堺屋太一の発言 (経済・産業委員会)
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○国務大臣(堺屋太一君) いろいろ広範なお尋ねがございました。
まず最初に、景気対策四十兆円という話がございましたが、昨年の四十兆円というのは、まず四月に決定いたしまして六月に国会を通していただきました第一次補正予算、これが事業費として十六兆円、それから十一月に決定いたしまして十二月に通していただきました第三次補正予算、これが二十四兆円、総事業規模及び減税を加えて二十四兆円ということになっておりますので、その合計金額を委員は指しておられるのかと思います。
これがどの程度の効果を上げたかでございますが、まず最初の第一次補正の十六兆円でございますけれども、これが地方議会等の関係がございまして本当に実効を上げてきたのは九月以降、十月に入ってからでございまして、この間、参議院選挙で内閣がかわったりいたしましてかなり空白がございます。この間に景気のかなり落ち込みがあったのでございますけれども、秋になりまして各地方議会の承認を得て実行されるようになりまして、かなりの下支え効果があらわれてまいりました。数字で申しますと、この間に特に社会資本、政府の固定資本形成というのが、公共工事出来高という数字で見ていただきますと十―十二月で前期に比べて七・五%ほどふえておりまして、これが景気の下支え効果をなしたと言えると思います。
次に、十一月に決定いたしまして十二月に国会で御承認いただきました第三次補正予算でございますけれども、これは一部の府県では一月、大部分のところでは二月の地方議会にかかっておりまして、今これから発注されるというような段階になるんではないかと思いますが、こういったことが景気の下支えになりまして、秋になりますとやや下降の傾向がとどまってきた。十二月になりますと、一部には変化の胎動も生まれてきたというような効果がございました。そういう意味では、全くむだではなくて、予期したとおりの効果を上げたと言えると思います。
次に、現在の景気判断の中で何を重視するのかというお話がございました。
これはなかなか難しい問題でございまして、どれを重視するかというのは一概に申せないところがございます。経済は生き物でございますから、そのときそのときによって重要な指標も変わってくるわけでございますが、概して申し上げれば、一方においては生産、出荷の数字、他方におきましてはやはり一番大きな需要でございます消費の数字、この二つが重要だと思うのでございますけれども、統計上これが出てくるのは少しおくれます。統計が出てきてからそれに対応して何らかの政策をとるとなりますと、政策実行までにまた時間がかかり、そしてそれが効果をあらわすまでにまた時間がかかる。だから、統計を見て動いていたのでは遅いということがよく言われるわけです。
今の補正予算でも、昨年、橋本内閣のころですが、大変景気悪化ということを感じて補正予算を組まれたのがもうぎりぎり、本予算が上がってすぐ組まれて、四月でございましたが、国会で通って六月で、実行されるのが九月、十月ということになるわけですから、非常にずれが出ます。
したがいまして、我々といたしましては、統計数字だけに頼らずに、ヒアリング、業界のヒアリング、地域のヒアリング、それから今委員御指摘になりましたようなタクシーであるとかトラックの荷物の運送量でありますとかあるいは百貨店やスーパーマーケットのような比較的早くとれるような数値なども入れまして、これらを勘案して景気判断を考えます。
また、金融というのも非常に重要でございまして、金融の貸し付けもございますし、マネーサプライの量、これも比較的早く出ます。それから、株式市況とか金利の動向なども重要な指標でございます。
そういうものを総合して、最後に判断をするのは何かというと、まあこう申し上げると批判がございますけれども、結局、勘だということにならざるを得ないのでございまして、いろんな指標を読んで、最終的に人間の判断が行われるというような形になっております。
三番目に、DIについて、先行指数、一致指数という判断について、これは非常にぶれるというお話がございました。
これまた事実でございますが、このぶれる理由はいろいろございますけれども、早く言いますと、この指標でとっておりますのが十ないし十一ぐらいの数をとっております。それで、できるだけ早く出すためにそのうちの八つぐらいがわかった段階で発表しておるんです。そういたしますと、一つか二つ変わることによってプラスが五割になったり四割になったりするというようなずれがございます。そういう景気判断で非常にマイナスになったりプラスになったりすることが多いという御批判がございますが、これも先ほど申しましたように、いろんな指標の一つとしては有効なものだと思っております。
ちなみに申し上げますと、先行指数として割合と先に出てくる、これから三カ月ぐらいの後の経済実態を反映していると思われるような項目、これが十一でしたか、あるのでございますけれども、それで見ますと、九月が六三、十月が四〇、十一月が六〇、十二月が五〇、一月が四三というような変動が出てまいります。一月はまだ部分しか出ておりませんから、これはまた逆転する可能性があります。
一致指数というのは、現在の景気状況を経営者が受けとめた感じのものを比較的出すんですが、それを見ますと、九月が六三、十月が五五、十一月が三五、十二月は何と一〇でございまして、ほとんどの人が悪いと言ったと。数字が少ない方が悪いんです。それで、一月になりますと急に六三になるというような動きを示しております。これだけでは何とも申せませんけれども、その背景をいろいろと調べまして、私どもの方ではできるだけ修正をしてぶれのないような数字を出させていただいております。
そういうような統計上の限界というものがいろんな面にあらわれているということでございます。
次に、〇・五%か一%かという御質問がございました。
これは、私ども経済企画庁が〇・五%と言ったのに対して、通産省の方が一%ぐらいは大丈夫だと、こういうお話でございましたのですが、これは非常に見通しとしては微妙な範囲に入ってまいります。したがって、誤差というのは言葉としては正しくないでしょうけれども、感じとしては、ちょっとこの見方を変えるとその範囲ぐらいの違いが出てくることは事実です。マクロ経済というのは、特に海外要因など一定の条件を全部当てはめます。
例えば、現在の〇・五%という見通しを出したときは、為替は一ドルが百十九円二十五銭でしたか、調査の前の月の平均値ぐらい出すわけですが、これはそう決めておかないと、また人間が判断するとそこで恣意的になるというのでそう決めておるわけですが、今はたまたまそれに近い数字になっておりますが、実際の為替は変動する、それだけによってもかなり変わるわけでございます。
そういう性格を持った見通しでございますので、必ずしもコンマ以下の数字で正確に出すことは困難でございますが、私どもといたしましては、小渕内閣の公約といいますか、公にしておりますもので、しっかりとしたプラスというのが一番基本でございます。〇・五%でもこれははっきりプラスの数字の経済状態にしたい、二年連続のマイナスをプラス成長にしたい、こういうことでございます。
だから、委員御指摘のように、部分によっては、それによって、ある業界、ある地域をとりますと相当差が出るかもしれませんが、私どもとしては、マクロとしてはしっかりとした、はっきりとしたプラスという意味でおとりいただければ幸いかと存じております。