玉沢徳一郎の発言 (日米防衛協力のための指針に関する特別委員会)

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○玉沢委員 我が国が弾道ミサイルで攻撃をされた場合には直ちに対応する、こういう方向で今後御検討を賜りたい、このように思います。
 そこで、旧ガイドラインにおきましては、冷戦時代に対処するという形でその運用方針が決定されておったわけでありますが、冷戦時代が終結をいたしたわけでありますから、新しい時代に対処する、こういうガイドラインが必要とされてきておったわけであります。
 私も防衛庁長官をしたわけでありますけれども、私が防衛庁長官をやったころから見直しの機運が生まれまして、日本でもその協議会において協議がなされて、ポスト冷戦に対してどう対処するか、アメリカも同じようにそういう努力がなされてまいりまして、それで一九九六年の四月十七日、日米安全保障共同宣言が発せられたわけであります。ここでポスト冷戦に対しまして両国の共同の認識が示されまして、そこで今日のガイドラインに向けての作業が開始された、こう考えるわけであります。
 そのときの宣言を、抜粋でありますが、読み上げてみたいと思うわけであります。
 「日米安全保障共同宣言 二十一世紀に向けての同盟」というこの中におきまして、地域情勢の認識についてはこう言っております。冷戦の終結以来、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいておる、アジア太平洋地域には依然として不安定性及び不確実性が存在しておる、朝鮮半島における緊張は続いておる、核兵器を含む軍事力が依然大量に集中している、未解決の領土問題、潜在的な地域紛争、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散はすべて地域の不安定化をもたらす要因である、こう書いてあります。
 つまり、世界大の規模の武力紛争というものは遠のいたけれども、地域を中心とする武力紛争というものは依然として残っておる、アジア太平洋地域において。したがって、それを未然に防止するなり、あるいは抑止する、こういう観点から日米が共同して対処していく、こういうのが今回のガイドラインのもとになった、こう私は考えるわけでありまして、この委員会においても相当議論をされてまいりました周辺事態、これもそういう認識のもとに生まれておると私は思います。
 したがって、日米両首脳はこう言っております。「日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力に関する研究をはじめ、日米間の政策調整を促進する必要性につき意見が一致した。」こういうことであります。
 つまり、旧ガイドラインにおきましては、冷戦構造において世界的な規模の武力紛争というものを想定しまして、日本及び極東の平和と安全をどう守るか。新しいガイドラインは、アジア太平洋地域における地域の武力紛争、こういうものに対していかに対処していくか。そういうことからこの周辺事態の考え方が生まれ、そして後方地域支援、船舶検査、後方救難捜索活動の三つの事案が必要とされてきた、こういう観点から受けとめることができると思うわけでございます。
 したがいまして、当委員会におきましていろいろと議論がありました後方地域支援でありますけれども、後方地域支援において安全な地域が確保できるかどうかということについて、戦争といいますのは要するに前線も後方もない、みんな一体としたものだという議論がなされました。しかし私は、これは余りにも実態に即さない議論であると思うんです。
 私は、世界的な武力紛争という場合におきましては、例えば、今でこそ言えるわけでありますけれども、ソ連ですね。ソ連の軍事能力というものを考えてみれば……(発言する者あり)いや、当時はソ連なんだよ。ソ連は軍事能力が非常にありましたから、もし世界的な武力紛争が展開をされたということになってまいりますと、私は、太平洋も日本海も東シナ海も、全域が戦争状態になったと。ここはいずれも後方も前線もない。相手がそれだけの軍事能力を持っているわけですから、船足の長い原子力潜水艦が世界じゅう何周でもできる能力を持っておってやっておる、戦略爆撃機も持っておる、衛星も持っておる、情報が全部手に入る、こういうことであれば後方も前線もない。
 しかしながら、同じ紛争であっても、地域紛争の場合は相手の能力が限られておる。ソ連と同じような軍事能力は持っていないんです、その他の国々は、あえて言いませんけれども。そうした場合においては、戦域が限定される。たとえミサイルを持っておったとしましても、情報がない限り攻撃拠点を指定することはできないわけですから、私は、そういうことを考えた場合は、ソ連以外の国々において地域の武力紛争が起きた場合におきましては、例えば日本海全域が戦域になる、東シナ海全域が戦域になる、太平洋全域が戦域になるということはない、こういうふうに考えるわけでありまして、したがって、安全なところは明確にすることができますし、後方地域支援の概念は成り立つ、こういうように考えておるわけであります。
 そういう観点からいいますならば、日米安保条約の体制といいますのは、武力紛争が世界的な規模の紛争の時代から地域の武力紛争に変わった、したがって新しいガイドラインは新しい事態に対処するために生まれたものである、しかし日米安保条約の基本は何にも変わっていない、条約の基本は何も変わっていない。両国が軍事行動を起こす場合におきましては、いずれの国の憲法のもとに従って行うということを明確にいたしておるわけであります。したがって、私は、この新ガイドラインの導入によりましても、政策の大転換とか変質したとかということはない、こういうように断言をし、評価するものであります。
 この点について、両大臣の御見解を賜れれば、こう思います。御所見でいいです。

発言情報

speech_id: 114504963X01119990423_007

発言者: 玉沢徳一郎

speaker_id: 24120

日付: 1999-04-23

院: 衆議院

会議名: 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会