国旗・国歌に対しても必ず起立する、この高校生の割合は、日本は一七・三%に対して、アメリカは九三・四%という高率を示しております。これはもちろん、皆さん御存じのように、アメリカの学校では、州によって違いますけれども、毎朝、自分の教室に入ると星条旗に向かって誓いを唱える時間、本当に一分くらいですが、忠誠心を示すセレモニーがあるのです。こういう形で子供のときから鍛えられた子供と、ほとんどいいかげんにほったらかされた日本の教育現場とでは、私はかくも大きな差が出るのではないかなというふうに思っております。
それからもう一つは、私が会った高校生に、よその国の旗を侮辱する行為をした場合、日本では刑法第九十二条というのがあって、処罰されるんですよという話をすると、これは相当びっくりしていました。そんな法律があるんですかと言うのです。ただ、私は、今回もし国旗が法制化されるとすれば、日本の国旗に対してもきちんとした処罰規定なり取扱規定というのができないと、ちょっとまずいのではないかなという気がしております。
実は、先ほど私のうちには日の丸の旗がない、あるいは国歌を歌ったこともないというふうに申し上げましたが、日常性がほとんどない。そうすると、日本の国旗とか国歌というのは一体どこで使われているのかということになりますと、非常にはっきりしているのは、この周辺にあります公官庁。
実は私、きょうここに入ったときに、この中に日の丸は絶対あるだろうなと思っておりましたら、ありませんでした。衆議院の面会所の入り口あたりもじろじろ見たのですが、ここにも日の丸がありませんでした。なぜでしょうか。この上にはあると思いますが、なぜでしょうか。多分僕は、戦後、日本は変なアレルギーにひっかかってしまって、何となく国旗と国歌を避けて通りたいという気持ちがあるんじゃないかなという危惧感を持っております。
私は仕事の関係で、実は、議員会館の議員さんのところには今まで何百回と足を運んだ経験がありますが、議員さんのあの執務室と言っていいのかお部屋の中に、日の丸の旗を掲げてある方はわずか数人程度で、ほとんどの方の部屋には国旗を掲げていない。これが外国へ行きますと、外国といいましてもアメリカへ行きますと、どの部屋にもきちんと国旗がかかっております。これは議員さんが、せめて国旗の前で国家と国民への忠誠を示すくらいの、つまりパフォーマンスをしているのだろうと思いますが、どうも日本の国会議員さんにはパフォーマンスが少な過ぎるのではないか。もっと堂々と国旗・国歌に対するパフォーマンスをされたら、もっと日常的なものに転化していくのではないかな。こう言うとまたいろいろ御批判があろうかと思いますが、私はそう思っております。
そこで、長くなりますから最後にしますが、長いこと、この日本の国旗・国歌に対して真正面から批判し、反対されてきた方たちが大勢おられます。私はかねがね不思議に思っていたのですが、なぜその方々は反対されるだけで、具体的にかくあれという日本の国旗と国歌を御提示なさらないのかというのが、どうしても私は理解できないのです。このような重要なところにその方たちが、おれたちが考えている日本国旗はこれだ、おれたちが考えている国歌はこれだというのを提示されると、より一層議論は深まるのではないかなというふうに私は思っておりますが、残念ながら、今、マスコミ関係の情報を見ている限りにおいて、そういう準備がなされていないのではないかなと、非常に私は残念に思っております。
以上でございます。(拍手)