畑英次郎の発言 (本会議)
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○畑英次郎君 私は、民主党を代表して、ただいま趣旨説明のありましたガイドライン関連三法案について、小渕総理に質問をいたします。
我々民主党は、憲法及び日米安保条約の枠内でガイドラインを主体的に運用することは、我が国の安全保障上極めて有意義であり、そのための法整備が必要であるという基本認識に立っております。しかしながら、政府提出のガイドライン関連法案は重大な欠陥を持っていると言わざるを得ません。また、法案の詳細や運用、その前提となる安全保障戦略については、政府はこれまでまともな答弁を行ってまいっておりません。
以下、政府の外交安全保障政策と法案の重大な問題点を指摘し、総理の明確な答弁を要求いたします。
政府の周辺事態安全確保法案は、周辺事態を、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重大な影響を与える事態と定義しております。しかし、これだけでは周辺事態が無限に広がり、米軍を支援する自衛隊の活動範囲も、米軍とともに世界じゅうに広がる懸念さえあります。
本法案の根拠を一九九六年四月の日米共同宣言に求めるとすれば、日米防衛協力がアジア太平洋地域全域に広がることさえ意味しかねません。我々は、周辺事態は、日米安保条約が想定する範囲内で起こった、日本の平和と安全に重大な影響を与える事態であるべきと考えております。
また、ガイドラインには、公海上における対米後方支援など、日米安保条約を無理して広義に解釈しても、届かない措置が含まれております。要するに、日本が新ガイドラインによって、何をどこまで米軍に協力できると考えるのかが非常にあいまいであります。
さらに、冷戦後の日本の外交戦略を国民にも世界にも提示していないために、このままでは日本はずるずると米軍の歯車になってしまいかねないという懸念が静かに広がっていることも指摘しておかなければなりません。
こうした不安を解消するため、総理から、一つ、冷戦後の日本の外交安保戦略は日米安保堅持プラスアルファのものを持っているかどうか。一つ、我が国領土への大規模直接侵攻の脅威が大幅に低下した中で、なぜ今ガイドラインなのか。一つ、ガイドラインと一九六〇年に締結された日米安保条約との関係はどうなっているのかという、三つの重要な国民の問いかけに率直にお答えをお願い申し上げます。
また、条約上の義務とそれ以外のものとは明確に区別しておくことが重要であり、ガイドラインに、日米安保条約及びその関連取り決めに直接的根拠を置かないものがあるなら、それを明確に示すことを総理に求めます。
なお、周辺事態安全確保法案は、米軍が全く活動していない場合に、自衛隊が単独で後方地域捜索救助活動や船舶検査活動を行える余地を残しております。このことは、本法案が日米安保の目的の枠内にさえおさまっていないことを示すものであります。総理の見解をお示しください。
次に、基本計画に対する国会の関与のあり方について質問いたします。
政府提出法案は、周辺事態に必要となる措置を規定する基本計画を閣議決定事項とし、国会には報告で足りるといたしております。その理由として、政府は、周辺事態において我が国が行う措置は武力行使を伴うものではなく、国民の権利義務に直接関係がないと説明してまいりました。
しかし、本法案が前提としているいわゆる前方と後方の区分も明確なものではありませんし、日米間で合意したガイドラインの英文も、直訳すれば、周辺事態が日本に対する武力攻撃に発展することがあり得ることを日米両国政府が認識しているとも述べておるところであります。さらに、法案第九条の規定する自治体、民間の協力については、防衛庁長官から、協力するのが常識だという旨の答弁も行われており、周辺事態が国民の権利義務に重大な影響を与えることは、明々白々の事態であります。
もしも政府が周辺事態は大した事態ではないと国民を安心させたいと考えているのならば、それは大変無責任、危険な態度であります。むしろ、周辺事態の性格の重大さを国民に十分説明し、それでも日本の安全のために必要な場合に限って米軍への協力を行い、国民にも協力を呼びかけることこそが、責任ある政治家の態度とお考えになりませんか。
我々は、こうした周辺事態の性格の重大さに加え、シビリアンコントロールの強化、徹底を図ることや、自衛官の立場にとっても、国民的合意が明確に示された上で行動する方が士気が上がることも考慮し、基本計画を国会承認事項とすることを強く求めます。(拍手)
国会承認に当たっては、事後承認は緊急を要する場合に限定し、あくまで事前承認を原則とすべきであります。また、一度決定された基本計画を、その後の事態の進展に応じて整合性を図るためにも、内閣だけでなく、国会が一定の期間経過後に基本計画の内容を事実上見直すことのできる仕組みを取り入れるべきと考えます。政府は、国会承認は迅速な決定になじまないと懸念しているようでありますが、日本有事の際の防衛出動を定めた自衛隊法第七十六条も国会承認を条件としており、その批判は当たりません。
総理、まず、周辺事態と武力行使の関係及び周辺事態と国民生活とのかかわり合いについて御自身の見解を明らかにした上で、我々の求める国会承認についての御見解をお示しください。
次に、後方地域支援と武力行使の関係について質問します。
後方地域支援は、戦闘行為が行われていない後方地域でそれ自体が武力行使に該当しないものを行うものであるから、憲法上認められているという従来の政府の説明は、憲法違反でないことしかやらないから憲法違反にはなりませんと言っているようなものであって、意味を持ちません。例えば、幾ら日本側が戦闘行為の行われない地域だと主張したところで、ミサイルが一発飛んでくれば、そこは戦闘区域になってしまいます。
本法案の想定する自衛隊等の活動区域が相当期間にわたって後方であり続けるという保証は非常に難しいのではありませんか。また、武装兵士や武器弾薬の輸送が米軍の戦闘行為と一体化していないと考えることについても、国民皆様にはぴんときませんし、なかなか理解のしがたいところであります。
以上の点について、総理の明快な説明を求めます。
また、周辺事態法や自衛隊法第九十五条によって規定されている周辺事態における武器使用が武力行使または武力による威嚇とならない理由の説明を求めます。
この点に関し、従来の政府統一見解は、自己保存のためのいわば自然権的権利というべき最小限の武器使用は武力行使には当たらないとしております。一方で、周辺事態や邦人救出の際に想定される武器使用には、部隊としての重火器の使用も含まれており、従来の統一見解で説明することには無理があるばかりか、いわゆる応戦に当たるおそれさえ指摘ができます。従来の統一見解変更の可能性も含め、明快な答弁を要求いたします。
周辺事態法第九条は、自治体や民間の協力を規定しておりますが、国民は周辺事態において依頼される協力内容について、具体的なイメージを持てないまま、漠然とした不安にとらわれております。周辺事態において政府が自治体、民間に協力依頼し得る項目を例示し、あわせて、米軍への便宜供与が自治体住民の利害と相反する場合に、どのように対処するかという基本的考え方や、当該協力によって自治体、民間に損失が生じた際の補償に関する原則をより具体的に、的確にお示しください。
以上、私が指摘いたしました問題点はごく一部にすぎません。冒頭でも述べましたが、我々は、日本自身の平和と安全を守るために、我が国の主体性に基づいて日米防衛協力の実効性を高めることの意義なり重要性は、その認識において、人後に落ちるものではありません。しかしながら、国民の十分な理解、納得のいかないままの日米協力は、ガラスのようにもろいものであり、砂上の楼閣の姿と言わざるを得ません。
そうした事態を招かないためにも、我々は、ガイドライン関連法案について、広範にわたり徹底的な、慎重な審議を強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕