野呂田芳成の発言 (外交・防衛委員会)
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○国務大臣(野呂田芳成君) 三月二十三日、警戒監視活動を実施中の海上自衛隊の航空機P3Cが二隻の不審船舶を発見しました。このため、訓練に向かっていた護衛艦を現場に向かわせ不審船舶を確認し、海上保安庁に通報しました。
概要は次のとおりです。
まず、海上自衛隊の航空機P3Cが午前九時二十五分ごろ、能登半島東方約二十五海里の領海内において漁船二隻、すなわち第二十八信盛丸、第二大和丸を発見しました。以後、現場に進出した護衛艦「はるな」が午前十一時ごろ、船名を確認し、直ちに海上保安庁に連絡しました。第二十八信盛丸は追って不審船舶でないと確認しました。
また、海上自衛隊の航空機P3Cが、午前六時四十二分ごろ、佐渡島西方約十海里の領海内において漁船第一大西丸を発見しました。以後、現場に進出した護衛艦「はるな」が午後十二時十分ごろ、船名を確認し、午後十三時ごろ、海上保安庁に連絡しました。
これらの船舶には漁船の名称が表示されておりましたが、国旗を掲げず、漁具も積んでおらず、非常に不審なアンテナ等が装備されていたこと等から、不審船舶として海上保安庁に連絡したものであります。
以後、海上保安庁の航空機及び巡視船艇によりこれを追跡し、まず現場に到着した航空機により停船命令を実施するとともに、さらに追尾した巡視船艇からも再度停船命令を実施しましたが、これに応じなかったことから、巡視船艇により威嚇射撃を実施する等必要な措置を講じましたが、速度を上げたため海上保安庁の巡視船艇等による追尾が困難となったものであります。
これを受けて、政府として検討を行った結果、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため特別の必要があると判断し、自衛隊法第八十二条に基づき海上における警備行動をもって対処することとしたところであります。
不審船のうち、第二大和丸については、必死の追跡、停船命令、警告射撃にかかわらず、防空識別圏を越え北朝鮮方向に逃走しましたので、これ以上の追跡は相手国を刺激し、事態の拡大を招くおそれがあると判断したので、午前三時二十分、追尾を中止しました。
その際、第二大和丸に対し、海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」は五インチ砲による警告射撃を十三回各一発、百五十キロ爆弾四発をもっての警告を発しました。また、第一大西丸に対しては護衛艦「はるな」が追跡、停船命令、五インチ砲を六回十発の警告射撃を行ったところであります。
その後、第二大和丸を追跡していた「みょうこう」を「はるな」、「あぶくま」とともに第一大西丸の追尾に当て、全力を挙げ停船の実施に夜を徹して当たらせ、「はるな」は警告射撃を六回十二発、合計十二回二十二発を発射するとともに、百五十キロ爆弾を二回計八発を投下し、全力を尽くして停船を求めましたが、第一大西丸はこれを無視し、午前六時六分、我が国の防空識別圏を越え北朝鮮方向に逃走いたしました。
これ以上の追跡は、第二大和丸の場合と同じ観点から追尾を中止するとのやむなきに至ったところであります。
昭和二十九年に自衛隊発足後四十五年経過しましたが、今回初めて自衛隊法第八十二条の海上における警備行動を発動したところであり、結果は、十分に武器の使用ができない等の法律上の制約があり、不審船の逃走を許しましたが、この種の事案に対し、海上保安庁の対応だけでは不十分な場合には自衛隊がこれに当たるという断固たる我が国の決意を内外に示したことは、今後、この種の事案の発生に対する極めて大きな抑止力となるものと確信します。
また、この種の事案に対し、第一義の所管官庁である海上保安庁と防衛庁の緊密な連携のあり方等については、今後、今回の経験を踏まえ、遺漏のなきよう万全を期してまいりたいと考えております。
なお、その後、不審船舶が我が国の防空識別圏に配備した航空機P3Cからもレーダー探知できなくなるほど遠くに移動したこと、また我が国周辺海域も特異事象は見られなかったことから、私の命により、海上警備行動は昨日十五時三十分をもって終結することとしたものであります。