虎島和夫の発言 (本会議)
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○虎島和夫君 私は、自由民主党並びに自由党を代表いたしまして、先ほど趣旨説明がございました地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、総理及び関係閣僚に対して質問を行います。
戦後、日本国憲法が制定され、その中に地方自治の一章が設けられました。地方自治の本旨に基づいて、我が国の新しい地方自治がスタートすることになったのであります。
以後、半世紀が過ぎました。この間、地方の時代を開こうと、願望と期待を込め久しく論じられてきましたが、戦前から続く機関委任事務制度を初めとして、さまざまな面で国の地方に対する関与が強く、私の地方自治に実際に携わった経験から見ても、まだまだ真の意味での地方自治には、ほど遠いものがあったものと思っております。
現在、我が国の内外の社会経済情勢は激しく変化しており、あらゆる分野における構造改革が喫緊の課題となっております。行政についても、生活の質の向上を求める国民の声、地域の個性を大切にした地域づくりの必要性などが叫ばれる中で、これまでの中央集権の色が濃い制度では、もはや迅速的確に対応できない状態となってまいりました。
二十一世紀という新しい世紀を迎えようとする今、新しい行政システムの構築が求められております。地方分権の推進は、中央省庁改革と並んでその大きな柱であり、国と地方のあり方そのもの、まさにこの国の政治の形をつくり直そうとするものであります。
我が党は、平成五年六月の本院において、地方分権の推進に関する決議を行って以来、常にこの課題について、中心的かつ積極的な役割を果たしてまいりました。平成七年の地方分権推進法の制定、地方分権推進委員会の五次にわたる勧告、地方分権推進計画の策定など、地方分権の推進に向けた取り組みが着々と進められ、今回、その一つの到達点ともいうべき地方分権一括法案が国会に提出されましたことは、まことに意義深いものがあります。この間の関係各位の御尽力に、心からの敬意を表したいと存じます。
また、このたび情報公開法が成立いたしました。既に一部の地方公共団体においては情報公開条例が制定されておりますが、この法律の成立により、一層条例の制定が促進されるものと期待されます。
情報公開制度は、行政と住民との垣根を払い、民主主義の基本である住民の声を行政に的確に反映させるため、有効な手段となるものです。住民の自治意識の高揚にとっても、大きな意義があるものと考えます。そうした意味において、地方分権の推進と情報公開制度の充実は、住民の参画による個性的で魅力ある地域づくりを進める上で、相乗的な効果を発揮することになるでありましょう。
今回提出された地方分権一括法案が早期に成立することを強く願いつつ、まず総理に、今まさに地方分権を進めるに当たって、その基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
まず、地方分権に関連して、どのように今後の行政が変わっていくのかという点についてお伺いいたしたいと思います。
地方分権は、行政システムの大きな転換でありますが、それはあくまでも手段であります。それによって国民、住民の生活をいかに豊かなものにし、充実させていくのかが目的であります。これについて、二つの面からお伺いいたすものであります。
一つは、今後、地球環境の悪化が懸念され、少子化の傾向が続き、高齢社会が展開する中で、国民すべてが安心して暮らせるような社会にしていかなければなりません。
我が党は、二十一世紀は、幅広い国民参加の成熟した高度環境・福祉国家としての日本国を築き上げたいと決意しております。そのためにも、住民に直接接している地方公共団体が権限と責任を持って環境・福祉を行える体制が必要であり、まさに地方分権が求められた大きな理由の一つがそこにあります。今回の地方分権一括法により、今後の環境・福祉施策はどのように変わっていくのか、総理にお伺いするものでございます。
次に、総理が提唱された生活空間倍増プランに関連してお尋ねをいたします。
国民が多様化した価値観をそれぞれに生かして、ゆとりと潤いのある活動ができるよう、生活の質の向上を図り、将来の夢の実現を目指していくことが重要であるとの総理の考え方に基づき、政府は、去る一月二十九日に、国民のさまざまな活動の場としての生活空間の倍増に向けた基本政策を策定したところであります。
また、これを推進するため、市町村が、広域的な連携等のもとに、主体的に生活空間倍増地域戦略プランを策定することとされておりますが、これについても、地方分権の趣旨に照らし、地方の自主性、自立性が十分に発揮されるべきであると考えますけれども、この点は国土庁長官にお伺いするものでございます。
さて、地方分権の推進は、同時に、国と地方公共団体の役割分担を明確にし、国と地方の双方にとって行政改革につながるものでなければなりません。そこで、まず、今回の地方分権は、国全体の行政改革という観点からは、どのような効果が期待できるのか、総理のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
次に、今回の一括法において、地方にさまざまな権限が移譲されることになります。しかし、地方の行政機構の肥大化をもたらすことになっては、住民の理解は得られません。単に国から地方への仕事の移しかえでは何にもなりません。国においても、中央省庁等改革により一府十二省庁に統合するとともに、公益法人の見直しなどを進めようとしております。
地方行政に関しても、行政のスリム化は不可欠であります。地方分権という趣旨からすれば、当然地方公共団体が自主的に、みずから行政改革を進めることが基本でありますけれども、地方自治制度を所管する立場から、地方行革についてどのように取り組まれるのか、さらに、現在の都道府県ないしは市町村の規模は、分権の受け皿としては適正であるのか、適正なものとするためには、特に市町村合併の促進にどのような誘導、支援措置を考えておられるのか、自治大臣にお伺いするものであります。
地方分権を進めるためには、国のコントロールの縮小や権限の移譲などとともに、地方公共団体の自主的な財源を充実していくことが必要であることは言うまでもありません。そのためには、地方税の充実が基本であります。また同時に、地域間の税源のアンバランスを調整するための制度も重要であります。地方財源の充実確保についての自治大臣の基本的な考え方をお伺いするものであります。
さて、地方分権が進めば、地域のことは地域みずからが決めることが基本となることは申すまでもありません。一方で、国土の均衡ある発展を考えた場合、過疎地域、離島、半島などの条件不利地域においても、健全な地域社会を守っていくことは重要です。折しも、新農政の展開、二百海里海洋新時代を迎え、これらの地域が新しい役割を積極的に担っていく今日、国としての支援、対応施策は、今後ますます必要であると考えておりますが、この点についての総理の御所見をお伺いするものであります。
以上、地方分権の推進に関しまして、数点にわたって質問をしてまいりましたが、今回の地方分権の推進は、明治維新、第二次大戦後の改革に続く第三の改革であり、今回の法案はその扉を開くものとなるでありましょう。今後、さらなる関係者の努力に期待して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕